「転売を副業にしたいけれど、法律違反にならないか不安」と思っていませんか? 転売をリスクなく安全におこなうには、転売に関する法律や規制などを知ることが重要です。
ここでは、転売をするうえで知っておきたい法律、規制対象を事例と共にご紹介します。法律を守りながら安全に転売をする方法を知りたい方は必見です。
転売自体は法律違反ではない
転売とは、一度お店で販売されたものを別の方法で売る行為を指します。
- 量販店で買った商品を、フリマアプリで売る
- ネットショップで買った商品を、別のネットショップで売る
- 不用品をネットオークションで売る
これらはすべて「転売」にあたります。
転売と聞くと、あまり良くないイメージを抱く方も多いのではないでしょうか。連日、転売行為による逮捕事案などが報じられていることもあり、ネガティブなイメージを抱いている方が多いのは仕方がないことかもしれません。
しかし実は、「転売」という行為そのものは法律違反にあたりません。法律に反する内容の転売が処罰の対象なだけであり、正しい方法・工程で行われた転売についてはまったく問題ないのです。
転売が法律違反になるケースとは?
前項では、転売そのものが法律違反になるわけではないことが分かりました。
では、法律違反になる転売とはどのようなものなのでしょうか? ここでは、法律違反として摘発された転売の事例をご紹介します。
【ケース1】マスクを転売し、書類送検された事例
コロナ禍には衛生商品の転売が相次ぎました。中でも有名なのが「マスクの転売での摘発」です。
「国民生活安定緊急措置法」が施行された2020年3月~5月は、マスクやアルコール消毒製品の高額転売が禁止されていました(現在は解除されています)。同法に違反した場合には懲役1年以下、罰金100万円以下が命じられます。
同法の施行(3月)から解除された8月までの期間中には、マスクを高額転売した男性が法律違反とみなされ、書類送検されています。同様の事件は3~8月までに10件発生しており、
【ケース2】フリマアプリで国内未承認薬を販売、逮捕された事例
2019年には、フリマアプリで国内未承認の医薬品を転売した男性が逮捕された事件もありました。
男性は、国内未承認の緊急避妊薬(インド製)を転売。医薬品医療機器法違反容疑にて逮捕されています。
医薬品の販売に必要な「医薬品販売業の許可」がなかったうえ、個人輸入した医薬品を販売する許可も得ていなかったことが逮捕の原因です。
医薬品医療機器法に違反した場合、3年以下の懲役刑、または300万円以下の罰金が科せられます。
【ケース3】オークションでチケットを高額転売し、逮捕された事例
過去にはアイドルグループのチケットを転売し、逮捕された事例もあります。
逮捕されたのは20代の女性。転売されたチケットをいくつか購入し、良い席のチケット以外をネットオークションで再転売したところ、チケット不正転売禁止法違反罪、および有印私文書偽造・同行使罪の疑いで逮捕。
結果的に懲役1年6ヶ月、罰金30万円(執行猶予3年)の有罪判決が下されるなど、話題になりました。
転売で知っておきたい法律とは?規制対象などをチェック
転売をするうえで知っておきたい法律は、以下の6つです。
- チケット不正転売禁止法
- 古物営業法
- 迷惑防止条例
- 刑法の詐欺罪
- 著作権法
- 酒税法
チケット不正転売禁止法
チケット不正転売禁止法は、2019年6月から施行されている法律です。
同法ではコンサート、イベント等のチケットの高額転売が規制の対象となっており、業として何度も高額転売を行った場合に「不正転売」として処罰されます。
参考リンク:チケット不正転売禁止法 | 文化庁
古物営業法
古物営業法はもともと盗品の流出を阻止するために施行された法律です。同法では「古物を売買する場合、古物商許可を要する」というルールがあります。
そもそも古物営業法でいうところの「古物」とは、「売ったり貸したりして利益を得るために購入したもの」を指します。そこには商品の状態(未開封の新品、中古)は関係なく、販売形式も関係ありません。
無許可で古物を販売するなどして「古物営業法違反」と判断された場合、3年以下の懲役、または100万円以下の罰金を科せられる可能性があります。
参考リンク:古物営業法 | e-Gov法令検索
迷惑防止条例
迷惑防止条例は各都道府県が独自に定める条例です。
たとえば、都道府県の多くではチケット等の高額転売(ダフ屋行為)を禁止しています。一方、青森県など一部の県では、ダフ屋行為を規制する条例がない、というケースもあります。
ご自身の居住地や取引を行う場所の迷惑防止条例を必ず確認しておきましょう。
刑法の詐欺罪
転売をするにあたって虚偽の表示をしたり、転売目的なのにそうではないと偽ってチケットを購入、転売したりした場合、刑法246条の「詐欺罪」に当たる可能性があります。
