バーチャルオフィスというと「法人登記に利用する住所」というイメージがありますが、会社を運営していると住所を記載する場面は登記以外にも数多くあります。
請求書や見積書、取引先との契約書、名刺、Webサイト、メールの署名などを作成するときに、「ここにもバーチャルオフィスの住所を書いていいの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
基本的には、契約しているバーチャルオフィスで認められている用途であれば、事業上の住所としてさまざまな場面で利用できます。
ただし、住所を記載する目的によっては法律上の表示義務が関係したり、サービス提供会社や金融機関などが独自の登録条件を設けていたりする場合があります。
また、会社の所在地を記載する場面と、代表者本人の住所を求められる場面を混同しないことも重要です。
この記事では、バーチャルオフィスの住所を請求書・契約書・名刺・Webサイトなどに利用できるのか、用途別に分かりやすく解説します。
バーチャルオフィスの住所は仕事でどこまで使える?

1. バーチャルオフィスの住所は請求書に記載できますか?
契約しているバーチャルオフィスで事業上の住所利用が認められていれば、請求書にバーチャルオフィスの住所を記載することができます。
法人の場合、バーチャルオフィスの住所を本店所在地として法人登記しているのであれば、請求書に記載する会社住所としても利用しやすいでしょう。
個人事業主の場合も、契約しているバーチャルオフィスで住所の利用が認められていれば、事業用住所として請求書に記載できる場合があります。
請求書には会社情報を分かりやすく記載する
請求書は、商品やサービスを提供した相手に代金を請求するための書類です。
実際の取引では、請求元を明確にするために、
などの情報を記載することがあります。
法人であれば、登記している商号と本店所在地を記載しておくことで、取引先も「どの会社から発行された請求書なのか」を確認しやすくなります。
バーチャルオフィスを本店所在地として登記している場合、その住所を記載することで、請求書へ自宅住所を掲載せずに済むというメリットもあります。
インボイス制度では住所が必須とは限らない
適格請求書(インボイス)には、消費税法上、一定の事項を記載する必要があります。
代表的な記載事項には、適格請求書発行事業者の氏名または名称、登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの対価の額や消費税額などがあります。
一方、住所そのものは適格請求書の必須記載事項として定められているわけではありません。
そのため、「インボイスを発行するためには必ず住所を書かなければならない」というわけではありません。
ただし、実際の請求書では取引先が発行元を確認しやすくするため、会社名とあわせて住所を記載するケースが一般的です。
法人番号とインボイス登録番号は別のもの
法人の請求書を作成するときに混同しやすいのが、法人番号と適格請求書発行事業者の登録番号です。
法人には国税庁から13桁の法人番号が指定されます。
一方、適格請求書発行事業者の登録番号は、原則として「T+13桁」の形式で表示されます。
法人の場合は法人番号を基礎とした番号になりますが、請求書に法人番号を書いただけでインボイスの登録番号を記載したことになるわけではありません。
適格請求書を発行する場合は、登録を受けた適格請求書発行事業者として、正しい登録番号を記載しましょう。
バーチャルオフィスの住所表記は契約内容に従う
バーチャルオフィスでは、契約した住所を自由に変更して記載してよいとは限りません。
たとえば、
など、住所の利用方法がサービスごとに定められている場合があります。
請求書だけでなく名刺やWebサイトなどへ住所を掲載するときも、契約時に案内された正式な住所表記を使用するのが基本です。
請求書に記載した住所へ郵便物が届く可能性も考える
請求書に会社住所を掲載すると、その住所を見た取引先から郵便物が送られてくる可能性があります。
契約書や請求関係の書類、取引先からの案内などが郵送されることも考えられるため、住所を掲載できるだけでなく、その住所宛の郵便物を受け取れるかも確認しておきましょう。
郵便物の到着通知や転送サービスが用意されていれば、請求書などに記載する事業住所としても管理しやすくなります。
自宅住所を取引先へ公開したくない場合にも活用できる
個人事業主や一人会社などでは、自宅を事業拠点としているケースも少なくありません。
しかし、請求書は取引先へ継続的に渡す書類なので、「取引先に自宅住所を知られたくない」と考える方もいるでしょう。
そのような場合、事業用住所として利用できるバーチャルオフィスを契約しておけば、自宅住所とは別の住所を請求書などに記載できます。
ただし、銀行・行政手続・本人確認などでは代表者本人の住所が別途必要になることがあります。
バーチャルオフィスを契約したから、あらゆる手続で自宅住所を使わなくてよくなるわけではないことには注意しましょう。
バーチャルオフィスの住所は、利用規約などで認められた範囲で請求書の事業住所として利用できます。
法人の場合は登記上の本店所在地と請求書の会社住所を統一することで、取引先にも分かりやすくなります。
また、自宅を仕事場としている個人事業主や一人会社にとっては、取引先へ自宅住所を公開せずに事業用住所を表示できることもバーチャルオフィスを利用するメリットのひとつです。
2. 見積書や納品書に記載できますか?
