バーチャルオフィスお役立ちコラム

バーチャルオフィスで許認可は取れる?業種別の利用可否・注意点を解説

バーチャルオフィスは、法人登記や事業用住所として利用できる便利なサービスです。

一方、古物商や宅地建物取引業、建設業、人材紹介など、事業を始めるために許可・登録などが必要となる業種では、
「バーチャルオフィスの住所でも許認可を取得できる?」
「法人登記できる住所なら、営業所としても認められる?」
と疑問に思う方もいるでしょう。

許認可が必要な事業では、単に住所が存在していればよいとは限りません。

業種によっては、営業所や事務所について一定の設備や独立性、事業を行う実態などが求められる場合があります。

そのため、法人登記に利用できるバーチャルオフィスであっても、その住所を許認可上の営業所や事務所として利用できるとは限りません。

また、法人の本店所在地をバーチャルオフィスにしながら、許認可に必要な営業所や事務所を別の場所に設けられるケースもあります。

この記事では、バーチャルオフィスと許認可の関係について、古物商・宅地建物取引業・建設業・人材紹介などの代表的な業種を取り上げながら解説します。

これから許認可が必要な事業を始める方や、現在の事務所からバーチャルオフィスへの移転を検討している方は参考にしてください。

バーチャルオフィスと許認可の基本

バーチャルオフィスと許認可の基本

1. バーチャルオフィスでも許認可を取得できますか?

バーチャルオフィスを利用しているからといって、すべての許認可を取得できないわけではありません。

ただし、法人登記に利用できるバーチャルオフィスであれば、どのような許認可でも取得できるというわけでもありません。

重要なのは、取得しようとしている許認可で、営業所や事務所にどのような要件が定められているかです。

許認可によって事務所の要件が異なる

事業を始める際には、業種によって行政機関から許可や登録などを受けなければならない場合があります。

さらに、許認可の要件として、事業を行う営業所や事務所について一定の条件が設けられていることがあります。

たとえば、許認可によっては次のような点が確認される場合があります。

  • 営業所として継続的に使用できるか
  • 事業に必要な設備が設けられているか
  • 他の事業者や居住スペースなどと適切に区分されているか
  • 書類や個人情報などを適切に管理できるか
  • その場所で実際に事業を行える状態になっているか

ただし、これらすべてがあらゆる許認可で求められるわけではありません。

必要となる条件は業種や許認可によって異なるため、それぞれの制度を確認する必要があります。

「バーチャルオフィスだから取得できない」とは限らない

許認可が必要な事業では、バーチャルオフィスの利用が難しいケースがあります。

一方で、バーチャルオフィスを利用していることだけを理由に、すべての許認可が取得できなくなるわけではありません。

たとえば、

  • 法人の本店所在地はバーチャルオフィスにする
  • 許認可に必要な営業所や事務所は別の場所に設ける

といった形で事業を運営できるケースも考えられます。

また、同じ許認可でも事業の運営方法などによって確認すべき要件が異なる場合があります。

そのため、「バーチャルオフィスだからOK・NG」と一律に判断するのではなく、自分が取得する許認可の要件を確認することが重要です。

法人登記と許認可は分けて考える

特に注意したいのが、法人登記と許認可では住所に求められる条件が同じとは限らないことです。

バーチャルオフィスによっては住所を法人の本店所在地として利用できます。

しかし、

「法人登記に利用できる住所」=「許認可上の営業所・事務所として利用できる住所」

とは限りません。

許認可によっては、実際に事業を行う営業所や事務所について独自の要件が設けられています。

そのため、法人登記ができることだけを確認してバーチャルオフィスを契約すると、後から許認可の要件を満たせないことが分かる可能性があります。

許認可が必要な場合は契約前に確認する

これから許認可が必要な事業を始める場合は、バーチャルオフィスを契約する前に確認しておくと安心です。

主に確認したいのは次のような点です。

  • 自分の事業に許可・認可・登録・届出などが必要か
  • 営業所や事務所にどのような要件があるか
  • バーチャルオフィスを本店所在地として利用できるか
  • 許認可上の営業所や事務所を別に設けることができるか
  • 申請時に事務所の使用権限を示す書類や図面などが必要か

許認可の種類によって申請先や審査基準も異なります。

判断が難しい場合は、申請先となる行政機関や行政書士などの専門家へ事前に確認しましょう。

バーチャルオフィスでも許認可を取得できるケースはありますが、利用できるかどうかは許認可の種類や営業所・事務所の要件によって異なります。

法人登記に利用できることと、許認可上の営業所として認められることは別の問題です。

許認可が必要な事業を始める場合は、バーチャルオフィスを契約する前に、自分の事業で求められる要件を確認することが大切です。

2. 法人登記できる住所なら許認可にも使えますか?

法人登記に利用できるバーチャルオフィスであっても、その住所を許認可上の営業所や事務所として利用できるとは限りません。

法人登記と許認可では、住所を確認する目的や求められる条件が異なるためです。

そのため、バーチャルオフィスを選ぶときは「法人登記可能」という条件だけで判断せず、自分が行う事業の許認可要件まで確認する必要があります。

法人登記できることと許認可を取得できることは別

法人を設立する場合、本店所在地を定めて登記します。

バーチャルオフィスの中には、この本店所在地として住所を利用できるサービスがあります。

一方、許認可が必要な事業では、法人の本店所在地とは別に「営業所」「事務所」「事業所」などについて要件が設けられている場合があります。

つまり、

  • 法人登記上の本店所在地として利用できるか
  • 許認可上の営業所・事務所として利用できるか

は別々に確認する必要があります。

「法人登記OKと書いてあるから許認可も大丈夫」と判断しないようにしましょう。

許認可では住所だけでなく事務所の実態が確認されることがある

許認可によっては、単に申請書へ住所を記載するだけではなく、その場所が営業所や事務所として一定の要件を満たしているか確認される場合があります。

たとえば、制度によっては次のような点が関係します。

  • 事業を継続して行える場所か
  • 必要な設備が設置されているか
  • 他の事業者などと適切に区分されているか
  • 書類などを適切に保管できるか
  • 使用する権限を確認できるか
  • 事業に必要な担当者や責任者などを配置できるか

