ビジネスでは、他社に商品やサービスなどの見積もりを出してもらったとき、どうしても断らざるを得ない場面があります。このときの“お断りメール”の書き方によって、相手からの印象は大きく変わります。
ここでは、見積もりを断るメールを書く時のマナーや、実際の例文をご紹介します。
また複数社に見積もりを依頼する「相見積もり」の断りメールのマナー&例文もご紹介するので、ぜひ参考にしてみて下さい。
見積もりを断るメールを送るときの5つのマナーは?
普段のメールと同様に、見積もりを断るメールでも“ビジネスマナー”をわきまえておきたいもの。
具体的には以下の5つのマナーを押さえておくとよいでしょう。
見積もりに対する感謝を伝える
相手方は、手間や労力をかけて見積もりを作成してくれています。
たとえ見積もりを断る場合であっても、まずはその手間や労力に対し「感謝の気持ち」を述べましょう。
クッション言葉を使い、やわらかい言い方を心がける
ビジネスメールでは簡潔な言い回しが好まれますが、あまりにも簡潔すぎると相手にそっけない印象を与えてしまいます。
特に、今後も相手との関係性を継続したいのであれば、クッション言葉でやわらかい言い方を心がけるのがベストでしょう。
- 「せっかくのご提案ですが」
- 「まことに残念ながら」
- 「大変申し訳ございませんが」
- 「恐縮ではございますが」
このような言葉をうまく利用することで、カドを立てずに断ることができます。
期待を持たせるような「あいまい表現」は使わず、はっきり断る
見積もりを断るメールを送る場合、相手に期待を持たせるような「あいまいな表現」を避けましょう。
お断りメールでは、相手にできるだけ不快感を与えぬよう、やわらかい表現を心がけるのは大切です。
しかし「金額がもう少し低ければ」「スケジュールがあと1日早ければ」のような表現を使うと、相手は「条件さえ飲めば契約してくれるのか」と解釈してしまうかもしれません。
相手方に勘違いされないよう、「今回はお断りさせていただくことになりました」など、はっきりと「断る」旨を記載しましょう。
断る理由を書く
自分がお願いをしたときに「ダメ」としか言われないと、モヤモヤが残るものです。
これは見積もりを断るメールでも同様で、「なぜ断るのか」を書いていないと、相手に不快感を与えてしまいます。
お断りメールには「予算の折り合いがつかず」「スケジュールの都合が合わず」など、簡潔に断る理由を書きましょう。
相手に伝えにくい理由である場合は「検討を重ねてまいりましたが、今回は残念ながらお取引をお見送りさせていただきます」というように、あくまでも“こちらの都合で断る”旨を伝えましょう。
相手を尊重しつつ「今後の愛顧」をお願いする一文を添える
見積もりを断るメールでは、相手の立場や気持ちを尊重したうえで文面を作成しましょう。
「今回の見積もりは断るが、今後もあなた方とは付き合いを続けたい」
「今後また何かあれば提案を依頼するかもしれないので、その時はお願いしたい」
という一文を添えておくと、関係が悪化することもありません。
メールだけでなく「電話」で断る場合のマナー

見積もりを断る際、多くのケースではメールでのやり取りが一般的です。 しかし、案件の金額が大きい場合や、日頃から付き合いのある取引先の場合は、電話でお断りをする方が適切なこともあります。
メールか電話かの判断基準
次のような場合は、電話で直接伝えるのがマナーとされています。
- 相手企業との取引関係が深く、今後も関係を続けたい場合
- 高額・長期契約など、重要度の高い案件の場合
- メールだけでは誤解を招くおそれがある内容の場合
- 相手が見積もり作成に多くの時間・労力をかけてくれた場合
一方、単発案件や、まだ取引関係が浅い場合は、丁寧なメールでの対応でも問題ありません。
ただし、「まずはメールでお断りを伝え、後ほどフォローの電話を入れる」という対応も印象が良くおすすめです。
電話で断る際の流れとマナー
電話でお断りをする場合も、ポイントを押さえることで印象を損なわずに対応できます。
- 感謝を伝える
 「お見積もりをいただき、誠にありがとうございました」など、まずは労をねぎらう一言から始めましょう。
- 断る理由を簡潔に伝える
 「社内で検討しました結果、今回は弊社の都合で見送ることになりました」など、自社都合である旨を強調します。
- 今後の関係をフォローする
 「また機会がございましたらぜひご相談させてください」と伝えることで、関係を良好に保てます。
電話での断り方の例文
「○○株式会社の○○です。
先日はお忙しい中、お見積もりを作成いただきありがとうございました。
社内で慎重に検討した結果、今回は弊社の事情により見送らせていただくこととなりました。
貴重なお時間をいただきながらこのような結果となり誠に恐縮ですが、また機会がございましたらぜひよろしくお願いいたします。」
メールと違い、相手の声のトーンや反応に合わせて言葉を補えるのが電話の利点です。
「断る=終わり」ではなく、今後につながるやり取りを意識しましょう。
見積もりを断る際のメール例文