契約しているバーチャルオフィスで事業上の住所利用が認められていれば、見積書や納品書にもバーチャルオフィスの住所を記載できます。
見積書・納品書・請求書などは、取引先とのやり取りで日常的に使用する書類です。
法人でバーチャルオフィスの住所を本店所在地として登記している場合は、これらの書類にも同じ会社住所を記載することで、対外的な住所表記を統一しやすくなります。
見積書は取引開始前の相手へ渡すことも多い
見積書は、商品やサービスの金額・条件などを取引前に提示するための書類です。
既存の取引先だけでなく、問い合わせを受けた企業や初めて商談する相手へ提出することもあります。
自宅を事業拠点としている場合、会社情報として自宅住所を記載すると、まだ取引が始まっていない相手にも自宅住所を伝えることになります。
事業用住所として利用できるバーチャルオフィスを契約していれば、見積書にバーチャルオフィスの住所を記載することで、自宅住所の公開範囲を抑えることができます。
納品書にも事業用住所として記載できる
納品書は、商品やサービスを納品した際に、その内容を取引先へ伝えるために発行する書類です。
納品書についても、発行元を明確にするため、
などの事業者情報を記載することがあります。
バーチャルオフィスの住所を会社の事業用住所として利用している場合は、納品書にも同じ住所を記載できます。
見積書・納品書・請求書で住所を統一すると分かりやすい
取引先との間では、
というように、ひとつの取引で複数の書類をやり取りすることがあります。
このとき、書類ごとに会社住所が異なっていると、取引先から見て分かりにくくなる可能性があります。
法人でバーチャルオフィスの住所を本店所在地として利用しているのであれば、見積書・納品書・請求書などに記載する会社情報も統一しておくと管理しやすいでしょう。
住所だけでなく会社名・屋号の表記も統一する
書類を作成するときは、住所だけでなく会社名や屋号の表記にも注意しましょう。
たとえば法人であれば、株式会社○○○○株式会社のように、「株式会社」を付ける位置も正式な商号に合わせます。
バーチャルオフィス側へ登録している法人名や屋号と、郵便物に記載される名称が大きく異なる場合、郵便物の確認に時間がかかったり、サービスによっては受け取れなかったりする可能性があります。
対外的な書類では、正式な会社名・屋号と契約している住所表記を統一しておくことが重要です。
取引先から書類が返送される可能性も考える
見積書や納品書に住所を記載すると、取引先がその住所を会社の連絡先として利用する可能性があります。
たとえば、契約書、発注書、確認書類、取引先からの案内などが郵送されることも考えられます。
そのため、単に住所掲載が認められているだけでなく、その住所宛に届いた郵便物を受け取れるサービスであることも重要です。
取引先へ公開する事業住所として利用するのであれば、郵便物の受取・到着通知・転送方法まで確認しておきましょう。
住所を記載する目的に応じて必要な情報を確認する
見積書や納品書は、取引内容や取引先によって求められる記載項目が異なる場合があります。
取引先から指定のフォーマットを求められたり、契約上必要な会社情報を指定されたりするケースもあります。
その場合は、「バーチャルオフィスだからこの住所を書く」と一律に判断するのではなく、相手から何の情報を求められているのかを確認しましょう。
会社の所在地を求められているのであれば、法人登記しているバーチャルオフィスの住所を記載できます。
一方、代表者本人の住所など別の情報を求められている場合は、会社住所とは分けて対応する必要があります。
バーチャルオフィスの住所は、利用が認められている範囲で見積書や納品書にも記載できます。
特に自宅で事業を行っている場合、見積段階から自宅住所を取引先へ公開する必要がなくなることは大きなメリットです。
見積書・納品書・請求書など、日常的に使用する書類の会社情報を統一し、事業用住所と個人の住所を適切に使い分けましょう。
3. 契約書の会社住所として使えますか?
バーチャルオフィスの住所を法人の本店所在地として登記している場合、取引先との契約書に記載する会社住所として利用できます。
契約書では、契約の当事者が誰なのかを明確にするため、法人名や所在地、代表者名などを記載することがあります。
法人登記しているバーチャルオフィスの住所であれば、登記上の本店所在地として契約書へ記載することができます。
ただし、契約書で求められている住所が必ずしも「法人の本店所在地」とは限らないため、何のための住所を求められているのか確認することが重要です。
契約書では契約当事者を明確にする
法人同士で契約を締結する場合、契約書の冒頭や署名欄などに、
などを記載することがあります。
たとえばバーチャルオフィスの住所を本店所在地として登記している法人であれば、その本店所在地を会社住所として記載できます。
登記事項証明書などに記録されている会社情報と契約書の表記を統一しておけば、取引先も契約当事者を確認しやすくなります。
「バーチャルオフィスだから契約書に使えない」というわけではない
バーチャルオフィスは実際に仕事をする場所と会社の本店所在地が異なるため、「契約書には実際に仕事をしている場所を書かなければならないのでは?」と疑問に思う方もいるでしょう。
しかし、法人の契約書に会社所在地として本店所在地を記載する場合、そこで常に代表者や従業員が仕事をしている必要があるわけではありません。
本店所在地として適切に登記している住所であれば、会社を表示する住所として契約書へ記載できます。
契約書に「通知先」が別途定められる場合がある
注意したいのが、契約上の通知や書類の送付先です。
契約書によっては、会社所在地とは別に、
などを定める場合があります。
この場合、契約書に記載した本店所在地へすべての書類が送られるとは限りません。
反対に、バーチャルオフィスの住所を通知先として指定した場合は、その住所へ契約に関する重要書類が送付される可能性があります。
そのため、契約書に住所を記載するときは、単なる会社情報なのか、実際の書類送付先として使用されるのかも確認しておきましょう。
重要な通知が郵送される契約では転送頻度にも注意する
契約内容によっては、契約解除や更新、請求、重要事項に関する通知などを郵送で行うことがあります。
そのような契約でバーチャルオフィスの住所を通知先にしている場合、郵便物の確認が遅れることには注意が必要です。
たとえば月1回の定期転送だけを利用していると、重要な通知が届いてから実際に内容を確認するまで時間が空く可能性があります。
契約関係の郵便物が届く可能性がある場合は、到着通知や写真確認、個別転送などを利用できるか確認しておくと安心です。
取引先から登記事項証明書などを求められる場合もある
新規取引を開始する際、取引先によっては契約書だけでなく、登記事項証明書など会社情報を確認できる書類の提出を求めることがあります。
その場合、契約書へ記載している会社名や本店所在地と、登記上の情報が一致しているか確認されることがあります。
バーチャルオフィスを本店所在地として登記しているのであれば、契約書でも正式な商号と登記上の所在地を正確に記載することが重要です。
代表者個人の住所を求められている場合は別
特に注意したいのが、会社の住所と代表者個人の住所を混同しないことです。
契約内容によっては、法人の本店所在地だけでなく、代表者や保証人など個人の住所を求められる場合があります。
このような場合に、代表者の住所としてバーチャルオフィスの住所を記載してよいとは限りません。
相手から代表者本人の居住地を求められているのであれば、会社の本店所在地とは別の情報として対応する必要があります。
「住所を書く欄があるからバーチャルオフィスの住所を入れる」と一律に判断せず、誰の、どの住所を求められているのかを確認しましょう。
電子契約でも住所の考え方は基本的に同じ
近年は、紙ではなく電子契約サービスを利用して契約を締結するケースも増えています。
電子契約だからといって、会社情報として記載する住所の考え方が大きく変わるわけではありません。
法人の所在地を記載する欄であれば、登記しているバーチャルオフィスの住所を利用できます。
一方、電子契約サービスへのアカウント登録や本人確認などで別の住所情報を求められる場合は、そのサービスの案内に従いましょう。
バーチャルオフィスの住所を法人の本店所在地として登記している場合、契約書にも会社住所として記載できます。
ただし、契約書では本店所在地とは別に通知先や書類送付先が指定される場合があります。
また、代表者本人の住所を求められている場合は、会社住所とは分けて考える必要があります。
契約書へ住所を記載するときは、「バーチャルオフィスを使えるか」だけでなく、その住所が何の目的で記載されるのかまで確認することが重要です。
名刺・Webサイトなどでの住所利用に関する疑問

4. 名刺にバーチャルオフィスの住所を記載できますか?
