会社を設立するときに決める項目の一つが「資本金」です。「資本金はいくらにすればいい?」「1円でも会社を作れる?」「多いほうが信用される?」など、初めて会社を設立する方にとって金額を決めにくい項目でもあります。
現在は少額の資本金でも会社を設立できますが、会社を設立できる金額と、実際に事業を続けやすい資本金の額は必ずしも同じではありません。
会社設立後には、商品の仕入れや設備購入、広告費、事務所費用、外注費などさまざまな支出が発生します。売上が発生しても実際に入金されるまで時間がかかる事業もあるため、事業開始後の運転資金まで考えて資本金を決めることが大切です。
また、資本金は会社の登記情報として確認できるほか、税金や許認可、取引先との契約などを考える際にも確認しておきたいポイントがあります。
一方で、「資本金は多ければ多いほどよい」というものでもありません。事業内容や会社設立後の資金計画に合わせて、適切な金額を検討する必要があります。
この記事では、会社設立時の資本金とは何か、資本金1円でも会社を設立できるのか、金額の目安や少なすぎる場合の注意点、法人銀行口座や許認可との関係、資本金の決め方について、よくある疑問に沿ってわかりやすく解説します。
会社設立時の資本金についてよくある質問

1. 会社設立時の資本金とは何ですか?
資本金とは、会社を設立するときに株主や出資者が会社へ出資するお金のことです。
株式会社であれば株主が出資した金額、合同会社であれば社員が出資した金額などが資本金となり、会社設立後の事業を始めるための資金として利用できます。
資本金は会社をスタートするための資金になる
会社を設立すると、事業を開始する前後からさまざまな費用が発生します。
たとえば、
- 商品や材料の仕入れ
- パソコンや事務用品の購入
- Webサイトの制作
- 広告・宣伝
- 店舗や事務所の契約
- 外注費
- 人件費
- 通信費や各種サービスの利用料
などです。
資本金は、こうした会社設立後の事業運営に必要な費用へ充てることができます。
そのため、会社を設立できる最低限の金額だけではなく、事業開始後にどの程度のお金が必要になるかまで考えて決めることが重要です。
資本金は会社の登記情報にも記載される
資本金の額は、株式会社や合同会社を設立する際の登記事項の一つです。
会社設立後に取得できる登記事項証明書などから確認できる情報となるため、取引先などが会社情報を確認する際に資本金を目にすることもあります。
ただし、資本金の額だけで会社の信用力や事業の安全性が決まるわけではありません。
会社の実績や事業内容、財務状況なども含めて判断されるため、「資本金を大きくすれば必ず信用される」と考えるのは避けましょう。
資本金と会社の売上は別のもの
資本金と売上は意味が異なります。
資本金は株主や出資者が会社へ出資したお金であるのに対し、売上は商品やサービスを提供することで会社が得た収入です。
また、会社設立時に設定した資本金を、その金額のまま銀行口座へ残し続けなければならないわけでもありません。
資本金は会社設立後の事業活動に使用できる資金として考えましょう。
資本金は「会社を作れる金額」だけで決めない
会社設立時には、資本金をいくらにするか自分たちで決める必要があります。
その際は、
- 事業開始時に必要な費用
- 毎月発生する固定費
- 売上が入金されるまでの期間
- 仕入れや設備投資の有無
- 許認可に必要な財産要件
- 今後の事業計画
などを確認しておきましょう。
会社を設立するための金額ではなく、会社を設立した後に事業を続けるための資金として考えることが、資本金を決める際の基本です。
2. 資本金1円でも会社を設立できますか?
