バーチャルオフィスについて調べていると「違法では?」「怪しい」という意見を見ることがあり、ご不安に感じられている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
結論から言えばバーチャルオフィスは違法ではなく、れっきとしたオフィスサービスのひとつです。本記事では、なぜバーチャルオフィスが違法で怪しいと言われてしまうのか、その理由を解説。
さらに、法人登記ができる業種・できない業種についての解説や、信頼できるバーチャルオフィス会社の選び方についてもご紹介します。バーチャルオフィスの利用を検討中の方は、ぜひご参考にしてみてください。
バーチャルオフィスのサービスは違法?
結論から申し上げますと、バーチャルオフィスは違法ではありません。
法的にも認められた住所貸しサービスであり、法人からフリーランス、副業ワーカーまで多くの方々がご利用されています。
そもそも法人登記では「本店所在地は特定の住所でなくてはならない」といった制限はありません。また個人事業主やフリーランスが提出する開業届についても同じことが言えます。
またネット通販などで記載する「特定商取引法に基づく表記」でも、バーチャルオフィスの住所を記載することは認められています。
バーチャルオフィスについては以下の記事でもくわしく解説しています。ぜひこちらもご参考にしてみてください。
バーチャルオフィスに関する法律について
バーチャルオフィスの利用、およびバーチャルオフィスでの法人登記は違法性がなく、法的に全く問題のない行為です。そんな中、バーチャルオフィスについては詐欺などの犯罪を防止するための“3つの法律”が定められており、それぞれ法を遵守したうえで利用する必要があります。
ここでは、バーチャルオフィスに関する3つの法律について解説します。各法律の要旨や制定のあらまし、注意点などをチェックしてみましょう。
犯罪収益移転防止法
犯罪収益移転防止法とは、バーチャルオフィスの提供事業者・利用者双方に適用される法律です。
バーチャルオフィスを悪用した犯罪組織の資金洗浄(マネーロンダリング)、端的にいえば「犯罪による収益の移転」を阻止するため、2008年に改正が行われました。
同年の改正では、バーチャルオフィスの申し込みや法人銀行口座の開設において以下の影響がありました。
- バーチャルオフィス事業者に対し、申し込みをした利用者の本人確認の義務化
- 法人銀行口座の開設審査の厳格化
また銀行については口座の譲渡や貸与、他人名義・架空名義での申し込み、法令・公序良俗に反する行為を目的とした申し込みも犯罪収益移転防止法違反となります。
利用者側としては、本人確認を行っているバーチャルオフィスを選ぶ必要があります。
法人銀行口座開設については、審査に必要な証明書類や印鑑だけでなく、事業の実態を示す資料(事業計画書など事業実態がわかるもの)をきちんと準備して臨むことが重要です。
代理人が申し込む場合は、他人名義での申し込みを疑われぬよう、委任状の添付を忘れずに行いましょう。
特定商取引法
特定商取引法は通信販売事業者が対象となる法律で、消費者のトラブルや不利益を予防し、公正な商取引を行うために制定されました。
バーチャルオフィスにかかわりが深く、かつわかりやすい例が「ネットショップ」です。
特定商取引法では販売価格や送料、その他購入者等が負担すべき金銭の内容と額、商品の引き渡し時期などを明確に掲載する必要があると定められています。
またネットショップを開設する場合、個人・法人にかかわらず「特定商取引法に基づく表記」として次の項目をショップ内へ掲載する必要があります。
- 事業者の氏名(名称)
- 住所(事務所、事業所)
- 電話番号
特定商取引法に基づく表記については、以下の条件を満たした場合にバーチャルオフィスの住所を利用してもよいとされています。
- 開示請求があった場合、正しい情報を遅滞なく開示すること
- 情報開示に対応する旨をネットショップ内に明記している
- 遅滞なく情報開示ができる体制を整えている
反対に言えば、上記の条件を満たさないままバーチャルオフィスの住所を連絡先として掲載していた場合、虚偽の住所を表示していたとして表示義務違反とみなされる可能性があるということです。
バーチャルオフィスを利用してネットショップを開く場合は、かならず特商法で決められた条件を守りましょう。
個人情報保護法
個人情報保護法では、バーチャルオフィスの提供事業者、および個人情報を扱っている全企業が対象となります。
顧客等の個人情報が流出した場合、流出された側は大きな損害を被ってしまう可能性が高くなります。
