近年は「脱サラして自分の事業を始めたい!」という方も目立つようになりました。その一方で「脱サラとは?」「どうやって起業すればいい?」と疑問に思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、脱サラの意味やメリット・デメリット、事業の始め方や失敗しない脱サラのコツをご紹介します。独立・起業を考えたことがある方は、ぜひチェックしてみましょう。
脱サラとはどういう意味?
脱サラとは「脱・サラリーマン」のことで、会社を辞めて事業を始めるという意味です。
ひと昔前までは「会社をやめて自分のお店や会社を興す」という意味で使われるケースが多かったのですが、最近では「起業する」「独立する」というニュアンスで広く用いられています。
脱サラ後はどんな仕事をする?
脱サラをしたあとに何をするのかは、人によりさまざまです。
- 飲食店の開業
- 美容系サロンの開業
- 教育系の教室、学校、保育施設の運営
- ITやクリエイティブ系のフリーランスとして活動
- ライター、ブロガーとして活動
- コンサルティングや講師として活動 など
中には、会社員時代に培った知識やノウハウを活かし、ご自身の会社を立ち上げる方もいます。
脱サラするメリット・デメリットとは?
脱サラにはメリットとデメリットの両方があります。それぞれを見てみましょう。
脱サラのメリット
脱サラのメリットは以下のとおりです。
- 自分の好きなことを事業にできる
- 柔軟な働き方ができる
- 会社員時代より収入がアップする可能性も
- 人間関係を選べるようになる
脱サラの大きなメリットは、自分の好きなことで、自由な働き方ができることです。
事業形態や業種によっては、時間・場所を問わずに働くこともできるでしょう。
また、収入に上限がなく、場合によっては会社員時代の何倍もの収入が得られる可能性があるのも脱サラの魅力。
仕事の関係者も自分で選べるようになるため、会社勤めに比べると“解放感”“快適さ”を感じる方も多いといわれています。
脱サラのデメリット
脱サラにはメリットが多い一方で、デメリットもあります。
- 軌道に乗るまでは収入が不安定になる
- 社会的な信用が低下し、ローン審査で不利になる
- 社会保険料や交通費などはすべて自己負担になる
- 帳簿付けや確定申告など、事務作業の負担が増える
脱サラのデメリットは、なんといっても「収入の不安定さ」でしょう。
特に事業が軌道に乗らないうちは、赤字になって収入ゼロ、なんてケースも珍しくありません。
また会社員に比べると社会的な信用も低くなり、社会保険料や交通費といった“会社が一部または全額支給してくれていたお金”が自己負担になる点もデメリットでしょう。
その他には、会社員時代には必要がなかった「収支の帳簿付け」「確定申告」などの事務作業が増える点もデメリットです。
脱サラして独立する方法とは?
脱サラして独立する手段としては、以下の3つが挙げられます。
それぞれ一長一短があるため、自分にマッチする脱サラの方法を考えてみましょう。
個人事業主として開業する
ひとつめは、個人事業主として開業する方法です。
個人事業主としてお店を開いたり、フリーランスとして業務委託で働いたりして売上を獲得し、得た利益から経費や税金を差し引いた額が所得収入となります。
フリーランスを含む個人事業主になるには、登録料などのお金がかからないことがメリットです。開業自体も届出を出すだけと、手軽な手続きでできます。
ただし、会社を設立する方法に比べると社会的な信用度は低く、事業展開がしにくいデメリットも。
また個人事業主の所得税は累進課税制なので、所得が増えるほど税率が上がり、税負担が重くなる点にも注意が必要です。
会社を設立する
脱サラをする方の中には、法人登記をして会社を設立する方も多く見られます。
「会社」という法人格を得ることで、法人税の税制優遇が受けられる点や、社会的な信用も得られる点がメリットでしょう。株式会社であれば、株式の発行で資金調達をすることもできます。
一方、法人の設立登記には手間と費用(約6万~25万円)が掛かる点がデメリットです。また法人になると会計や決算、税務などの処理が複雑になったり、万が一会社を畳む場合の手間がかかったりする点にも注意が必要です。
フランチャイズに加盟し、オーナーとなる
脱サラしたい方は、フランチャイズを活用するのもひとつの方法です。
フランチャイズとは、もともと存在する企業のブランドやロゴの使用権、商品販売権などを借りて事業を行うビジネススタイルです。
オーナーになるには企業へロイヤリティ(名前を利用する権利料のようなもの)を支払う必要がありますが、商売のノウハウを提供してもらえたり、経営相談ができたりといったメリットがあります。
ロイヤリティの割合によっては大きな負担となる場合もありますので、事前に確認したうえで検討してみるとよいでしょう。
失敗しない脱サラのポイントは?