株式会社や合同会社は、資本金1円から設立することが可能です。
以前の会社法では株式会社や有限会社に最低資本金制度がありましたが、現在は最低資本金の制限が撤廃されています。そのため、法律上は少額の資本金でも会社を設立できます。
ただし、実際に会社を経営することを考えると、必ずしも資本金1円が適しているとは限りません。
「1円で会社を作れる」と「1円だけで会社を作れる」は違う
資本金を1円に設定できるからといって、会社設立に必要な費用が1円だけになるわけではありません。
会社を設立する際には、会社形態などに応じて、
- 定款作成・認証に関する費用
- 登録免許税
- 印鑑や各種証明書に関する費用
- 専門家へ依頼する場合の報酬
- 事業開始に必要な設備やサービスの費用
などが発生する場合があります。
そのため、「資本金1円=1円で起業できる」という意味ではありません。
資本金1円では事業資金が不足しやすい
会社設立後は、売上が発生する前から支払いが必要になることがあります。
たとえば、月額5万円の固定費が発生する事業であれば、売上がなくても毎月その費用を支払わなければなりません。
さらに、取引先へ商品やサービスを提供してから実際に代金が入金されるまで、1か月以上かかるケースもあります。
資本金が極端に少ない場合、会社設立直後から追加の資金を用意しなければ事業を運営できない可能性があります。
資本金の少なさが確認される場面もある
資本金は登記情報として確認できるため、取引先などが会社情報を調べた際に金額を確認することができます。
ただし、資本金が少ないからといって必ず取引できないわけではなく、資本金が多ければ必ず信用されるわけでもありません。
法人銀行口座や各種契約についても、資本金だけで可否が決まるものではなく、それぞれの審査や確認が行われます。
事業を続けられる金額から考える
資本金を決める際は、法律上設定できる最低額を基準にするのではなく、
- 開業時に必要な費用
- 毎月の固定費
- 仕入れ代金
- 人件費
- 売上が入金されるまでの期間
- 予想より売上が少なかった場合の備え
などを確認しましょう。
資本金1円でも会社設立は可能ですが、実際の事業運営まで考えると、会社設立後に必要となる資金を見積もったうえで資本金を決めることが大切です。
3. 会社設立時の資本金はいくらが目安ですか?
会社設立時の資本金には、すべての会社に共通する「適正額」が決められているわけではありません。
必要な金額は、事業内容や毎月の固定費、仕入れの有無、売上が入金されるまでの期間などによって異なります。
そのため、「ほかの会社がいくらにしているか」だけではなく、自社が事業を始めてから安定するまでに必要な資金を基準に考えることが大切です。
数か月分の運転資金を考えて決める
会社を設立しても、すぐに十分な売上が入金されるとは限りません。
事業開始直後から、
- 事務所や店舗の賃料
- 仕入れ費用
- 人件費
- 外注費
- 広告費
- 通信費
- Webサービスなどの利用料
といった支払いが発生することがあります。
そのため、資本金を決める際は、事業開始後の数か月分の運転資金を確保できるかという視点で考える方法があります。
たとえば、毎月の事業支出が大きい会社と、自宅で一人で始める会社では、必要となる資金も大きく異なります。
事業内容によって必要な資本金は変わる
Web制作やコンサルティングなど、仕入れや店舗を必要としない事業であれば、比較的少ない資金から始められる場合があります。
一方で、
- 商品を大量に仕入れる
- 店舗を契約する
- 高額な設備を購入する
- 従業員を雇用する
- 広告費を継続的にかける
といった事業では、会社設立直後からまとまった資金が必要になる可能性があります。
資本金の目安は業種ではなく、実際の事業計画と支出から計算することが重要です。
許認可が必要な事業は財産要件にも注意する
事業によっては、許認可を取得する際に一定の資産や財産的基礎などが求められる場合があります。
この場合、単純に「会社を設立できる資本金」で決めてしまうと、予定していた事業の許認可要件を満たせない可能性があります。
許認可が必要な事業を始める場合は、会社設立前に必要な要件を確認したうえで資本金を決めることが大切です。
資本金だけに事業資金のすべてを入れる必要はない
会社が利用できる資金をすべて資本金として設定しなければならないわけではありません。
会社設立後の資金調達には、金融機関からの融資や、状況に応じて役員などから会社へ資金を貸し付ける方法などもあります。
一方で、資本金の額によって税務上の取り扱いなどが変わる場合もあるため、単純に「多ければ安心」と考えるのも適切ではありません。
資本金は会社設立時の見栄えだけで決めず、必要な運転資金、許認可、税務上の取り扱い、今後の資金調達などを含めて、自社に合った金額を検討しましょう。
4. 資本金が少なすぎるとどんなデメリットがありますか?