一般的なバーチャルオフィスは住所利用や郵便物の受取などを目的としたサービスであり、実際の専用事務所を借りるサービスとは異なります。

そのため、物理的な営業所や事務所の実態が求められる許認可では、バーチャルオフィスの住所だけでは要件を満たせない可能性があります。

本店所在地と営業所を別にする方法もある

許認可上の営業所としてバーチャルオフィスを利用できない場合でも、必ずしも法人の本店所在地までバーチャルオフィスにできないとは限りません。

たとえば、

  • 本店所在地 → バーチャルオフィス
  • 許認可上の営業所 → 要件を満たした実際の事務所

という形で運営できる場合があります。

この方法であれば、法人の本店所在地として自宅住所を公開することを避けながら、許認可上必要となる営業所を別に確保できる可能性があります。

ただし、本店と営業所を別にできるかどうかについても、取得する許認可の制度や事業の状況によって異なります。

レンタルオフィスやコワーキングスペースでも同様に確認する

バーチャルオフィスでは難しい場合、「個室のあるレンタルオフィスなら大丈夫なのでは?」と考える方もいるでしょう。

実際に利用できる可能性はありますが、レンタルオフィスやコワーキングスペースであれば自動的に許認可の要件を満たすわけではありません。

許認可によっては、

  • 専用スペースを確保できるか
  • 他社のスペースと明確に区分されているか
  • 必要な設備を設置できるか
  • 契約上、その事業での利用が認められているか

などを確認する必要があります。

重要なのはサービスの名称ではなく、実際の利用環境が許認可の要件を満たしているかです。

事業を始める前に「登記」と「許認可」をセットで確認する

これから会社を設立して許認可が必要な事業を始める場合は、会社を登記してから許認可について調べるのではなく、できるだけ事前に両方を確認しましょう。

特に、

  • 法人の本店所在地をどこにするか
  • 許認可上の営業所をどこにするか
  • 同じ住所を利用できるか
  • 別の営業所が必要か
  • 事務所にどのような設備が必要か

を整理しておくことが重要です。

先にバーチャルオフィスを契約して法人登記まで済ませた後に、「この住所では営業所の要件を満たせない」と分かると、別の事務所を探したり、追加の手続きを行ったりすることになりかねません。

法人登記できる住所であっても、そのまま許認可に利用できるとは限りません。

法人登記上の本店所在地と、許認可上求められる営業所・事務所は分けて考えることが重要です。

許認可が必要な事業を始める場合は、会社設立や住所契約の前に、営業所・事務所に求められる要件まで確認しておきましょう。

3. 許認可で「事務所の実態」が確認されるのはなぜですか?

許認可が必要な業種では、申請書に記載された住所だけでなく、その場所で実際に事業を行える状態になっているか確認される場合があります。

これは、許認可制度が単に事業者の所在地を登録するためだけのものではなく、その事業を適切に運営できる体制が整っているか確認する役割も持っているためです。

ただし、どの程度の事務所要件が求められるかは許認可によって異なります。

住所が存在するだけでは要件を満たさない場合がある

法人登記では本店所在地となる住所を定めますが、許認可ではさらに、その場所を営業所や事務所として使用できる状態になっているかが重要になることがあります。

許認可によっては、たとえば次のような点が確認されます。

  • 実際に事業を行える場所が確保されているか
  • 事業に必要な設備を設置できるか
  • 書類や帳簿などを適切に管理できるか
  • 他の事業者などと適切に区分されているか
  • 営業所や事務所を継続的に使用できるか

そのため、住所利用や郵便物の受取を中心とする一般的なバーチャルオフィスでは、許認可によっては営業所・事務所としての要件を満たせない可能性があります。

事業者や利用者を保護する目的もある

許認可で営業所や事務所について一定の要件が設けられている背景には、事業を適切に運営するための環境を確保する目的があります。

たとえば、個人情報や重要な書類を扱う事業であれば、第三者から容易に閲覧されない環境が必要になることがあります。

また、顧客と対面して契約や相談などを行う事業では、そのためのスペースが求められる場合もあります。

許認可によって確認されるポイントは異なりますが、単に「会社宛の郵便物を受け取れる住所があるか」だけで判断されるとは限りません。

申請時に事務所の状況を確認されることもある

許認可によっては、申請時に営業所や事務所の状況を確認するための資料を求められる場合があります。

たとえば、

  • 事務所の平面図
  • 事務所内の写真
  • 賃貸借契約書など使用権限を確認できる書類
  • 建物の利用状況が分かる資料
  • 必要な設備の設置状況が分かる資料

などです。

さらに、許認可によっては現地確認などが行われる場合もあります。

つまり、申請書にバーチャルオフィスの住所を記載できるかだけでなく、その住所・場所が許認可上求められる営業所や事務所の条件を満たしているかまで確認する必要があります。

許認可によって求められる「実態」は異なる

注意したいのは、「事務所の実態」という言葉に全国・全業種共通の一つの基準があるわけではないことです。

必要となる設備やスペース、使用方法などは許認可によって異なります。

たとえば、

  • 独立した事務所が必要なもの
  • 必要な設備や標識などが定められているもの
  • 書類や個人情報を管理できる環境が求められるもの
  • 一定の条件を満たせば自宅などでも申請できるもの

などがあります。

さらに、同じ許認可でも事業の形態や申請先によって確認すべき事項があるため、インターネット上の「この業種ならバーチャルオフィスOK」といった情報だけで判断するのは避けたほうがよいでしょう。

