住宅ローンを組むときや子育て支援・福祉サービスを利用する際には、「課税証明書」の提出を求められます。そもそも課税証明書とはどのような書類なのでしょうか。
ここでは、課税証明書の記載内容や必要になるケース、請求手段や交付請求書の書き方を解説します。お住いの自治体での交付方法、様式と合わせて確認していただき、必要な時にスムーズに請求できるように準備しておきましょう。
課税証明書とは?証明内容について
課税証明書とは、「所得」「課税額」を証明する書類です。
住宅ローンの審査や児童手当などの公的制度を利用する際には、課税証明書の提出が必要になります。
- 個人の所得
- 扶養状況(扶養家族の人数、控除の内訳)
- 住民税の課税額
- 所得金額
- 課税標準額
ちなみに前年度の所得に対し住民税が非課税であった場合、課税証明書には「非課税である」旨が記載されます。
課税証明書と納税証明書の違い
課税証明書に似た書類に「納税証明書」というものもあります。
納税証明書は「納税額」について証明する書類で、納付すべき税額、納付額及び未納額などが記載されています。
課税証明書が1年間の課税額を記載したものであるのに対し、納税証明書は「対象税目の納付状況」について証明する書類のため、それぞれ内容が異なります。
年度途中で引っ越しをした場合は?
「年度の途中で引っ越しをしたが、ローンを組む際に直近の課税証明書を求められた」という場合は、1月1日時点で住んでいた自治体に課税証明書を請求する必要があります。
遠方の場合は郵送でも請求が可能(後述します)なので、覚えておくとよいでしょう。
課税証明書はどんな場面で必要になる?
課税証明書が必要になるのは次のようなシーンです。
- 銀行で住宅ローンを組むとき
- 児童手当の申請をするとき
- 保育園入園手続きをするとき
- 奨学金を申請するとき
- 公的年金手続きをするとき
- 所得制限ありの公共サービスを利用するとき
これらの申請手続きでは「所得の有無や金額」が重要な要素になります。
たとえば保育園入園では、自治体に納税している「住民税」が保育料の算定に使われます。
また一定額を下回る人しか受けられない・申し込めないサービス(一部の奨学金制度、UR住宅の申請など)の審査のために課税証明書の提出を求めるケースも多いです。
課税証明書の取得方法
課税証明書の取得方法は複数あります。たとえば東京都港区では、次の4つの方法で課税証明書を請求することができます。
- 窓口での申請
- 郵送での申請
- コンビニ発行(一部の自治体)
- インターネットからの交付申請(一部の自治体)
コンビニ発行やインターネットでの交付申請については、現状として一部の自治体のみが対応しています。
お住まいの自治体によっては対応していない場合もあるので、あらかじめ確認しておいてください。
窓口での申請
窓口で課税証明書を請求する場合は、以下の持ち物が必要です。
- 課税証明書の交付請求書(窓口でもらうかHPからダウンロード可)
- 本人確認書類
- 印鑑(認印)
- 手数料(300円程度)
- 委任状、代理人の本人確認書類(本人以外が申請する場合)
課税証明書の交付申請書は窓口で記入してもかまいませんし、事前に自治体HPからダウンロードし、プリントアウトして記入・持参しても大丈夫です。
本人確認書類は免許証やマイナンバーカードなどの「顔写真付き証明書」であれば1点でかまいません。顔写真のついていない身分証明書(保険証など)の場合は2点提示が必要です。
申込時に印鑑、手数料も必要なので忘れずに準備していきましょう。
また、本人以外の代理人が課税証明書を発行したい場合、「委任状」「代理人の本人確認書類」が必要です。
引用元:納税・課税証明書委任状|港区
委任状が必要な場合は、公式サイトから委任状をダウンロード&印刷し、あらかじめ記入しておくことをおすすめします。というのも、委任状に「委任者の住所・氏名・生年月日・電話番号」を記入し、押印が必要なためです。
もし何らかの理由でダウンロードできない場合は、委任状の記入必須項目と同じ内容を便せんなどに記入し、持参します。
郵送での申請
役所が遠くなかなか窓口に来られない場合は、郵送での申請も可能です。
郵送での申請は本人のみが可能で、原則として代理人に委任することはできません。(※自治体によって対応が異なる場合があります)
- 課税証明書の交付申請書(必要事項を記入する)
- 交付手数料分の定額小為替
- 本人確認書類のコピー
- 返信用封筒
郵送ならではの準備物として「交付手数料分の定額小為替」「返信用封筒」があります。
定額小為替は郵便局の窓口で購入できるもので、切手や印紙とは異なります。
「指定受取人おなまえ」の欄は未記入のまま、何も書き加えずに同封しましょう。