契約しているバーチャルオフィスで住所の対外利用が認められていれば、名刺にバーチャルオフィスの住所を記載できます。
法人の場合、バーチャルオフィスの住所を本店所在地として登記しているのであれば、会社名とあわせて登記上の所在地を名刺に記載できます。
個人事業主の場合も、事業用住所としての利用が認められているサービスであれば、名刺に自宅とは別の住所を掲載することが可能です。
名刺に自宅住所を記載する必要がなくなる
自宅で事業を行っている個人事業主や一人会社の場合、事業用の住所を用意していなければ、名刺へ自宅住所を記載することになります。
しかし、名刺は取引先だけでなく、
- 営業先
- 交流会やイベントの参加者
- セミナーの参加者
- 新しく知り合った事業者
など、さまざまな相手へ渡す可能性があります。
一度渡した名刺がどのように保管・共有されるかを完全に管理することは難しいため、プライバシーの観点から自宅住所を掲載したくない方もいるでしょう。
バーチャルオフィスを事業用住所として利用すれば、自宅住所を名刺へ掲載せずに会社・事業の所在地を案内できます。
法人の場合は登記上の所在地と統一すると分かりやすい
法人であれば、名刺に記載する住所を登記上の本店所在地と統一しておくと、対外的な会社情報が分かりやすくなります。
たとえば、
- 名刺
- Webサイトの会社概要
- 請求書
- 見積書
- 契約書
などで会社名や所在地が統一されていれば、取引先が会社情報を確認するときにも混乱しにくくなります。
バーチャルオフィスの住所を本店所在地として登記している場合は、名刺についても正式な住所表記を使用するとよいでしょう。
バーチャルオフィスで指定された住所表記を使用する
名刺を作成するときは、契約しているバーチャルオフィスから案内された住所表記を確認しましょう。
サービスによっては、
- ビル名を含める必要がある
- 指定された番号を記載する
- 法人名や屋号を事前登録する
など、住所の利用方法が決められている場合があります。
見栄えを良くするために住所の一部を勝手に省略したり、契約していない部屋番号などを追加したりすることは避けましょう。
名刺だけでなく、Webサイトや請求書などでも同じ正式表記を使用しておくと管理しやすくなります。
名刺を見た相手から郵便物が届く可能性がある
名刺に住所を掲載すると、受け取った相手がその住所を郵送先として利用する可能性があります。
たとえば、契約書、資料、案内状、請求関係書類などを名刺に記載された住所へ送付するケースです。
そのため、名刺へ掲載するバーチャルオフィスは、住所を利用できるだけでなく、会社名や屋号宛の郵便物を受け取れることも重要です。
郵便物の到着通知や転送サービスがあれば、名刺を見た相手から突然郵便物が送られてきた場合にも確認しやすくなります。
実際の店舗や常駐オフィスと誤解される表現には注意する
バーチャルオフィスの住所を名刺に掲載できるからといって、実際には存在しない店舗や営業所があるように表示してよいという意味ではありません。
たとえば、実際には来客対応を行っていない住所について、
などと表示すると、相手に実態とは異なる印象を与える可能性があります。
単純に会社の本店所在地や事業用住所として記載する場合と、実際の店舗・営業拠点として表示する場合は分けて考えましょう。
特に顧客が住所を見て直接訪問する可能性がある業種では、必要に応じて「来店対応は行っていない」などの案内を検討することも大切です。
名刺に住所を載せること自体が必須とは限らない
そもそも、一般的な名刺に必ず住所を記載しなければならないという決まりがあるわけではありません。
事業内容によっては、
- 会社名
- 氏名・役職
- 電話番号
- メールアドレス
- Webサイト
などを中心に掲載し、住所を載せない名刺を使用することもできます。
ただし、法人として取引する場合など、会社所在地が掲載されていることで相手が会社情報を確認しやすくなることもあります。
住所を掲載するかどうかは、名刺を渡す相手や事業内容に応じて判断するとよいでしょう。
バーチャルオフィスの住所は、契約上認められている範囲で名刺にも記載できます。
特に自宅で事業を行っている場合は、名刺を渡すたびに自宅住所を公開する必要がなくなり、事業用住所とプライベートな住所を分けやすくなります。
法人で利用する場合は、登記・名刺・Webサイト・請求書などに掲載する会社住所を統一しておくと、対外的な会社情報も整理しやすくなるでしょう。
5. Webサイトや会社概要に掲載できますか?
契約しているバーチャルオフィスでWebサイトなどへの住所掲載が認められていれば、コーポレートサイトやサービスサイトの会社概要にバーチャルオフィスの住所を掲載できます。
法人の場合、バーチャルオフィスの住所を本店所在地として登記しているのであれば、Webサイト上の会社所在地としても同じ住所を使用できます。
自宅で事業を行っている場合でも、事業用住所としてバーチャルオフィスを利用することで、Webサイト上に自宅住所を公開せずに済みます。
会社概要ページの所在地として利用できる
企業のWebサイトでは、会社概要ページに、
- 会社名
- 代表者名
- 所在地
- 設立年月日
- 事業内容
- 連絡先
などを掲載することがあります。
バーチャルオフィスを本店所在地として登記している法人であれば、「所在地」や「本社所在地」としてその住所を掲載できます。
名刺や請求書などと同様に、Webサイトでも正式な商号と住所表記を使用しておくと、会社情報を統一しやすくなります。
自宅住所をインターネット上へ公開せずに済む
Webサイトへの住所掲載は、名刺などへの掲載以上にプライバシーへ注意したいところです。
名刺は基本的に渡した相手が住所を見るものですが、Webサイトは検索エンジンなどを通じて不特定多数の人が閲覧できます。
さらに、公開した住所が検索結果に表示されたり、ほかのWebサイトへ転載されたりする可能性もあります。
自宅で事業をしている場合、自宅住所を会社所在地としてWebサイトへ掲載すると、事業とは関係のない人からも自宅の場所を確認できる状態になる可能性があります。
バーチャルオフィスを事業用住所として利用することで、Webサイト上の会社所在地と自宅住所を分けることができます。
会社概要への掲載と法律上の住所表示は分けて考える
注意したいのが、「会社概要に住所を載せること」と、「法律によって住所の表示が求められること」は別の問題だということです。
たとえば通信販売を行う事業者には、特定商取引法に基づく表示が関係する場合があります。
オンラインショップなどを運営している場合は、単に会社概要ページへ住所を掲載すればよいとは限らず、販売方法や事業形態に応じて必要な表示を確認する必要があります。
また、特定商取引法上の住所表示について一定の要件を満たせば省略できる場合もあります。
