会社を設立するときには、取締役などの役員を決めるとともに、誰が会社を代表するのかを整理する必要があります。そこで重要になるのが「代表取締役」です。
代表取締役という言葉はよく知られていますが、
「必ず1人選ばなければならない?」
「代表取締役を2人にできる?」
「1人会社ではどうなる?」
など、会社設立時には分かりにくい部分も少なくありません。
代表取締役は、株式会社を代表して契約や各種手続きなどを行う権限を持つ取締役です。ただし、代表取締役の選び方や代表権の扱いは、取締役会を設置しているかどうかなど、会社の機関設計によって異なります。
また、代表取締役の氏名や住所は商業登記に関係します。2024年10月1日からは一定の要件を満たした株式会社について、申出により代表取締役等の住所の一部を登記事項証明書などで非表示にできる「代表取締役等住所非表示措置」も始まっています。
会社設立後に代表取締役を変更することもできますが、代表者の変更に伴う登記などの手続きが必要になります。
この記事では、会社設立時の代表取締役とは何か、取締役との違い、必要な人数や選び方、任期、住所の登記、会社設立後に変更する場合の手続きなどをわかりやすく解説します。
会社設立時の代表取締役に関するよくある質問

1. 会社設立時の代表取締役とは何ですか?
代表取締役とは、株式会社を代表する権限を持つ取締役です。
会社を代表して契約を締結したり、金融機関や行政機関などで各種手続きを行ったりするなど、対外的に会社を代表する重要な役割を担います。
代表取締役には会社を代表する権限がある
代表取締役は、会社の業務に関して裁判上・裁判外の行為を行う権限を持っています。
たとえば、
- 会社名義で契約を締結する
- 取引先との契約書に署名する
- 金融機関で法人口座に関する手続きを行う
- 行政機関などで会社を代表して手続きを行う
といった場面で、会社の代表者として行動します。
そのため、代表取締役は単なる肩書きではなく、会社を対外的に代表する重要な立場です。
「代表取締役」と「社長」は同じとは限らない
一般的には、会社のトップを「社長」と呼ぶことが多く、代表取締役社長という肩書きもよく使われています。
しかし、「社長」は会社法で定められた役職ではありません。
一方、代表取締役は会社法に基づく立場であり、商業登記にも関係します。
そのため、
社長=会社内部で使用される役職・呼称
と考えると分かりやすいでしょう。
会社の機関設計によって扱いが異なる
代表取締役の選び方は、取締役会を設置しているかどうかなどによって異なります。
取締役会設置会社では、取締役会が取締役の中から代表取締役を選定します。
一方、取締役会を設置していない株式会社では、原則として取締役が会社を代表します。ただし、定款や定款の定めに基づく取締役の互選、株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることもできます。
そのため、会社設立時には、取締役の人数だけでなく、誰に会社の代表権を持たせるのかまで考えて機関設計を決めることが大切です。
2. 代表取締役と取締役にはどのような違いがありますか?
代表取締役と取締役の大きな違いは、会社を代表する権限を持っているかどうかです。
どちらも株式会社の経営に関わる役員ですが、代表取締役には会社を対外的に代表する権限があります。
取締役は会社の経営を担う
取締役は、株式会社の経営を担う役員です。
具体的な権限や役割は会社の機関設計によって異なりますが、会社の業務に関する意思決定や業務執行などに関わります。
取締役が複数人いる会社では、
- 営業を担当する取締役
- 財務を担当する取締役
- 商品・サービス開発を担当する取締役
など、役割を分担することもあります。
代表取締役は会社を代表する
代表取締役は取締役の中でも、会社を代表する権限を持つ人です。
会社名義で契約を締結したり、会社を代表して各種手続きを行ったりするなど、対外的な場面で重要な役割を担います。
たとえば取締役が3人いる会社でも、その3人全員が必ず代表取締役になるわけではありません。
取締役のうち1人を代表取締役として選ぶこともあれば、複数人に代表権を持たせることもできます。
代表取締役も取締役の1人
代表取締役は、取締役とはまったく別の種類の役員というわけではありません。
基本的には、取締役の中から会社を代表する人として選ばれる立場です。
そのため、
- 取締役ではない人を代表取締役だけにする
- 株主だから自動的に代表取締役になる
といった仕組みではありません。
会社設立時には、まず取締役を決め、そのうえで会社の機関設計に応じた方法で代表取締役を定めます。
取締役は会社経営を担う役員、代表取締役はその中でも会社を代表する権限を持つ人と整理しておくと、それぞれの違いが分かりやすくなります。
3. 代表取締役は必ず決める必要がありますか?