バーチャルオフィスを本店所在地だけに利用する方法もある

許認可上、実際の営業所や事務所が必要となる場合でも、法人の本店所在地まで必ずその営業所と同じ住所にしなければならないとは限りません。

制度上認められる場合には、

  • 法人登記上の本店所在地 → バーチャルオフィス
  • 許認可上の営業所・事務所 → 要件を満たした別の場所

と分ける方法も考えられます。

この方法であれば、自宅住所を法人の本店所在地として公開することを避けながら、許認可に必要な営業所を確保できる可能性があります。

ただし、本店と営業所を分けられるかについても、取得する許認可の要件を確認する必要があります。

許認可で事務所の実態が確認されることがあるのは、単に事業者の住所を登録するだけではなく、その事業を適切に運営できる場所や体制が確保されているか確認する必要があるためです。

求められる条件は許認可によって異なるため、「事務所の実態が必要」という情報だけで判断せず、自分が取得する許認可の具体的な営業所・事務所要件を確認しましょう。

業種別|バーチャルオフィスで許認可を取得できる?

業種別|バーチャルオフィスで許認可を取得できる?

4. 古物商はバーチャルオフィスでも許可を取得できますか?

中古品の仕入れ・販売などを事業として行う場合、古物商許可が必要になることがあります。

ネットショップやフリマサイトなどを利用して中古品を販売する場合にも関係するため、バーチャルオフィスを利用してEC事業を始める方にとって気になる許認可の一つでしょう。

古物商許可については、「バーチャルオフィスなら必ず取得できない」と一律に判断することはできません。

一方で、古物営業法上の「営業所」を設ける場合には、営業所ごとに管理者を選任するなどの義務があります。警視庁でも、古物商は営業所ごとに業務を適正に実施するための責任者として管理者1人を選任しなければならないと案内しています。

そのため、住所利用を中心とした一般的なバーチャルオフィスを、そのまま古物商の営業所として申請できるとは限りません。

古物商許可では「主たる営業所」が重要

古物商許可の申請は、主たる営業所の所在地を管轄する警察署を通じて行います。

申請では、営業所の所在地や管理者などについて申告する必要があります。

法人の場合には、主に次のような書類が必要です。

  • 法人の定款
  • 法人の登記事項証明書
  • 役員の略歴書
  • 役員の住民票の写し
  • 役員の誓約書
  • 役員の身分証明書
  • 営業所の管理者に関する書類
  • 該当する営業形態では、URLの使用権限を確認するための資料

警視庁では、法人の許可申請についてこれらの必要書類を案内しています。

つまり、単に法人の登記住所があるだけで古物商許可を判断するわけではなく、古物営業を行う営業所について確認されることになります。

インターネットだけで販売する場合も確認が必要

「実店舗を持たず、ネットショップだけで中古品を販売するなら営業所は関係ないのでは?」と思うかもしれません。

しかし、インターネットで取引する場合にも古物営業法上のルールがあります。

たとえば、ホームページなどを利用して古物の取引を行う場合には、該当するケースでURLの使用権限を疎明する資料が必要です。

また、インターネットなどを利用して相手方と直接対面せずに古物を買い受ける場合には、法令で定められた方法によって相手方を確認する必要があります。

警視庁も、インターネットオークションやフリマアプリを利用した取引であっても相手方の確認義務があり、非対面取引では所定の本人確認方法を取る必要があると案内しています。

そのため、「ネット販売だけだから住所さえ借りればよい」と考えるのではなく、自分の営業形態に必要な手続きを確認しましょう。

営業所には古物商の標識を掲示する義務もある

古物商には、営業所などの見やすい場所に所定の標識を掲示する義務があります。

警視庁が案内する標識の様式でも、「古物商がその営業所又は仮設店舗に掲示する標識」とされています。

このような営業所に関する義務もあるため、住所利用や郵便物受取のみを提供するバーチャルオフィスを検討している場合には、サービス内容だけを見て判断しないことが重要です。

古物商を始めるなら契約前に警察署へ確認する

古物商許可を取得する予定がある場合は、バーチャルオフィスを契約する前に、主たる営業所の所在地を管轄する警察署へ相談しておくと安心です。

特に確認したいのは次のような点です。

  • 自分の営業形態で古物商許可が必要か
  • 予定している場所を営業所として申請できるか
  • 営業所についてどのような環境が必要か
  • 管理者をどこに配置する必要があるか
  • インターネット販売を行う場合に必要な届出や表示はあるか
  • 法人の本店所在地と古物商の営業所を別にできるか

古物商の場合も、法人登記上の本店所在地と、古物営業法上の営業所を分けて考えることがポイントです。

バーチャルオフィスを法人の本店所在地として利用しながら、古物商許可に必要な営業所を別の場所に設ける方法を検討できるケースもあります。

ただし、具体的な営業形態や申請場所によって確認事項が異なるため、申請前に管轄警察署へ相談しましょう。

古物商許可については、「バーチャルオフィスなら取得できる・取得できない」と一律に判断するのではなく、予定している場所が古物営業法上の営業所として適切かを確認することが重要です。

5. 宅地建物取引業はバーチャルオフィスでも開業できますか?

宅地や建物の売買・交換・媒介などを事業として行う場合には、原則として宅地建物取引業の免許が必要です。

宅地建物取引業では、免許を取得するための要件の一つとして継続的に業務を行うことができる事務所を設置する必要があります。

そのため、住所利用や郵便物の受取のみを行う一般的なバーチャルオフィスを、宅地建物取引業の事務所として利用することは難しいと考えられます。

宅建業では事務所の継続性・独立性が重要

宅地建物取引業では、事務所が免許制度上の重要な要件となっています。

東京都の宅地建物取引業免許申請の案内では、事務所について継続的に業務を行うことができる施設であり、社会通念上事務所として認識される程度の独立した形態を備えていることが必要とされています。