法律上は少額の資本金でも会社を設立できますが、資本金が少なすぎると会社設立後の事業運営で困る可能性があります。
特に注意したいのは、会社の見た目よりも、実際に使える事業資金が不足してしまうことです。
会社設立直後に資金不足になる可能性がある
会社を設立すると、売上がまだ発生していない段階でもさまざまな支払いが始まります。
たとえば、
- 商品や材料の仕入れ
- 事務所・店舗の賃料
- パソコンや設備の購入
- 広告費
- 外注費
- 人件費
- 通信費やシステム利用料
などです。
資本金を極端に少なく設定すると、設立直後から会社のお金が足りなくなり、追加で資金を用意しなければならないことがあります。
売上があっても入金まで時間がかかる場合がある
事業では、商品を販売したり仕事を完了したりした日に、必ず代金を受け取れるとは限りません。
法人間取引などでは、請求書を発行してから実際に入金されるまで一定の期間が空くことがあります。
その間にも仕入れ代金や外注費、家賃などの支払いは発生するため、帳簿上は売上があっても手元のお金が不足することがあります。
資本金を考える際は、売上額だけでなく「いつ会社にお金が入ってくるか」まで確認することが大切です。
取引先などから資本金を確認されることがある
資本金は会社の登記事項の一つであるため、取引先などが会社情報を調べれば確認できます。
新しく設立された会社で取引実績などがまだ少ない場合、取引先が会社の事業内容や所在地、代表者、資本金など複数の情報を確認することも考えられます。
ただし、資本金が少ないから信用がない、資本金が多ければ信用できると一律に判断できるものではありません。
資本金は、会社について確認される情報の一つとして考えておきましょう。
許認可の要件を満たせない場合がある
許認可が必要な事業では、一定の資産や財産的基礎などが求められることがあります。
会社を設立してから「予定していた事業を始めるための要件を満たしていなかった」とならないよう、許認可が必要な業種では事前確認が必要です。
会社設立時の資本金だけで許認可の取得可否が決まるとは限らないため、それぞれの制度で定められた要件を確認しましょう。
少ない資本金そのものが問題なのではない
初期費用や固定費がほとんどかからない事業であれば、大きな資本金を用意しなくても運営できる場合があります。
重要なのは金額の大小ではなく、その資本金で予定している事業を無理なくスタートできるかです。
資本金を決めるときは、会社を設立できる最低額ではなく、開業費用や数か月分の運転資金、入金までの期間などを計算し、資金不足になりにくい金額を検討しましょう。
5. 資本金は多いほど会社の信用につながりますか?
資本金は会社情報の一つとして確認されることがありますが、資本金が多ければ必ず信用されるというものではありません。
取引先や金融機関などが会社を確認する際は、資本金だけではなく、事業内容や取引実績、財務状況など、さまざまな情報が判断材料になる場合があります。
資本金は登記情報から確認できる
株式会社や合同会社の資本金は登記事項となっているため、登記事項証明書などで確認できます。
そのため、新しい取引を始める際などに相手企業が会社情報を確認し、資本金を見ることがあります。
特に設立直後の会社は過去の実績が少ないため、
- どのような事業を行っているか
- 本店所在地はどこか
- 代表者は誰か
- いつ設立された会社か
- 資本金はいくらか
などの基本情報を確認されることも考えられます。
資本金だけで会社の信用力は判断できない
資本金が大きくても、会社の売上や利益が十分とは限りません。
反対に、少ない資本金で設立された会社でも、その後に事業が成長し、安定した取引実績を積み重ねている場合があります。
そのため、資本金は会社の信用を判断するための情報の一つではあっても、それだけで会社の経営状態を判断できるものではありません。
取引先によって確認するポイントは異なる
法人同士の取引では、相手企業が独自の基準で取引可否を判断することがあります。
資本金だけでなく、
- 会社の事業内容
- Webサイトなどの事業実態
- 取引実績
- 財務状況
- 契約内容
- 支払条件
などが確認されることもあります。
特に大きな金額を扱う取引では、取引開始前に審査が行われる場合もあるため、資本金だけを大きくしておけば取引しやすくなるとは限りません。
信用のためだけに資本金を増やす必要はない
「資本金が大きい会社に見せたい」という理由だけで、必要以上の金額を資本金に設定するのは避けたほうがよいでしょう。
資本金の額によって税務上の取り扱いなどが変わる場合もあります。
会社設立時には見栄えだけを優先するのではなく、事業開始後に必要な運転資金や今後の事業計画などを基準に資本金を決めることが重要です。
資本金は会社の基本情報の一つですが、会社の信用はその後の取引や事業実績によっても積み重なっていきます。資本金だけで信用を作ろうとせず、無理のない資金計画で事業をスタートしましょう。
6. 資本金は会社設立後に使ってもいいですか?
