バイトを掛け持ちしている人の中には「確定申告したほうがいいの?」「掛け持ちはばれない?」と疑問に思う方も多いはず。特に、今年バイトを始めたばかり……という人なら、なおさら気になることですよね。
ここではバイトを掛け持ちしてもばれないのか、確定申告は必要なのか……という疑問にお答えします。確定申告が必要なケース、要らないケースについても解説するので、参考にしてみて下さいね。
バイトの掛け持ちはばれない?確定申告をするとばれる?
バイト先によっては、掛け持ちを禁止しているケースがあります。また禁止されていなくとも、何らかの事情で掛け持ちしていることを知られたくない場合もあるでしょう。
結論から言うと、バイトの掛け持ちは「1社のみで年末調整をしている」「住民税が不自然に高くなっていない」の両方を満たしていれば、ばれる可能性は低いです。
バイトの掛け持ちがばれる・ばれないケース
- バイト先2社のうち、1カ所でのみ年末調整をした
- 副業のバイト先では年末調整をおこなわず、源泉徴収票だけをもらった
- 1社目の住民税は「特別徴収」で天引きされているが、2社目の住民税は「普通徴収」で支払っている
- 掛け持ちをしている2社以上で年末調整をしてしまった
- 2社目の年収分が上乗せされた住民税額で会社に通知が届いた
掛け持ちがばれないケースでは、バイト先のうち1カ所のみで年末調整をおこない、2つめのバイト先では年末調整をしていません。この場合、確定申告をしてもばれることはほぼないといってよいでしょう。
一方、2社以上で年末調整をすると控除(税の計算時に年収から引かれるお金)が重複してしまい、結果的にバイトの掛け持ちがばれてしまいます。
また住民税の課税額が1社分の給与よりも多くなると、不審に思われて掛け持ちがばれる可能性が高いでしょう。
バイトの掛け持ちで確定申告が必要なケースは?
バイトの掛け持ちで確定申告が必要なケースは以下のとおりです。
- バイトの掛け持ち年収の合計が103万円を超えている
- バイトの掛け持ち年収の合計が103万円以下だが、源泉徴収されている場合
2社以上バイトを掛け持ちしていて、年収合計が103万円を超えている場合は確定申告が必要です。
これは源泉徴収の有無にかかわらず義務となります。2社以上から源泉徴収をされている場合、確定申告することで年末調整されていないバイト先で引かれた源泉徴収分が還付される可能性があります。
※源泉徴収されているバイト先・されていないバイト先が混在している場合は、反対に納税額が増える可能性もあります。これは本来納付すべき税額を正しく計算した結果ですので、必ず納付しなくてはなりません。
また、バイトの掛け持ち年収が103万円以下の場合でも、源泉徴収されている場合は確定申告をおすすめします。確定申告をすることで、払いすぎた所得税が還付される可能性が高いからです。
バイトの掛け持ちで確定申告がいらないケースは?
バイトの掛け持ちで確定申告がいらないケースは以下のとおり。
- バイトの掛け持ち年収の合計が103万円以下で、源泉徴収されていない
バイトを掛け持ちした合計年収が103万円以下なら、課税されません。
給与所得控除(55万円)と基礎控除(48万円)控除を合算すると103万円となり、課税所得が差し引き0円になるためです。
また掛け持ちをしているバイト先のすべてで源泉徴収されていないのであれば、確定申告の必要もありません。
医療費控除などを受けるなら、掛け持ち年収103万以下でも確定申告すべき
バイトの掛け持ち年収が103万円以下であっても、医療費控除などを受けたい場合は確定申告が必要です。
- 医療費控除(またはセルフメディケーション税制)
- 寄付金控除
- ふるさと納税の控除(ワンストップ特例制度を利用しない場合)
- 住宅ローン控除
- 雑損控除(盗難や災害に遭った場合の控除)
これらの控除を利用すると、課税額が減り節税につながります。合計年収103万円以下の方であれば還付が受けられる可能性があり、103万円を超えている方なら納付すべき税額を抑えられるでしょう。
バイトの掛け持ちがばれたくない人は「住民税の支払い」に注意
住民税は、バイトの掛け持ちで得た合計年収がおよそ100万円を超えた場合に課税されます(年収額は自治体により異なる)。