見積もりをメールで断る際は、例文を参考にしながら文章を考えるとよいでしょう。
文章を考える際には、以下の3点を最低限押さえておくことが大切です。
- 見積もりをしてくれたことへの感謝
- 断る旨とその理由
- 今後についてのフォローなど
上記3つをふまえて、例文を見てみましょう。
見積もりを断るメールの例文①:予算が合わなかった場合
○○株式会社
商品開発部 △△様平素より格別のお引き立てをありがとうございます。
株式会社□□ 人事部の○○です。この度はお見積もりいただき、まことにありがとうございました。
ご提案いただきましたお見積もりをもとに社内で慎重に検討しました結果、
まことに残念ながら今回は見送らせていただくことになりました。
ご提案いただいた費用が、弊社の予算設定とどうしても合わなかったことが理由でございます。お時間をさいてご提案いただきながらもお断りいたしますこと、心からお詫び申し上げます。
今回はこのような結果になり恐縮ですが、また別の機会がございましたら、ぜひご依頼をさせて頂きたいと考えております。
その際はぜひともよろしくお願い申し上げます。----------------------
株式会社□□
人事部 ○○
TEL:000-000-000
メールアドレス:xxxx@xxxxxx.com
見積もりを断るメールの例文②:納期が合わなかった場合
○○株式会社
商品開発部 △△様平素より格別のお引き立てをありがとうございます。
株式会社□□ 営業部の○○です。この度はお見積もりいただき、まことにありがとうございました。
ご提案内容をふまえ弊社で検討いたしましたところ、残念ながらご提示いただいた納期では作業に間に合わせることができず、お引き受けしがたい状況です。従いまして、今回は貴社とのお取引を見送らせていただくこととなりました。
まことに申し訳ございませんが、弊社の事情をご賢察のうえ、了承くださいますようお願い申し上げます。まずはお詫びかたがた、お返事申し上げます。
----------------------
株式会社□□
人事部 ○○
TEL:000-000-000
メールアドレス:xxxx@xxxxxx.com
なお、こちらの例文はあくまでも一例です。
内容や言い回しは断る理由、相手との関係性によって変えてみましょう。
相見積もりを断るメールを送る際のマナー

