起業を考えたとき「資金をどうやって集めよう?」と頭をよぎる方も多いのではないでしょうか。このような場合「クラウドファンディング」を利用して資金調達をし、起業する方法があります。
ここでは、クラウドファンディングの利用の流れや種類、クラウドファンディングを利用して起業するメリット・デメリットをご紹介します。成功のポイントについても解説しているので、ぜひご覧ください。
クラウドファンディングとは? 利用の流れを解説
クラウドファンディングは「多くの人から少しずつ資金を集める資金調達法」です。
“プロジェクトに共感した人からカンパをしてもらってお金を集める”とイメージすると分かりやすいかもしれません。
もともとアメリカで生まれた資金調達方法で、日本では東日本大震災(2011年)の際に広く認知されるようになりました。
クラウドファンディングはどうやって実施する?
クラウドファンディングを利用して資金調達をしたい場合、「クラウドファンディングサイト」を利用します。
クラウドファンディングサイトにはさまざまなものがあり、それぞれ「ビジネス向け」「アート・芸術向け」など、扱っているジャンルが異なります。
- CAMPFIRE(キャンプファイヤー):幅広いジャンルのクラウドファンディングが可能
- Readyfor(レディーフォー):社会貢献、医療、地域活性ジャンルに強い
- Makuake(マクアケ):スタートアップからコスメまで多ジャンルを扱う
- GREEN FUNDING(グリーンファンディング):ガジェットやテクノロジーの開発、エンタメ分野に強い
- Kibidango(きびだんご):ジャンル制限なしで利用可能
これからクラウドファンディングを利用する場合は、プロジェクトの内容・ジャンルに合ったクラウドファンディングサイトを探してみましょう。
クラウドファンディング利用の流れ
クラウドファンディングは以下の流れで利用します。
- クラウドファンディングの目的、目標金額、リターンの設定
- クラウドファンディングサイトへの登録、申請
- 募集プロジェクトの宣伝活動
- 目標達成or未達成後の対応
- 支援者へリターンやお礼を行う
1.クラウドファンディングの目的、目標金額、リターンの設定
クラウドファンディングをするにあたって、以下の3点を決めます。
- クラウドファンディングを行う目的(プロジェクト)は何か
- いくらぐらい資金が必要か
- 支援者のメリット(リターン)
プロジェクトを決める際は、「その商品・サービスで起業してどんな活動がしたいのか」を明確にしておくことが重要です。また実現に必要な目標金額や、支援者がサポートしたいと思えるようなリターンを設定することも忘れずに行いましょう。
2.クラウドファンディングサイトへの登録、申請
クラウドファンディングを利用するサイトへ登録し、プロジェクトの内容・目標金額・リターンなどを設定します。
クラウドファンディングサイトでは「プロジェクトを考えた経緯」「プロジェクトによって得られる変化、メリット」「起業後の展望や発案者の思い」などをなるべく細かく書きましょう。
ここで共感が得られれば、多くの支援を受けられる可能性が高まります。
3.募集プロジェクトの宣伝活動
クラウドファンディングサイトでプロジェクトの公開をしたあとは、宣伝活動を行いましょう。
より多くの支援者を集めるには、
- SNS
- ブログ
- YouTubeチャンネル
こうした拡散性の高いツールで宣伝をすることをおすすめします。
4.目標達成or未達成後の対応
クラウドファンディング募集期間の終了後、目標金額を上回っていたら「成功」です。
クラウドファンディングサイトから手数料を差し引いた分の「支援金」を受け取れますので、その資金をもとにプロジェクトを実施しましょう。
目標未達成だった場合は、決済方法に応じて資金を受け取ります。
「All In型」なら集まった分の支援金が受け取れますが、「All or Nothing型」の場合は全額がサポーターへ返金され、募集側は資金を受け取れません。
5.支援者へリターンやお礼を行う
最後に、サポーターへ支援のお礼として「リターン」を行います。
クラウドファンディングの種類によっては、物品やサービスの提供ではなく「金銭的リターン」や「お礼の手紙」「支援者名の表示」などをリターンとする場合もあります。
クラウドファンディングのメリット・デメリット
利用の流れが分かったところで、クラウドファンディングを利用するメリット・デメリットについてチェックしてみましょう。
クラウドファンディングのメリット
クラウドファンディングのメリットは、以下の3つです。
- 共感さえ得られれば誰でも資金調達が可能
- 低リスクで事業が始められる
- 資金調達と同時に「宣伝効果」も得られる
クラウドファンディングは「プロジェクト」に対し支援を集めるため、プロジェクトが魅力的であれば、募集者の規模、属性にかかわらず資金が集められます。さらに、支援金には返済義務もなく、低リスクで事業が始められるのは大きなメリットといえるでしょう。
またクラウドファンディングには「宣伝効果」もあります。独自性が高く、消費者にとって魅力的なプロジェクトであれば、SNSでの拡散はもちろん、起業直後から多くのファンを獲得できる可能性もあるでしょう。
クラウドファンディングのデメリット
クラウドファンディングはサポーターから支援金を集めることで事業資金を獲得するため、自己資金があまり用意できない方にとっては大変魅力的に映ります。