このような事態を防ぐために制定されたのが個人情報保護法であり、「個人情報の送信時にセキュアなサービス(暗号化等)を利用する」「収集した個人情報の利用目的等を契約等の前に通知し、同意を得る」「不特定多数がアクセスできないシステム等を利用し、個人情報を厳重に管理する」といった対策が必須です。
個人情報の漏洩・流出は処罰の対象となるだけでなく、企業の信頼を失うため大きな痛手となります。
またバーチャルオフィスを利用する側としても、個人情報を厳重に扱ってくれるバーチャルオフィスを選ぶようにしましょう。
バーチャルオフィスでの法人登記について
ここまではバーチャルオフィスには違法性がなく安全なサービスであることや、バーチャルオフィスに関する3つの法律について解説しました。
近年はバーチャルオフィスを利用して法人登記を行う企業も増えており、うまく活用すればコストを抑えながら起業することができます。
本項では、バーチャルオフィスでの法人登記について、費用や登記の流れ、メリット・デメリットについて解説します。
法人登記の費用
法人登記の費用は会社の形態にも異なりますが、多くの企業が選択する「株式会社」であれば約20~25万円、「合同会社」の場合は約7~10万円程度です。
それぞれの内訳は以下のとおりです。
株式会社 | 合同会社 | |
---|---|---|
登録免許税 | 15万円 (または資本金額×1000分の7のいずれか大きい額) ※会社の資本金額によって変化あり | 6万円 (または資本金額×1000分の7のいずれか大きい額) ※会社の資本金額によって変化あり |
定款の認証費用 | 3~5万円 | 不要 |
定款の印紙代 | 4万円(紙の場合) 電子定款の場合は不要 | |
その他の諸費用 |
|
合同会社は株式会社に比べて登録免許税の額が低く、定款の認証も不要であるためやや安価に会社を設立できます。一方株式会社の設立費用は最低でも20万円からとやや高めにはなりますが、株式を発行して資金調達ができるなどさまざまなメリットがあります。
なお、定款の印紙代については紙の定款か電子定款かによっても費用が異なります。
紙の定款は4万円の印紙代がかかりますが、電子定款の場合は不要です。
電子定款を作成するためのツール等の導入が必要ではあるものの、会社設立にかかる初期費用を大幅に節約できるのは大きなメリットだといえます。
法人登記の流れ
法人登記の流れは以下のとおりです。
1.会社概要を決定し、法人印鑑を購入・作成する
法人登記の準備としてまず、定款に記載する会社概要を決定します。
- 商号
- 発起人
- 取締役
- 事業目的
定款にはこれに加え、次の段階で決定する「本店所在地」を掲載しなくてはなりません。
また、法人登記には法人印鑑が必要になりますので、商号が決定した時点で作成依頼をかけておくとよいでしょう。法人印鑑は最短即日で作成してくれるお店もありますが、一般的には1週間~10日くらいかかる場合が多いです。余裕をもって注文しておくことで、法人登記の手続き日に間に合わない……といった事態を防ぐことができます。
2.本店所在地を決定し、類似商号がないか確認をする
会社の本拠地となる本店所在地を決定します。
バーチャルオフィスを利用する場合は同じ住所内に類似する商号(会社名)がないかを確認しておきましょう。同じ商号、または著しく誤認を招くほど類似している商号では法人登記ができません。
3.事業目的に沿った許認可を申請する(必要な場合)
事業の内容によっては特定の許認可が必要になる場合があります。申請が必要な場合は、法人登記の手続きをする前に済ませておきましょう。
4.定款を作成する
会社のルールブックである「定款」を作成しましょう。1,2で決定した会社概要や基本的な規則を記載した書面を作成します。法人印鑑を作成していない場合は、受け取りまで時間がかかるので定款作成前に発注をかけておくことをおすすめします。
5.公証役場で定款の認証を受ける
作成した定款を公証役場へ提出し、認証を受けます。合同会社の場合は認証不要です。
6.資本金を払い込む
定款で定めた資本金を、発起人が支払います。登記には通帳の表紙をめくった部分(口座番号や口座名義人がわかる部分)、払い込みをしたことがわかるページのコピーが必要になりますのでコピーを取っておくとスムーズです。
7.登記申請書類を作成する
法人登記に必要な申請書類を自身または司法書士に依頼して作成します。
8.法人印鑑を登録
法人登記書類を作成したら、法人印鑑とともに法務局へ持参します。はじめに印鑑登録を行います。
9.登記申請を行う
印鑑登録証明書と法人登記書類を法務局へ提出し、申請を行います。
