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休業手当の算出方法、休業補償との違いなどを簡単に解説

会社の都合で休業日とした時、給料の支払いは必要なのでしょうか?

この記事では、休業手当の支払いに当てはまるケースの見極めや、計算方法について紹介いたします。
有給休暇や休業補償との違いについても解説しますので、この機会にチェックしておきましょう。

休業とは?

休業とは、「業務を遂行する意志はあるものの、実際には働けない状態」を指します。

事業者と従業員とが、労働契約を維持した状態において業務を遂行しない状態であれば、「企業側の事由」の場合についても、「労働者側の事由」についても、どちらも休業に該当します。

休業と休暇との違い

「休業」と「休暇」との違いについては、休業が一般的に長期間に渡る休みを指すのに対し、休暇は短期間の休みを意味します。

そのほか、休暇には「企業が勤務予定の日の労働義務を免除した日」という意味も含みます。

休業と休日との違い

「休日」とは、雇用契約書や就業規則によって「労働者が労働する義務のない日」として定めた日を指します。

休業と休日の違いについては具体的に細かい線引きはないため、企業ごとに独自の意味合いで使用しているケースも多く、企業の創立記念日を社内的には「休日」としながらも、対外的には「創立記念 休業のお知らせ」という具合に「休業」と記載する場合も少なくありません。

休業手当とは?

休業手当とは、休業のなかでも「企業側の事由」によって休業した場合に企業が支払う手当を指します。

『労働基準法第26条』では、休業手当について以下のように定められています。

労働基準法第26条(休業手当)
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

引用)労働基準法第26条

休業手当の目的には、事業者が休業を実施することにより、従業員の収入が減り、生活に支障をきたすのを防ぐ目的があります。

使用者の責に帰すべき事由とは?

労働基準法26条の「使用者の責に帰すべき事由」とは、企業側(使用者側)の都合によるものを指します。

具体的な例としては、次のようなものがあります。

使用者の責に帰すべき事由の例

  • 機械や設備の不備や検査
  • 資材や燃料不足による操業停止
  • 監督官庁の勧告・要請による操業停止
  • 人員不足や経営不振による操業停止

上記のように会社側の事由によって労働義務のある時間に労働ができなければ、休業手当の支払い対象となります。

押さえておきたい点として、地震や台風などの自然災害の際は、たとえ企業側からの指示で休業としたとしても、「使用者に帰すべき事由」にはあたりません。

また、休業期間中に休日が重なる場合については、休日にはもともと労働義務がないため、休業手当の対象外になるので注意しましょう。

休業補償や有休休暇とは?休業手当との違い

休業補償とは

休業手当と同様に、休業に際して支払うものに「休業補償」というものがあります。
休業手当と休業補償との大きな違いは、休業の「理由」です。

休業手当が「企業側の事由」によって休業となった場合に支払われるのに対し、休業補償は「労働者側の事由」によって休業となった場合に支払われるものです。

労働者側の事由に該当する主なものとしては、業務中または通勤中に従業員がケガをしてしまった場合や、病気になってしまったなど労働災害が原因で働くことができなくなった場合などです。

休業補償については労災保険に関係する制度で、『労働基準法第76条』に定められています。

労働基準法第76条(休業補償)
労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の100分の60の休業補償を行わなければならない。

引用)労働基準法第76条

休業補償の支払いは、企業側に過失が無い場合においても、企業は労働者へ支払いの義務があります。

休業手当と休業補償との違い

休業となる理由によって休業手当となるのか、休業補償となるのかの違いが生まれますが、休業手当と休業補償の違いにはしっかり把握しておきたいポイントがいくつかあります。

まず、休業手当の金額が「平均賃金の60%以上」となっているのに対し、休業補償の金額は「平均賃金の60%」と定められており、支給額が異なる点です。
また、休業補償については、労災保険から「休業補償給付」というものも支給され、合わせると平均金額の約80%が支給されるケースもあります。

また、休業手当が「賃金」として支払われるため所得税の課税対象となるのに対し、休業補償は賃金ではなく「補償」なので、課税対象にあたらない点にも注意しましょう。

さらに、休業手当が企業の定めた休日には支払われないのに対し、休業補償は休日でも支給の対象となる点もしっかりと押さえておきましょう。

有給休暇とは?

有給休暇とは、労働の義務が免除されながらも給料の支払いが行われる「休暇」を指します。

『労働基準法第39条』では、有給休暇について以下のように定められています。

労働基準法第39条(年次有給休暇)
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。

引用)労働基準法第39条

なお、年次有給休暇に関して支給する賃金は、次の3つのなかから企業が決めることとなっており、一般的には「1.の通常働いた場合の賃金」を支払うケースが多くなっています。

  1. 通常働いた場合の賃金
  2. 平均賃金
  3. 健康保険法上の標準報酬日額

休業手当の対象者

休業手当の対象となるのは、正社員だけでなくパート、アルバイト、契約社員などを含む、全ての雇用形態の従業員が対象です。

また、派遣従業員も労働基準法第26条の適用があるため、派遣社員と雇用関係にある企業において休業手当の支払義務が発生するので注意しましょう。

また、業務委託契約を結んでいる場合については、相手が個人事業主の場合は休業手当の対象外になりますが、相手が委託企業である場合は休業手当の対象となるケースも例外的に発生する場合があります。

休業手当の算出方法

平均賃金とは?

休業手当の支給額は、労働基準法第26条によって「平均賃金の60%以上」と定められており、原則、休業日ごとに「平均賃金×60%以上」の金額を支払う必要があります。

注意すべき点は、この「平均賃金」とは基本給のことではなく、「休業開始日直前の3ヶ月間の賃金」の合計を、その期間の総日数で割った額を指すという点です。

平均賃金の算出方法
平均賃金
=休業開始日(事由の発生した日)直前の3ヶ月間の賃金総額
÷その3ヶ月の総日数

賃金総額には、通勤手当や時間外手当などの各種手当や年次有給休暇分の賃金なども含みます。ただし、慶弔見舞金など臨時に支払われる手当や賞与は除きます。

通勤手当を6か月分の定期代としてまとめて支給している場合は、1ヶ月に按分して計算しましょう1円未満の金額は、特約がない限り四捨五入するものとします。

日給・時間給制の場合

パート、アルバイトなど「日給制」や「時間給制」の場合においては、上記の算出方法では平均賃金が低くなってしまうケースがあるため、「最低保証金額」というものが設定されています。

平均賃金が最低保証金額を下回る場合は、最低保証金額を平均賃金とみなして休業手当の算出に使用します。

最低保証金額の算出方法
最低保証金額
=(休業開始日(事由の発生した日)直前の3ヶ月の賃金総額÷その3ヶ月の総労働日数)×60%

平均賃金と最低保証金額の算出方法において異なる点は、その3ヶ月の「総日数」で割るか、「総労働日数」で割るのかの違いです。

この記事の執筆者

ゼニス編集部

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