一般には混同されることも多い「企業」と「会社」。この2つにはどのような違いがあるのか、皆さんはご存じでしょうか?
本記事では、企業と会社の違いやそれぞれの種類について徹底解説。社会人として知っておくべき知識を、この機会に身につけておきましょう。
企業と会社の違いは?細かな定義について
「企業」と「会社」はほぼ同じ意味で使われます。しかし厳密にいうと、それぞれ異なる定義・意味を持つ言葉なのです。まずは企業と会社、それぞれの定義についてチェックしてみましょう。
……「利益を得ること」を目的にビジネスを行う組織を指す言葉。
国や地方公共団体が管理する企業は「公企業」、それ以外は「私企業」と呼ばれる。
【会社とは?】
……会社法に基づき設立された「営利法人」のこと。
企業に含まれる組織の範囲は、以下の通り幅広くなっています。
企業と比べて「会社」は「営利目的で設立された5種類の営利法人」を限定して呼ぶ言葉であり、定義する範囲の違いがあります。広い範囲を包括する「企業」に比べると、会社という言葉はあくまでも営利法人のことを指すのです。
当然、個人事業を「会社」と呼ぶことはありません。
なお法人であっても、非営利法人(学校法人やNPO法人など)や公法人を「会社」と呼ぶことはありません。
企業に含まれる組織の例
- 個人事業主やフリーランスなどの「個人」
- 法人のすべて
- 私法人
- 公法人
営利法人(会社):株式会社、合同会社、合名会社、合資会社、有限会社
非営利法人:学校法人、NPO法人、医療法人、宗教法人
公社、公団、公庫など
「企業」が指す組織・団体には、一般的な「会社」以外にも公共団体や個人事業、フリーランスも含まれます。
企業が持つ「社会的責任」とは?
企業の目的は、顧客や市場の満足を得るとともに成長し、利益を得ること。
その中で企業は、「社会的責任」を果たす必要があります。
- 企業を健全に運用する責任
- 商品、サービスを社会に送り出し、貢献する責任
- 製品の安全性への責任
- 環境保全への責任
- 従業員の「幸福」への責任
- 企業倫理に従い、行動する責任
まとめると、企業の社会的責任とは
- 企業を健全に運用することで、企業と従業員の幸福や、顧客・出資者の利益を生み出すこと
- 安全な製品を生み出し、商品・サービスによって社会貢献を目指す
- 環境汚染を防ぎ、人々が暮らしやすい社会づくりを目指す
- 従業員の職場環境を良くし、幸福な生活が送れる組織作りをおこなう
- 法令や社会環境、人権保護のルールを遵守し、倫理的な企業活動をおこなう
ということになります。
さらに近年ではSDGsに伴い、企業活動においても「サスティナビリティ(持続可能性)」が求められています。
企業にはさまざまな種類がある!意味や特徴を解説
企業の関連語には「大企業」「中小企業」などの呼び方があります。
また近年では「ユニコーン企業」などユニークな企業の種類もよく耳にするようになりました。ここでは、それぞれの意味や定義についてご紹介します。
大企業
大企業は、その名のとおり「規模が大きい企業」を指します。
具体的な定義はありませんが、後述する「中小企業」よりも規模の大きい企業は大企業と呼んで差し支えないでしょう。
中小企業
中小企業は「中小企業基本法」で定められた条件に該当する、中規模~小規模の企業を指します。
業種の分類 | 中小企業基本法の定義 |
---|---|
製造業その他 | ・資本金額、または出資総額が3億円以下の会社 ・または常時使用する従業員の数が300人以下の会社(および個人) |
卸売業 | ・資本金額、または出資総額が1億円以下の会社 ・または常時使用する従業員の数が100人以下の会社(および個人) |
小売業 | ・資本金額、または出資総額が5千万円以下の会社 ・または常時使用する従業員の数が50人以下の会社(および個人) |
サービス業 | ・資本金額、または出資総額が5千万円以下の会社 ・または常時使用する従業員の数が100人以下の会社(および個人) |
参考リンク:中小企業庁:「中小企業・小規模企業者の定義」
みなし大企業
みなし大企業は、中小企業の定義に当てはまりつつ、大企業の傘下にある企業です。
みなし大企業は扱いのうえでは「中小企業」ですが、補助金や助成金の対象外になる場合があります。
ベンチャー企業
ベンチャー企業は革新的なアイデア・技術を用いて、新しい商品・サービスを展開する企業です。
比較的小規模で、成長過程にある企業に対し使われるケースが多く見られます。
ユニコーン企業
評価額が10億ドル以上の非上場ベンチャー企業を「ユニコーン企業」といいます。
