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ハラスメントには種類がある?法令で定義されるものから派生まで解説

従業員のハラスメントは、人間関係や労働環境の悪化を招くだけではなく、被害者のうつ病・休職・退職などにつながる重大な問題を引き起こします。従業員を雇って企業経営を行うならば、ハラスメントの種類や対策について熟知し、防止策を講じていく必要があるでしょう。

ここでは、ハラスメントの種類や発生原因、企業がすべき対策について解説します。あらかじめ知っておき、ハラスメントの予防や早期解決につなげましょう。

法令で定義されるハラスメント5種類

ハラスメントとは端的に言うと「嫌がらせ」のこと。

厚生労働省では、“職場で行われる優越的な関係を背景として、業務上相当の範囲を超えた言動かつ行動で、労働者の就業環境が害されるもの”と定義しています。
(参考:あかるい職場応援団|厚生労働省

業務上に必要・相当な範囲で行う業務指示、指導についてはハラスメントに該当しません。しかし、「何が適切か」というのは時代や社会によっても変化します。よって近年では、主に中高年社員の発言・言動が不適切になるケースも多いのです。

ハラスメントにはさまざまな種類がありますが、まずは法令で「ハラスメント」と定義されている5種類についてご紹介します。

パワハラ(パワーハラスメント)

パワハラとは、優越的な関係(職位など)を利用して職務範囲を超えた指示命令、および嫌がらせなどを行い、部下などに精神的苦痛を与える行為です。身体的な攻撃のほか、人格否定や長時間にわたる叱責、サービス残業や休日出勤の強要、プライバシー侵害などがパワハラにあたります。

企業内で行われるハラスメントの多くの割合を占めており、従業員の休職・退職や訴訟問題につながる重大な原因となるケースが多く見られます。

セクハラ(セクシャルハラスメント)

セクハラは、性的な言動によって相手に精神的苦痛を与える行為を指します。男性から女性へ向けたセクハラが多く見られますが、近年では女性から男性へのセクハラ、同性間のセクハラ問題も増加傾向にあります。

マタハラ(マタニティハラスメント)

マタハラとは、妊娠中の女性社員に対し労働環境を阻害する言動を行ったり、産休・育休制度の利用を阻害したりといった嫌がらせ行為です。また、妊娠中だからと役職から降格させるなど、従業員のキャリア上不利益な行為もマタハラにあたります。

パタハラ(パタニティハラスメント)

パタハラとは、妊娠中の妻を持つ男性社員に対する嫌がらせ行為です。具体的には育休取得の阻害や嫌がらせ、不当な降格処分などの行為が該当します。
旧態依然の社風を持つ企業においてはパタハラが横行しやすい傾向にあり、マタハラと合わせて予防のための法整備が進められています。

ケアハラ(ケアハラスメント)

ケアハラとは、家族の介護や看護を行わなければならない従業員に対し、介護休業の取得を邪魔したり、暴言や嫌がらせを行ったりする行為を指します。介護を軽視する悪質な行為であり、少子高齢化が進む今日の日本においては今後の予防が重要視されているハラスメントでもあります。

社会情勢などで生まれたハラスメントの種類は?


ここからは、個々の価値観や属性、社会情勢などから生まれたハラスメントについて解説していきます。

モラハラ(モラルハラスメント)

モラハラとは、相手を尊重せず精神的な嫌がらせを行う行為を指します。パワハラのように優越的な立場を利用したものではなく、友人や恋人、家族間でも起こるハラスメントです。

直接モラハラを禁止・防止措置を命じた法律はありませんが、「相手を認めない」「見下した態度で接する」など、被害者に精神的苦痛を与える行為であり、企業内で発生した場合には労働環境配慮義務を怠ったとして損害賠償請求を受ける可能性があります。

ジェンハラ(ジェンダーハラスメント)

ジェンハラとは、性別(ジェンダー)を理由にした差別的扱い、嫌がらせなどの行為を指します。女性に向けたものが多く見られましたが、現在では男性に対するジェンハラ、性的マイノリティに対するジェンハラなども問題になっています。

性別を理由とした差別や嫌がらせは労働者の就業環境を著しく損なうものです。そのためジェンハラは「男女雇用機会均等法」で禁止されている行為であり、企業は防止策や配慮を怠った場合は労働局からの指導、処分が下されることもあります。

テクハラ(テクノロジーハラスメント)

テクハラとは、PCスキルの低い従業員に対し、「こんなこともできないのか」「作業が遅い」といった言動を行い、相手に不快感を与える行為を指します。特に中高年と若い社員が混合している職場で起こりやすいハラスメントであり、各々のPCスキル・知識に大きな差が生じていることで発生しやすいと考えられます。

ジタハラ(時短ハラスメント)

ジタハラとは、合理的な理由がないにもかかわらず「残業時間を減らせ」「定時で退社しろ」と強制する行為を指します。早く帰ることを促しつつも、業務量を減らすわけではないため、実質的には従業員に対して大きな負担・プレッシャーを強いることになります。

業務効率化やワークライフバランスの実現を目指すための業務プロセスの改革を行わず、表面的に「残業を減らして早く帰る」という選択肢を取っただけの企業ではこうしたジタハラが起こりやすいといえるでしょう。

ハラスメントはなぜ発生する?

