確定申告は提出する書類に不足があると所得控除を受けられません。また、申告の期限が定められているので、できるだけ確定申告時に必要となる持ち物についての不備は避けたいものです。
そこで今回は、確定申告に必要となる書類をはじめとした持ち物について、詳しく解説いたします。
近年、確定申告書類の様式を含め、変更された部分もあるので今一度しっかりと必要となる書類や持ち物については確認しておきましょう。

確定申告の持ち物
確定申告をするすべての人に共通する持ち物
持ち物 | 説明 |
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確定申告書・控え | 確定申告書類は税務署や確定申告会場、市区町村の窓口などで受け取れるほか、国税庁のホームページ「確定申告特集」からダウンロードすることもできます。 申告書の控えを持参すると、「収受日印」を教えてもらえるので、控えも合わせて持参しましょう。 |
マイナンバーカードまたは マイナンバーを確認できる書類と身元確認書類 | マイナンバーカードがある場合は、マイナンバーカードの原本の提示、または裏表両面のコピーを提出します。 マイナンバーカードがない場合は、マイナンバーの記載された住民票の写しなど「マイナンバーを確認できる書類」と、「運転免許証」「パスポート」「公的医療保険の被保険者証」「在留カード」などの「身元確認書類」との両方が必要となります。 |
銀行口座番号 (申告者名義のもの) | 税金の還付を受ける申告をされる場合は、還付金の振込希望口座を税務署に伝えるため、申告される方の名義の預貯金口座番号が分かるものを持参しましょう。 |
筆記用具 | 税務申告では、改ざん予防のため「ボールペン」での記入となりますが、下書き用として鉛筆や消しゴムも合わせて持参するようにしましょう。 |
確定申告書・控え
- 確定申告書は、前年の確定申告を直接提出または郵送提出で行った場合、確定申告の時期になると自宅に郵送されてきます。
- 確定申告書の様式は、2021年分までは「A」と「B」の2つがありましたが、2022年分の申告から1つの様式になりました。
- 確定申告書の控えを一緒に提出することで、収受日入りの受領印を押してもらえます。受領印入りの控えは、給付金や住宅ローンやマイカーローンなどの手続きで必要となる場合があります。以前の「持続化給付金」の受給要件にも含まれていました。
はじめて確定申告を行う場合や、前年にe-Taxで確定申告を行った場合は、税務署等の窓口で受け取るか、国税庁のホームページからダウウンロードをしましょう。また、確定申告の申告会場にも用意されています。
(e-Tax方式にて確定申告を行う場合は、確定申告書の書類の入手は必要ありません。)
確定申告をしたことを証明となるので、控えも一緒に提出するようにしましょう。
マイナンバーカード、またはそれに代わるもの
申告書を提出する際に、本人確認を行うため「マイナンバーカードの提示あるいは写しの添付」が必須となっています。
1)マイナンバーカードを持っている場合:
マイナンバーカードの原本を提示するか、コピー(表裏両面)を提出しましょう。
2)マイナンバーカードを持っていない場合:
次の①②両方が必要となります。
①マイナンバーの記載された住民票の写しなど、マイナンバーを確認できる書類
②運転免許証、パスポート、公的医療保険の被保険者証、在留カードなどの「身元確認書類」
- 扶養親族や事業専従者のマイナンバーも記載する必要がありますが、原本の提示やコピーの添付は不要となっています。
- 「通知カード」をマイナンバーが確認できる書類として使用するには、通知カードに記載されている氏名や住所などが、住民票の記載と一致している場合に限ります。
銀行口座
確定申告で還付申告をする場合は、還付金の振込希望口座を税務署に伝えることになります。計算してみたら、思いがけず還付があるケースもあるので、申告者名義の振込希望口座を記入できるよう、銀行口座がわかる通帳やカードなどを持参するとよいでしょう。
印鑑
以前は印鑑が必要でしたが、2021年分の確定申告書から押印欄が廃止されており、印鑑の持参は不要となりました。
所得を証明するもの
申告者 | 必要書類 |
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給与収入がある方 | 給与所得の源泉徴収票(申告する年のもの) |
公的年金等を受給されている方 | 公的年金等の源泉徴収票(申告する年のもの) |
事業所得のある方 不動産所得のある方 山林所得のある方 | 青色申告決算書(青色申告の場合) または収支内訳書 |
農業所得のある方 その他収入のある方 | 収支内訳書 |
給与収入で確定申告が必要な場合