Webサイトへ何となく住所を掲載するのではなく、会社情報として掲載するのか、法律上必要な表示として掲載するのかを分けて考えましょう。
特定商取引法の表示にバーチャルオフィスを利用する場合は注意する
ネットショップなどでバーチャルオフィスの住所を利用したい場合は、その住所が実際に連絡可能な事業上の住所として機能することが重要です。
消費者庁は、通信販売における住所表示について、単に私書箱などを表示するだけでは不十分となる場合があることを示しています。
そのため、「住所を借りられたから、とりあえず特商法表記にも載せておけばよい」とは考えないようにしましょう。
利用するバーチャルオフィスが特定商取引法に基づく表記への住所利用を認めているか確認するとともに、自分の販売形態で必要となる表示を確認することが重要です。
問い合わせや郵便物が届くことも想定する
Webサイトに会社住所を掲載すると、その住所を見た顧客や取引先などから郵便物が送られてくる可能性があります。
特に会社概要ページでは、掲載されている住所を正式な連絡先として認識する人もいるでしょう。
そのため、Webサイトへバーチャルオフィスの住所を掲載するのであれば、
- 会社名・屋号宛の郵便物を受け取れるか
- 郵便物の到着を確認できるか
- どのくらいの頻度で転送されるか
といった郵便サービスについても確認しておくことが重要です。
実際に来店できる場所と誤解させないようにする
バーチャルオフィスの住所をWebサイトへ掲載すると、その住所を見たユーザーが、「ここへ行けば会社の担当者に会える」と考える可能性もあります。
しかし、バーチャルオフィスは住所利用や郵便物受取を中心としたサービスであり、契約者が常時その場所で営業しているとは限りません。
来客対応を行っていない場合は、アクセス情報や店舗情報のような見せ方を避けるなど、実際の利用状況と異なる印象を与えないよう注意しましょう。
必要に応じて、「ご来訪による対応は行っておりません」などの案内を掲載する方法もあります。
住所表記はほかの媒体とも統一する
Webサイトに掲載する住所は、名刺や請求書などと同様に、バーチャルオフィスから案内された正式な住所表記を使用しましょう。
法人の場合は、
- 登記事項証明書
- Webサイト
- 名刺
- 請求書
- 見積書
- 契約書
などで会社名や本店所在地が統一されていると、取引先が会社情報を確認するときにも分かりやすくなります。
特にWebサイトは銀行口座の開設や新規取引などで事業内容を確認するために参照される可能性もあるため、所在地だけでなく、事業内容や連絡先などの会社情報も正確に掲載しておくことが重要です。
バーチャルオフィスの住所は、契約上認められている範囲でWebサイトや会社概要にも掲載できます。
自宅で事業を行っている場合は、インターネット上へ自宅住所を公開せずに会社所在地を表示できることもメリットです。
ただし、特定商取引法などによって住所表示が求められる場合は、単なる会社概要への住所掲載とは分けて考える必要があります。
「Webサイトに掲載できる住所か」だけでなく、「何の目的でその住所を表示するのか」まで確認して適切に利用しましょう。
6. メール署名に記載できますか?
契約しているバーチャルオフィスで事業上の住所利用が認められていれば、メール署名にもバーチャルオフィスの住所を記載できます。
法人の場合、バーチャルオフィスの住所を本店所在地として登記しているのであれば、会社名や電話番号、Webサイトなどとあわせて会社所在地として記載できます。
個人事業主の場合も、事業用住所として利用できるバーチャルオフィスであれば、自宅住所の代わりにメール署名へ掲載できます。
メール署名は多くの相手へ送られる会社情報
ビジネスメールでは、本文の最後に、
- 会社名
- 部署名
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
- Webサイト
などを記載した署名を設定することがあります。
メール署名は取引先だけでなく、新規顧客や問い合わせ相手などにも送信されます。
自宅を事業拠点としている場合、メール署名に自宅住所を設定すると、メールを送るたびに相手へ自宅住所を伝えることになります。
事業用住所としてバーチャルオフィスを利用すれば、プライベートな住所とメール上の会社情報を分けることができます。
名刺やWebサイトと同じ住所にすると分かりやすい
法人の場合は、メール署名だけ別の住所を使用するよりも、
- 登記上の本店所在地
- Webサイトの会社概要
- 名刺
- 請求書
- メール署名
などで会社住所を統一しておくと、取引先にも分かりやすくなります。
たとえばメールを受け取った取引先がWebサイトを確認したとき、署名と会社概要に同じ所在地が記載されていれば、同じ会社の情報であることを確認しやすくなります。
バーチャルオフィスから指定された正式な住所表記を使用し、会社情報を統一しておきましょう。
メール署名の住所が郵送先として使われる可能性もある
メール署名に住所を記載すると、相手がその住所を会社の郵送先として利用する可能性があります。
たとえば取引先から、
- 契約書
- 資料
- 請求関係書類
- 案内状
などが、署名に記載された住所へ送られてくることも考えられます。
そのため、メール署名へバーチャルオフィスの住所を掲載する場合も、会社名や屋号宛の郵便物を受け取れることを確認しておきましょう。
来店可能な住所と誤解されないようにする
メール署名に住所が記載されていると、相手がその場所を実際のオフィスだと考える場合があります。
バーチャルオフィスで来客対応を行っていない場合は、取引先が事前連絡なしに訪問しないよう注意が必要です。
特に打ち合わせや商談などで対面する機会がある事業では、必要に応じて、「ご来訪の際は事前にご連絡ください」などの案内を行うとよいでしょう。
会議室を利用できるバーチャルオフィスであっても、契約者が常時その場所にいるとは限りません。
会社所在地として利用する住所と、日常的に勤務している場所は必ずしも同じではないことを必要に応じて相手へ伝えましょう。
住所を載せない署名を使うこともできる
一般的なビジネスメールの署名に、必ず住所を記載しなければならないわけではありません。
事業内容や相手によっては、
- 会社名
- 氏名
- 電話番号
- メールアドレス
- Webサイト
などだけを掲載する方法もあります。
一方、取引先とのやり取りでは、会社所在地まで記載されていることで会社情報を確認しやすくなることもあります。
住所を掲載する場合は、自宅住所をそのまま記載するのではなく、事業用住所を用意してプライベートな住所と分けることも選択肢のひとつです。
本人確認などで求められる住所とは別に考える
メール署名にバーチャルオフィスの住所を掲載できるからといって、あらゆる手続で同じ住所を使用できるわけではありません。