また、返信用封筒には「返送先の郵便番号、住所、宛名」「返信送料分の切手」を貼っておきます。
書留や速達で送付してほしい場合は、それらに応じた料金分の切手を貼っておきます(ふせんなどで希望の送付方法をひとこと添えておくとていねいです)。
自治体によっては「課税証明書の請求はこの課・この係に送ってください」と指示をしている場合もあるので、送付先については公式サイトや電話での問い合わせなどで確認しておきましょう。
コンビニ発行(一部の自治体)
マイナンバーカードを作成している人は、コンビニのコピー機から課税証明書を発行できる場合があります。
発行手数料は窓口・郵送に比べてやや低い傾向にあり、わざわざ役所に行かなくても発行できるのが大きなメリットです。
ただし、発行できる時間帯に制限がある(24時間ではない)点には注意しましょう。
自治体によってはコンビニでの公的書類の発行に対応していなかったり、「住民票のみ発行可」というふうに発行できる証明書を限定していたりするケースもあるので、お住いの自治体で確認してみましょう。
インターネットからの交付申請(一部の自治体)
一部自治体においては、スマートフォン、マイナンバーカードを使ってインターネットから課税証明書を請求することができます。
インターネット交付申請の場合、支払いはクレジットカードで行います。またマイナンバーカードに署名用電子証明書が搭載されていることが条件となります。
申請した課税証明書は郵便で送られてくるため、手数料+送料実費の合計額が請求される仕組みです。手元に届くまでにタイムラグこそありますが、自宅から一歩も出ずに課税証明書を請求できるのはかなり大きなメリットといえるでしょう。
課税証明書の交付申請の書き方は?
コンビニやネット交付以外の方法(窓口または郵送)で課税証明書を請求する場合、交付申請書に必要事項を記入し、提出する必要があります。
この交付申請書は「課税証明等交付申請書」「納課税証明書交付申請書」など、自治体ごとに名前は異なりますが、内容はほぼ同一です。
以下は港区の場合の納課税証明書交付申請書です。
引用元:納課税証明書交付申請書|港区
右上に日付を記入したら、申請書の番号の順番に以下を記入していきます。
②窓口に来た人
③代理人の情報
④必要な証明書の種類、年度、枚数
⑤使用目的
それぞれの詳細な書き方を見ていきましょう。
①証明が必要な人(納税義務者)の住所、氏名、電話番号、生年月日
はじめに、課税額の証明をしたい人の情報を記入します。
- 1月1日現在の住所(現住所と異なる場合)
- 現住所
- 電話番号
- 氏名、フリガナ、旧姓(年度途中で姓が変わった場合)
- 生年月日
1月1日時点での住所と現住所が違う場合は、旧住所も記入しましょう。
②窓口に来た人
窓口に来た人が本人であれば「本人」に○を、本人以外の場合は「本人以外の人」を○で囲みます。
③代理人の情報
代理人が課税証明書を請求する場合は、代理人の住所、電話番号、氏名を記入します。
申請者と同じ住所に住んでいる場合は住所を書かず、「申請者と同じ」にチェックを入れればOKです。
④必要な証明書の種類、年度、枚数
港区のように同じ様式内で「課税証明書」「納税証明書」というふうに複数の証明書が請求できる場合は、該当するものに○をつけます。
また、
- 課税(納税)を証明したい年度
- 申請枚数
についても忘れずに記入しましょう。
⑤使用目的
課税証明書の使用目的を記入します。
港区の場合は以下のように選択式になっています。
- 金融機関融資手続き(ローン申請等)
- ビザ申請・帰化申請等
- 扶養申請のため
- 児童手当の申請、乳幼児・子ども医療証発行のため
就学援助、幼稚園入園 - その他住宅(UR・公社・都民住宅・一般賃貸住宅等)
- 児童扶養手当 児童育成手当等
- 保育園入園
- 奨学金申請・育英資金申請(貸付・返還猶予)
- 公的年金各種手続き(老齢・障害年金等)
- 東京都シルバーパス申請
- 心身障害者医療費・手当等(自立支援申請を含む)
- 都営住宅・港区区民向け住宅
- その他(具体的な理由、提出先の記入が必要)
なお、自治体によっては選択式ではなく自由記述で記入するケースもありますので、よく確認しておきましょう。
課税証明書の交付(請求)方法は自治体によっても微妙に異なるため、コンビニ交付やインターネット交付に対応しているかは事前の確認が必須となります。不安な場合は最寄りの役所に聞いてみるとよいかもしれませんね。
また、年度途中で引っ越しをしている場合は郵送(往復)での交付請求になるので、手元に届くまでに4~7日程度のタイムラグが発生します。郵送請求になるときは早めの申請を心がけるとよいでしょう。