会社設立時に用意した資本金は、会社設立後の事業活動に使用することができます。
「資本金として設定した金額は銀行口座に残しておかなければならない」と思われることがありますが、資本金は会社を運営するための資金として、仕入れや設備購入、広告費などに使用できます。
資本金は事業に必要な支払いに使える
会社設立後は、事業を始めるためにさまざまな支出が発生します。
資本金は、たとえば次のような用途に使用できます。
- 商品や材料の仕入れ
- パソコンや事務用品の購入
- Webサイトの制作費
- 広告・宣伝費
- 事務所や店舗の賃料
- 外注費
- 人件費
- 通信費や各種サービスの利用料
つまり資本金は、会社設立時に見せるためだけのお金ではなく、実際に事業を運営するためのお金です。
資本金と同額を口座に残し続ける必要はない
たとえば資本金100万円で会社を設立したからといって、会社の銀行口座に常に100万円以上を残しておかなければならないわけではありません。
事業に必要な支払いをすれば、当然ながら会社が保有する現金や預金は減っていきます。
一方、登記されている「資本金100万円」という金額が、会社のお金を使うたびに減っていくわけでもありません。
資本金の額と、現在会社が持っている現金・預金の残高は別のものとして考えましょう。
会社のお金を個人的な支出に自由に使うことはできない
資本金は会社のお金になるため、会社設立後に代表者が自由に私生活のために使ってよいわけではありません。
たとえば、
- 個人的な買い物
- 家族だけで利用する旅行費用
- 事業と関係のない飲食代
- 私生活上の支払い
などを、事業上の支出であるかのように会社のお金から支払うことは避ける必要があります。
代表者個人のお金と会社のお金を混同すると、経理処理も複雑になります。
法人を設立したら、個人用と会社用の資金を明確に分けて管理することが大切です。
使い切ることを前提に資本金を決めない
資本金を事業に使えるからといって、会社設立直後にすべて使ってしまうのも注意が必要です。
売上の入金前にも、仕入れや固定費、税金などの支払いが発生する可能性があります。
そのため、
- 設立直後に必要な費用
- 毎月発生する固定費
- 売上が入金される時期
- 今後予定している設備投資
- 予想外の支出への備え
などを確認し、手元に必要な資金を残しながら運営しましょう。
資本金は会社設立後に事業のために使用できますが、会社を継続して運営できるだけの資金を確保しながら計画的に使うことが重要です。
7. 法人銀行口座の審査に資本金の額は関係しますか?