また未成年のアルバイターや障害者、寡婦または寡夫の場合は204万4千円以上から住民税が課税される仕組みです。
住民税額からバイトの掛け持ちがばれてしまうことも
住民税の課税額が決定すると、バイト先の会社に住民税額の通知が届きます。
このとき、自社で働いた金額より不自然に高い住民税の特別徴収通知が届くと、バイトを掛け持ちしていることがばれてしまうのです。
バイトの掛け持ちがばれないためには、副業分の住民税を「普通徴収」に
バイト先に掛け持ちがばれないようにするには、2社目の住民税の支払い方法を「普通徴収」にするのもひとつの方法です。
アルバイトなどの給与収入に課税される住民税は、「特別徴収」として自動的に天引きされます。
しかし多くの自治体では、メインのアルバイト先で住民税を特別徴収されている人に限り、副業分の住民税を切り分け、「普通徴収」にすることができるのです。
副業分の住民税を普通徴収にするには、確定申告書の「主給与以外の所得を普通徴収で支払う」欄にチェックを入れましょう。これにより、副業分の住民税が普通徴収になります。
不安な場合は、確定申告の時期(2~4月)に住民税を支払う自治体(市区町村役場)で相談してみるとよいでしょう。
バイトの掛け持ちをする際は「加算税」に注意
バイトを掛け持ちしていて確定申告が必要なのにもかかわらず、期限内に申告をしていなかった場合は「無申告加算税」が課せられてしまいます。いわば未申告の“ペナルティ”ともいえる税金です。
無申告加算税とは?
無申告加算税の加算税率は「税務署から指摘を受ける前と後」で大きく変わります。
【無申告加算税の税率の違い】
確定申告の状況 | 納付すべき所得税分にかかる加算税率 |
---|---|
税務署から指摘を受ける前に自分で確定申告をした場合 | 5% |
税務署から指摘を受けたあとに確定申告をした場合 | 50万円まで……15% 50万円を超えた所得税……20% |
税務署から「確定申告をしていない」と指摘を受けてからでは、加算税の所得税率は大きく跳ね上がります。
ただし以下の条件にすべてあてはまる場合は、無申告加算税が課せられることはありません。
- 確定申告の期限から1ヶ月以内に自ら確定申告をおこなった場合
- 税金の納付額すべてを法定期限までに納付している場合
- 確定申告書の提出日の前日から5年さかのぼっても、無申告加算税や重加算税を課せられた経験がない場合
税金を滞納すると「延滞税」もかかる
ちなみに、納付しなくてはならない所得税を期限までに納付しなかった場合は「延滞税」が課せられてしまいます。こちらは日割り計算となり、納付を先延ばしにするほど重くのしかかってくるものです。
納付しなくてはならない税金がある方は、早めに納付を済ませましょう。
参考リンク:延滞税の計算方法|国税庁
バイトの掛け持ち以外にもさまざまな副業がある
掛け持ちアルバイターの中には、「掛け持ちに疲れた」「自宅で収入を増やせないものか」という方も多く見られます。
副業として収入を得たい方は、バイトの掛け持ち以外にもさまざまな方法があります。
たとえば「クラウドソーシング」でWEBライティングやWEBデザインを行って収入を得たり、ハンドメイド作品の制作販売、ネットショップでの物販をおこなったりといった方法です。
- クラウドソーシングで案件を受注する(WEBライティング/WEBデザイン/プログラミング/動画制作/画像加工/翻訳など)
- ハンドメイド作品を制作、販売する
- ネットショップでの物販、せどり
- ブログ(アフィリエイト)
- ポイントサイト
これらはすべて給与以外の「所得」として報酬を得ますが、仕事に使った材料、システム利用料などは「経費」として収入から差し引くことができます。
なお、経費を差し引いた副業の年間所得が20万円を超える場合は、確定申告が必要です。
バイトの掛け持ちをするなら確定申告したほうが得になる!
バイトの掛け持ちをする場合は、払いすぎた源泉所得税が返ってくることも多いので、できる限り確定申告をするようにしましょう。また、確定申告をしなければならないにもかかわらず、申告しなかった場合は税金が加算されてしまう場合もあります。
バイトを掛け持ちしている方は、ご自身に確定申告が必要か否か、しっかりと確認しておきましょう。