その一方で、以下のようなデメリットもあることを知っておきましょう。
- 必ずしも資金が獲得できるわけではない
- 必ずプロジェクトを実施しなくてはならない
- アイデアの盗用リスクがある
必ずしも資金が獲得できるわけではない
クラウドファンディングは「プロジェクトに共感した人が応援金を出資する」というスタイルのため、共感を得られなければ当然支援は受けられません。
そのため「募集をかけると必ず資金を提供してもらえる」というものではないのです。
利用する際は、こうした“不確実性”があることを理解しておく必要があるでしょう。
必ずプロジェクトを実施しなくてはならない
クラウドファンディングの決済方法(および結果)によっては、必ずプロジェクトを実施しなければなりません。
特に「All In型」のクラウドファンディングでは、目標金額が集まっているか否かに関わらず、プロジェクトを実施します。
仮にクラウドファンディングでの資金提供をアテにして多額の資金がかかるプロジェクトを計画し、ほとんどお金が集まらなかった場合、不足分を自己資金や他の資金調達で賄わなくてはならなくなる可能性があるのです。
また資金を集めたにもかかわらず、プロジェクトを行わなかった場合は、非難を受けたりトラブルに発展したりする可能性が高いでしょう。
アイデアの盗用リスクがある
クラウドファンディングで支援を受けるには、プロジェクトの内容、経緯などについて具体的に説明する必要があります。しかし、こうした情報が一般公開されることで、同業者にアイデアを盗まれる可能性があるのです。
アイデアの盗用を防ぐには、特許権、実用新案権、商標権などをあらかじめ申請しておくとよいでしょう。
クラウドファンディングには3種類があり、2つの決済方法がある
クラウドファンディングには3種類があり、それぞれ異なるメリット・デメリットがあります。
また決済方法についても「All In型」「All or Nothing型」の2つがあり、用途や目的によって使い分けられています。
クラウドファンディングの種類3つ
クラウドファンディングの種類は、「応援金の使い方」によって以下の3つに分けられます。
- 購入型
- 寄付型
- 金融型
購入型
「商品・サービスの売買」という形で支援を募る方法を「購入型」といいます。クラウドファンディングの手法としてはメジャーであり、多くの方がこの方法を利用しています。
募集側は支援額に応じた「リターン(商品やサービス)」を用意し、提供する必要がある点が特徴です。
寄付型
公益的な活動(災害の復興支援、人道的支援など)でよく利用されるのが、寄付型のクラウドファンディングです。募集側は支援金を「寄附金」として受け取れます。
購入型のような対価性のあるリターンは渡せないため、募集者はお礼の手紙、報告書などを発行するケースが多いです。
金融型
金融型は、支援金のリターンとして「金銭的なリターン」を提供するのが特徴です。
【金融型クラウドファンディングの例】
- 貸付型
- ファンド型
- 株式型
たとえばファンド型、株式型の場合、支援者は「将来的な値上がり、および運用で生じる利益」がリターンとして受け取れます。支援者側から見れば「投資」の側面が強いクラウドファンディングともいえるでしょう。
クラファンには決済方法にも種類がある
クラウドファンディングには2種類の決済方法があります。
All In型
クラウドファンディングの「All In型」は、期間内に集まった目標金額をすべて受け取れる決済方法です。
当初の目標を達成していなくても支援金を受け取ることができますが、提示したプロジェクトは必ず実施しなくてはなりません。また、目標未達成でもリターンを届けなくてはならない点にも注意が必要です。
All or Nothing型
All or Nothing型のクラウドファンディングでは、目標金額に達成した場合にのみ支援金が受け取れます。
目標を達成できなかった場合、支援金はすべてサポーターへと返金される仕組みです。リターンも発生せず、クラウドファンディングシステムの手数料なども発生しないため、持ち出しは文字通り「ゼロ」です。
こうした特徴から、「プロジェクトの実行に明確な資金が必要」というケースでよく利用されています。
クラウドファンディングでの起業を成功させるには?
クラウドファンディングでの起業を成功させるには、以下のポイントを意識しましょう。
- プロジェクトへの“共感”を集める工夫をする
- 活動報告や宣伝を欠かさない
- 他の資金調達方法と組み合わせてリスクヘッジをする
他の資金調達方法と組み合わせてリスクヘッジをする
もしクラウドファンディングだけで資金調達をするのが不安な場合は、融資や補助金、助成金、出資など他の資金調達方法を組み合わせるとよいでしょう。
あくまでも「資金調達方法のひとつ」として捉えておけば、資金が思ったように集まらなかったときに別の対策で補完できます。起業をあきらめずにすむ方法を模索してみましょう。
クラウドファンディングで起業アイデアを実現させよう
クラウドファンディングを活用すれば、資金が不足していてもビジネスアイデアを実現できる可能性があります。
起業アイデアが革新的・魅力的であり、かつ十分な宣伝を行えば、資金が集まりやすくなるでしょう。
ただし、クラウドファンディングの結果は、支援者の“感情”で大きく左右される面もあります。賛同が得られない場合、支援がゼロになる可能性もあることを理解したうえで利用するとよいでしょう。
ビジネスのアイデアを叶える手段として、上手く活用してみて下さい。