法人銀行口座を開設するとき、資本金は会社情報の一つとして確認される可能性があります。
ただし、資本金が多ければ法人銀行口座を開設できる、少なければ開設できないと一律に決まるものではありません。
金融機関ごとに審査が行われ、資本金以外にも会社や事業に関するさまざまな情報が確認されます。
資本金だけで口座開設の可否は決まらない
現在は少額の資本金でも会社を設立できるため、資本金が少ない会社そのものが珍しいわけではありません。
法人銀行口座の申し込みでは、金融機関によって異なりますが、
- 会社の基本情報
- 事業内容
- 会社を設立した目的
- 代表者に関する情報
- Webサイトなど事業内容を確認できる情報
- 取引内容や取引先
- 事業の実態
などが確認される場合があります。
そのため、「法人銀行口座を作りたいから資本金だけを増やす」という考え方は適切ではありません。
事業内容を説明できるようにしておくことが重要
設立したばかりの会社は、過去の決算書や長期間の取引実績がありません。
そのため、どのような商品・サービスを提供する会社なのか、どのように売上を得るのかなど、会社の事業実態を説明できる状態にしておくことが大切です。
必要に応じて、
- 会社のWebサイト
- 事業計画書
- 契約書
- 見積書・請求書
- 商品やサービスの資料
など、事業内容を確認できる資料を準備しておくとよいでしょう。
実際に必要となる書類は金融機関によって異なるため、申し込み先の案内を確認してください。
バーチャルオフィスだから開設できないとは限らない
本店所在地にバーチャルオフィスを利用している場合でも、それだけを理由に法人銀行口座を開設できないと一律に決まるわけではありません。
一方で、バーチャルオフィスを利用すれば必ず口座開設できるというものでもなく、最終的には各金融機関による審査があります。
レゾナンスでは、会員向けに法人銀行口座開設の紹介制度を用意しており、対象となる金融機関への申し込みをサポートしています。
ただし、紹介制度を利用した場合でも、口座開設を保証するものではありません。
資本金は銀行口座だけを基準に決めない
法人銀行口座は会社設立後の重要な準備の一つですが、その審査だけを目的として資本金を決める必要はありません。
資本金は、
- 事業開始後に必要な運転資金
- 毎月の固定費
- 仕入れや設備投資
- 売上が入金されるまでの期間
- 許認可の要件
- 税務上の取り扱い
などを総合的に考えて設定しましょう。
法人銀行口座の審査では資本金を含む会社情報が確認される可能性がありますが、資本金だけで結果が決まるわけではありません。事業内容や実態を説明できる状態を整えたうえで申し込むことが重要です。
8. 許認可が必要な事業では資本金の額に注意が必要ですか?
許認可が必要な事業を始める場合は、会社設立前に資本金や財産に関する要件を確認しておくことが重要です。
業種によっては、許可や登録を受けるために一定の資産や財産的基礎などが求められる場合があります。
そのため、「会社は少額の資本金で設立できるから」と金額だけを先に決めてしまうと、会社設立後に予定していた事業の要件を満たせない可能性があります。
会社を設立できても事業を始められるとは限らない
株式会社や合同会社を設立できることと、予定している事業を実際に行えることは別の問題です。
事業によっては、
- 許可
- 認可
- 登録
- 届出
などが必要になります。
さらに、制度によっては事務所の要件や資格者の配置、財産的な要件などが定められています。
法人登記が完了しただけでは営業を開始できない業種もあるため、許認可が必要かどうかは会社設立前に確認しましょう。
資本金だけで判断できない場合もある
許認可に財産要件がある場合でも、必ずしも「資本金○円以上」という条件だけで判断されるとは限りません。
制度によって、
- 資本金
- 自己資本
- 純資産
- 預金残高
- 財産的基礎
など、確認される内容や証明方法が異なります。
そのため、インターネット上で見つけた「この業種なら資本金○万円」といった情報だけを参考にするのではなく、自分が取得する許認可の最新要件を確認することが大切です。
事業目的や事務所の要件も一緒に確認する
許認可が必要な事業では、資本金だけでなく、定款に記載する事業目的や事務所についても確認が必要になる場合があります。
たとえば、
- 定款の事業目的に必要な事業が記載されているか
- 営業所・事務所として使用できる物件か
- 必要な設備がそろっているか
- 資格を持つ人員を配置できるか
などです。
会社を設立してから変更すると、追加の手続きや費用が必要になることもあります。
資本金・事業目的・本店所在地をそれぞれ別々に決めるのではなく、予定している事業の許認可要件を確認してから会社設立を進めるとよいでしょう。
バーチャルオフィスを利用する場合も許認可を確認する
会社の本店所在地としてバーチャルオフィスを利用できる場合でも、その住所で希望する許認可を取得できるとは限りません。
許認可によっては、独立した事務所や専用スペース、設備などが求められる場合があります。
そのため、許認可が必要な事業では、資本金の要件とあわせて事務所の要件も確認することが重要です。
会社設立時の資本金を決める前に、予定している事業に許認可が必要かを調べ、必要であれば管轄する行政機関や専門家などへ確認してから金額を決めましょう。
9. 資本金の額によって税金は変わりますか?