「相見積もり」とは、業者に仕事を依頼したり、商品・サービスを購入したりする際に複数社から見積もりをもらうことを指します。
複数の見積もりをもらったあとは比較・検討したうえで1社に決定し、残りの選ばれなかった会社についてはメールで断ることになります。
トラブルにならず、かつスムーズに見積もりを断るには、以下のマナーを押さえておきましょう。
見積もりを断るメールはなるべく早めに送る
見積もりを出した側は、「自社の受注・売上につながるかもしれない」として手配などの準備を進めて待機している場合があります。
もしこちらが断る旨を伝えるのが遅くなれば、相手が準備・待機につかった手間や時間をムダにしてしまうことになるでしょう。
相手に余計な手間・時間を使わせないためにも、見積もりへのレスポンスはできる限り早くおこないましょう。
特にこうした「お断りメール」は、決定次第すぐに送信すべきです。
相見積もりを出してくれたことへの感謝を述べる
相見積もりは異なる会社へ見積もりを依頼しますが、それぞれの会社で見積もりを作成、送信する手間がかかっています。
そのためお断りメールでは、まず「見積もりを出してくれたこと」に対する感謝を述べましょう。
感謝の一文があるかないかで、相手からの印象は大きく変わります。
なぜ断るのか、理由を伝える
1社のみの見積もりと同様に、相見積もりでも「なぜ断るのか」をしっかりと伝えることが重要です。
相手からすれば「断られる」というのはネガティブな感情を抱くもの。その際に断られた際に理由が分からないと、モヤモヤとした感情を抱かれてしまいます。
「こちらの都合で断る」というふうに、ひとこと理由を添えて断るようにしましょう。
なお、「他社に決めることにした」というふうに、相見積もりであったことを伝える必要はありません。
どこの業者にしたのかが伝わると、業者間でのトラブルに発展するおそれがあります。
相見積もりで絶対に避けたいNG行為
他社情報を伝えるのはNG
他社の社名や見積金額を伝えるのは信用問題につながります。比較対象の詳細は一切口外せず、業界全体の信頼を守ることを意識しましょう。
値引き交渉の材料に使うのもマナー違反
他社の見積もりをもとに値下げを求めることは避けましょう。相見積もりはあくまで検討のためであり、価格交渉の道具ではありません。
断る理由は一貫して「自社都合」に
「他社に決めた」という伝え方ではなく、「弊社の都合で今回は見送らせていただきます」といった表現に統一しましょう。
相見積もりを断るメールの例文

相見積もりを断る場合も、通常の見積もりお断りメールとほぼ同じ文面でかまいません。
ただし、「他社と比較するような言葉」を明記するのは避けましょう。
- 見積もりをしてくれたことへの感謝
- 断る旨とその理由(他社と比較する内容は書かず、あくまでも自社都合という内容に)
- 今後についてのフォローなど
相見積もりを断る場合の例文
○○株式会社
営業部 △△様平素より格別のお引き立てをありがとうございます。
株式会社□□ 総務部の○○です。この度は○○のお見積もりについてご提案いただき、まことにありがとうございました。
ご提案いただきましたお見積もりをもとに社内で慎重に検討しました結果、
納品スケジュールが弊社の都合とどうしても折り合いがつかなかったため、残念ながら今回はお断りさせていただくことになりました。貴重なお時間をさいてご提案いただきながらもお断りいたしますこと、心からお詫び申し上げます。
また別の機会がございましたら、ぜひご依頼をさせて頂きたいと考えておりますので、その際はぜひともよろしくお願い申し上げます。
貴社のますますのご発展を祈念しております。
----------------------
株式会社□□
総務部 ○○
TEL:000-000-000
メールアドレス:xxxx@xxxxxx.com
送信前チェックリスト|失礼がないか最終確認しよう
見積もりのお断りメールを作成したあと、多くの方が「この内容で本当に大丈夫かな?」と不安を感じます。以下のチェックリストで最終確認してみましょう。
| 項目 | 詳細な確認内容 | 確認 | 
|---|---|---|
| 【感謝・労力】 | 相手が費やした「お時間」や「お見積もりの作成」に対する感謝の言葉が、本文の冒頭と結びに入っているか? | □ | 
| 【結論の明確さ】 | 「見送らせていただきます」「今回は辞退いたします」など、断りの意思を曖昧さなく、はっきりと伝えているか? | □ | 
| 【表現の柔らかさ】 | 「大変恐縮ですが」「誠に心苦しいのですが」などのクッション言葉を使用して、結論の前に挟んでいるか? | □ | 
| 【関係性維持】 | 「この度はご縁がありませんでしたが、またの機会にはぜひ」といった、次回につながる前向きな一文を添えているか? | □ | 
| 【NG事項の排除】 | 断る理由として、他社の社名や見積もり金額など、他社と比較する情報や不必要な批判を一切含んでいないか? | □ | 
まとめ|断るときこそ「誠実さ」が伝わる
見積もりを断る行為は誰にとっても気が重いものですが、断り方のマナー次第で「信頼が深まる」こともあります。
感謝を伝え、あいまいな表現を避け、理由は自社都合として統一する。そして必要に応じて電話でも誠意をもって伝える。
これらを意識することで、断る場面でも誠実な印象を残すことができるでしょう。
ご紹介したマナーや例文を参考にしつつ、“感じの良いお断りメール”を意識してみましょう。









 
  
  
  
  