具体的には、以下の4条件を満たした企業がユニコーン企業に該当します。
- 創業から10年以内
- 評価額10億ドル以上(2022年6月時点の日本円換算では約1334億円)
- 非上場企業である
- テクノロジー企業である
「希少な存在で、かつ成長性が高い」という意味から、ユニコーンになぞらえてこう呼ばれているそうです。
スタートアップ企業
スタートアップ企業はベンチャーと似ていますが、「短期での急成長を目指す」「イグジット(株式の売却利益で投資資金を回収すること)を目的にしている」という大きな違いがあります。
有名なスタートアップ企業に「Google」や「Facebook」、「株式会社メルカリ」「株式会社FOLIO」などが挙げられます。
ゼブラ企業
スタートアップ企業のうち、サスティナビリティ(持続可能性)を重視した企業を「ゼブラ企業」と呼ぶことがあります。「企業の利益」と「社会貢献」という、相反する課題を解決していることから、白と黒の縞模様を持ったゼブラになぞらえているのです。
会社にはさまざまな形態がある!それぞれの特徴や違いを紹介
このうち「有限会社」については、2005年以降、新規の設立ができなくなっています。2006年以降は有限会社の代わりに「持分会社」として、合同会社、合名会社、合資会社を設立できるようになりました。
株式会社
株式会社は、出資者(株主)からの出資を受け、経営者が経営を担う会社形態です。
- 株式の発行と購入による資金調達ができる
- 「所有と経営の分離」が行われている
- 出資者は有限責任となり、倒産等が起きても「出資額のみ」責任を負う
- 社会的信用度は会社形態の中でもっとも高い
- 役員任期がある(原則2年)
- 法人設立にかかる費用は約25万円+資本金(1円から可)
出資をする人は株式を購入し「株主」となります。会社の経営者、および役員については、株主総会にて選出され、原則2年の任期があるのも特徴です。
また出資をした株主は、会社の余剰利益を「分配金」として受け取ることもできます。
株式会社について詳しく知りたい方は、こちらのコラムもご覧ください。
合同会社
合同会社は、持分会社のひとつ。出資者が直接「経営者」となり、事業を行う会社形態です。
- 所有者(出資者)と経営者が一致している
- 出資した社員全員が、経営の意志決定権を持つ
- 負債や倒産が起こった場合は「有限責任」となり、出資範囲のみ責任を負う
- 余剰利益の配分は好きに決められる
- 会社設立費用が割安である(約6~10万円)
株式会社のように「株式発行」による資金調達はできませんが、比較的手軽に会社を設立できるメリットがあります。
合同会社のメリット・デメリットについては、こちらのコラムもご参考になさってください。
合名会社、合資会社
合名会社、合資会社も合同会社と同じ「持分会社」です。
端的に説明すると、合名会社は「無限責任社員のみで構成した会社」。
もうひとつの合資会社は「有限責任社員、無限責任社員で構成する会社」です。
有限責任は出資範囲のみ責任を負うことを指しますが、無限責任は「出資額にかかわらず、負債・倒産時の責任をすべて負う」という点に注意が必要です。
【合名会社のおもな特徴】
- 最低1名から設立可能
- 資本金なしで起業ができる
- 負債を負ったときや倒産したとき、出資した社員が「無限責任」を負う
【合資会社のおもな特徴】
- 最低2名(有限責任社員と無限責任社員)から設立可能
- 資本金無しで起業ができる
- 責任範囲は有限責任か無限責任かで異なる
なお、合同会社とともに2006年以降に新設された会社形態ですが、現在では「株式会社」または「合同会社」を選ぶ起業家が大半です。
有限会社
有限会社は株式会社等と同じ「法人格」のひとつであり、会社に分類される組織です。
会社法の改正以前は、株式会社に比べ設立のハードル(資本金額や役員の人数など)が低い会社形態でした。小規模の会社を立ち上げたい起業家にとっては、都合の良い会社形態だったといえます。
現在では有限会社の新規設立ができません。
有限会社を名乗っている企業については、2005年以前に有限会社を設立し、2006年以降は「特例有限会社」としての存続を選んでいる会社です。
企業には会社も個人も含まれる!意味を理解しておこう
利益の獲得を目的に事業を行う「企業」には、すべての“事業を営む人”が含まれます。
法人はもちろん、公営の事業や個人事業主やフリーランスもすべて「企業」なのです。
ビジネスを行う際には、この意味を理解しておくと、コミュニケーションの齟齬が防げるでしょう。
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