支援者から資金を募ってプロジェクトを成功させる「クラウドファンディング」。近年ではポピュラーな資金調達方法のひとつとなりましたが、実際にはどのような流れでクラウドファンディングを行うのでしょうか。
ここでは、クラウドファンディングの概要やメリット、やり方について解説。注意点と合わせてチェックし、起業や事業の成功を目指してみましょう!
クラウドファンディングとは
クラウドファンディングとは、実現させたいプロジェクトをネットなどで公開し、支援者から資金提供を募る手法のことをいいます。
近年では「起業したい」「アイデアを商品化したい」といったものから、「経営の傾いたレジャー施設を立てなおしたい」「地域社会の課題を解決したい」など、さまざまな目的でクラウドファンディングが利用されています。
クラウドファンディングの種類
クラウドファンディングには4つの種類があります。
①購入型 | 商品やサービスの購入、選考体験、割安に利用できる権利をリターンにして資金を集めるクラウドファンディング。 |
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②寄付型 | 活動報告、お礼の手紙などをリターンとして設定し、資金を集めるクラウドファンディング。購入型と組み合わせて実施される場合もある。 |
③融資型 | 投資資金として企業、不動産に融資を行い、収益の分配をリターンとして得るクラウドファンディングのこと。資産運用が目的であり、調達者(資金提供を受ける側)は証券会社などに限定される。 |
④投資型 | 未上場企業の未公開株に投資できるクラウドファンディングのこと。 |
「起業」「商品化」「社会貢献活動」などを目的としたクラウドファンディングの場合は、購入型または寄付型のクラウドファンディングを利用することになります。
※融資型、投資型はどちらかというと投資側の資産運用を目的としているため、本記事では触れません。
クラウドファンディングのメリットは?
クラウドファンディングを利用すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
SNSで出資を募りやすく、より多くの出資が受けやすい
多くの人から資金を集めることで、1人では実現できないプロジェクトにトライできる
プロジェクトや企業の認知度を高められる
商品やサービス、イベントを事前PRでき、ファン(見込み顧客)の獲得につながる
テストマーケティングにも活用できる
クラウドファンディングは、アピール次第で多くの人にプロジェクトのことを知ってもらえます。特にSNSなどの拡散性の高いツールでの宣伝は、上手くいけば多くの支援者が獲得できるでしょう。そうなれば、自力では集められないくらい多額の支援を受けることも夢ではありません。事実、クラウドファンディングを利用した方の中には、とてつもなく大きな資金を調達し、夢を叶えたという方も多いです。
さらに、クラウドファンディングのPRによって商品、サービス、企業への認知度も高まります。クラウドファンディングに至った経緯やプロジェクトにかける想いをていねいに伝えれば、共感しファンになってくれる方も増えていきます。ファンになってくれた顧客は将来のお得意様として自社を支えてくれる可能性が高いでしょう。
なお、クラウドファンディングは銀行が融資をしてくれないような、チャレンジングな事業の資金調達にも向いています。クラウドファンディングでテストマーケティング(試験販売)をして反応をチェックし、評判がよければ本格的に商品化を検討……といった手法も可能です。
クラウドファンディングのやり方は?
それでは、「購入型」のクラウドファンディングのやり方を見てみましょう。一般的には次の8ステップでクラウドファンディングを進めていきます。
- 目標の決定
- クラウドファンディングの種類を選ぶ
- 利用サイトを選ぶ
- キュレーターへの相談、プロジェクトページ作成
- プロジェクト審査、公開
- 広報活動でプロジェクトを宣伝する
- 掲載後に活動報告を実施
- 支援者へ商品、サービスのリターンとお礼
1.目標の決定
クラウドファンディングでは目標が何よりも重要。ファーストステップとしてすべき「目標設定」では、
- なぜ資金がほしいのか
- どのようなプロジェクトを達成したいのか
- クラウドファンディングじゃないとダメな理由は何か
を明確にしましょう。ここが曖昧だと、支援ページでのアピールに説得力が生まれにくくなります。
2.クラウドファンディングの種類を選ぶ
本項では購入型のクラウドファンディングを利用する場合の流れをご紹介していますが、中にはどのクラウドファンディングがいいか判断できず、迷っている方もおられるのではないでしょうか。
クラウドファンディングには4種類(購入型、寄付型、融資型、投資型)があります。
購入型や融資型、投資型は支援者が具体的なリターン(商品、サービス、金銭的リターンなど)を得られますが、寄付型は形のあるリターンが受け取れないことがほとんどです。
プロジェクトの内容、性質に応じたクラウドファンディングの種類を選びましょう。
3.利用サイトを選ぶ
クラウドファンディングを利用するにはインターネット上のサイト(プラットフォーム)を選ぶ必要があります。特に、初めてクラウドファンディングを行うなら、知名度の高いクラウドファンディングサイトを利用することが重要です。
【おすすめのクラウドファンディングサイト】
Makuake(マクアケ)
CAMPFIRE(キャンプファイアー)
READY FOR(レディーフォー)
