会社を興すときに決めなくてはならない事項のひとつに「会社設立日」があります。何気なくキリのいい日にちを会社設立日にしている、というケースは多いですが、実は決め方ひとつで節税になる場合もあるのをご存じでしょうか?
ここでは、会社設立日の決め方のポイントを解説。注意点についても合わせてご紹介します。今後起業を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
会社設立日とは?
そもそも会社設立日とは、「法務局へ設立登記申請をした日」「郵送で登記申請をした場合の書類到着日」を指します。「登記書類を提出し受理された日」と考えるとよいでしょう。
個人事業の場合は開業日が“開業届による申告制”のため、実質的に開業日を指定することができました。一方、法人の場合は書類が受理された日が会社設立日になる、という違いがあります。
法人登記は自身の都合のよい日に申請できるため、「○月○日を会社設立日にしたい」という場合は、その日に必要書類を揃えて登記申請に行けばOKです。
会社設立日の決め方は?
日にちによって節税になる?
会社設立日の決め方は基本的に自由です。
何かの記念日などを設立日にする場合もあれば、以下のように縁起のよい日を会社設立日とするケースも多く見られます。
会社設立日に適した「吉日」の一例
日本の暦にはさまざまな吉日(縁起のよい日)があります。
- 大安……「すべてのことに吉」とされている吉日。
- 一粒万倍日……「小さなものが大きく育つ」という意味がこめられ、新しいことを始める日として最適。
- 天赦日……「天が赦す日」として、最上の大吉日として知られている。
- 寅の日……金色の体毛を持つトラにちなみ、金運アップが期待できる日。
- 巳の日……幸福と財産の神様「弁財天」の使いであるヘビに由来し、金運・財運が上がる日とされている
- 8の付く日……「末広がり」で縁起が良いとされている。
いつ吉日なのかを調べたいときは、カレンダーやネット検索などをするとすぐにわかります。
ゲンを担ぎたい場合は、こうした吉日に登記申請をするといいでしょう。
会社設立日を2日以降にするとすこし節税できる?
会社設立日を2日以降に設定すると、その月の法人住民税(地方税)の“均等割”が切捨てられるのをご存じでしょうか?
法人(会社)を設立すると、法人税や住民税を納めることになります。
このうち住民税には「均等割」という税金が含まれているのですが、会社設立日が1日の場合は、その月を含めた12ヶ月分が求められます。(東京都23区の場合は1年で7万円~380万円)
一方、会社設立日が2日以降の場合は、その月の均等割が切捨てられます。
住民税のルールでは「月の途中に会社を設立した場合は、その月の均等割が省略され、次月から計算される」という決まりがあるからです。
よって計算される均等割は11ヶ月分となり、1日に設立した場合と比べて最低でも数千円分が節税できるのです。
均等割は資本金額や従業員数によっても金額が変わりますが、会社の規模が大きくなるほど均等割の額も大きくなるので、節税効果が高くなります。
会社設立日を
決める際の注意点
会社設立日を決める際には、以下の3つを知っておきましょう。
- 会社設立日は法務局が開いている平日のみとなり、法務局が休みとなる土日祝は選べない
- 郵送の場合は到着までのタイムラグがあることを理解する
- オンライン申請の場合は会社設立日を指定できるが、ツール導入などの手間がかかる
会社の設立日は「手続きができる日」でもあるため、法務局の開庁日(平日)のみとなります。
法務局が閉まっている土日祝、年末年始などを会社設立日にすることはできませんので、注意しましょう。
また郵送で法人登記をする場合、到着までに最低でも1日、長ければ2~4日かかる場合もあります。「この日を必ず会社設立日として登記したい」という希望がある場合は、直接持参しましょう。
ちなみに、オンライン登記申請では会社設立日を指定することができます。
ただし、書類を作成するためのPDF編集ソフトや「申請用総合ソフト」の導入、商業登記電子証明書の取得などの前準備が必要になるため、必要な準備や手順を確認しておきましょう。
参考リンク:登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと
まとめ
登記の際は「登記申請が受領された日」がそのまま会社設立日となります。
思い入れのある日や縁起のよい日を会社設立日にしてもよいですし、住民税の均等割の節税を目指すのであれば2日以降の日付で会社を設立するのもひとつの選択肢でしょう。
これから会社を設立する方は、ご紹介したポイントや注意点を参考に、会社設立日を決めてみてください。