現在社労士としてお勤めになられている方の中には、「独立すべきか、それとも雇われのまま働くべきか」と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、本項では開業社労士として独立した場合のメリット・デメリットをご紹介します。それぞれ比較したうえで「独立したい」という方は、ぜひ手続きの流れをチェックしてみて下さい。
社労士が独立開業をするメリット・デメリット
社労士の働き方には、社労士事務所などで雇用されて働く「勤務社労士」と、独立して事務所を持つ「開業社労士」があります。
このうち開業社労士には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
社労士が独立開業するメリット
社労士として開業するメリットは以下の3つです。
- 頑張り次第で収入アップが期待できる
- 自分の裁量で仕事量を調整できる
- 多くのクライアントと関わることができる
社労士が独立開業するメリットは、なんといっても仕事の自由度が上がる点でしょう。
勤務社労士の場合は勤務先で設定された給与にボーナスをプラスした額しかもらえません。一方、開業した場合は自分の裁量で仕事量やクライアントを決められます。収入も青天井となるため、頑張った分だけ収入アップも望めるでしょう。
また勤務社労士は特定の企業のみがクライアントとなりますが、開業社労士の場合は幅広いクライアントと関わることができます。さまざまな人と関りを持てることで良い刺激にもなりますし、新たな人脈を形成できれば、仕事を紹介してもらえる可能性もあるでしょう。
社労士が独立開業するデメリット
社労士が独立開業するデメリットは次の3つです。勤務社労士と比べると、収入面の不安や営業の不安などがデメリットとして挙げられるでしょう。
- 月によって収入が不安定になる
- 自分で営業をしなくてはならない
- 確定申告などの手間が増える
毎月固定給をもらっている勤務社労士に比べ、開業した社労士は収入が不安定になりがち。また勤務社労士と異なり、自身で営業をかけ、顧客を獲得する必要がある点もデメリットといえるでしょう。
さらに、必要な事務処理が増えるのもデメリットかもしれません。
勤務社労士の場合は毎年職場で「年末調整」をしてもらえますが、開業社労士は「帳簿付け」「確定申告」などの税務的な事務作業をしなくてはなりません。人によってはこうした細かな事務作業が苦になる場合もあるでしょう。
社労士の開業手続きの大まかな流れ
社労士として独立開業するには、社労士資格を取得しなくてはなりません。また必要な講習の受講や登録、開業などの手続きも必要になります。
開業社労士になりたい方は、以下の流れを把握しておきましょう。
- 社労士資格の取得
- 「事務指定講習」の受講
- 社労士名簿へ「開業登録」をする
- 開業の準備を進める
- 個人事業主として開業手続きをする
1.社労士資格の取得
当然のことではありますが、社労士として独立開業するには「社労士」の国家資格が必要です。
(すでに資格をお持ちの方は2以降の流れをお読みください。)
社労士の国家試験は例年8月の第4日曜日に開催されています。
社労士を目指す方の平均勉強時間は800~1000時間、合格率は2~7%と難関の資格だといえます。資格をお持ちではない方は、まず合格を目指しましょう。
受験資格や受験料などの詳しい情報は、公式サイトをご確認ください。
参考リンク:社会保険労務士試験オフィシャルサイト
2.「事務指定講習」の受講
試験に合格したあとは社労士名簿へ登録をしなくてはなりません。
社労士名簿の登録には、「2年以上の実務経験」か「事務指定講習の受講」が条件となります。
勤務社労士として2年以上実務経験がある方は、そのまま開業登録をすればOKです。
勤務経験のない方は、約4カ月間の事務指定講習を受講します。
講習の受講には77,000円の費用がかかるので、準備しておきましょう。
3.社労士名簿へ「開業登録」をする
2の条件を満たせたら、さっそく社労士名簿へ「開業登録」をしましょう。
開業登録は、開業予定の事務所を管轄している「都道府県社会保険労務士会」で行います。
登録手続きには登録免許税(3万円)、登録手数料(3万円)、社労士会への入会金・年会費などの費用がかかるため、あらかじめ要確認です。大体20~30万円くらいを想定しておくとよいでしょう。