事前に利用登録をしておけば、オンライン申請も可能です。
10.登記完了
登記申請が完了したのち、1週間~10日ほどで登記手続きが完了します。
登記簿謄本、法人印鑑証明書を取得する場合は登記が完了してからになります。
法人登記のメリット・デメリット
バーチャルオフィスを利用して法人登記をした場合、以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット
バーチャルオフィスで法人登記をするメリットは以下の4つです。
- 低コストで会社を持つことができる
- 利用開始までがスピーディー
- 事業に対する信用性を高められる
- 年収額によっては節税につながる
バーチャルオフィスは月数千円と低コストで利用できるうえ、申し込みから利用開始までがスピーディーな点が魅力。よってバーチャルオフィスでの法人登記は、できるだけコストを抑えつつ、早く法人を設立したいという方に最適な方法だといえます。
また、バーチャルオフィスで一等地住所を利用しつつ「株式会社」「合同会社」といった会社として事業を営むことで、顧客や取引先からの信用を高められる点もメリットといえるでしょう。
そのほか、法人化すると「法人税」を支払うことになりますが、年間の課税所得額によっては個人事業に比べて課税額が低くなる場合もあります。
たとえば年間の課税所得が900万円を超える場合、個人事業などであれば課税率は33%ですが、法人税の場合は23.2%です。また法人税において所得額が年800万円以下の場合は、税率が15%とかなり低くなります
課税所得額がボーダーラインに達する方は、法人化をすることで節税につながる可能性があるのです。
税 | 課税率 |
---|---|
法人税 (資本金1億円以下の普通法人、一般社団法人等又は人格のない社団等の所得の金額のうち年800万円以下の金額) | 15% |
法人税 (普通法人、一般社団法人等又は人格のない社団等) | 23.2% |
所得税 (695万円以上900万円未満) ※税額控除636,000円あり | 23% |
所得税 (900万円以上1,799万9,000円未満) ※税額控除1,536,000円あり | 33% |
参考:財務省「法人課税に関する基本的な資料」
参考:No.2260 所得税の税率|国税庁
デメリット
バーチャルオフィスで法人登記をするデメリットとしては以下の4つが挙げられます。
- 複数の会社で同じ住所をシェアすることになる
- 作業、応接スペースは別途確保の必要あり
- 法人登記ができないバーチャルオフィスもある
- 許認可申請が下りない場合がある
バーチャルオフィスは住所をレンタルするサービスです。住所を検索して「同じ住所にたくさんの会社が入居している」と思われた場合、相手によってはネガティブな印象を持たれる可能性もゼロではありません。
ただし、近年ではバーチャルオフィスへの理解も深まりつつあるため、事前にバーチャルオフィスを利用している旨を説明していれば特に問題ないといってよいでしょう。
また、バーチャルオフィスはレンタルオフィスのように作業スペースや応接スペースが借りられないため、別途確保する必要があります。その際のコストについてもあらかじめ想定しておくとよいでしょう。
バーチャルオフィスによっては法人登記ができないところもあるので、比較検討する際に必ずチェックしておきましょう。
そのほか、バーチャルオフィスは専有スペースを保有することができないため、特定業種の許認可が受けられないというデメリットもあります。こちらについては次の項にて詳しく解説いたします。
バーチャルオフィスに適さない業種
バーチャルオフィスは住所のみを借りる形態ゆえ低コストで利用可能です。ただし、業種によっては開業や法人登記ができないことがあります。
以下の業種はバーチャルオフィスでの起業に適しません。なぜバーチャルオフィスでの起業に適さないのか、その理由について詳しく見ていきましょう。
一部の士業(弁護士、税理士、司法書士など)
いわゆる“士業”と呼ばれる職業のうち、以下の職業についてはバーチャルオフィスで起業することはできません。
これは顧客との面談や機密情報を取り扱う必要がある都合上、開業の条件として「スペースの独立性があること」「PCや書類の保管場所等が整備されていること」などの条件があるためです。
【バーチャルオフィスで起業できない士業の例】
- 税理士
- 行政書士
- 弁護士
- 社会保険労務士
- 司法書士 など
上記士業の事務所を開業される場合は、レンタルオフィスなど独立したオフィスを利用されることをおすすめします。
職業紹介業
