ビジネスの場では、要求や交渉事などにおいて「お断りメール」が送られてくることも珍しくありません。特にこちらから営業や提案などを行った場合は、断られるケースも多いでしょう。
先方から取引や誘い、注文などに対するお断りメールが送られてきた場合、どのように返信すればよいのでしょうか。ここではお断りメールへの返信時に押さえておきたいマナーや、NGなマナー、返信メールの例文などを解説します。
お断りメールへ返信するときの重要マナーとは?
「営業メールを送ったが、返信でお断りされた」「値引き交渉をしたが断られた……」
このような場合、大小なりともダメージを受ける方は多いです。そんな中でも、「お断りを了承した旨の返信メール」を送ることは大切です。返信をすることで相手とのやり取りを気持ちよく終わらせられるとともに、相手からの印象も良くなります。
実際にお断りメールの返信をする際には、以下の4つのマナーを意識することが大切です。
- こちらの依頼を検討してくれた事実、返信してくれたことに対しお礼を述べる
- お断りの旨や理由に対し、了承したことを書く
- 無理なお願いに対しお詫びを述べる
- 結びの項で今後の変わらぬ付き合いを丁重にお願いする
それぞれを解説しますので、順にチェックしてみましょう。
依頼を検討してくれた事実、返信してくれたことに対しお礼を述べる
お断りメールの返信で意識したいマナーのひとつめは、「ビジネスにおいての提案・要求に対し検討してくれた事実に感謝する」ということです。
こちらの提案や要求に対し、相手は貴重な時間を割いて検討してくれています。また、もしかすると真剣にこちらの提案・要求について比較検討してくれていたかもしれません。
相手に誠意があるにしろ、ないにしろ、返信メールでは検討してくれたことへの感謝の意を示すようにしましょう。同様に、「わざわざ時間を割いて返信をくれたこと」に関しても感謝の意を述べることが大切です。
お断りの旨や理由に対し、了承したことを書く
断りたいという意思、及びその理由に対し、了承した旨を書くのは最低限のマナーです。
こちらが「とてもいい提案なのに」と思っていても、それが先方のニーズにマッチするとは限りません。先方が提案や要求を断るのには何かしらの理由があります。断られてしまうこと自体は残念ではありますが、先方の気持ちを受け止めるためにも「了承した」という意思を伝えましょう。
無理なお願いに対しお詫びを述べる
こちらの提案を向こうからお断りされるということは、何らかの不利益や不都合があったということでもあります。
返信メールではこちらが無理なお願いをしたことを意識しつつ、「無理を申し上げて申し訳ございませんでした」という気持ちを伝えましょう。
結びの項で今後の変わらぬ付き合いを丁重にお願いする
返信メールの印象や後味を大きく左右するのが「結びの文」です。
「今回は断られたが、今後も貴社(あなた)と引き続き良好な関係でありたい」という思いを込めた文章をしたためることで、先方とのしこりを残さずに付き合いを続けられます。
お断りメールへ返信するとき、こんな返信はNG!