株式会社では会社を代表する人が必要ですが、必ず「取締役とは別に代表取締役を選ばなければならない」というわけではありません。
代表取締役を別途選定する必要があるかどうかは、取締役会を設置しているかなど、会社の機関設計によって異なります。
取締役会設置会社では代表取締役を選定する
取締役会を設置している株式会社では、取締役会が取締役の中から代表取締役を選定します。
取締役会設置会社には3人以上の取締役が必要ですが、その全員が会社を代表するわけではありません。
取締役会で代表取締役を選び、その人が会社を代表します。
取締役会を設置しない会社では各取締役が原則として代表する
一方、取締役会を設置していない株式会社では、原則として各取締役が会社を代表します。
ただし、
- 定款
- 定款の定めに基づく取締役の互選
- 株主総会の決議
によって、取締役の中から代表取締役を定めることもできます。
そのため、「株式会社を設立するなら、必ず代表取締役を別途1人選ぶ」という理解ではありません。
取締役が1人ならその人が会社を代表する
取締役会を設置しない株式会社で取締役が1人だけの場合は、その取締役が会社を代表します。
たとえば1人で会社を設立する場合、
- 株主:自分
- 取締役:自分
- 会社を代表する人:自分
という構成にできます。
この場合、別の人を代表者として用意する必要はありません。
会社設立時には「代表取締役を置くかどうか」だけを見るのではなく、取締役会の有無や取締役の人数を含め、会社全体の機関設計から考えることが大切です。
4. 代表取締役は1人だけですか?複数人でも問題ありませんか?
代表取締役は、必ず1人だけにする必要はありません。
会社の機関設計に応じた手続きを行えば、複数人を代表取締役とすることも可能です。
代表取締役を複数人置くことができる
たとえば取締役が3人いる会社で、
- Aさん:代表取締役
- Bさん:代表取締役
- Cさん:取締役
という構成にすることもできます。
この場合、AさんとBさんの両方が会社の代表者となります。
共同経営を行う会社などでは、複数人に代表権を持たせるケースもあります。
複数の代表取締役はそれぞれ会社を代表できる
代表取締役を複数人置いた場合、原則としてそれぞれの代表取締役が単独で会社を代表する権限を持ちます。
「契約には代表取締役2人の署名が必要」といった共同代表を登記する制度ではないため、複数代表制を採用するときは注意が必要です。
社内で担当分野を決めることはできますが、代表権そのものを社内ルールだけで対外的に制限できるとは限りません。
そのため、誰に代表権を持たせるのかは慎重に判断する必要があります。
代表取締役が複数いる場合は役割を明確にする
複数人を代表取締役にする場合は、
- 誰がどの事業を担当するのか
- 契約締結を誰が担当するのか
- 金融機関との手続きを誰が行うのか
- 重要な経営判断をどのように行うのか
など、社内で役割を整理しておくことが大切です。
代表取締役が複数いると、経営を分担できる一方で、判断や権限の所在が分かりにくくなる可能性もあります。
代表取締役を複数人置くことは可能ですが、それぞれが会社を代表する重要な権限を持つことを理解したうえで、会社の経営体制に合った人数を決めましょう。
5. 1人会社では誰が代表取締役になりますか?
1人で株式会社を設立する場合、取締役会を設置せず取締役を自分1人とするのであれば、その取締役本人が会社を代表することになります。
会社設立のために、別の人を代表者として用意する必要はありません。
1人で複数の立場を兼ねることができる
1人で株式会社を設立する場合は、
- 発起人:自分
- 株主:自分
- 取締役:自分
- 会社を代表する人:自分
という構成にすることが可能です。
発起人・株主・取締役はそれぞれ異なる役割ですが、同じ人がすべてを兼ねることができます。
そのため、「株式会社を設立するには複数人必要なのでは?」と考えて、家族や知人に形式的に役員へ就任してもらう必要はありません。
取締役1人ならその人が会社を代表する
取締役会を設置していない株式会社では、原則として取締役が会社を代表します。
取締役が自分1人だけであれば、会社を代表する人も自分だけとなるため、非常にシンプルな経営体制になります。
会社設立後は自分が会社の代表者として、
- 取引先との契約
- 法人口座の開設
- オフィスなどの契約
- 税務・社会保険などの各種手続き
を進めることになります。
1人会社でも会社と個人は別になる
自分1人だけの会社であっても、設立した株式会社と自分個人は別の存在です。
会社名義で契約したものや会社の預金を、個人の契約や財産と同じように扱うことはできません。
特に1人会社では、会社のお金と個人のお金の区別が曖昧になりやすいため、法人口座を利用するなどして明確に管理することが重要です。
事業拡大後に役員を増やすこともできる
設立時は自分1人でスタートしても、将来的に取締役を追加することができます。
共同経営者を迎えたり、事業規模の拡大に合わせて経営メンバーを増やしたりすることも可能です。
最初から複雑な役員構成にする必要はありません。1人で事業を始めるのであれば、シンプルな体制で株式会社を設立し、事業の成長に合わせて経営体制を見直す方法もあります。
6. 代表取締役はどのように決めますか?