詐欺罪と判断された場合は10年以下の懲役が科せられる可能性もあるため、人を騙すような方法での転売を避けましょう。
著作権法
CDやDVD、書籍などの違法コピー商品を転売した場合、著作権法違反に該当し、処罰の対象となります。
著作権法違反と判断された場合、5年以下の懲役、または500万円以下の罰金(もしくはその両方)が科せられます。悪質と判断されれば、権利者に損害賠償請求の民事裁判を起こされる可能性もあるため、注意しましょう。
参考リンク:著作権法 | e-Gov法令検索
酒税法
酒税法とは、お酒の税や製造、販売などに関わる法律です。
酒税法では、「酒類の販売をする際には、酒類卸売業免許を受ける必要がある」と定めています。これは一般の小売店や飲食店だけでなく、利益を目的に継続して転売を行う人も対象となります。
お酒の転売で商売をしようとする個人の場合は、「酒類小売業免許」の取得が必要です。酒類小売業免許には「一般酒類小売業免許」、および「通信販売酒類小売業免許」を取得します。
参考リンク
酒税法 | e-Gov法令検索
税務署|一般酒類小売業免許申請の手引
税務署|通信販売酒類小売業免許申請の手引
法律を守って転売で稼ぐには?5つのポイント
法律を守りながら転売を行えば、安全に利益を得ることができます。当然、法令違反にならなければ違法に問われることもありません。
ここでは、安全に転売で稼ぐための5つのポイントをご紹介します。
- 法律や必要な許可、免許について理解を深める
- 古物商許可を取得する
- 虚偽の表示をしない
- コピー商品を見抜く知識をつける
- 転売禁止商品を転売しない
法律や必要な許可、免許について理解を深める
安全に転売を行うには、売りたい商品の販売に関する法律、必要な許可・免許などの知識を身につけることが重要です。
事実、マスクの転売による逮捕事案では、転売が禁じられていることを知らなかったがゆえに逮捕されてしまった人もいます。また別の事例を見ても、許可や免許が必要なことを把握しておらず、有罪と判断された方は少なくありません。
法律を違反せず転売をしたい方は、前の項でご紹介した法律とともに、商品の販売に必要な許可・免許・販売条件などをしっかりと把握しておきましょう。
古物商許可を取得する
転売を目的に小売店から購入した商品は、未開封の新品であろうと中古であろうと「古物」として扱われます。一度人の手に渡ったものとみなされるからです。
このような古物を販売するには、法人・個人にかかわらず「古物商許可」が必要です。古物商許可の取得には、19,000円と所定の書類の提出が必要になります。
古物商許可を取得するには、営業所(古物台帳を保管したり、管理したりするための場所)を準備する必要があります。自宅でも営業所として登録はできますが、賃貸物件などで商用目的に使えない場合は、別途でオフィスなどを借りなければなりません。
なお、5年以内に禁固刑以上の犯罪歴がある方、古物営業法違反の罰金刑を科せられてから5年経過していない方、住所不定者などは古物商許可が取れませんのでお気を付けください。
参考リンク:古物商許可申請 警視庁
虚偽の表示をしない
中古品を「新品」と表示して転売するなどの行為は、刑法上の「詐欺罪」にあたります。
転売を行う場合には虚偽の表示と捉えられぬよう、わかりやすく明快な表示を徹底すべきです。
コピー商品を見抜く知識をつける
ブランド商品やCD、DVDなどのコピー商品を販売した場合、商標法違反・商標権侵害、著作権法違反などの罪に問われます。
仮にコピー品と知らずに販売をした場合でも、1回きりなら罪に問われる可能性は低いでしょう。しかし、事業として何度も販売してしまうと、処罰の対象になるケースがあります。また法的な罪に問われなかったとしても、販売プラットフォームのアカウント停止、顧客からの信用ダウンなどのリスクが生じる可能性が高いです。
リスクを最小限に抑えるには、本物とコピー品を見分ける知識を身につけることが重要です。また偽物をつかまされた場合の対処や、うっかりコピー品を売ってしまった場合の対処方法(購入者への返金対応など)も把握しておきましょう。
転売禁止商品を転売しない
世に出回っている商品の中には、メーカー側が「転売禁止」としているものも少なくありません。
このような商品を転売した場合、法律違反にこそならずとも、報告によるアカウントの停止や勧告、警告などの処分を受ける可能性があります。
トラブルなく安全に転売をしたい場合は、転売が禁止されていないかもきちんと確認しておくことをおすすめします。
法律を守って安全な転売をしよう
転売は会社員や主婦などの副業としても人気ですが、商品や販売方法によっては法律違反とみなされる場合もあります。安全に転売ビジネスを続けたい方は、法律や許可・免許といった必要知識を身に付けるようにしましょう。