たとえば銀行や各種サービスの本人確認では、法人の本店所在地ではなく、代表者本人の住所を求められる場合があります。
その場合は、メール署名で使用しているバーチャルオフィスの住所ではなく、求められている情報を正確に申告する必要があります。
会社の対外的な連絡先として使用する住所と、本人確認などで必要になる個人の住所は分けて考えましょう。
バーチャルオフィスの住所は、契約上認められている範囲でメール署名にも記載できます。
自宅で事業を行っている場合は、メールを送るたびに自宅住所を相手へ伝える必要がなくなり、事業用住所とプライベートな住所を分けやすくなります。
法人で利用する場合は、Webサイト・名刺・請求書・メール署名などに掲載する会社情報を統一しておくと、取引先にとっても分かりやすいでしょう。
7. Googleビジネスプロフィールに登録できますか?
住所利用や郵便物受取を目的として契約しているだけのバーチャルオフィスは、原則としてGoogleビジネスプロフィールの所在地として登録できません。
Googleビジネスプロフィールには独自の利用資格と住所に関するガイドラインがあり、法人登記できる住所だからといって、そのままGoogleマップなどへ店舗・オフィスの所在地として登録できるわけではありません。
Googleは、郵送先住所を借りているものの、その場所で実際に事業を行っていない「バーチャルオフィス」について、ビジネスプロフィールの対象にならないと明記しています。
法人登記できることとGoogleへ登録できることは別
ここは特に混同しやすいポイントです。
バーチャルオフィスでは、契約内容や事業内容などの条件を満たせば、借りた住所を法人の本店所在地として登記できる場合があります。
しかし、法人登記できる住所=Googleビジネスプロフィールに登録できる住所というわけではありません。
法人登記は会社法などに基づく手続であるのに対して、GoogleビジネスプロフィールにはGoogleが独自に定めた利用資格や住所に関するガイドラインがあります。
そのため、バーチャルオフィスの住所を登記・名刺・請求書・Webサイトなどで利用できても、Googleビジネスプロフィールについては別途Googleのガイドラインを確認する必要があります。
住所だけを借りているバーチャルオフィスは対象外
Googleは、ビジネスプロフィールに登録する住所について、実際のビジネス拠点を正確に表示することを求めています。
Googleのガイドラインでは、郵送先住所を借りているものの、その場所では実際にサービスを提供していない、いわゆるバーチャルオフィスについて、ビジネスプロフィールを利用できないとされています。
つまり、
- 郵便物を受け取れる
- 法人登記できる
- Webサイトに掲載できる
といった条件を満たしているだけでは、Googleビジネスプロフィールへ登録できる根拠にはなりません。
コワーキングスペースなどは条件を満たせば登録できる場合がある
一方、実際にオフィスとして利用しているコワーキングスペースなどについては、一定の条件を満たすことで登録できる場合があります。
Googleはコワーキングスペースのオフィスについて、
- 分かりやすい看板が常設されていること
- 営業時間中にその場所で顧客対応できること
- 営業時間中に自社のスタッフが常駐していること
などを条件として示しています。
重要なのは、施設の受付スタッフがいるだけではなく、そのビジネス自身が実際にその場所で営業していることです。
住所や会議室だけを借り、必要なときだけ利用するような一般的なバーチャルオフィスとは区別して考える必要があります。
Googleに住所を表示する場合は常設の看板も必要
Googleのガイドラインでは、住所をGoogle上に表示するビジネスについて、その住所にビジネス名を示す常設の固定看板を設置することも求めています。
そのため、「郵便物が届く住所だから実在性を証明できる」というだけでは十分ではありません。
顧客がその住所を見て実際に訪問した際、営業しているビジネスとして確認できる状態であることが重要です。
オンラインだけで完結するビジネスにも注意する
そもそもGoogleビジネスプロフィールは、すべての事業者が利用できるサービスではありません。
Googleは原則として、営業時間中に顧客と直接対面でやり取りするビジネスを掲載対象としています。
オンラインのみで営業し、顧客が事業所へ訪れることもなく、事業者自身が顧客の所在地へ出向くこともないビジネスは、ビジネスプロフィールの利用対象外とされています。
そのため、バーチャルオフィスを利用しているかどうか以前に、自分のビジネス自体がGoogleビジネスプロフィールの利用資格を満たしているかを確認する必要があります。
顧客のもとへ出向く事業には「非店舗型ビジネス」という仕組みもある
顧客が店舗へ来店するのではなく、事業者が顧客の所在地へ出向いてサービスを提供する事業については、「非店舗型ビジネス」としてGoogleビジネスプロフィールを利用できる場合があります。
この場合はサービス提供地域を設定し、原則として住所をユーザーへ表示しない形でプロフィールを運用します。
ただし、非店舗型ビジネスであっても、単に借りただけのバーチャルオフィスを事業拠点として登録できるわけではありません。
Googleは、非店舗型ビジネスについても、営業時間中にスタッフが常駐していないバーチャルオフィスは登録できないとしています。
バーチャルオフィスの住所を無理に登録しない
法人登記している住所だからといって、Googleビジネスプロフィールへそのまま登録することは避けましょう。
Googleのガイドラインに適合していないプロフィールは、情報の修正やプロフィールの表示制限などの対象になる可能性があります。
Googleビジネスプロフィールを利用したい場合は、
- 自分のビジネスが掲載対象なのか
- 顧客と対面する場所があるのか
- その住所に自社スタッフが常駐しているのか
- 顧客対応できる場所なのか
- 必要な看板を設置しているのか
などを確認したうえで登録することが重要です。
一般的なバーチャルオフィスのように、住所利用や郵便物受取を目的として借りているだけの場所は、Googleビジネスプロフィールの所在地として原則登録できません。
一方、コワーキングスペースなどで実際に事業を行い、常設の看板、自社スタッフの常駐、営業時間中の顧客対応などGoogleが定める条件を満たしている場合は、登録できるケースがあります。
法人登記・名刺・Webサイトなどに利用できる住所と、Googleビジネスプロフィールに登録できる住所は別の基準で判断されることを覚えておきましょう。
Googleの最新ガイドラインはこちらです。
会社運営での住所利用に関する疑問

8. 求人票や採用サイトにバーチャルオフィスの住所を記載できますか?