そのため、単に法人登記ができる住所が存在するだけでは十分とは限りません。

たとえば、事務所を検討するときには次のような点に注意が必要です。

  • 継続的に宅建業を行える場所になっているか
  • 事務所として独立した形態を備えているか
  • 他の法人や個人の事務所などと適切に区分されているか
  • 宅建業に必要な設備を設置できるか
  • 来客への対応ができる環境になっているか

レンタルオフィスなどを利用する場合でも、こうした事務所要件を満たしているか確認する必要があります。

専任の宅地建物取引士を設置する必要がある

宅地建物取引業では、事務所だけでなく人的な要件もあります。

事務所には、法律で定められた人数の専任の宅地建物取引士を設置しなければなりません。

専任の宅地建物取引士については、原則としてその事務所に常勤し、専ら宅地建物取引業の業務に従事できる状態であることが求められます。

なお、東京都では、常勤性・専従性を確保できる場合には、通常の勤務時間外に行う副業について審査のうえ原則として認める運用が行われています。

そのため、「住所だけバーチャルオフィスにして、宅建士は実際には別の場所で勤務する」といった形では、事務所や専任性の要件を満たせない可能性があります。

事務所には標識などの設置も必要

宅地建物取引業者には、その事務所ごとに宅地建物取引業者票などの標識を掲示する義務があります。

また、報酬額の掲示など、事務所で対応しなければならないルールもあります。

つまり宅建業の事務所は、単なる「会社の連絡先」ではなく、実際に宅地建物取引業を行う拠点としての役割を持っています。

住所貸しを中心とするバーチャルオフィスでは、このような要件への対応が難しい場合があります。

本店登記だけバーチャルオフィスにする場合も確認が必要

では、

  • 法人登記上の本店所在地 → バーチャルオフィス
  • 宅建業を行う事務所 → 別に確保した実際のオフィス

という形ならどうでしょうか。

ここでも、法人登記上の本店所在地と宅建業法上の事務所は別の概念として確認する必要があります。

ただし、宅建業では本店の扱いについて特に注意が必要です。

東京都の手引きでは、商業登記上の本店で宅建業を行わず、支店で宅建業を行う場合でも、本店は宅建業法上の「事務所」として扱われると案内されています。

したがって、「宅建業をする営業所だけ実オフィスにして、本店は住所だけのバーチャルオフィスにすれば必ず問題ない」とは考えないほうがよいでしょう。

会社の本店・支店をどのように設定するかも含め、免許申請前に行政庁へ確認することが重要です。

宅建業を始めるならオフィス契約前に確認する

宅地建物取引業の免許取得を予定している場合は、事務所を契約する前に申請先へ相談しておくことをおすすめします。

主に確認したいのは次のような点です。

  • 検討している物件が宅建業の事務所要件を満たすか
  • レンタルオフィスやシェアオフィスを利用できるか
  • 他の事業者との区分方法に問題がないか
  • 専任の宅地建物取引士を設置できるか
  • 必要な標識などを掲示できるか
  • 法人登記上の本店所在地をどこにするべきか

特にレンタルオフィスやシェアオフィスは物件ごとに設備や契約内容が大きく異なるため、「レンタルオフィスなら利用できる」と一括りにはできません。

宅地建物取引業では、実際に業務を行う事務所について一定の要件が設けられています。

そのため、住所利用を中心とする一般的なバーチャルオフィスを宅建業の事務所として利用することは難しく、法人の本店所在地として利用する場合についても宅建業法上の事務所の扱いを確認する必要があります。

開業後に事務所要件を満たしていないことが判明すると計画そのものを見直すことになりかねないため、物件やバーチャルオフィスを契約する前に申請先へ確認しましょう。

6. 建設業はバーチャルオフィスでも許可を取得できますか?

一定規模以上の建設工事を請け負う場合には、建設業許可が必要です。

建設業許可では、経営業務の管理体制や営業所技術者等、財産的基礎など複数の要件が設けられており、営業所についても実際に建設業の営業を行う場所であることが重要です。

そのため、住所利用や郵便物の受取だけを目的とした一般的なバーチャルオフィスを、そのまま建設業許可上の営業所として利用することは難しいと考えられます。

建設業の「営業所」は単なる住所ではない

建設業許可における営業所とは、本店や支店などの名称だけで判断されるものではありません。

建設工事について、

  • 見積り
  • 入札
  • 契約締結

など、請負契約に関する実体的な業務を常時行う事務所が営業所として扱われます。

反対に、登記上は本店であっても建設業に関する営業を行わない場所については、建設業法上の営業所に該当しない場合があります。

ここは宅地建物取引業との違いとしても押さえておきたいポイントです。

営業所として使用できる実態が必要

建設業許可を申請する際には、その場所が営業所として実際に使用されていることを確認される場合があります。

自治体の申請案内などでは、営業所の確認資料として写真などの提出を求めているケースがあります。

営業所について確認したいポイントとしては、たとえば次のようなものがあります。

  • 建設業の営業を継続的に行える場所か
  • 電話や机など業務に必要な設備を備えられるか
  • 契約などの営業活動を行える状態になっているか
  • 営業所として使用する権限があるか
  • 他の事業者などと適切に区分されているか

具体的な確認方法や必要書類は申請する行政庁によって異なるため、申請先の最新の手引きを確認しましょう。

営業所技術者等の配置も必要

建設業許可では、営業所ごとに一定の資格や実務経験などの要件を満たす「営業所技術者等」を配置する必要があります。

以前は「専任技術者」と呼ばれていましたが、2024年12月施行の建設業法改正により、現在は「営業所技術者等」という名称が使用されています。

営業所技術者等には原則として専任が求められますが、一定の要件を満たす場合には専任義務の特例が認められる制度もあります。

そのため、建設業許可では住所だけを用意すればよいわけではなく、

  • 営業所
  • 人的体制
  • 必要な資格や経験
  • 財産的基礎

などを含めて許可要件を満たす必要があります。

本店住所だけバーチャルオフィスにする方法は検討できる

建設業法上の営業所として一般的なバーチャルオフィスを利用することが難しい場合でも、

  • 法人登記上の本店所在地 → バーチャルオフィス
  • 建設業を実際に行う営業所 → 要件を満たした別の事務所

という形を検討できるケースがあります。

重要なのは、登記簿上「本店」と記載されているかどうかだけではなく、その場所で建設業の営業を実際に行っているかどうかです。

ただし、申請書類に記載する所在地や主たる営業所との関係など、具体的な取り扱いについては申請先へ確認する必要があります。

軽微な建設工事だけを請け負う場合は許可不要のケースもある

すべての建設業者に建設業許可が必要なわけではありません。

建設業法では、「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合について、原則として建設業許可を受けなくてもよいとされています。