代表取締役の決め方は、取締役会を設置している会社か、取締役会を設置していない会社かによって異なります。
会社設立時には、取締役の人数だけでなく、どのような機関設計にするのかを決めたうえで、適切な方法で代表取締役を定めます。
取締役会設置会社では取締役会で選定する
取締役会を設置する株式会社では、取締役会が取締役の中から代表取締役を選定します。
そのため、株主総会で直接代表取締役を選ぶのではなく、まず株主総会で取締役を選任し、その後、取締役会で代表取締役を選定するという流れが基本です。
会社設立時には、設立時取締役によって設立時代表取締役を選定します。
取締役会を設置しない会社では複数の方法がある
取締役会を設置していない株式会社では、原則として各取締役が会社を代表します。
ただし、代表する取締役を限定したい場合は、
- 定款で代表取締役を定める
- 定款の定めに基づいて取締役の互選で定める
- 株主総会の決議で定める
といった方法があります。
たとえば取締役が3人いて、そのうち1人だけに代表権を持たせたい場合には、会社の定款や機関設計に応じた方法で代表取締役を定めます。
代表取締役は取締役の中から決める
代表取締役は、会社と無関係の第三者を代表者として選ぶものではなく、取締役の中から定めます。
そのため、複数人で会社を設立する場合は、
- 誰を取締役にするのか
- 誰に代表権を持たせるのか
- 代表取締役を何人にするのか
を分けて考える必要があります。
代表権を任せられる人を選ぶ
代表取締役には、会社を代表して契約などを行う大きな権限があります。
そのため、単に「一番出資額が多い人」や「年齢が上の人」という理由だけではなく、
- 実際に会社経営の中心となる人
- 重要な経営判断を行う人
- 取引先などとの契約を担う人
- 会社を代表する責任を担える人
といった観点から決めることが重要です。
代表取締役の選定方法は会社の機関設計によって異なります。会社設立時には定款の内容や取締役の構成も確認しながら、誰に代表権を持たせるのかを決めましょう。
7. 代表取締役の任期は何年ですか?
代表取締役には、「代表取締役として一律○年」という独立した任期が定められているわけではありません。
代表取締役は取締役の中から定められるため、基本的には取締役としての任期と関係します。
代表取締役は取締役としての地位が前提
代表取締役になるためには、取締役であることが前提です。
そのため、取締役としての任期が満了して退任すれば、原則として代表取締役としての地位も失うことになります。
取締役の任期は、原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結時までです。
一定の株式会社では取締役の任期を最長10年にできる
すべての株式について譲渡制限を設けている株式会社では、定款によって取締役の任期を最長10年まで延長できます。
たとえば1人会社で、
- 株主:自分
- 取締役:自分
- 代表者:自分
という構成の場合、取締役の任期を長く設定することで、役員変更登記の頻度を減らすこともできます。
ただし、複数人で経営している会社では、任期を長くすると経営体制を変更したい場合に影響することもあるため、会社の状況に合わせて検討しましょう。
取締役として重任した場合も登記が必要
任期満了後も同じ人が引き続き取締役となり、代表取締役として会社を代表する場合があります。
同じ人がそのまま続ける場合でも、任期が自動的に更新されるわけではありません。
必要な選任・選定手続きを行ったうえで、取締役や代表取締役に関する重任登記が必要になる場合があります。
代表取締役だけの任期と考えない
会社設立時に「代表取締役の任期を何年にするか」と考えるよりも、まず取締役の任期や会社の機関設計を確認することが重要です。
特に小規模な会社では、同じ人が長期間代表者を務めることもありますが、役員の任期管理を忘れると必要な登記を行わないままになってしまう可能性があります。
代表取締役の地位は取締役としての地位と密接に関係します。会社設立時に取締役の任期を確認し、任期満了の時期や必要な登記を管理しておきましょう。
8. 代表取締役の住所は登記簿に公開されますか?