バーチャルオフィスの住所を法人の本店所在地として利用している場合、採用サイトなどに会社所在地として記載することはできます。
ただし、求人票などで求職者が実際に勤務する「就業場所」を記載する場合は注意が必要です。
住所を借りているだけで実際にはそこで勤務しないにもかかわらず、バーチャルオフィスの住所を就業場所として表示すると、求職者が勤務場所を誤認する可能性があります。
そのため、会社の所在地と採用後に実際に働く場所は分けて考えることが重要です。
採用サイトの会社概要には利用できる
自社の採用サイトでは、運営会社について紹介するために、
- 会社名
- 代表者名
- 本店所在地
- 設立年月日
- 事業内容
などを掲載することがあります。
バーチャルオフィスの住所を本店所在地として法人登記している場合は、会社概要の所在地としてその住所を掲載できます。
コーポレートサイトや名刺などと同様に、登記上の会社情報を正確に記載しましょう。
求人票の「就業場所」は別に考える
一方、求人情報には、求職者が実際に働く場所を示す「就業場所」があります。
たとえば会社の本店所在地が東京都港区のバーチャルオフィスでも、採用した人が実際には別のオフィスで勤務するのであれば、就業場所として実際の勤務先を適切に表示する必要があります。
また、完全な在宅勤務で採用する場合も、「本店所在地が東京都港区だから勤務地も東京都港区」というわけではありません。
会社所在地と勤務場所が異なる場合は、それぞれを区別して求人情報を作成しましょう。
バーチャルオフィスを勤務先のように見せない
一般的なバーチャルオフィスは、住所利用や郵便物の受取などを目的としたサービスです。
そのため、住所を契約しているだけの場所について、「勤務地:東京都○○区○○」などと掲載すると、求職者がその場所にオフィスがあり、そこで日常的に勤務するものと認識する可能性があります。
会議室などを利用できるバーチャルオフィスであっても、会議室を利用できることと、その場所が従業員の常設の就業場所であることは別です。
求人情報では、採用後にどこで働くことになるのかが求職者へ正確に伝わる表示を心がけましょう。
リモートワークの場合も勤務形態を分かりやすくする
バーチャルオフィスは、リモートワークを中心とする会社とも相性のよいサービスです。
社員全員が在宅勤務を行い、会社の本店所在地だけバーチャルオフィスにしている会社も考えられます。
そのような場合は、会社概要ではバーチャルオフィスの所在地を掲載しつつ、求人情報では、
- フルリモート
- 在宅勤務
- 出社の有無
- 出社が必要な場合の場所
などを分かりやすく記載すると、求職者との認識のズレを防ぎやすくなります。
特に「本社所在地」と「勤務地」が同じページに表示される求人サービスでは、両者を混同しないよう注意しましょう。
ハローワークの求人でも就業場所は重要な項目
ハローワークの求人申込みでも、「事業所所在地」と「就業場所」は区別されています。
事業所の所在地と実際の就業場所が異なる場合には、それぞれの情報を適切に登録する必要があります。
これはバーチャルオフィスを利用している場合にも重要な考え方です。
登記上の本店所在地としてバーチャルオフィスを利用しているからといって、求人票の就業場所まで同じ住所になるわけではありません。
求人媒体ごとに入力項目やルールが異なるため、掲載するサービスの案内も確認しましょう。
応募者が会社住所を調べることも想定する
求人へ応募する前に、求職者が会社名や住所を検索することもあります。
その際、求人票・採用サイト・コーポレートサイトなどで会社所在地が大きく異なっていると、
と疑問を持たれる可能性があります。
バーチャルオフィスを本店所在地としている場合は、会社情報として使用する住所をできるだけ統一しておくと分かりやすくなります。
一方、勤務地については実際の勤務場所や勤務形態を正確に伝え、会社所在地と就業場所の違いが分かるようにしておくことが大切です。
面接場所についても分かりやすく案内する
採用活動では、会社所在地だけでなく面接場所にも注意しましょう。
オンライン面接であれば問題ありませんが、対面面接を行う場合、求職者が採用サイトに掲載されているバーチャルオフィスの住所へ直接訪問してしまう可能性があります。
会議室を利用して面接する場合は予約した場所を案内し、別の場所で面接する場合はその住所を伝えます。
会社所在地・就業場所・面接場所は、それぞれ異なる可能性があることを前提に案内するとよいでしょう。
バーチャルオフィスの住所は、採用サイトなどで会社の本店所在地として掲載できます。
ただし、求人票に記載する就業場所については、採用後に実際に働く場所を正確に伝えることが重要です。
特にリモートワークを中心とする会社では、「会社所在地はバーチャルオフィス、勤務は原則リモート」など、それぞれの役割を明確にしておくと求職者にも分かりやすくなります。
9. 銀行やクレジットカードの申込み住所として使えますか?