最寄りの社労士会や必要な書類については、全国社会保険労務士会連合会の公式サイトから検索できます。こちらも確認してみましょう。
参考リンク:全国社会保険労務士会連合会
管轄の社労士会で登録手続きをしたあとは、全国社会保険労務士会連合会により審査が行われ、2週間ほどで証票(登録の証となる書面)が届きます。
4.開業の準備を進める
社労士として正式に登録されたら、以下の準備を進めていきます。
- 事業計画の作成
- 屋号(事務所名)の決定
- 事務所Webサイトの作成
- 事務所探し、および賃貸契約
- SNSやチラシなどによる宣伝
5.個人事業主として開業手続きをする
開業の準備がすべて整ったら、個人事業主として開業の手続きを行います。
開業届の提出が終われば、晴れて開業社労士としてのスタートです。
社労士が個人事業主として開業する際にすべきこと
社労士が個人事業主として開業するには、開業届の提出前後にやるべきことがあります。
税務署へ開業届、青色申告承認申請書を提出する
個人事業主として開業するには、税務署へ「開業届」を提出しなくてはなりません。
また、青色申告をする場合は「青色申告承認申請書」も併せて提出します。青色申告で確定申告をすると、特別控除(最大65万円)が受けられたり、赤字の3年間繰り越しが利用できたりといったメリットがあります。特別な理由がない限りは、青色申告の申請をしておくと良いでしょう。
国民年金、国民健康保険への加入
個人事業主になると、会社の社会保険から国民年金、国民健康保険への切り替えが必要になります。
開業したあとは、忘れずに自治体へ切り替え手続きをしに行きましょう。
屋号印の作成、および屋号付き口座の作成
開業後は屋号の印鑑(屋号印)を作成しておきましょう。社内文書はもちろんですが、対外的な文書などへ屋号印を利用すれば、信頼性を高められます。
また、屋号での銀行口座を開設しておくのもおすすめです。個人口座に比べ事業の信頼性アップにつながるほか、確定申告の作業、手続きがラクになる効果もあります。
社労士の独立開業にかかる費用は?
社労士の開業にかかる費用は、平均100万円といわれています。
- 社労士としての登録料(登録免許税+手数料で6万円)
- 社労士会の入会費、年会費(約15万円前後)
- その他オフィスなどを借りる初期費用、活動費、広告宣伝費
事務所の広さや立地によっては、さらに多くの費用が掛かるでしょう。
事務所の賃料や固定費を節約したい方は、ご自宅で開業されるという選択肢も検討してみるといいかもしれません。
社労士は自宅開業も可能?
社労士は条件を満たせば自宅で開業することもできます。
自宅開業のメリット
- 事務所にかかる家賃、固定費が浮く
- 自宅の家賃や光熱費も経費として申告でき、利益率がアップする
- 通勤の必要がなくプライベートの用事にも対応しやすい
自宅で社労士として開業する場合は固定費が削減できる点が最大のメリット。自宅家賃や光熱費などを按分し、経費として申告できるため、利益率アップにもつながるでしょう。
また自宅を事務所とするため、通勤時間なく働けるのも魅力といえます。家事や子育て、介護など、プライベートと両立しながら働けるため、ライフワークバランスの向上も期待できます。
自宅開業のデメリット
- 自宅住所が公開されてしまう
- 自宅ということで顧客に信用されにくい場合も
- そもそも自宅での開業ができない場合もある
自宅開業のデメリットは、自宅住所が第三者に公開されてしまう点です。
社労士として社会保険労務士会へ登録すると、住所や氏名が公開されることになります。個人情報が知らない人にわたってしまうだけでなく、心無いいたずらや嫌がらせを受けるリスクも考えられるでしょう。
さらに、独立した事務所を構えるのに比べ、自宅開業は信頼を得にくいというデメリットもあるでしょう。そうなれば顧客が流れてしまい、売り上げが低下するおそれもあります。
なお、お住まいの住宅によっては「商業利用ができない」と定められている場合があります。このような住宅では、許可が下りない限り事務所として利用することはできません。
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