一般的には、建築一式工事以外の場合、

  • 1件の請負代金が500万円未満の工事

建築一式工事の場合、

  • 1件の請負代金が1,500万円未満の工事
  • 延べ面積150㎡未満の木造住宅工事

などが軽微な建設工事に該当します。

ただし、工事の種類によっては建設業許可以外の登録や届出などが必要となる場合もあるため、「500万円未満なら何の手続きも必要ない」と判断しないようにしましょう。

建設業許可を取得するなら住所契約前に確認する

これから建設業許可を取得する予定であれば、バーチャルオフィスやレンタルオフィスなどを契約する前に、許可行政庁へ確認しておくと安心です。

特に確認したいのは次のような点です。

  • 予定している場所を建設業の営業所として利用できるか
  • 営業所についてどのような設備や実態が必要か
  • 営業所の確認資料として何を提出する必要があるか
  • 営業所技術者等を適切に配置できるか
  • 本店所在地と建設業上の営業所を分けられるか
  • 自分が請け負う工事に建設業許可が必要か

建設業許可では、法人登記上の住所だけではなく、実際に建設業の営業を行う営業所や人的体制などが確認されます。

そのため、住所利用を中心としたバーチャルオフィスを建設業の営業所として利用することは難しい一方、本店登記用の住所と建設業上の営業所を分けられるケースがあります。

会社設立と同時に建設業許可を取得する場合は、先に法人登記を進めてしまうのではなく、許可要件も含めて住所の構成を検討しておきましょう。

7. 人材紹介・有料職業紹介事業はバーチャルオフィスでも許可を取得できますか?

企業と求職者を仲介し、求人企業から手数料などを受け取る有料職業紹介事業を行う場合は、原則として厚生労働大臣の許可が必要です。

有料職業紹介事業では、事業所の設備や個人情報の管理体制などについて許可基準が設けられています。

ただし、「バーチャルオフィスだから一律に許可を取得できない」と判断するのは適切ではありません。

特に、インターネットを利用して対面を伴わずに職業紹介を行う場合については、事業所の取り扱いに関する基準が設けられています。

有料職業紹介事業ではプライバシーへの配慮が求められる

有料職業紹介事業では、求人企業の情報だけでなく、求職者の氏名・経歴・職歴など多くの個人情報を扱います。

そのため、事業所についても求人者や求職者のプライバシーを保護できる環境が求められます。

対面で求人者や求職者へ対応する場合には、たとえば次のような点が重要になります。

  • 求人者・求職者のプライバシーを保護できる構造になっているか
  • 個人情報などを適切に管理できるか
  • 職業紹介事業を適切に運営できる設備があるか
  • 事業所として継続的に使用できるか

住所利用や郵便物の受取だけを提供する一般的なバーチャルオフィスでは、対面で職業紹介を行う事業所として必要な環境を確保することが難しい場合があります。

インターネットのみで職業紹介を行う場合は取り扱いが異なる

一方、有料職業紹介事業では、専らインターネットを利用して対面を伴わない職業紹介を行う場合についても許可基準が定められています。

厚生労働省の許可基準では、専らインターネットを利用することなどにより対面を伴わない職業紹介を行う場合、面談スペースなどについて通常の対面型とは異なる取り扱いが示されています。

そのため、「人材紹介業はバーチャルオフィスでは絶対にできない」と一律に判断するのではなく、どのような方法で職業紹介を行うのかまで含めて確認する必要があります。

たとえば、

  • 求職者との面談をオンラインのみで行う
  • 求人企業とのやり取りもオンラインで行う
  • 事業所へ求人者や求職者を来訪させない

といった運営形態であれば、対面型の職業紹介とは確認すべき事務所要件が異なる可能性があります。

事務所だけでなく職業紹介責任者などの要件もある

有料職業紹介事業の許可は、住所や事務所だけで取得できるものではありません。

事業を行うためには、事業所ごとに職業紹介責任者を選任する必要があります。

また、許可申請では事業所だけでなく、

  • 職業紹介責任者に関する要件
  • 個人情報を適正に管理する体制
  • 業務運営に関する規程
  • 財産的基礎
  • 職業紹介を適正に行うための体制

なども確認されます。

そのため、会社を設立してバーチャルオフィスを契約しただけで、人材紹介事業を開始できるわけではありません。

「オンライン完結なら何でもOK」ではない

注意したいのは、オンラインで職業紹介を行うからといって、住所や事業所について何も確認されなくなるわけではないことです。

許可申請では、実際の事業運営方法や個人情報の管理方法なども含めて審査されます。

また、

  • 求人企業との打ち合わせ
  • 求職者との面談
  • 個人情報を扱う場所
  • 書類を保管する場所

などをどのように運用するのかによっても確認すべき事項が変わります。

「オンライン完結だからバーチャルオフィスだけで必ず許可を取得できる」と考えず、予定している事業形態を具体的に整理したうえで確認しましょう。

許可申請前に労働局へ相談する

有料職業紹介事業の許可申請は、事業主の所在地を管轄する都道府県労働局を経由して行います。

これからバーチャルオフィスを利用して人材紹介事業を始める場合は、契約や法人設立を進める前に労働局へ相談しておくと安心です。

相談するときは、単に「バーチャルオフィスでも大丈夫ですか?」と確認するだけではなく、予定している運営方法まで説明すると判断しやすくなります。

たとえば、次のような内容を整理しておきましょう。

  • 求人者・求職者との面談を対面で行うか
  • オンラインのみで職業紹介を行うか
  • 個人情報をどこで管理するか
  • 職業紹介責任者をどこに配置するか
  • バーチャルオフィスをどのような目的で利用するか
  • 実際の業務を行う場所を別に設けるか