職業紹介業として起業する場合、都道府県労働局経由で厚生労働大臣の許可を取得する必要があります。
その際に「プライバシーを保護できる実在の事業所があること」という条件を満たす必要があるのですが、バーチャルオフィスではこの条件を満たすことができないため開業ができません。
(イ)プライバシーを保護しつつ求人者又は求職者に対応することが可能であること。具体的には、個室の設置、パーティション等での区分により、プライバシーを保護しつつ求人者又は求職者に対応することが可能である構造を有すること。
ただし、上記の構造を有することに代えて、以下の(a)又は(b)のいずれかによっても、この(イ)の要件を満たしているものと認めること。また、当分の間、以下の(c)によることも認めること。
(a)予約制、近隣の貸部屋の確保等により、他の求人者又は求職者等と同室にならずに対面の職業紹介を行うことができるような措置を講じること。この場合において、当該措置を講じない運営がなされた場合には、許可の取消し対象となる旨の許可条件を付するものとすること。
(b) 専らインターネットを利用すること等により、対面を伴わない職業紹介を行うこと。
この場合において、対面を伴う職業紹介事業の運営がなされたときは、許可の取消し対象となる旨の許可条件を付するものとすること。(c)事業所の面積がおおむね20㎡以上であること。
引用元:職業紹介事業パンフレット―許可・更新等マニュアル―申請、届出の手続き等
※太字、改行は編集部にて追加
個別ブースのあるシェアオフィスやレンタルオフィスであれば起業は可能ですが、バーチャルオフィスの場合は要件を満たさないため注意しましょう。
人材派遣業
人材派遣業を営む場合は所定の許可が必要であり、そのためにはオフィス要件・設備要件をそれぞれ満たす事務所を設置しなくてはなりません。バーチャルオフィスは下記の人材派遣業開業のための要件を満たさないため、許可申請も不可となります。
【オフィス要件】
- 事業で使用し得る面積が20㎡以上あること
- 使用目的が事務所であること
- 事業所の独立性が保たれていること
- 個人的秘密を保持し得る構造であること
- 事業所の運営に好ましくない場所にないこと
【その他設備の用件】
- 派遣元責任者、職務代行者の席を設ける
- 面談スペースを設ける
- 個人情報の保管場所(鍵付きキャビネット)を設ける
- 社名表示
参考:派遣新規許可事務説明会~労働者派遣事業を始めようとする方に~|東京労働局需給調整事業部
設備の用件は決定するだけでなくレイアウト図を提出する必要があります。
また、許可申請をしたあとは労働局から立ち入り検査があり、申請内容と相違があれば開業が認められません。
建設業
建設業は開設する営業所の区域数に応じて都道府県知事、または国土交通大臣へ許可を取る必要があります。その際の要件として以下の6つを定めています。
ア 外部から来客を迎え入れ、請負契約の見積り、入札、契約締結等の実体的な業務を行っていること
イ 電話※・机・各種事務台帳等を備え、契約の締結等ができるスペースを有し、他法人又は他の個人事業主の事務室等とは間仕切り等で明確に区分されていること 同一法人で本社と営業所が同一フロアである場合は、仕切り等は必要ないが、明らかに他の営業所と分かるよう看板等を掲示し、営業形態も別とすること 個人の住宅にある場合には居住部分と適切に区別されているなど独立性が保たれていること※名刺や封筒等で確認できる業務用の携帯電話も可とします。(注:『建設業者・宅建業者等企業情報検索システム』で公開されます。)
ウ 常勤役員等(経営業務の管理責任者)(以下、「常勤役員等(経管)」という。)又は建設業法施行令第3条の使用人(支店等において上記アに関する権限を付与された者)(以下、「令3条の使用人」という。)が常勤していること
エ 専任技術者が常勤していること
オ 営業用事務所としての使用権原を有していること(自己所有の建物か、賃貸借契約等を結んでいること)。住居専用契約は、原則として認められません。
カ 看板、標識等で、外部から建設業の営業所であることが分かる表示があること
引用元:建設業許可 手引、申請書類等 | 東京都都市整備局 Ⅰ 建設業許可の制度
※太字、改行は編集部にて追加
バーチャルオフィスは実体的な業務を行うスペースではなく住所を借りているだけにすぎません。よって上記の条件には当てはまらず、建設業での開業には利用できません。
廃棄物処理業
廃棄物処理業とは、廃棄物処理法で定められた廃棄物の運搬・処分を担う業種です。
廃棄物処理業で開業するには、都道府県および政令指定都市の認可を受ける必要があります。その際にはあらかじめ設けられた基準を満たす事務所、処理施設などを有している必要があります。