なお、個人サイト等でクラウドファンディングを募る方法はおすすめしません。誰もが名前を知っている大企業のようなネームバリューがない限り、集客が難しいからです。またそもそもの利用者数(会員数)が少なければ、得られるリターンの上限も少なくなり、失敗しやすくなります。
4.キュレーターへの相談、プロジェクトページ作成
サイトに登録を済ませたら、実施内容を踏まえてキュレーターに相談してみましょう。
キュレーターとは、プロジェクトの立案~達成まで伴走型でサポートしてくれる担当者のことです。有名どころのクラウドファンディングサイトでは、専任スタッフがついてくれるので、スケジュールやページ構成、リターンの設計などとことん相談してみましょう。
キュレーターからのアドバイスや「プロジェクトの目的」「達成したい目標」「伝えたいこと」などを踏まえつつ、重要なプロジェクトページを作成していきます。
支援者が思わず支援したくなるようなページ作りを心がけましょう。
一般的にはサイト登録~公開までに2~3週間かかることが多いので、早め早めの行動が吉です。
5.プロジェクト審査、公開
プロジェクトページが仕上がったら、掲載先サイトの審査を受けます。
ここで問題がなければそのまま公開となり、クラウドファンディングがスタートします。
6.広報活動でプロジェクトを宣伝する
クラウドファンディング募集開始後は、多方面に広報活動を行い、プロジェクトへの理解を得るようにしましょう。TwitterやInstagram、YouTubeなどのSNSはもちろん、自社サイトでもクラウドファンディングを行っていることを周知すると、認知度を高められます。
広報・宣伝についてはプロジェクトの公開前から動き始め、情報を適宜公開していくとファンを獲得しやすくなります。また見込み支援者に対しては、定期的に情報発信をし、支援の確度を高めていくことも大切です。
7.掲載後に活動報告を実施
クラウドファンディングの掲載が始まったら、支援者へ活動報告を行いましょう。
クラウドファンディングで支援を得られるかどうかは、「支援することで得られるリターンがあるか」で変わります。ここでいうリターンは物質・金銭的な利益だけでなく、「支援がどのように役立つのか」も含まれるため、具体的かつ魅力的な内容であるほど支援を得やすくなるでしょう。
詳細かつていねいな報告は、支援者と良好な関係を構築することにもつながります。
8.支援者へ商品、サービスのリターンとお礼
プロジェクトを支援してくれた支援者には商品やサービスなどのリターン、およびお礼を行います。
クラウドファンディングサイトでは支援者がプロジェクトへコメントを寄せられる機能があります。このコメントに返信や、お礼の言葉などのレスポンスを返すことで、支援者とのコミュニケーションが深まります。
支援者によってはSNS等でクラウドファンディング情報を拡散してくれるケースもあるため、なるべくキャッチしつつお礼のメッセージを送るようにしましょう。
クラウドファンディングを利用する際の注意点
クラウドファンディングは成功すれば大きなプロジェクトを実現できるポテンシャルのある仕組みです。しかしながら、失敗するリスクもゼロではありません。
・競合他社にアイデアを盗まれる可能性がある
・必ずしも希望額が集まるとは限らず、失敗に終わることも
・支援額や手数料、リターンの設定によってはマイナスになる可能性も
・「All-or-Nothing方式」と「All-in方式」の違いに注意
とりわけ気をつけたいのは「他社にアイデアを盗用・流用される可能性があること」ではないでしょうか。
クラウドファンディングでプロジェクト(商品、サービスなど)についてくわしく説明し、一般公開するということは、だれでもかんたんに閲覧できてしまう、ということでもあります。つまり競合他社が自社のアイデアを盗むのもかんたんなのです。
「斬新で独創的なアイデアをプロジェクトとして募集したものの、知らぬ間に他社にアイデアを取られて商品化されてしまった」とならぬよう、オリジナリティの高いプロジェクトについては先に特許申請をしてしまうなどの対処を講じておくと安心です。
また、クラウドファンディングは銀行融資のように「○○万円貸します」というものではなく、あくまでも支援者の支持が得られるかどうかで集まる金額が変わります。場合によっては希望額に満たないばかりか、手数料、リターンにかかった費用などにより、かえってマイナスになる可能性もあることに注意しましょう。
なお、クラウドファンディングには希望額に到達しなければプロジェクトを実行しない「All-or-Nothing方式」、希望額に至らずともプロジェクトを実行する「All-in方式」があります。
前者の場合は支援金を返金するなどしてあまりコストもかかりませんが、後者のAll-in方式では「お金が足りなくてもプロジェクトはやらなければならない」といったことにもなりかねません。
特に大きなプロジェクトの場合は、All-in方式によって負債を抱えてしまう可能性もあるので、クラウドファンディングの形式選びにも注意してください。
クラウドファンディングは支援者ありき!
クラウドファンディングは支援者の存在がないと成り立たない資金調達方法です。プロジェクト成功のためにも、支援者へどうやって情報を届けるかに重点を置きながらクラウドファンディングを進めていきましょう。
また、実際に支援者となってくれた方にはリターンやお礼など最大限の感謝を提供することも重要です。うまく使えば大きなプロジェクトも達成できるので、支援者の存在を忘れず、感謝を持ってクラウドファンディングを活用してみましょう。