有料職業紹介事業では事業所について許可基準がありますが、対面型とインターネットを利用した非対面型では確認すべき内容が異なる場合があります。

そのため、「人材紹介業だからバーチャルオフィスは使えない」と決めつけるのではなく、予定している事業形態と最新の許可基準をもとに判断することが重要です。

バーチャルオフィスの契約や法人登記を先に済ませるのではなく、事業計画を整理したうえで管轄する労働局へ事前に確認しましょう。

8. 士業はバーチャルオフィスを利用できますか?

弁護士、司法書士、行政書士、税理士、社会保険労務士などの士業では、それぞれの法律や所属団体の規則などによって事務所に関する要件が定められています。

そのため、士業についても「バーチャルオフィスなら利用できる・できない」と一律に判断することはできません。

資格の種類によって事務所に求められる条件が異なるため、開業前に自分が所属する予定の団体や登録先へ確認することが重要です。

士業では実際に業務を行う事務所が重視される

士業は、依頼者から個人情報や会社情報、契約書、申請書類などの重要な情報を預かる機会が多い仕事です。

また、依頼者との面談や書類作成などを事務所で行うこともあります。

そのため、資格によって具体的な基準は異なりますが、事務所について次のような点が確認される場合があります。

  • 実際に業務を行える場所が確保されているか
  • 依頼者の秘密や個人情報を保護できるか
  • 書類などを適切に管理できるか
  • 他の事業者などと適切に区分されているか
  • 登録する士業者が事務所を使用できる状態になっているか

住所利用や郵便物の受取だけを提供する一般的なバーチャルオフィスでは、こうした事務所要件を満たすことが難しい資格があります。

行政書士は事務所の設置が必要

行政書士として業務を行う場合には、行政書士法に基づいて事務所を設ける必要があります。

日本行政書士会連合会の行政書士登録案内でも、登録申請にあたって事務所に関する情報や書類が必要となります。

また、実際の登録手続きでは、所属する都道府県行政書士会によって事務所の使用権限や設備、他の事業者との区分などが確認されることがあります。

そのため、住所だけを利用する一般的なバーチャルオフィスを行政書士事務所として登録できると考えるのは避けたほうがよいでしょう。

司法書士や税理士などもそれぞれ登録要件を確認する

司法書士や税理士、社会保険労務士などについても、それぞれ独自の登録制度があります。

たとえば税理士は、税理士法により税理士業務を行うための事務所を設けることとされており、税理士会への登録手続きでも事務所について確認されます。

司法書士についても、司法書士法に基づいて所属する司法書士会の地域内に事務所を設ける必要があります。

社会保険労務士についても、開業社会保険労務士として登録する場合には事務所所在地などを登録します。

つまり、「士業」という一つのカテゴリーで考えるのではなく、

  • 行政書士
  • 司法書士
  • 税理士
  • 社会保険労務士
  • 弁護士
  • その他の資格

のように、資格ごとの法律・登録規則・所属団体の取り扱いを確認する必要があります。

法人の本店住所と士業事務所を分けられる場合もある

士業法人などを設立する場合には、法人の本店所在地と、資格制度上登録する事務所の関係についても確認が必要です。

制度上認められる場合には、

  • 法人の本店所在地 → バーチャルオフィス
  • 士業として実際に業務を行う事務所 → 要件を満たした別の場所

という構成を検討できるケースも考えられます。

ただし、資格によって法人制度や事務所のルールは大きく異なります。

また、個人で士業を開業する場合は、そもそも「法人の本店所在地」という考え方はありません。

そのため、「登記用住所だけバーチャルオフィスにすれば問題ない」という考え方をそのまま士業へ当てはめないようにしましょう。

レンタルオフィスなら利用できるとは限らない

バーチャルオフィスでは難しい場合に、個室型のレンタルオフィスを検討する方法もあります。

ただし、レンタルオフィスであれば必ず士業事務所として登録できるわけではありません。

資格によっては、次のような点を確認する必要があります。

  • 専用の事務スペースを確保できるか
  • 他の事業者との区分に問題がないか
  • 秘密を保持できる環境になっているか
  • 必要な設備を設置できるか
  • 事務所名などを適切に表示できるか
  • 賃貸借契約上、士業事務所として使用できるか

シェアオフィスやコワーキングスペースについても同様です。

サービスの名称だけで判断せず、具体的な設備や利用方法を説明したうえで登録先へ確認しましょう。

士業で利用する場合は登録前に所属団体へ確認する

士業として開業する予定がある場合は、バーチャルオフィスやレンタルオフィスを契約する前に、登録先となる団体へ確認しておくことをおすすめします。

主に確認したいのは次のような点です。

  • 事務所についてどのような要件があるか
  • 検討している物件を事務所として登録できるか
  • 専用スペースが必要か
  • 他の事業者との区分に条件があるか
  • 面談スペースや書類保管設備などが必要か
  • 申請時に事務所の写真や図面などが必要か
  • 法人の本店所在地と資格上の事務所を分けられるか

士業は資格ごとに事務所のルールが異なるため、インターネット上で別の士業について書かれた情報をそのまま参考にするのは避けましょう。

住所利用を中心とした一般的なバーチャルオフィスでは事務所要件を満たせない士業がある一方、利用方法や法人の構成によってはバーチャルオフィスを別の用途で活用できる可能性もあります。

自分の資格に適用される最新の規則を確認し、登録先となる士業団体へ事前に相談したうえで事務所を決めることが大切です。

許認可が必要な事業でバーチャルオフィスを利用するときの注意点

許認可が必要な事業でバーチャルオフィスを利用するときの注意点

9. 許認可が必要な場合は契約前に何を確認すればいいですか?