お断りメールへの返信作成時は、次の3点に注意しましょう。
- 返信しないのは絶対にNG
- お断りの理由をしつこく尋ねるのはNG
- 再度懇願するのは避けた方がいい
先方は時間を割いてお断りメールを送信してくれています。にもかかわらず、こちらからの返信をしないのは大きなマナー違反です。また、お断りされた場合に理由をしつこく聞いたり、食い下がったりするのもNGです。
食い下がることで好転するケースもありますが、それは先方が最後まで迷っていた場合など、ごく限られた状況だけ。大半の場合は「しつこい人だな」と感じ、今後の付き合いにも影響を及ぼします。
繰り返しになりますが、お断りメールの返信をする際はこれら3点の行為を避けるようにしましょう。
【お断りメールへの返信例①】提案・新規取引などを断られた場合
ここからは、お断りメールへの返信例をご紹介していきます。
お断りメールを実際に作成する場合は、7つのポイントを押さえて書くとよいでしょう。
②書き出しの挨拶文
③返信を下さったことへのお礼の言葉
④お断りの旨を承諾したこと
⑤「残念に思っている」という気持ち
⑥次回につなげるワード
⑦結びの挨拶
仮にこちらからの提案や新規取引などをお断りされた場合は、以下のような文章を意識し、返信するとよいでしょう。
例文①:提案をお断りされた場合の返信メール例文
人事部 △△ 様
お世話になっております。
この度はご丁寧にご返信を頂き、誠にありがとうございます。
先日弊社がご提案いたしました講演会の件について、スケジュールの都合がつかないとのこと承知いたしました。
こちらこそ無理なお願いを申し上げましたこと、お詫び申し上げます。
弊社としては御社人事部の優秀な管理職である□□様からお話が伺えればと存じましたが、残念に損じます。
もし御社及び□□様のご都合がよろしければ、また別の機会にお声をかけさせていただきたく存じます。
今後とも、引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。
例文②:新規取引をお断りされた場合の返信メール例文
商品部 △△ 様
お世話になっております。
この度はご丁寧にご連絡くださいまして、誠にありがとうございます。
貴社の事業ポリシーに反するとのことで、承知いたしました。
弊社としましても貴社の販売戦略、ビジョン等に反する新規お取引は本意ではございません。状況を把握せず無理を申し上げたこと、大変失礼いたしました。
この度は残念ではございますが、今後はあくまでも御社のご意向を尊重し、別の形で御社へ寄与できますよう尽力して参ります。
また機会がございましたら、ぜひともお声掛けさせていただければ幸いです。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
【お断りメールへの返信例②】注文、値引き、商談などを断られた場合の返信
注文や値引き、商談などの提案や要求に対しお断りメールを送られた場合は、どのように返信すべきでしょうか。
例文①:注文のお断りメールをもらったときの返信例
いつもお世話になっております。
この度はご丁寧にご返信いただき、誠にありがとうございます。
弊社の提案商品の購入見送りとのことで、承知いたしました。
○○様にニーズにマッチする商品かと考えご提案させていただきましたが、ご期待に沿えず申し訳ございません。
また同時に、無理を申し上げましたこと大変失礼いたしました。
この度は残念な結果となりましたが、また別の形で○○様のお役に立てるよう努めて参ります。
今後もお引き立てのほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
例文②:値引きのお断りメールをもらったときの返信例
製造部 △△様
お世話になっております。
先日のご提案に丁寧なご返信を頂き、誠にありがとうございます。
お値引きは難しいとのことで、承知いたしました。
貴社の状況を顧みぬ無理な提案をいたしましたこと、お詫び申し上げます。
この度は残念に存じますが、別の形にて御社のお役に立てるよう努めて参ります。
引き続き、何卒よろしくお願い申し上げます。
例文③:商談のお断りメールをもらったときの返信例
□□様
いつも大変お世話になっております。
この度はご返信頂き、誠にありがとうございました。
今回はスケジュールと予算の都合がつかないご事情がおありとのことで、承知いたしました。
弊社としましても、貴社へご迷惑をお掛けすることは本意ではございません。こちらこそ、無理を申し上げて申し訳ございませんでした。
改めまして、お忙しい中、お時間を割いてご検討いただけましたことを重ねてお礼申し上げます。
今回は残念に存じますが、また貴社にとってお役に立てるよう努めて参ります。
今後とも、ご愛顧のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
お断りメールには丁寧かつ誠実な返信を心掛けよう!
先方がお断りメールを送信する際には、こちらからの提案に対し検討の手間・時間を割いた上で返信をしてくれているのが普通です。時には「心苦しいですが」と思いつつ、断らざるを得ない状況もあるでしょう。
ビジネスといえど、そのような先方の思いに対しそっけない返信をするのはどう考えても不利であり、何の得にもなりません。相手の立場に立った言葉選びをし、丁寧な返信を心掛ければ、先方へ好印象を残すこともできます。
時には「あの時はお断りしましたが、今の状況であればぜひ」という風に、将来のビジネスチャンスへとつながる可能性もあります。お断りメールの返信こそ、丁寧で誠実な対応を心掛けましょう。