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契約書の草案とは?取引における位置づけと作成や対応の注意点

契約書類などを作成する際に「草案」という言葉を聞きます。
取引先から、「契約書の草案を作成したのでご確認をお願いします。」など、といった話しが出ることもあり、「草案」の意味や位置づけを正しく知っておくことは、ビジネス上の取引を行う上で大切なことだと言えるかもしれません。

そこで今回は、「契約書の草案」とはどのようなものか、「素案」や「原案」との違いを含め、草案の取り扱いや意義などについて、詳しく解説いたします。

「草案」とは

「草案(そうあん)」とは、規約などの決まりを制定する文章の、元になる文書(下書き)を指します。
草案の「草」は、「木になる前段階」という意味からきており、「本格的なものとなる前」という意味で使われています。
「草案を練る」「草案を考える」など、名詞として使われます。

「素案」や「原案」との違い

草案と同様に、元になる案を意味する言葉に、「素案」や「原案」という言葉もあります。よく似た言葉ではありますが、使われ方が異なるので、これらの違いについても確認しておきましょう。

<素案と草案の違い>
「素案」の「素」は、もとごとを作り出す根本になるもの」と意味し、草案とは、ものごとに対する「アイデアや意向」を示しています。草案を作るほどのことは決められておらず、ざっくりとしたアイデアや意向と示すものとして使われています。

<原案と草案の違い>
「原案」は、草案と同じく下書きという意味を持ちますが、草案が規約などの文章の元となる下書きという意味であるのに対し、「原案」はデザインや設定など文章以外のものにも使用されます。

また、同じ下書きでも、草案よりも原案の方がより完成に違い状態を表すことが多いのも覚えておきましょう。
草案はこれから議論を交わしたり検討を重ねたりするためのものであるのに対し、原案はほぼ出来上がっており、承認や再確認を行う状態であることが多くなっています。

契約書の草案について

契約書の草案とは、正式なものとなる前段階の仮の契約書、つまり「たたき台」にあたるものを意味します。
契約書の草案をベースにして、打ち合わせや交渉を重ねて、本格的な契約書の作成を行います。契約書の草案を作成する段階で、おおむね契約を交わす双方で、契約内容については同意をしているものの、細かい条件や法的な確認については未確認の状態が多いため、草案を使ってのやりとりを通して、少しずつお互いの合意を得ていきます。

契約書の草案の役割について

草案のやりとりによって契約事が決定しますので、契約書の草案づくりは契約交渉における重要な位置づけとなっています。
草案は下書きだからと、よく確認しないまま進めて行くと、相手に有利な条件での契約締結に至る場合もあるので、注意しましょう。

契約についてのおおまかな事項を話し合ったら、詳細を交渉し合う前のたたき台として草案をどちらかが作成します。この最初の草案は「ファーストドラフト」と呼ぶこともあります。
草案の段階で、契約に関する取り決めや金額や期間、免責事項や保証規定なども含めて、しっかりとチェックしていきます。契約書の草案の役割は、契約詳細に関する交渉ともいえます。できればこの段階から、専門家との相談しながら進めていくとよいでしょう。

草案を受け取ったあとの具体的手順

契約交渉の相手が作成した契約書の草案を受け取ったら、具体的にどのような手順で進めていくのか、について確認しておきましょう。

1.内容の確認

まずは、契約書草案の内容についてよく確認します。
自社にとって不利な内容になっていないかどうか、取引に関する具体的な金額や期間などについては、各担当部署に確認をとり、それ以外は法務部にてチェックを行います。
もし、法令上必須となる条項が抜けていれば追加をし、必要に応じて顧問弁護士へのチェックを依頼します。

2.修正点についての交渉

契約書草案に修正点が見つかった場合は、修正箇所について相手と交渉を行います。
もし草案がWord形式で作成されているのなら、「変更履歴の記録」や「コメント機能」を用いて直接修正を行うことで、相手へ修正箇所や提案内容を明確に伝えることができるでしょう。

3.確認と修正を繰り返して調整

2で修正されたものを再度確認し、さらに修正点があるかどうかを確認します。
このように、確認と修正を繰り返して調整を行います。

4.精査の完了(契約書類の完成)

草案の精査により、契約の内容に問題がないことを確認し、契約書の全ての条項について取引相手との間で合意を行うことができれば、契約書類が完成となります。

5.契約の締結

契約書が完成したら社内稟議などによる確認を経て、製本した契約書類にお互いが署名・押印を行います。
電子契約であれば、決裁者による電子署名を得て契約締結を行います。

自社で契約書の草案を作成するメリット

企業間の取引においては、契約書の草案をどちらが作成するかは、その後の契約交渉において優位にすすめるために重要だと考えられています。
どの企業においても、自社の契約書フォーマットには、自社にとって有利となる内容か、少なくとも不利になる内容は盛り込まないため、自社の契約書フォーマットを使用した草案で交渉を進めて行った方が、失敗のリスクが少ないからです。

また、契約数が増えるにつれ、自社のフォーマットを元にしたものの方が、管理がしやすいという利点もあります。

契約書の草案作成のポイント

自社で契約書草案を作成する際は、取引の概要や条件等のヒアリングを担当部署へ行い、過去に同じような取引があればその際の契約書を活用して草案を作成します。草案だから修正が入るであろうと適当な判断で作成するのは、その後の取引相手との交渉で問題が起きてしまう危険性があるので注意しましょう。

草案の段階から、作成者以外の人によるチェックも入れて、契約書の完成度をできるだけ高めておくことで、その後の交渉や調整もスムーズに進めることに繋がります。

また、契約書の草案作成に使用するファイル形式は、Wordファイルをおすすめします。
Wordは、草案の修正が容易で修正の履歴が分かりやすいなど、書類作成に必要とされる機能が充実してします。契約書作成に向いているツールとして、多くの企業や法務関係者において、Wordを用いて契約書作成を行っています。

契約書の草案を作成する企業は?

契約書の草案を作成することで得られるメリットから、中小のベンチャー企業が大手企業と契約事を行う際は、大手企業側が草案を提示する傾向が強くなっています。
たとえ、中小企業側から草案を提案しても、断られてしまうこともあるでしょう。

しかし、企業規模の大小に関わらず、契約上の立場の強さによって草案を作成する側が決まる場合もあります。たとえば、業務委託契約の場合なら業務を委託する側などです。

いずれにしても、草案作成は法律で決められているものではなく、取引を行う相手によっても異なるので、あくまでも傾向として認識しておきましょう。

契約書の草案について、「草案」と「素案」や「原案」との違いをはじめ、契約書の草案の役割や作成するメリット、取り扱いの手順などについて紹介いたしました。

契約書の草案は、単なる契約書の下書きではなく、取引先との契約において非常に重要な役割をもっています。内容の確認や調整のための交渉はもちろんのこと、作成段階から関連部門を含めて二重チェックを行うなど、慎重に取りかかるようにしましょう。

この記事の執筆者

ゼニス編集部

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