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非課税世帯とは?住民税が非課税になる年収要件、優遇措置について解説

日本では所得が一定額以下の世帯に対し、税を非課税とする制度が運用されています。その世帯は「非課税世帯」と呼ばれ、各種保険料や医療費などにおいてさまざまな優遇措置が行われています。

ここでは非課税世帯の概要や認定要件、非課税世帯が受けられる優遇措置について解説します。いまは非課税世帯ではない方も、認定要件について把握しておき、もしものときに備えましょう。

非課税世帯とは「住民税が非課税になる世帯」のこと

一般的な意味での「非課税世帯」とは、住民税が非課税になる世帯のことを指します。
より具体的には、住民税の「所得割」「均等割」がどちらも非課税になる世帯のことです。

住民税とは、居住地の自治体に納める税金のこと。主に行政サービスの財源として利用されますが、所得などの要件を満たす世帯については住民税を課税せず、徴収しない仕組みになっています。

そもそも住民税とは?

そもそも住民税とは、前年の1月~12月までの所得額をもとに算定される税金です。
住民税には「都道府県民税」「市区町村住民税」があり、1月1日時点で住んでいる自治体へ納付する仕組みとなっています。

住民税の課税方法には「所得割」「均等割」の2つがあります。

①所得割

所得に応じて課税される住民税。年間所得額から各種控除を差し引き、所定の税率(10%)をかけて計算。

②均等割

所得額に関わらず課税される住民税のこと。自治体によってもわずかに金額が異なるが、一般的には都道府県民税1,500円、市区町村民税3,500円の自治体が多数。

参考リンク:総務省|地方税制度|個人住民税

実際に支払う住民税は①+②の合算額となります。

会社員の場合は原則として給与から住民税が天引きされますが、入社1年目は住民税がかかりません。これは、住民税算定の基準となる「前年度の所得」がないためです。(※学生であっても年収126万円を超える収入を得ていた場合は住民税が発生します)

住民税非課税世帯に認定される年収(所得)の要件は?

住民税非課税世帯、すなわち「住民税の所得割・均等割の両方が非課税になる世帯」となるには、どのような要件があるのでしょうか。

住民税非課税世帯(所得割、均等割どちらも非課税)になる要件

住民税非課税世帯として所得割、均等割どちらも非課税になる要件は以下のとおりです。

以下のいずれかに当てはまる場合、住民税がすべて非課税となります。

①生活保護法による生活扶助を受けている

②障害者・未成年者・寡婦またはひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下(※)
※給与所得者の場合は、年収204万4,000円未満

③前年の合計所得金額が一定の金額以下である
a.同一生計配偶者または扶養親族がいる場合
……所得が「35万円 × (本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数) + 31万円」で計算した金額より低い人。

b.同一生計配偶者または扶養親族がいない場合
……所得が45万円以下の人。

参考リンク:港区ホームページ/住民税(特別区民税・都民税)はどういう場合に非課税になりますか。

「所得」とは“必要経費や控除などを差し引いたあとに残った年間の収入額”です。
よって、単純な「年収」ではない点に注意しましょう。

とはいえ、企業に勤めている人や年金収入のある人はご自身の収入が要件に当てはまるのかいまいちわかりにくいかもしれません。
③の(b)については具体的な目安が提示されているので、参考にしてみて下さい。

会社員や年金受給者等が「所得45万円以下」に当てはまるかを判断する目安

  • アルバイト・パートなら年間の給与収入にして100万円以下の人。
  • 65歳未満&年金受給のみの人は年金収入が105万円以下の人。
  • 65歳以上、年金受給のみの人は年金収入が155万円以下の人。
  • 不動産収入等の所得がある人は、収入-必要経費をした合計所得が45万円以下なら住民税が非課税。

※なお、これらの基準額は自治体によっても異なります。

住民税非課税『世帯』になるには世帯全員が所得要件を満たす必要がある

住民税非課税世帯になるには、世帯を構成する全員が所得の要件を満たしている必要があります。

たとえば会社員の夫、パート従業員の妻、子供1人という3人家族の場合、妻が住民税非課税であっても夫が課税されていれば「住民税非課税世帯」にはなりません。

所得割のみが非課税になる場合もある

住民税には「所得割のみが非課税」になるケースもあります。

所得割のみ非課税になる要件

①同一生計配偶者または扶養親族がいる
……前年の総所得金額が『35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+42万円』以下になる人