バーチャルオフィスの住所を法人の本店所在地として登記している場合、法人口座や法人クレジットカードの申込みで「法人所在地」「本店所在地」などを求められた際に、その住所を使用できます。
ただし、銀行やクレジットカード会社では、法人の所在地とは別に代表者本人の住所や連絡先などを求められることがあります。
その場合、すべての住所欄にバーチャルオフィスの住所を入力するのではなく、それぞれの項目で何の住所を求められているのか確認することが重要です。
法人所在地には登記上の住所を入力する
法人口座や法人クレジットカードの申込みでは、
- 法人名
- 法人番号
- 本店所在地
- 代表者名
- 事業内容
などの会社情報を入力することがあります。
バーチャルオフィスの住所を本店所在地として法人登記している場合、「法人所在地」「本店所在地」などの項目には基本的に登記上の住所を入力します。
申込みの際に登記事項証明書などを提出する場合もあるため、自己判断で住所を省略したり変更したりせず、登記されている正式な会社情報に合わせて入力しましょう。
代表者住所には本人の住所を求められることがある
一方、銀行口座やクレジットカードの申込みでは、会社情報とは別に代表者本人の情報を入力する場合があります。
たとえば、
- 代表者氏名
- 生年月日
- 代表者住所
- 電話番号
などです。
このとき「代表者住所」として求められているのであれば、法人の本店所在地とは別に考える必要があります。
法人所在地がバーチャルオフィスだからといって、代表者本人の住所欄にも同じ住所を入力するわけではありません。
本人確認書類などと照合される場合もあるため、申込画面や金融機関の案内に従って正確な情報を入力しましょう。
バーチャルオフィスだから法人口座を開設できないとは限らない
「バーチャルオフィスを本店所在地にすると銀行口座を作れないのでは?」と不安に思う方もいるでしょう。
しかし、バーチャルオフィスを利用しているという理由だけで、すべての金融機関で法人口座を開設できなくなるわけではありません。
金融機関は申込内容などをもとに、それぞれの基準で審査を行います。
そのため、バーチャルオフィスの住所を利用している場合でも、審査の結果によっては法人口座を開設できます。
一方で、バーチャルオフィスを利用していれば必ず口座を開設できるというわけでもありません。
口座開設の可否は金融機関による審査によって決まることを理解しておきましょう。
会社の事業実態が分かる情報も整えておく
法人口座の申込みでは、所在地だけでなく、どのような事業を行っている会社なのか確認されることがあります。
そのため、
- 会社のWebサイト
- 具体的な事業内容
- 取扱商品・サービス
- 取引先や取引内容
- 契約書・請求書などの事業資料
といった、事業実態を確認できる情報を整理しておくことも大切です。
バーチャルオフィスを利用しているかどうかだけを気にするのではなく、「実際にどのような事業を行っている会社なのかを説明できる状態にしておく」ことを意識しましょう。
レゾナンスでは法人口座開設の紹介制度も用意されている
バーチャルオフィスのレゾナンスでは、会員向けに法人口座開設の紹介制度を用意しています。
対象となる金融機関には、
- みずほ銀行
- GMOあおぞらネット銀行
- ドコモSMTBネット銀行
- PayPay銀行
があります。
バーチャルオフィスを利用しながら法人口座の開設を検討している場合は、このようなサポートの有無もサービス選びのポイントになります。
ただし、紹介制度を利用した場合でも口座開設が保証されるわけではありません。
最終的な口座開設の可否は各金融機関の審査によって決まります。
法人クレジットカードもカード会社の審査がある
法人クレジットカードについても基本的な考え方は同じです。
法人所在地として登記上の住所を入力し、代表者住所など別の情報を求められた場合は、それぞれ正確な情報を申告します。
カード会社によって、
- 申込条件
- 必要書類
- 本人確認方法
- カードの送付方法
などが異なるため、バーチャルオフィスの住所をどの範囲で利用できるかは申込み先の案内を確認しましょう。
また、法人口座と同様に、バーチャルオフィスを利用していることだけでカード発行の可否が決まるわけではなく、カード会社による審査があります。
カードや重要書類の送付先は申込先のルールを確認する
銀行やクレジットカード会社からは、申込み後に郵便物が送付される場合があります。
ただし、
- 法人所在地
- 代表者住所
- カードや書類の送付先
が必ずすべて同じになるとは限りません。
本人確認を兼ねて特定の住所へ郵便物を送付する場合や、転送不要郵便など送付方法が指定される場合もあります。
バーチャルオフィスへ郵便物が届くことを前提にせず、申込みを行う金融機関やカード会社が指定する受取方法を事前に確認しておくことが重要です。
バーチャルオフィスの住所を法人の本店所在地として登記している場合、銀行口座や法人クレジットカードの申込みでも法人所在地として利用できます。
ただし、代表者本人の住所やカードの送付先などについては別の住所情報を求められる場合があります。
「申込フォームに住所欄があるからすべてバーチャルオフィスの住所を入力する」のではなく、法人所在地・代表者住所・送付先をそれぞれ区別して入力することが重要です。
10. 自宅住所とバーチャルオフィスの住所はどう使い分ければいいですか?