会社設立時の資本金は、事業に使えるお金だけでなく、税金の取り扱いに関係する場合があります。
そのため、「用意できるお金をすべて資本金にしておけば安心」と単純に考えるのではなく、設立時の資本金によってどのような違いが生じるのか確認しておくことが大切です。
資本金は法人住民税などに関係する
法人には、法人税だけでなく法人住民税なども課されます。
法人住民税には、所得に応じて計算される部分のほか、会社の資本金等の額や従業者数などによって区分される均等割があります。
そのため、会社の利益が同じであっても、資本金等の額などによって税負担が異なる場合があります。
また、法人に関する税制には資本金などを基準として適用関係が変わる制度があるため、会社設立時には税務面も確認しておきましょう。
消費税の扱いにも注意する
新しく設立した法人の消費税については、一定の要件を満たす場合、設立当初の納税義務が免除されることがあります。
一方で、設立時の資本金の額などによっては、設立1期目から消費税の納税義務が生じる場合があります。
また、資本金以外にも特定期間の課税売上高や給与等支払額、特定新規設立法人に関するルールなどがあり、資本金だけで消費税の納税義務を判断できるわけではありません。
さらに、適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)として登録した場合は、原則として消費税の申告・納税が必要になります。
資本金を後から変更する場合も税務への影響を確認する
会社設立後に増資して資本金を増やすこともできます。
ただし、資本金の増加によって、税制上の取り扱いや法人住民税の区分などに影響する可能性があります。
反対に、資本金を減らす場合も会社法上の手続きなどが必要になるため、資本金は自由に増減できる預金残高とは性質が異なります。
資本金は税金だけを基準に決めない
税負担を抑えることだけを優先して資本金を少なくすると、事業開始後の運転資金が不足してしまう可能性があります。
一方、必要以上に大きな資本金を設定すると、税務上の取り扱いが変わる可能性もあります。
そのため、
- 事業開始後に必要な運転資金
- 毎月の固定費
- 許認可の要件
- 今後の設備投資
- 消費税などの税務上の取り扱い
を総合的に考えることが重要です。
資本金は会社設立後の資金繰りだけでなく税金にも関係するため、金額が大きくなる場合や判断に迷う場合は、会社設立前に税理士などの専門家へ確認しておくとよいでしょう。
10. 会社設立時の資本金はどのように決めればいいですか?
会社設立時の資本金は、単純に「多いほうがよい」「少ないほうがよい」と判断するのではなく、事業開始後に必要なお金や事業内容、許認可、税務上の取り扱いなどを総合的に考えて決めることが大切です。
法律上は少額の資本金でも会社を設立できますが、実際に事業を続けられる金額かどうかは別に考える必要があります。
まずは事業開始後に必要なお金を計算する
最初に、会社設立後にどのような支出が発生するのか整理しましょう。
たとえば、
- 商品や材料の仕入れ
- 店舗・事務所の賃料
- パソコンや設備の購入
- 人件費
- 外注費
- 広告費
- 通信費
- Webサイトやシステムの利用料
- その他の毎月発生する固定費
などがあります。
さらに、売上が発生してから実際に入金されるまで時間がかかる事業では、その期間の支払いに対応できる資金も必要です。
会社を設立するまでではなく、設立後に事業を継続できるところまで考えて必要資金を計算しましょう。
許認可が必要なら会社設立前に確認する
許認可が必要な事業では、資本金や財産的基礎などについて要件が設けられている場合があります。
会社を設立してから資本金が足りないことに気づくと、増資など追加の手続きが必要になる可能性があります。
事業目的や事務所について要件が設けられている場合もあるため、許認可が必要な業種では会社設立前に必要な条件をまとめて確認することが重要です。
税務上の取り扱いも確認する