厳密にいえば事務所の要件はないのですが、「施設・能力・財務」などについて厳しい規定があり、バーチャルオフィスではその基準を満たせない可能性が高いため不向きだといえるでしょう。
古物商(中古品販売やリサイクルショップ)
中古品等を販売・レンタルする古物商で起業したい場合、警察から古物商許可を受ける必要があります。
許可を得るためには古物の取引を行う拠点が必要です。
具体的には「商談や契約書作成を行うスペース、古物台帳の備え付け・買い取った品物の記録を行うスペースがある」「古物商プレートを店内に掲示する」といった条件が必須になります。また管理者が常駐することも条件の一つであるため、常駐スペースを借りられないバーチャルオフィスでは開業することができません。
探偵業
探偵業を開業するには警察へ届け出を行い、公安委員会から交付される「探偵業届出免許証」を取得する必要があります。
また取得した探偵業届出免許証については、営業所内の見やすい場所へ掲示することが義務付けられています。よって実体のないバーチャルオフィスでは探偵業届出免許証の掲示ができず、開業も営業もできません。
風俗営業
風俗営業についてはパチンコやゲームセンター、ホストクラブや性風俗店などが含まれます。
風俗営業で開業する際には、各都道府県の警察へ届け出を提出し、営業許可を得てからの開業となります。その時の条件として「公安委員会によって営業の実態が確認できる事業所・事務所があること」が条件となりますが、バーチャルオフィスはこの条件を満たすことができず、開業もできません。
金融商品取引業
投資に関する業務を行う業種においては、「金融商品取引業者」へ登録したうえで開業する必要があります。
その際の条件には「営業所の設置」「法で定める標識の掲示」が必須となります。
また、事務所の図面、職員配置図や標識の掲示場所を示した図面を提出する必要もあるため、事務所スペースのないバーチャルオフィスでは対応不可です。
出会い系サイトの運営
マッチングアプリや出会い系サイトの運営(インターネット異性紹介事業)を始める場合、事務所の所在地を管轄する警察署へ所定の届け出が必要になります。このときの「事務所」について、警視庁では以下のように定義しています。
本法で定義する「事務所」とは、事業活動の中心となる一定の場所のことを言い、下記のような場所は、登記の有無に関わらず「事務所」に当たりませんので、この場合は事業を行う方の住居を事務所に代えて届け出てください。
- 私書箱(私設含む)等、郵便物等の取扱いを行う代行者の所在地
- 電話機(転送、留守番、ファクシミリ等)やサーバコンピュータ等の機器が設置されているのみで、通常は無人の事務所
- 電話代行者等、主に連絡取次事務担当のみが在所する事務所
上記をふまえると、バーチャルオフィスを利用した開業はできないと判断できます。
バーチャルオフィスが向いている業種
バーチャルオフィスの利用に向いていない業種についてお伝えしましたが、反対に「バーチャルオフィスが向いている業種」とはどのような業種でしょうか。
結論から言えば、一般的な業種の株式会社、合同会社、合資会社はバーチャルオフィスの利用に適しています。また一般社団法人や財団法人、NPO法人などのいわゆる「非営利法人」についても、バーチャルオフィスの利用に向いています。
いずれの場合もビジネス用の住所が低コストで借りられて、かつ法人登記や名刺、チラシ、HP等への住所記載に利用できるため、有効に活用してみてはいかがでしょうか。
バーチャルオフィスが怪しいと言われる理由
冒頭でもお伝えしたとおり、バーチャルオフィスは合法なサービスであり違法ではありません。それなのに、なぜ「怪しい」というイメージが先行しているのでしょうか。怪しいと言われる理由としては、次の3つが考えられます。
理由1:バーチャルオフィスを使用した詐欺が多発している
バーチャルオフィスが怪しいと思われる理由の一つに、過去に多発した詐欺等の影響が考えられます。
バーチャルオフィスが誕生した約20年前には、残念ながらバーチャルオフィスを悪用して詐欺などの犯罪をはたらくグループが多く見られました。
当時のバーチャルオフィスは審査が甘く、本人確認も不要であったため犯罪に利用するには手っ取り早かったのだと考えられます。
なお、2008年には「犯罪収益移転防止法」が制定され、新規入会には本人確認が必要になるなど審査が厳格化しました。つまり現在では身元がはっきりした人物のみが利用できるサービスとなっています。
理由2:バーチャルオフィスの住所で銀行口座が開設できない場合がある