「ハラスメントは良くない」というのが社会通念となっていますが、それでもなぜハラスメントが発生してしまうのでしょうか。

考えられる原因としては以下が挙げられます。

  • 何がハラスメントになるのか従業員が理解していない
  • ハラスメントにならない関わり方を知らない

何がハラスメントになるのか従業員が理解していない

「ハラスメントをしてはいけない」と規則で定めたとしても、従業員が「何がハラスメントになるのか」を理解していなければハラスメントをしてしまう可能性があります。また、ハラスメントについて理解していたとしても、それを自身に当てはめられなければ意味がありません。

よって企業側は、ハラスメントにあたる具体的行為の提示や、ハラスメント防止への啓蒙などを徹底して継続していく必要があります。

ハラスメントにならない関わり方を知らない

意識していなくともハラスメントをしてしまう場合は、「ハラスメントにならない関わり方」を知らない可能性があります。たとえば長年の社風の偏りによって間違った指導・接し方が当たり前になっていれば、指導を受けてきた社員が管理職となったとき、自分が受けてきた指導・接し方をそのまま継承してしまう可能性があります。

つまり企業は、「ハラスメントにならない関わり方」を丁寧に伝えていく必要があるのです。

企業が知っておくべき法律・ハラスメント対策とは?

ここからは、企業が知っておくべきハラスメント関連の法律、対策方法をご紹介します。

ハラスメント関係の法律

ハラスメントと深いかかわりのある法律には、以下の3つが挙げられます。

①労働施策総合推進法

通称「パワハラ防止法」と呼ばれる法律で、パワーハラスメントの防止対策強化を目的に都度改正が行われています。

2020年には大企業向けに、2022年4月からは中小企業にも「職場におけるパワハラ防止策の実施」を義務付けています。

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000595790.pdf

②男女雇用機会均等法

雇用において男女の均等な機会、待遇の確保を目的に制定された法律です。
おもに「マタハラ」「パタハラ」関連の防止措置について規定しており、2017年1月以降は事業主に対して「妊娠・出産等に関するハラスメントの防止措置」を行うことを義務付けています。

雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のために
雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のためにについて紹介しています。

③育児・介護休業法

育児、介護を継続しながら働く労働者に対し、継続的な就業をサポートする目的で制定された法律です。

【これまで改正・施行された内容】

  • 育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
  • 妊娠・出産の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認措置の義務付け
  • 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
  • 男性の育児休業取得促進のための、子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設
  • 育児休業の分割取得
  • 育児休業の取得状況の公表の義務付け

上記の改正と合わせ、企業側には妊娠や出産、育児休業関連のハラスメントへの防止対策措置を義務付けています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html

従業員を雇用する企業はこれらを踏まえたうえで社内ルールの策定、改正、防止措置の実施を行う必要があることを理解しておきましょう。

企業ができるハラスメント対策・防止措置

法律関連について知ったところで、実際に企業が行うべきハラスメント対策・防止措置にはどのようなものがあるのでしょうか。大きく分けると「発生前」「発生後」の2種類に分かれますが、より細分化すると以下の4つに分けられます。

ハラスメント防止に関する社内ルールの規定と周知

まず、企業においては「ハラスメントの内容」「ハラスメントをしてはならない旨」を明確にし、周知する必要があります。そのためには社内ルール(就業規則)で具体的に規定をし、定期的に従業員へ共有しましょう。

ハラスメント研修の実施

ハラスメントについて理解してもらう施策のひとつに、ハラスメント研修の実施が挙げられます。このとき重要なのが、職位の高いもの(管理職など)だけではなく全社員を対象に実施するということです。
また、一度開催して終わりではなく、オンデマンド研修(Eラーニング)などで継続して防止対策を行うことも必要といえるでしょう。

相談窓口の設置

ハラスメント対策のひとつとして、企業内に相談窓口を設置する方法があります。被害者が出てしまった場合の相談先を設けることで、事態を早期の段階で把握し、被害の拡大を防ぐことができます。
このときのポイントは、男女それぞれ複数名を選任することです。セクハラなどの被害は異性に相談することを躊躇する人も多いので、男女それぞれ対応できるように準備しておくことが必要となります。

事後対応の明確化、徹底

入念なハラスメント対策を行っていたとしても、ハラスメントが発生してしまうケースがあります。そのため企業においてはハラスメントが起こってしまったときの対応を明確化しておき、すぐに対応できるよう体制を整えておくことが大切です。
対応については厚生労働省の「職場におけるハラスメント対策マニュアル」が参考になります。

また、ハラスメントが発生した場合は、迅速に対応を行い、解決や再発防止に努めましょう。加害者と被害者から聞き取りを行い、客観的事実も考慮したうえで判断・処分を行います。当事者間で解決しないケースも多いため、必要ならば第三者からの聞き取りやチャットツール、SNSでのやりとりなども把握し、適切な対応を行いましょう。

ハラスメントを防ごう!

ハラスメントは、従業員の心身を傷つける深刻な行為です。加害者側は自分がハラスメントをしているという自覚がないことも多く、世代間でも大きな認識の違いがあります。

企業としては規則・環境整備によるハラスメント防止対策を徹底するとともに、従業員への「ハラスメント防止意識」の醸成にも注力していきましょう。

この記事の執筆者

ゼニス編集部

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