株式会社では、代表取締役の住所は登記事項の一つです。
そのため、会社を設立して代表取締役として登記すると、原則として代表取締役の氏名と住所が登記事項証明書などで確認できる状態になります。
自宅住所を登記するケースもある
代表取締役の住所として登記するのは、会社の本店所在地ではなく、代表取締役本人の住所です。
そのため、自宅とは別の場所に会社の本店を置いている場合でも、代表取締役の住所として自宅住所を登記することがあります。
特に、
- 自宅住所を公開したくない
- バーチャルオフィスを本店所在地として利用している
- インターネット上で個人情報が広がることを避けたい
といった方にとって、代表取締役の住所公開は気になるポイントでしょう。
代表取締役等住所非表示措置が利用できる
2024年10月1日から、一定の要件を満たす株式会社では「代表取締役等住所非表示措置」が利用できるようになりました。
この制度を利用すると、登記事項証明書などに記載される代表取締役等の住所について、行政区画以外の部分を非表示にできます。
たとえば東京都港区に住所がある場合、一定の範囲までが表示され、それ以降の詳細な住所を非表示にすることが可能です。
ただし、住所そのものを登記しなくてよくなる制度ではありません。
登記上は代表取締役等の住所を届け出たうえで、登記事項証明書などで表示される住所の一部を非表示にする制度です。
利用には申出と一定の要件がある
代表取締役等住所非表示措置は、自動的に適用されるわけではありません。
株式会社の設立登記や代表取締役等の住所に関する一定の登記申請とあわせて申出を行い、所定の書類を提出する必要があります。
また、この措置を利用すると、登記事項証明書などによって代表取締役の住所を証明できなくなるため、金融機関から融資を受ける場合や不動産取引などで不都合が生じる可能性があることについて、法務省も注意を呼びかけています。
会社の住所と代表取締役の住所は別に考える
会社設立時には、
代表取締役の住所=代表取締役本人の住所
として、それぞれ別に考える必要があります。
バーチャルオフィスを会社の本店所在地として利用しても、それだけで代表取締役個人の住所がバーチャルオフィスの住所になるわけではありません。
自宅住所の公開をできるだけ抑えたい場合は、会社設立前に代表取締役等住所非表示措置の利用も含めて検討しておきましょう。
9. 会社設立後に代表取締役を変更できますか?
会社設立時に決めた代表取締役は、会社設立後に変更することが可能です。
代表取締役本人が辞任する場合だけでなく、経営体制の変更や事業承継などを理由として、新しい代表取締役へ交代することもできます。
代表取締役を変更するケース
代表取締役が変更される理由には、さまざまなものがあります。
たとえば、
- 現在の代表取締役が辞任する
- 取締役としての任期が満了する
- 共同経営者へ代表を引き継ぐ
- 家族へ事業承継する
- 経営体制を変更する
といったケースが考えられます。
代表取締役は会社設立時に決めた人が永久に務めなければならないわけではなく、会社の状況に応じて変更できます。
変更方法は会社の機関設計によって異なる
代表取締役を変更する方法は、取締役会を設置しているかどうかなどによって異なります。
取締役会設置会社では、取締役会によって代表取締役を選定します。
取締役会を設置していない会社では、定款の内容に応じて、株主総会の決議や取締役の互選などによって代表取締役を定める場合があります。
そのため、代表取締役を変更するときは、自社の定款と機関設計を確認したうえで必要な手続きを行うことが重要です。
代表取締役の変更には登記が必要
代表取締役に関する事項は商業登記の登記事項です。
そのため、新しい代表取締役が就任した場合や、これまでの代表取締役が退任した場合には、役員変更登記を行う必要があります。
株式会社では、変更が生じた場合、原則として本店所在地において2週間以内に変更登記を申請します。
必要な登記を行わず放置すると過料の対象となる可能性があるため、代表者を変更した際は速やかに手続きを進めましょう。
登記以外の変更手続きも忘れない
代表取締役が変わると、法務局での変更登記以外にも手続きが必要になる場合があります。
たとえば、
- 税務署などへの届出
- 金融機関の登録代表者変更
- 社会保険関係の手続き
- 許認可に関する変更届
- 契約先や取引先への連絡
- 各種サービスの契約者・管理者情報の変更
などです。
特に法人口座や許認可などは、代表取締役の変更に伴って必要書類や手続きが異なる場合があります。
代表取締役を変更するときは、変更登記だけで完了と考えず、会社が利用している金融機関・許認可・契約なども含めて必要な変更手続きを確認しましょう。
10. 代表取締役を決めるときの注意点は何ですか?