またバーチャルオフィスには「バーチャルオフィスだと法人の銀行口座が開設できない」といった偏見もあります。
この偏見が発生した理由は、前述の「犯罪にバーチャルオフィスが利用されていた」という事情につながっています。
犯罪収益移転防止法が制定されたあと、銀行での本人確認も厳格化されました。以降は銀行では口座開設の際には代表者の氏名、住所、取引の目的、事業内容を審査したうえで可否を決定しています。
ただし、それがイコール「バーチャルオフィスでは銀行口座が作れない」ということではありません。事業内容の説明や本人確認書類の準備をしっかりと行えば、バーチャルオフィスの住所でも銀行口座の開設は可能です。
また当レゾナンスでも4つの銀行様と提携しており、会員様のご紹介を実施しております。
バーチャルオフィスでの法人口座開設についてはこちらもぜひご参考にしてみてください。
理由3:料金が安価で申し込みが簡単
バーチャルオフィスの利用料金は提供会社によっても異なりますが、安い事業者なら500円程度から住所を借りられる場合もあります。その料金の安さゆえ借りやすく、近年ではコワーキングスペースと併用される方、会社のサテライトオフィス(支社)として住所だけを借りられる方も多いです。
そして安価にバーチャルオフィスを提供している会社の中には、残念ながら審査が甘い会社もあるようです。
当レゾナンスでは本人確認を行ったうえで会員様にご入会いただいておりますが、本人確認なしで利用できる格安バーチャルオフィスには用心した方がいいかもしれません。
信頼できるバーチャルオフィスの選び方
バーチャルオフィスで起業するなら、今後のためにも信頼できるバーチャルオフィスを選びたいですよね。信頼できないバーチャルオフィスを選んでしまうとトラブルにつながる可能性もあります。
ここでは、信頼できるバーチャルオフィスの選び方を解説します。
審査や本人確認を実施している
大前提として、バーチャルオフィスが審査・本人確認を実施しているかは必ず確認しておきましょう。
そもそも「犯罪収益移転防止法」の制定以降は、バーチャルオフィス利用者に対し本人確認を含む審査が義務となっています。つまり本人確認を実施していないバーチャルオフィスは、違法であり犯罪などのトラブルの温床になっている可能性が考えられるのです。
審査がしっかりしているバーチャルオフィスでは信用性の高い会員が揃っており、トラブルにも発展しにくい傾向にあります。こうしたバーチャルオフィスなら、将来的な損失を生まずにすむでしょう。
対面での契約、事務所の内見を実施している
バーチャルオフィスによってはオンラインで契約を受け付けているところもありますが、より信用できるバーチャルオフィスをお探しの方は「対面での契約」や「事務所の内見」ができるバーチャルオフィスをおすすめします。
後ろ暗いところのあるバーチャルオフィスでは内見を断ってオンライン受付のみ、というケースがありますが、実際にオフィスに立ち寄ることを歓迎してくれるバーチャルオフィスであれば信用性はグッとアップします。また、自分の目で外観や内装などを見てチェックできるので、安心感にもつながります。
安定した企業運営と管理体制がある
これからバーチャルオフィスを利用される場合は、安定性のある運営をしていて、管理体制も確立されているバーチャルオフィスを選びましょう。
経営がうまくいっていないバーチャルオフィスは、いきなり倒産してしまう可能性があります。また管理体制がいい加減な場合、トラブルが発生したときの責任問題をはぐらかしたり、こちらが望む対応をしてもらえなかったりといった懸念もあります。
安定した企業が盤石な管理体制で運営していれば、安心してビジネスに利用できます。
バーチャルオフィスを選ぶ際の注意点
バーチャルオフィスを選ぶ際は、契約先の住所をネットで検索してみるとよいでしょう。
住所を検索することで、その住所が過去に犯罪が行われている住所かどうかがわかります。
「(住所)+犯罪」「(住所)+トラブル」など、キーワードを組み合わせて検索してみてください。
バーチャルオフィスは既存の会社と同じ住所をシェアして利用する形式ですが、犯罪歴のある会社が過去に利用していたバーチャルオフィスを利用すると、自社のイメージダウンにつながります。
また、法人登記をする場合は同じ住所内に同一の名前(または著しい混同を招く名前)の会社が登記をすることはできません。
犯罪やトラブル、商号の重複を防ぐためには、サービスそのものだけでなく過去の利用者についてもしっかりとチェックしておくことをおすすめします。
レゾナンスのバーチャルオフィスをおすすめする理由
月額990円からの格安で東京・横浜の一等地の法人登記ができる!