許認可が必要な事業でバーチャルオフィスを利用する場合は、契約してから許認可の要件を調べるのではなく、契約前に確認することが重要です。

法人登記に利用できる住所であっても、許認可上の営業所や事務所として利用できるとは限りません。

先に契約や法人登記を済ませてしまうと、後から別の事務所を用意したり、住所変更の手続きを行ったりすることになる可能性があります。

まず自分の事業に必要な許認可を確認する

最初に確認したいのは、そもそも自分が始める事業にどのような許認可が必要なのかという点です。

同じような事業に見えても、具体的な業務内容によって必要となる手続きが異なる場合があります。

たとえば、事業によって必要となる手続きには、

  • 許可
  • 認可
  • 登録
  • 届出
  • 免許

などがあります。

また、一つの事業で複数の許認可や届出が関係するケースもあります。

「同業者が許可を取っていないから自分も不要だろう」と判断せず、実際に行う事業内容をもとに確認しましょう。

営業所・事務所に求められる条件を確認する

許認可が必要だと分かったら、次に営業所や事務所の要件を確認します。

特に確認しておきたいのは次のような項目です。

  • 独立した事務所が必要か
  • 専用スペースを確保する必要があるか
  • 必要な設備が定められているか
  • 来客への対応スペースが必要か
  • 書類や個人情報を保管する場所が必要か
  • 標識や事務所名などを掲示する必要があるか
  • 営業所へ常勤・専任する人員が必要か
  • 他の事業者との共用が認められるか

これらの条件によって、バーチャルオフィスだけでなくレンタルオフィスやシェアオフィスを利用できるかどうかも変わります。

「何のためにバーチャルオフィスを使うのか」を整理する

許認可が必要な事業では、バーチャルオフィスをどのような目的で利用するのかを整理することも重要です。

たとえば、

  • 法人登記上の本店所在地として使いたい
  • Webサイトや名刺に掲載する事業用住所として使いたい
  • 郵便物の受取先として使いたい
  • 許認可上の営業所・事務所として使いたい

では、確認すべき内容が異なります。

特に最後の「許認可上の営業所・事務所として使いたい」という場合には、そのバーチャルオフィスが必要な事務所要件を満たしているか慎重に確認しなければなりません。

一方、許認可上の営業所を別に設け、バーチャルオフィスは本店登記や対外的な住所として利用する方法を検討できる場合もあります。

バーチャルオフィス側の利用規約も確認する

行政機関から認められるかどうかだけでなく、バーチャルオフィスの契約上、その事業で住所を利用できるかも確認しましょう。

サービスによっては利用できない業種や用途が定められている場合があります。

契約前には、

  • 法人登記に利用できるプランか
  • 自分の業種で契約できるか
  • 許認可申請への住所利用が認められているか
  • 郵便物の受取・転送方法
  • 受け取れない郵便物
  • 来客対応の可否
  • 会議室などを利用できるか

などを確認しておくと安心です。

行政上の要件を満たしていても、サービスの利用規約で想定している用途と異なれば問題になる可能性があります。

申請先に具体的な利用方法を伝えて確認する

許認可について行政機関へ相談するときは、「バーチャルオフィスでも申請できますか?」とだけ聞くより、実際の利用方法を具体的に説明することが大切です。

たとえば、

  • 本店登記だけに利用する予定
  • 実際の営業所は別の場所に設ける予定
  • 完全オンラインで事業を行う予定
  • レンタルオフィスの個室を利用する予定

など、予定している事業形態を伝えます。

可能であれば、検討しているオフィスの契約内容や間取り、設備などが分かる資料を用意すると、より具体的に相談しやすくなります。

契約前の確認で余計な住所変更を防げる

許認可の要件を確認せずに住所を決めてしまうと、

  • バーチャルオフィスを契約
  • 法人を設立
  • 許認可を申請
  • 事務所要件を満たしていないことが判明
  • 新しい事務所を契約
  • 必要に応じて登記や各種登録住所を変更

という二度手間になる可能性があります。

住所を変更すると、法人登記だけでなく、税務・社会保険・銀行・クレジットカード・取引先・Webサイトなど、さまざまな変更手続きが発生することもあります。

そのため、許認可が必要な事業では、会社設立やバーチャルオフィス契約より先に「許認可上どのような場所が必要なのか」を確認することが大切です。

自分の事業に必要な許認可を確認し、行政機関とバーチャルオフィス運営会社の双方へ事前に確認したうえで住所を決めましょう。

10. 本店住所だけバーチャルオフィスにして営業所を別にできますか?

許認可が必要な事業であっても、法人登記上の本店所在地をバーチャルオフィスにし、実際に事業を行う営業所や事務所を別の場所に設けられるケースがあります。

これは、法人登記上の「本店所在地」と、許認可制度上の「営業所・事務所」が必ずしも同じものではないためです。

ただし、すべての業種でこの方法を利用できるわけではありません。

許認可によって本店の扱いも異なるため、事業を始める前に制度ごとの確認が必要です。

本店所在地と実際の営業所は別にできる場合がある

会社を設立するときは、法人登記上の本店所在地を定めます。

一方、実際の事業では本店とは別の場所に営業所や事務所を設けることがあります。

たとえば、

  • 法人登記上の本店所在地 → バーチャルオフィス
  • 許認可上の営業所・事務所 → 実際に業務を行うオフィス

という形です。

許認可制度上このような構成が認められるのであれば、バーチャルオフィス自体が営業所の要件を満たしていなくても、本店所在地として活用できる可能性があります。

業種によって「本店」の扱いが異なる

ここで注意したいのが、許認可によって法人の本店所在地の扱いが異なることです。

たとえば建設業では、登記上の本店であっても建設業に関する営業を行わない場合には、建設業法上の営業所に該当しないケースがあります。

一方、宅地建物取引業では取り扱いが異なります。

東京都の宅地建物取引業免許申請の手引きでは、登記上の本店で宅建業を行わず支店のみで宅建業を行う場合でも、本店は宅建業法上の「事務所」として扱われると案内されています。