資本金の額は、法人住民税や消費税をはじめとした税務上の取り扱いに関係する場合があります。
必要以上に資本金を大きく設定すると、想定していなかった税務上の影響が生じる可能性もあります。
一方、税金だけを理由に資本金を極端に少なくすると、事業開始直後の資金繰りが苦しくなる可能性があります。
事業資金と税務の両方を確認して金額を決めることが大切です。
事務所などの固定費も資金計画に影響する
会社設立と同時に専用オフィスを借りる場合は、賃料だけでなく、敷金・保証金や設備費、通信費などが発生することがあります。
一方、専用オフィスを必要としない事業であれば、自宅を作業場所として利用することで固定費を抑える方法もあります。
自宅住所を法人登記に使用したくない場合は、法人登記に対応したバーチャルオフィスを利用し、事業用住所にかかる費用を抑える方法も選択肢になります。
固定費を抑えることができれば、その分を仕入れや広告など、事業に必要な資金へ回すこともできます。
資本金を決めるときのポイントを整理する
会社設立前には、少なくとも次の点を確認しておきましょう。
- 会社設立直後に必要な費用はいくらか
- 毎月の固定費はいくらか
- 売上はいつ入金されるか
- 数か月分の運転資金を確保できるか
- 許認可に財産要件などがないか
- 資本金による税務上の影響はないか
- 今後大きな設備投資を予定していないか
資本金は、会社を設立するためだけに設定する数字ではありません。
会社設立後に資金不足にならず、予定している事業を無理なくスタートできるかを基準に、自社の事業計画に合った資本金を決めましょう。
まとめ
会社設立時の資本金は、会社を設立するためだけの数字ではなく、設立後に事業をスタートし、継続していくための重要な資金です。
株式会社や合同会社は少額の資本金でも設立できますが、実際の事業運営では仕入れや設備費、広告費、人件費、事務所費用など、売上が入金される前からさまざまな支出が発生する可能性があります。
資本金を決めるときは、
- 事業開始時に必要な費用
- 毎月発生する固定費
- 数か月分の運転資金
- 売上が入金されるまでの期間
- 仕入れや設備投資の有無
- 許認可に必要な財産要件
- 税務上の取り扱い
- 今後の事業計画
などを確認しておきましょう。
資本金が少なすぎると、会社設立直後から資金不足になり、代表者などが追加で資金を用意しなければならない可能性があります。
一方で、資本金は多ければ多いほどよいというものでもありません。資本金の額によって税務上の取り扱いが変わる場合もあるため、必要以上に大きな金額を設定するのではなく、自社の事業計画に合った金額を検討することが大切です。
また、資本金は会社設立後に仕入れや設備購入、広告費などの事業資金として使用できます。資本金として設定した金額を、そのまま銀行口座へ残し続ける必要はありません。
ただし、資本金の額と会社が現在保有している現金・預金は別のものです。事業開始直後に資金を使い切ってしまわないよう、今後発生する支払いまで考えて資金を管理しましょう。
法人銀行口座の開設についても、資本金だけで審査結果が決まるわけではありません。事業内容や会社情報、事業実態なども確認されるため、「口座開設のために資本金を増やせばよい」と単純に考えないことが重要です。
さらに、許認可が必要な事業では、資本金や財産的基礎だけでなく、事業目的や事務所について要件が設けられている場合があります。会社設立後に変更が必要にならないよう、設立前に確認しておきましょう。
専用オフィスを必要としない事業であれば、自宅を作業場所として固定費を抑える方法もあります。自宅住所を法人登記に使用したくない場合は、法人登記に対応したバーチャルオフィスを事業用住所として利用する方法も選択肢の一つです。
資本金は「会社を作れる最低額」から決めるのではなく、「会社を作った後に事業を無理なく続けられる金額」から考えることが大切です。事業開始後の支出や運転資金、許認可、税務などを整理したうえで、自社に合った資本金を設定しましょう。
参考