レゾナンスでは月額990円からという格安の価格でバーチャルオフィスを提供しております。住所貸し+郵便物のお受け取り・転送がサービスに含まれており、届いた郵便物は写真を撮影し会員様へ通知をしております。
またご提供中の住所は東京に8店舗、横浜に1店舗(※)あり、いずれも一等地の中心で最寄り駅からのアクセスも抜群です。
- 浜松町本店(港区浜松町)
- 青山店(港区北青山)
- 銀座店(中央区銀座)
- 日本橋店(中央区日本橋室町)
- 渋谷店(渋谷区神宮前)
- 恵比寿店(渋谷区恵比寿西)
- 新宿店(新宿区西新宿)
- 横浜店(横浜市西区)
※2024年2月現在
全店舗には貸し会議室をご用意しており、対面での会議やお打ち合わせなどにもご利用いただけます。対外的なイメージの良いご住所ゆえ、ビジネスにおいてのブランディングにも効果的です。
法人銀行口座の開設紹介サービスが利用可能!
レゾナンスでは4つの銀行様と提携し、法人銀行口座の開設紹介サービスを実施しております。
- みずほ銀行
- GMOあおぞらネット銀行
- 住信SBIネット銀行
- PayPay銀行
※2024年2月現在
口座開設には審査が必要ですが、会員様専用ページよりお申込みいただきますとさまざまな特典が適用されます。
豊富なプラン・オプションからカスタマイズが可能!
レゾナンスでは月額990円の「郵便物月1回転送プラン」のほか、さまざまなプランをご用意。固定の転送電話番号付きプランや電話秘書代行つきプランなど、業種や働き方のスタイルに合わせてご利用頂けます。
また、「FAX番号貸し出し」「プライベートロッカー」「郵便物都度転送」などのオプションも充実。プランとオプションを組み合わせて、ご自身に合ったバーチャルオフィスをカスタマイズできます。
スマホから登記申請に必要な書類が作成できる!
レゾナンスの「スマホde会社設立」を利用していただきますと、法務局へ足を運ばずスマホから手軽に登記申請の書類を作成できます。バーチャルオフィスのご利用から登記までワンストップで手続きができるだけでなく、電子定款を利用するため会社設立費用を抑えられます。
まとめ
本記事ではバーチャルオフィスの違法性、怪しいと思われる理由についてお伝えしました。
バーチャルオフィスはいたって健全・合法的なサービスですが、過去に犯罪等で悪用されたことからマイナスイメージを持たれている方も多いかと思います。しかし、犯罪を防止するための法律の制定など、安全に利用するための対策が行われ、現在では利用社数も増加傾向にあります。バーチャルオフィスを利用して法人登記し、会社を運営されるケースも多く見られます。
当レゾナンスをはじめとするバーチャルオフィスサービスのほとんどが真っ当に運営されており、安価で良質なサービスを皆様に提供している事業者ばかりです。
とはいえ、ご自身が損失を被らぬよう自衛をしておくに越したことはありません。これからバーチャルオフィスをお探しになられる方は、本記事をご参考にしていただければ幸いです。