脱サラに失敗しないためには、入念な準備が大切。具体的には、次の4つを徹底しましょう。
脱サラ前に「事業計画」を細かく立てる
脱サラに成功するには、明確な事業計画を立てて準備することが大切です。
仮に勢いだけで脱サラしたとしても、どんなビジネスモデルで、どのように利益を得るのかが明確でないと、たちまち頓挫してしまうでしょう。あらかじめ事業計画を綿密に立て、事業計画書として書き起こすことをおすすめします。
- 事業の概要
- 事業内容、目的
- 市場や競合分析
- マーケティング戦略
- 商品、サービスの種類
- 業務のオペレーションについて
- 資金計画
また事業形態や業種によっては、初期の設備投資などで借入・融資を申し込む必要が生じることもあります。
金融機関や政府・自治体の審査では「事業計画書」の提出を求められるため、早い段階で作成しておいて損はありません。
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脱サラ前に「資金計画」を立ててみる
脱サラする前には「資金計画」を立てることも重要です。
【資金計画を立てる際に考えるべきポイント】
- 毎月いくらの生活費がかかっているのか?
- 事業スタートにあたって必要な開業資金(初期費用)は?
- 事業が継続できる運転資金は?
- 事業を継続でき、生活ができる売上目標(月換算)は?
事業は勢いでも始められますが、「継続して生活費がまかなう」となると、行き当たりばったりではうまくいきません。特に家族を養っている方は、資金計画をきっちり立て、生活していけるかどうかをシビアに考えたうえで脱サラの判断をすべきです。
社会保険の切り替えや申請等の準備はまとめて済ませる
脱サラしたあとはやることが多いので、以下の準備を段階的に進めておくと楽です。
- 国民健康保険、国民年金への切り替え
- 小規模企業共済への加入、および申請準備(任意)
- 創業支援助成金などの申請準備
- 開業や法人登記に必要な書類、印鑑の準備
- 会計ソフトの準備
- 税や資産形成に関する知識の習得
「社会保険の切り替え」は、会社を辞めたあとすみやかに行います。
それ以外の手続きについては、必要な書類を揃えておき、提出するだけの状態にしておくとスムーズでしょう。
また手続きではありませんが、所得税・法人税に関する知識や、資産形成・資金調達の知識を身につけておくと役立ちます。
ローンやクレジットカードは脱サラ前に契約を
意外に見落としがちなのが、ローンやクレジットについてです。
よほどのことがない限り、会社員は住宅ローンなどのローンや、クレジットカードの契約審査に通りやすいという利点があります。
一方、脱サラしたての人は社会的な信用が低く、1~3年程度は審査に通りにくいケースがほとんどです。
しばらくはローンが組めない可能性もあるので、ローンやクレジットカードの申し込みは会社員時代にすませておきましょう。
脱サラする際は準備を入念に!
脱サラすると、自分の裁量で働けるようになるのが最大のメリットです。一方、会社員という肩書を下ろすことで、しばらくの間は社会的な信用性、保障などが少なくなる点には注意が必要でしょう。
また、脱サラが成功するかどうかを判断する際は「資金繰り」が大きなポイントとなります。
脱サラし事業を成功させたい方は、事業計画を入念に練り、1年後、3年後、5年後の資金計画を立てたうえで検討してみましょう。そのうえで勝機が見出せるようなら、新たな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
脱サラ後の固定費を抑えたい人は「バーチャルオフィス」もあり
バーチャルオフィスは、ビジネス用の住所のみを借りるサービスです。
脱サラして起業したり、フリーランスになったりする人の中には、「自宅でPCを使って事業を始める」という方も多いでしょう。特に近年は、プログラミングやWEBデザイン、動画制作などの事業で脱サラする方も多く見られます。
特定のオフィスが必要ない業種で脱サラをする場合は、バーチャルオフィスを使うことで固定費を削減できます。
「脱サラして事業が安定するまではコストを抑えたい」という方は、ぜひバーチャルオフィス利用をご検討ください。