代表取締役を決めるときは、単に「会社の社長を誰にするか」だけではなく、会社を代表する権限と責任を誰に持たせるのかという視点で考えることが重要です。
特に複数人で会社を設立する場合は、株主・取締役・代表取締役それぞれの役割を整理しておきましょう。
実際に経営の中心となる人を選ぶ
代表取締役は、会社を代表して契約を締結するなど、対外的にも重要な役割を担います。
そのため、
- 実際に会社経営の中心となる人
- 重要な経営判断を行う人
- 取引先との契約などを担う人
- 会社を代表する責任を担える人
などを考えて決めることが大切です。
単に出資額が多い人や肩書き上のトップという理由だけでなく、実際の経営体制に合わせて代表権を持つ人を決めましょう。
複数人に代表権を持たせる場合は慎重に検討する
代表取締役を複数人置くことも可能ですが、それぞれが会社を代表する権限を持つことになります。
共同経営だからという理由だけで全員を代表取締役にすると、契約や経営判断について社内で認識が食い違う可能性もあります。
複数代表制にする場合は、
- それぞれの担当分野
- 契約締結に関する社内ルール
- 重要事項の意思決定方法
- 金融機関などとの手続きを担当する人
などを明確にしておくことが重要です。
株主構成との関係も考える
代表取締役と株主は異なる立場です。
たとえば代表取締役が会社の株式を少数しか保有しておらず、別の株主が多くの議決権を持っている会社もあります。
代表取締役には会社を代表する権限がありますが、株主総会で決定する事項については株主の議決権が関係します。
そのため、複数人で会社を設立する場合は、誰が代表取締役になるのかだけでなく、誰がどの程度の株式を保有するのかもあわせて検討しておきましょう。
住所公開についても確認しておく
代表取締役になると、住所が登記事項となります。
一定の要件を満たす株式会社では代表取締役等住所非表示措置を利用できますが、住所自体の登記が不要になるわけではありません。
自宅住所の公開が気になる場合は、会社設立後に慌てて対応するのではなく、設立登記を申請する前に制度の利用条件や必要書類を確認しておくことが大切です。
設立後の経営まで考えて決める
会社設立時には、
- 誰が株主になるのか
- 誰が取締役になるのか
- 誰に代表権を持たせるのか
- 役員報酬をどうするのか
- 取締役の任期をどうするのか
- 将来的に誰へ経営を引き継ぐのか
などをまとめて考えると、設立後の経営体制を整理しやすくなります。
代表取締役は会社の「肩書き上のトップ」を決めるだけのものではありません。会社を代表する権限を持つ重要な立場であることを理解し、設立後の経営体制まで見据えて決めましょう。
まとめ
代表取締役とは、株式会社を代表する権限を持つ取締役です。会社を代表して契約を締結したり、金融機関や行政機関などで各種手続きを行ったりする重要な役割を担います。
代表取締役の選び方は、取締役会を設置しているかどうかなど、会社の機関設計によって異なります。また、代表取締役は必ず1人とは限らず、複数人に代表権を持たせることも可能です。
会社設立時には、次のような点を確認しておきましょう。
- 誰が実際の経営の中心になるのか
- 誰に会社の代表権を持たせるのか
- 代表取締役を何人にするのか
- 株主・取締役との役割をどう分けるのか
- 取締役の任期をどうするのか
- 代表取締役の住所公開をどう考えるのか
特に複数人で会社を設立する場合は、代表取締役だけでなく、持株比率や議決権、取締役の構成なども含めて経営体制を考えることが重要です。
また、代表取締役の住所は登記事項ですが、一定の要件を満たす株式会社では代表取締役等住所非表示措置を利用できます。自宅住所の公開が気になる場合は、会社設立前に利用条件を確認しておきましょう。
代表取締役は単なる「社長」という肩書きではなく、会社を対外的に代表する重要な立場です。会社設立後の経営や意思決定まで見据えて、誰に代表権を持たせるのかを決めましょう。
参考