つまり、「本店はバーチャルオフィス、許認可が必要な営業所だけ別に用意すれば大丈夫」という方法を、すべての業種にそのまま当てはめることはできません。

本店をバーチャルオフィスにするメリットもある

制度上問題がなければ、法人の本店所在地にバーチャルオフィスを利用することで、自宅と事業用住所を分けやすくなります。

たとえば、

  • 法人登記で自宅住所を使用しなくて済む
  • Webサイトや名刺などに事業用住所を掲載できる
  • 会社宛の郵便物を自宅とは別に管理できる
  • 自宅を移転しても会社住所への影響を抑えられる
  • 実際の営業所とは別に本店所在地を設定できる

といった使い方が考えられます。

特に、自宅を法人の本店所在地として公開したくない場合には選択肢の一つになります。

ただし、バーチャルオフィスを利用しても、代表者本人の住所や本人確認などで自宅住所が不要になるわけではありません。

営業所側では許認可の要件を満たす必要がある

本店所在地をバーチャルオフィスにしたとしても、許認可上の営業所・事務所に求められる要件が緩和されるわけではありません。

実際の営業所については、許認可に応じて、

  • 必要な事務スペース
  • 設備
  • 人員
  • 専任者や責任者
  • 標識などの掲示
  • 書類の保管環境
  • 他の事業者との区分

などを整える必要があります。

「本店をバーチャルオフィスにしたから、営業所も簡易的な場所でよい」ということではありません。

それぞれの住所がどのような役割を持つのかを分けて考えましょう。

会社設立前に住所の構成を決めておく

これから許認可が必要な会社を設立する場合は、法人登記をする前に住所の構成を整理しておくことをおすすめします。

確認したいのは次のような点です。

  • 法人登記上の本店所在地をどこにするか
  • 実際に事業を行う場所はどこか
  • 許認可上の営業所・事務所はどこになるか
  • 本店と営業所を別にすることが認められているか
  • 本店も許認可上の事務所として扱われるか
  • それぞれの場所で必要な設備や人員を確保できるか

この整理をしておけば、バーチャルオフィスをどの目的で利用するのかも明確になります。

「登記できるか」ではなく「どの住所として使うか」が重要

許認可が必要な事業でバーチャルオフィスを検討するときは、「このバーチャルオフィスは法人登記できますか?」だけでは確認が不十分です。

重要なのは、「この住所を何の住所として利用するのか」という点です。

法人の本店所在地として利用するのか、許認可上の営業所として利用するのか、郵便物の受取先として利用するのかによって確認すべき条件は変わります。

本店住所だけをバーチャルオフィスにして、実際の営業所を別に設けられるケースはあります。

しかし、その可否は許認可によって異なり、宅地建物取引業のように登記上の本店も許認可上の事務所として扱われる制度があるため注意が必要です。

許認可が必要な事業では、「法人登記できるか」だけで住所を決めず、本店・実際の事業場所・許認可上の営業所の3つを整理してから住所を選ぶことが重要です。

まとめ

まとめ

バーチャルオフィスは法人登記や事業用住所として活用できますが、許可・認可・登録などが必要な事業では、住所だけでなく営業所や事務所に関する要件を確認する必要があります。

特に重要なのは、「法人登記に利用できる住所」と「許認可上の営業所・事務所として利用できる住所」は同じとは限らないという点です。

許認可によっては、

  • 独立した事務所や専用スペースが必要
  • 事業に必要な設備を設置する必要がある
  • 書類や個人情報を適切に管理できる環境が必要
  • 専任者や責任者などを配置する必要がある
  • 標識などを掲示する必要がある
  • 実際にその場所で継続して事業を行えることが必要

といった条件が設けられている場合があります。

そのため、住所利用や郵便物の受取を中心とした一般的なバーチャルオフィスでは、許認可上の営業所として利用することが難しいケースがあります。

一方で、許認可の制度によっては、

  • 法人登記上の本店所在地はバーチャルオフィス
  • 許認可上の営業所・事務所は別に確保

という形で事業を運営できる場合もあります。

ただし、本店と営業所の扱いは業種によって異なります。

今回紹介した古物商、宅地建物取引業、建設業、有料職業紹介事業、士業だけを見ても、営業所や事務所に求められる条件は同じではありません。

そのため、許認可が必要な事業でバーチャルオフィスを利用するときは、

  • 自分の事業にどのような許認可が必要か
  • 営業所・事務所にどのような要件があるか
  • バーチャルオフィスを何の住所として利用するのか
  • 本店と許認可上の営業所を別にできるか
  • バーチャルオフィス側の利用規約で事業・用途が認められているか

を契約前に確認しておきましょう。

特に、会社を設立してから事務所要件を満たせないことが判明すると、新しい事務所の契約や各種住所変更などが必要になる可能性があります。

許認可が必要な事業では、「法人登記できるから大丈夫」と考えるのではなく、会社設立やバーチャルオフィスの契約前に許認可上の要件まで確認することが大切です。

申請先となる行政機関や専門家へ事業内容と予定しているオフィスの利用方法を具体的に伝えたうえで、自分の事業に合った住所・事務所を選びましょう。

参考

このコラムについて

ゼニス編集部

ゼニス編集部

ゼニス編集部では、起業・法人設立・副業・フリーランスなど、働き方やビジネスに関する実務情報を発信しています。
バーチャルオフィスの活用方法をはじめ、登記や税務、会社運営の基礎知識など、これから事業を始める方や個人事業主・法人の方がつまずきやすいポイントを、できるだけわかりやすく整理しています。

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