バリバリと忙しく働く人々のなかに、「社内ニート」と呼ばれる人が紛れていることがあります。
職場に社内ニートが存在していると、職場の協調性が崩れたり、周りの人のモチベーションが低下したりする恐れもあり、なんとか対処したいものです。
一方で、社内ニートが生まれる理由には、社内ニート本人によるものだけでなく、職場の環境が原因となっているケースもあるといいます。
そこで今回は、社内ニートの特徴や社内ニートが生まれる原因、そして企業ができる対策など、社内ニートに関して詳しく解説していきたいと思います。
社内ニートの特徴とは?
社内ニートとは、企業に属していながらも職場で主だった仕事がなく、暇を持て余している社員を指します。
与えられる仕事と言えば、誰でもできる簡単な雑務や掃除など、特にスキルが必要となる仕事は任せてもらえず、短時間で終わってしまうため、就業時間中でも時間に余裕があります。
勤務時間中、時間を持て余しているので、仕事をしているフリをしたり、ネットサーフィンやゲームや雑談をしたりして、暇つぶしをする社内ニートもいます。
また、トイレ休憩やタバコ休憩の頻度が高いのも、社内ニートの特徴として挙げられます。トイレの中でスマートフォンをいじったり仮眠をしたり、タバコを何本も吸ったりして、時間をやり過ごす人もいます。
社内ニートに陥る原因
社内ニートに陥る原因には、大きくわけて2つあります。
ひとつ目は、入社間もない社員において積極性にかけているケースです。
入社して間もない社員は、何をしたらよいのかわからず、与えられた仕事をただこなしているという人も少なくありません。
仕事を任せられるスキルが備わっていないため、周囲から簡単な雑用のみを与えられがちです。
積極性のある新入社員なら、スキルや知識が必要な業務も、周囲に教えを請いながら積極的にこなしていくことができますが、積極性に欠けている新入社員は、受け身のままで雑用から抜け出すことが出来ず、スキルがいつまでも備わりません。
新入社員を社内ニートにしないためには、上司がうまく仕事を割り振るなどして、少しずつ仕事分担を増やしていくことが必要です。
ふたつ目は、業務が本人の適正にあっていないというケースです。
仕事を与えても、ミスが多いと重要な仕事を任せることができません。
本人に改善の意思が見られず、仕事に向き合う姿勢に誠実さが欠けていると、次第に任せられる仕事も減っていくでしょう。
特に、ミスを他人のせいにする、納期を守らない、勝手な判断で仕事を進めてしまう、やる気が見られない場合などは、社内ニートになりやすい原因です。
社内ニートを生み出しやすい環境
職場で社内ニートが生まれるのは、本人だけではなく職場の環境が原因となることもあります。
社内ニートを生みやすい職場の環境には、以下のようなものが挙げられます。
人員過多
仕事量に対する人員が多い場合は、社内ニートを生む大きな原因となります。
ルーティン業務が自動化されたにも関わらず、以前と変わらない人員が配置されている場合は、人員過多となります。
そのような場合は、業務量を洗い出して業務分担を見直す必要があります。
指導や教育の不足
上司からの指導や教育が不足していることで、業務に求められるスキルが身につかず、結果的に業務分担に偏りが起きたままの状態となってしまうことがあります。
仕事ができないと思われている人のなかには、指導や教育をしっかりと行えば戦力となり得る人もいます。本人の適正を見極め、指導を行うことで業務を任せられる要素があるのであれば、積極的に上司から指導を行うべきでしょう。
マネジメントが適切でない
職場のメンバー全体の業務量を管理者が把握していないと、業務過多な社員がいる一方で、社内ニートが生まれてしまいます。
適正な業務分担は、健全な組織のマネジメントに不可欠です。新人だからと甘やかすことなく、業務量の調整を順次行っていくことが大切です。
管理者が多忙で適切なマネジメントができないという場合は、管理者の業務を思い切って信頼できる部下へ任せることも必要です。
組織内のコミュニケーション不足
組織のなかで、上司と部下や同僚同士でのコミュニケーションが不足していることも、社内ニートを生む原因となります。
組織でコミュニケーションが不足すると、個人主義的な雰囲気が生まれ、他人が忙しくしていてもお構い無しの風潮も生まれてしまいます。
情報共有を意識的に行い、コミュニケーションを活性化することで、社内ニートの予防に努めましょう。
社内ニートを防ぐための企業対策
企業が人材を有効活用するためには、企業が社内ニートを生み出さないような環境を整えることが大切です。
社内ニートを防ぐための企業対策としては、以下の点に注目して行うのがよいでしょう。
新入社員に対する教育制度を整える
中小企業でよく見られることですが、新入社員が配属されても教育制度が整っていないことで、人材を戦力に活かすことができていない状況があります。
やる気があって入社してきても、ほったらかしにされてしまうことで、自分は期待されていないのではと次第にやる気を失ってしまう人もいるでしょう。
入社間もない時期での教育は、新入社員をいち早く戦力化させるか社内ニート化させるかに、大きな影響を与えます。
新入社員用の育成プログラムを用意して、早急に職場に溶け込み、業務に慣れるような教育を行う体制を整えましょう。
人材育成を意識した指導環境を整える
ある程度、与えられた業務に慣れた社員に対して、本人の適正を見極めてスキルアップができるよう、指導環境を整えます。
ミスが多いのは何が原因なのか、業務効率に悪影響を与えている要素は何なのか、または適切な評価が行われているかなどについてチェックを行い、適切なステップアップ研修を受けさせましょう。
管理者による定期的な業務分担への見直しを行う
管理者が業務量や仕事への取組み姿勢、成果などを定期的にチェックして、何ができていて何ができていないか、不足しているスキルは何かについて、面談等で擦り合わせます。
必要に応じて、業務内容の変更や配置換えなどを行いましょう。
職場のコミュニケーションを活性化させる
管理者と各業務担当者のみではなく、チーム内で業務の内容や進捗を積極的に共有するようにしましょう。
ルーティン業務においても、月初・月中・月末など忙しい時期にはムラがあり、また、体調不良などで急に欠勤せざるを得ない場合もあるでしょう。
チーム内でコミュニケーションを活性化させることで、お互いの業務への理解を深めておけば、社内ニートの予防だけでなく、社員が勤務しやすい環境の整備にも繋がるでしょう
定期的な人員配置の見直しを行う
社員個々の業務量は、管理者の気がつかないところで、変動しているものです。
業務量の変化に常に注視し、業務量の変化に合わせて定期的な人員配置の見直しを行いましょう。
各社員の業務内容について詳しく把握しておくことで、業務改善ができる部分はないかどうかについてもチェックすることができるようになります。組織全体で業務効率への意識を植え付けることで、企業の生産性アップにも繋がっていくでしょう。