給与所得者でも、複数の事業所から給与を得ていたり、給与収入が年間2,000万円を超えたりする場合は、確定申告が必要となり、給与の支払金額や社会保険料、源泉徴収税額を確認するために源泉徴収票が必要となります。
源泉徴収票は、年度の途中で転職や退社をした場合は、自分から会社へ請求しないともらえないこともあるので注意しましょう。
事業所得、不動産所得、山林所得がある場合
- 給与収入や年金収入などについては「源泉徴収票」において所得を確認することができますが、事業所得や不動産所得などがある場合は、1年間の収入と必要経費とを集計して所得金額を算出する必要があります。
- 小売業や飲食業など、農業以外の自営業や自由業の方のほか、フリーランス(個人事業主)や会社員が副業をすることで収入を得る場合についても、これに当てはまります。(ただし、副業の所得が20万円以下の場合は確定申告不要となり、住民税の申告が必要となります。)
農業所得がある場合
農業所得がある場合は、収支内訳書の提出が必要です。農業所得では平成18年以降はすべて収支計算方式がとられるようになり、農産物に対する年間収入から必要経費を差し引いて所得を算出する仕組みとなっています。
青色申告決算書
青色申告決算書には、所得に応じて「一般用」、「農業所得用」、「不動産所得用」、「現金主義用」の4つの種類が用意されています。書式は国税庁のホームページからダウンロードすることができます。「損益計算書」と「損益の内訳を記入する書類」、「貸借対照表」の3つの書類で構成されていますが、65万円または55万円の青色申告特別控除を受しゅうけない場合は、貸借対照表の提出は不要となります。
収支内訳書
収支内訳書は1年間の売上金額や必要経費などの合計、そして最終的な利益額を記載する書類で、書式は国税庁の書式は国税庁のホームページからダウンロードすることができます。
青色申告決算書や収支内訳書を作成するために用意した帳簿等の提出義務はありませんが、会場でこれらの書類を作成してもらう場合は、帳簿や経費となる領収書等も持参するようにしましょう。
控除に必要な書類
所得税の計算には、生命保険料控除や医療費控除などの控除がさまざまあります。控除を受けるためには、支払ったという証明として「控除証明書」の添付が必要となります。
申告者 | 必要書類 |
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医療費控除を受ける方 | 医療費控除の明細書、医療費通知の原本 |
生命保険料控除を受ける方 地震保険料控除を受ける方 | 保険会社等が発行する支払額証明書 |
社会保険料控除を受ける方 | 社会保険料(国民年金保険料)控除証明書等 |
小規模企業共済等掛金控除を受ける方 | 支払った掛金額の証明書 |
寄附金控除を受ける方 | 寄附した団体などから交付を受けた寄附金の受領証 |
障害者控除を受ける方 | 障害者手帳、または障害者控除対象認定書 |
住宅借入金等特別控除 | 初年度の必要書類 ・住宅借入金等特別控除額の計算明細書 ・源泉徴収票 ・借入金年末残高等証明書 ・土地や建物の登記簿謄本 ・売買契約書または建築請負契約書の写し ・住民票 |
生命保険料控除・地震保険料控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除
給与所得者における生命保険料や地震保険料、社会保険料、小規模企業共済等掛金の控除については、既に会社での年末調整の際に控除を受けている場合は、証明書は不要となります。
寄付金控除
ふるさと納税については、ワンストップ特例の適用を受けた方が確定申告を行う場合は、ワンストップ特例の適用を受けることができないため、寄附金受領証明書が必要となります。
障害者控除
要介護認定を受けている人も、一定の条件を満たすことで障害者控除を受けることができます。
住宅借入金等特別控除
家を新築または増改築するために資金を金融機関から借入し、住宅借入金等特別控除の要件を満たす場合は、居住を開始した年分の確定申告において、必要書類提出することで控除対象となります。サラリーマンの場合は、2年目以降は年末調整により控除を受けられるようになります。
配偶者控除・扶養控除
確定申告の所得控除には、「配偶者控除」「扶養控除」というものもありますが、これらの控除を受けるために特別な書類は不要で、扶養となる方の氏名・続柄・生年月日等を所定の欄へ記入するのみとなります。
ただし、税務署では被扶養者の所得について把握するため、もし所得要件で対象外となる方を被扶養者として記載すると、翌年より所得税の追加納税が生じることになるので、注意が必要です。
確定申告に必要となる持ち物について紹介いたしました。
ご自身の申告について所得控除の対象となるものを確認し、それに応じた必要書類をしっかりと把握することで、確定申告に備えるようにしましょう。