②同一生計配偶者または扶養親族がいない
……前年の総所得金額が45万円以下になる人

上記のいずれかに当てはまる場合、均等割(合計5,000円)のみが課せられ、所得割は非課税となります。

ただしこの場合、均等割には課税されていることになるので「住民税非課税世帯」にはカウントされません。よって後述する“優遇措置”も受けられない場合があります。

住民税非課税世帯が受けられる優遇措置

住民税非課税世帯と認定された場合、住民税以外にもさまざまな“優遇措置”があります。

  • 国民健康保険料の減免措置
  • 国民年金保険料の減免措置
  • 介護保険料負担の軽減(65歳以上)
  • 医療費の自己負担上限額の軽減
  • 2歳未満の保育料無償化
  • 高校生、大学生の教育費支援
  • 臨時の特別給付金

それぞれ特徴をご紹介します。

国民健康保険料の減免措置

住民税非課税世帯でかつ国民健康保険に加入している場合は、保険料の2~7割を減免してもらえる制度があります。減免の割合は世帯所得、給与所得者の人数などによって異なります。

国民年金保険料の減免措置

国民年金に加入している場合、前年所得に応じて国民年金保険料の納付が免除されます。
免除割合は4分の1~全額免除の計4種類です。

たとえば住民税非課税世帯で前年の所得が「(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円」を下回る場合、国民年金保険料が全額免除となります。扶養親族が2人いる場合は、年収が3×35万円+32万円=137万円以下であれば国民年金保険料が全額免除です。

介護保険料負担の軽減(65歳以上)

65歳以上で介護保険の第1号被保険者(=国民健康保険加入者)であり、かつ住民税非課税世帯である場合は、生活保護の受給の有無、所得額などに応じて介護保険料負担が軽減されます。

医療費の自己負担上限額の軽減

日本の健康保険には「高額療養費制度」というものがあり、入院や手術、通院などで自己負担する毎月の医療費の上限が決まっています。上限を超えた分の医療費は国の健康保険、および加入している健康保険組合で負担する仕組みです。

医療にかかった人の負担を減らすことが目的で設けられた制度ですが、自己負担額の上限は所得に応じて複数の区分があります。住民税非課税世帯(70歳未満)の場合は35,400円が上限となり、他の区分に比べてもっとも低い金額に設定されています。

2歳未満の保育料無償化

住民税非課税世帯が保育園等を利用する場合、0~2歳児の保育料が無料になります。
乳幼児の保育料は家計にとって大きな負担になりやすい出費ですが、無償化によって預けやすくなれば、仕事をして世帯年収を増やすチャンスが生まれます。

高校生、大学生の教育費支援

高校生、大学生になる子どもがいる住民税非課税世帯では、さまざまな教育支援が受けられます。

たとえば高校では「高校生奨学給付金」という、国公立高校の授業料が支援される制度が利用可能です。
また大学では「高等教育の修学支援新制度」があり、授業料等の減免、および給付型の奨学金制度が利用できます。

なお、これら制度の利用については、世帯収入だけでなく資産額、学生本人の学習意欲等の要件も満たす必要があります。

臨時の特別給付金

日本では増税や社会情勢の変化による緊急対策として、生活を支援する給付金が臨時支給されるケースがあります。中には住民税非課税世帯向けの特別給付金などもあり、世帯ごとに5~10万円が支給されました。

【過去に支給された住民税非課税世帯向けの給付金】

  • 住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金(2021年、2022年)
  • 電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金(2022年)

なお自治体によっては、独自の非課税世帯向け給付金を支給しているところもあります。

住民税非課税世帯になる条件を知っておこう

セーフティーネットのひとつとして、所得の低い住民税非課税世帯はさまざまな優遇措置が受けられるようになっています。仮に職を失ったとしても、こうした優遇措置を活用すれば生活を立て直していくことも可能です。

ただし、住民税非課税世帯になるかどうかについては、あくまでも「前年度の所得」が基準になります。「今年の収入が減ったから申請すれば住民税非課税世帯になれる」と考えるのは早計ですので注意しましょう。

なお、優遇措置を受けるには住民税の申告、および手続きが必要になる場合もあります。必要な支援や軽減措置を受けるためにも、どのような手続きをいつまでにすればいいのかを必ず把握しておきましょう。

この記事の執筆者

ゼニス編集部

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