基本的には、取引先や顧客などへ公開する「事業用の住所」にはバーチャルオフィスを利用し、代表者本人の居住地や本人確認のために求められる「個人の住所」には自宅住所を使用すると考えると分かりやすいでしょう。
ただし、住所を求められる目的は手続やサービスによって異なります。
「バーチャルオフィスを契約したから、今後はすべての住所欄にその住所を書けばよい」というわけではありません。
誰の住所を、何の目的で求められているのかを確認して使い分けることが重要です。
取引先や顧客へ公開する事業用住所にはバーチャルオフィスを使う
バーチャルオフィスを利用する大きなメリットのひとつが、自宅住所とは別に事業用の住所を持てることです。
契約しているサービスで利用が認められていれば、
- 名刺
- 請求書
- 見積書
- 納品書
- Webサイト
- 会社概要
- メール署名
など、取引先や顧客へ公開する会社・事業の住所として利用できます。
自宅で仕事をしている場合でも、これらにバーチャルオフィスの住所を使用することで、仕事上の住所とプライベートな住所を分けやすくなります。
法人の本店所在地には登記している住所を使う
バーチャルオフィスの住所を本店所在地として法人登記している場合、法人の所在地を求められる場面では基本的に登記上の住所を使用します。
たとえば、
- 契約書の会社所在地
- 法人口座申込み時の本店所在地
- 法人クレジットカード申込み時の法人所在地
- 各種の会社情報
などです。
登記事項証明書などと照合される場合もあるため、正式な商号と登記上の住所を正確に記載しましょう。
代表者本人の住所を求められたら自宅住所を使用する
一方、会社の住所ではなく、代表者本人の住所を求められる手続もあります。
たとえば金融機関や各種サービスの本人確認などで、
- 代表者住所本人の現住所
- 居住地
といった情報を求められた場合です。
このような項目では、会社の本店所在地ではなく、求められている本人の住所を正確に申告する必要があります。
バーチャルオフィスを契約しているからといって、自宅住所があらゆる手続で不要になるわけではありません。
実際に働く場所や店舗所在地は実態に合わせる
求人情報などでは、会社の本店所在地とは別に「就業場所」が求められることがあります。
また、店舗型ビジネスでは、顧客が実際に訪問できる店舗所在地を案内することもあるでしょう。
このような場合、住所だけを借りているバーチャルオフィスを実際の勤務場所や店舗所在地のように表示するのは適切ではありません。
たとえば、
就業場所:従業員が実際に勤務する場所
店舗所在地:顧客が実際に来店できる場所
というように、それぞれを分けて考えます。
「会社の所在地」と「実際に人が働く・顧客対応する場所」は必ずしも同じではありません。
Googleや各種サービスは独自のルールを確認する
住所を利用できるかどうかは、バーチャルオフィスとの契約だけでは決まらない場合もあります。
代表的なのがGoogleビジネスプロフィールです。
法人登記やWebサイトへの掲載に利用できる住所であっても、住所を借りているだけのバーチャルオフィスは、Googleビジネスプロフィールの所在地として原則登録できません。
同様に、
- 銀行
- クレジットカード会社
- ECモール
- 決済サービス
- 求人サービス
- 各種オンラインサービス
などにも、それぞれ住所に関する独自のルールが設けられている場合があります。
第三者のサービスへ住所を登録するときは、「バーチャルオフィスで利用可能な用途か」だけでなく、登録先サービスの利用条件も確認しましょう。
郵便物を受け取る住所として使う場合も確認が必要
名刺やWebサイト、メール署名などにバーチャルオフィスの住所を掲載すると、その住所を見た相手から郵便物が送られてくる可能性があります。
そのため、事業用住所として公開するのであれば、
- どのような郵便物を受け取れるか到着時に通知されるか
- どのくらいの頻度で転送されるか
- 受け取れない郵便物はあるか
なども確認しておくことが大切です。
特に契約書や行政機関からの書類など重要な郵便物が届く可能性がある場合は、住所を利用できることだけでなく、届いた郵便物を速やかに確認できる環境かどうかも重要になります。
迷ったときは「誰の・何の住所か」で判断する
住所の使い分けに迷ったときは、次のように考えると分かりやすいでしょう。
| 求められている住所 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 会社・事業の所在地 | バーチャルオフィス |
| 法人の本店所在地 | 登記しているバーチャルオフィス |
| 名刺・請求書などの事業用住所 | バーチャルオフィス |
| 代表者本人の住所・居住地 | 自宅住所 |
| 本人確認書類と照合する住所 | 求められている本人の住所 |
| 実際の就業場所 | 実際に勤務する場所 |
| 実店舗の所在地 | 実際に顧客対応する店舗 |
| 外部サービスへの登録 | 各サービスのルールを確認 |
もちろん、実際に使用できる住所は契約内容や手続によって異なります。
ただ、「この住所欄は会社について聞かれているのか、それとも代表者本人について聞かれているのか」を確認するだけでも、多くのケースを判断しやすくなります。
バーチャルオフィスは、自宅住所を完全に置き換えるためのものではなく、事業用住所とプライベートな住所を適切に分けるためのサービスと考えると分かりやすいでしょう。
請求書や名刺、Webサイトなど対外的な事業住所にはバーチャルオフィスを利用し、本人確認などで代表者本人の住所を求められた場合は自宅住所を使用します。
また、就業場所や店舗所在地、Googleビジネスプロフィールなど、住所の実態やサービス独自の条件が求められる場面では、それぞれのルールに従う必要があります。
住所欄を見つけたら一律に同じ住所を記載するのではなく、「誰の住所なのか」「何のために必要なのか」を確認して使い分けましょう。
まとめ

バーチャルオフィスの住所は、法人登記だけでなく、請求書や見積書、契約書、名刺、Webサイト、メール署名など、さまざまな場面で事業用住所として利用できます。
自宅で事業を行っている個人事業主や一人会社にとっては、仕事上の住所とプライベートな住所を分けられることが大きなメリットです。
一方で、バーチャルオフィスを契約したからといって、すべての住所欄をバーチャルオフィスの住所に置き換えられるわけではありません。
住所を利用するときは、
- 会社・事業の所在地なのか
- 法人の本店所在地なのか
- 代表者本人の住所なのか
- 実際の就業場所や店舗なのか
を確認することが重要です。
たとえば、法人の本店所在地を求められているのであれば、バーチャルオフィスを本店として登記している法人はその住所を使用できます。
一方、本人確認などで代表者本人の住所を求められた場合は、会社住所ではなく本人の住所を申告する必要があります。
また、Googleビジネスプロフィールのように、サービス独自の住所利用ルールが設けられている場合もあります。
バーチャルオフィスを利用するときは、「住所を借りる」というより、「事業用の住所を自宅住所と分けて管理する」と考えると分かりやすいでしょう。
請求書や名刺、Webサイトなど外部へ公開する会社情報をバーチャルオフィスに統一すれば、自宅住所を不特定多数へ公開する機会を減らすこともできます。
ただし、住所を公開すれば、その住所宛に取引先や顧客から郵便物が送られてくる可能性があります。
そのため、バーチャルオフィスを選ぶ際は住所だけでなく、郵便物の受取方法や到着通知、転送頻度、受け取れない郵便物なども確認しておくことが大切です。
バーチャルオフィスの住所を利用できるか迷ったときは、
の3点を確認してみましょう。
用途に応じてバーチャルオフィスと自宅住所を適切に使い分けることで、プライバシーを守りながら事業用住所を活用しやすくなります。
参考情報