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決算とは?いつ行うのか、目的や流れを簡単に解説!

企業や個人事業主は、決まった時期に「決算」を行います。とりわけ日本では、3月ごろになると「決算セール」「決算業務」などの言葉をよく耳にしますが、そもそも決算とはどのようなことを行うのでしょうか。

ここでは、決算とはどのようなものなのか、目的や実施のタイミングをわかりやすく解説します。決算業務の流れについてもご紹介しているので、参考にお読みください。

決算とは?行う目的や理由について

決算は、「年間の収益」「事業のためにかかった費用」を計算・集計し、決算書に起こすことを指します。

決算は1年間の収益と費用を報告するための作業

企業が事業を運営する際には、収益や費用が発生します。これらは帳簿につけて記録していく必要があるのですが、そもそも帳簿付けには「1年間の収益と費用をまとめて申告するため」という目的も含まれています。
決算で収益と費用を報告することで、国(国税庁)は正しい税額を算定し、通知できるようになります。これにより企業は、収益に伴う正しい税額を納めることができるのです。

決算書は企業の経営状況を明確に表すためにある

また決算書を作成する過程で、企業の経営状況を可視化できるメリットもあります。

決算書は経営者自身が経営状況を把握するために利用できるだけでなく、外部に対して自社の経営状況を開示する際にも役立ちます。特に、株主や取引先などの利害関係者にとって、決算書は投資・取引の判断をする大きな指標ともなるのです。

個人事業と法人の決算の違いは?

決算のタイミングは、個人事業主と法人で異なります。

個人事業主の場合は「12月31日」が決算日になり、翌年の2~3月に確定申告を行います。

いっぽう法人の場合は、決算日を自由に決められます。企業で都合のよいタイミングに決算日を指定することも可能です。一般的には3月が多いのですが、企業によっては9月であったり、12月であったりと、実際にはまちまちです。

決算日を決めるのは「設立登記」のとき

法人が決算日を決める最初のタイミングは、設立登記を行うときです。
このとき、好きな決算期を決めて定款(事業年度の項目)に記載をし、認証を受けることになります(株式会社の場合)。
3月決算の会社が多い理由としては、「4月の新卒採用に備えて」「国の年度終わり(3月)に合わせたいため」など様々ですが、近年は税理士等の繁忙期を避けた9月や、海外の年度終わりに合わせた12月(外資系企業に多い)を決算月と定める企業も増えています。

決算日を翌年から変えたい場合は?

「3月に設定していた決算日を、翌年から6月にしたい」という場合は、定款の変更手続きが必要です。
ただし、定款の変更には「臨時株主総会」の開催が必要です。臨時株主総会で決議を行い、定款の決算期変更への承認が得られたら法務局にて決算期の変更手続きができるようになります。
変更手続きは

  • 所轄の税務署
  • 都道府県税事務所
  • 市区町村の役所

にて、「異動届出書」「定款変更を決議した際の株主総会の議事録」を提出すればOKです。
また、主要な取引先、金融機関にも決算期変更の旨を伝えましょう。

決算業務はいつ行うもの?


決算業務には1年に1回行う「年次決算」だけでなく、決算を行うタイミングによってさまざまな種類があります。

  • 月次決算
  • 四半期決算
  • 半期決算(中間決算)
  • 年次決算(本決算)

それぞれ詳しくご説明します。

月次決算

月次決算とは「1ヶ月単位で行う決算」を意味します。
企業においては毎月、会計の締め作業を行います。その際に年次決算とほぼ同等の決算処理を行い、月次決算書を作成するのが月次決算の一般的な流れです。

月次決算はあくまでも「任意」で行うもので、法的な義務や決まりなどはありません。ただし、月次決算を行うことで年次決算の業務負担が少なくなったり、予算修正、資金繰りに応じた融資の検討などがしやすくなったりといったさまざまなメリットが得られます。

また、月次決算で収支を正確に把握・記録していると、金融機関からの融資がスムーズになる可能性も高くなります。規模の大きな企業はもちろんですが、中小企業においても可能な限り月次決算を行うことをおすすめします。

四半期決算

四半期決算とは、年4回、3ヶ月に一度行う決算を指します。

上場企業は四半期決算の実施、および開示が義務付けられているため、3ヶ月に一度決算を行い、公開しなくてはなりません。四半期決算にもっとも注目しているのが、投資家たちです。投資家たちは企業の四半期決算の結果を大きな投資判断材料としているため、決算の内容は株価にも影響が表れます。

なお、第一四半期~第四四半期までは「Q(Quarter)」と表記される場合が多く、「Q1」ならば1~3月、「Q2」なら4~6月を表しています。

半期決算(中間決算)

半期決算(中間決算)とは、半年(6ヶ月)に一度行う決算です。
上場企業は四半期決算と同様に、半期決算についても公表義務があります。

半期決算を見ると上半期、下半期それぞれの経営状況を判断できることから、投資家や株主などの利害関係者が多く閲覧します。企業にとって半期決算の結果は経営状況の健全性をアピールできるものであり、同時に自社の経営状況の把握、経営戦略の立て直しに役立つものです。

年次決算(本決算)

年次決算は1年に1回行う決算です。たとえば個人事業主は、確定申告に必要な決算書作成のために「年次決算」を行うことになります。また会社においても、税務申告等のために年次決算を行う法的義務があります。

決算の流れは?


企業や個人事業主などが行う決算は、決算書を作成し、納税額を決定するまでが一連の流れとなります。
また、株式会社の場合は決算書を株主総会へ提出するなどの作業も必要です。

  • 決算書の作成と株主総会への提出
  • 決算書をもとにした法人税の申告書を作成、提出
  • 各種税金の納税額の決定

決算(年次決算)を行う際は、その年の収益と費用を正確に記帳し、税金を計算したうえで決算書を作成する……という流れで進めていきます。

  1. 当期分の記帳の確定、試算表・明細表作成
  2. 棚卸、決算残高の確認
  3. 決算整理仕訳
  4. 決算書の作成
  5. 株主総会での承認
  6. 法人税等の申告書作成、提出

1.当期分の記帳の確定、試算表・明細表作成

決算書を作成するにあたって、事業年度分の記帳は全て済ませておかなければなりません。
記帳を漏れなく行った後は、試算表、明細表を作成し、個々の勘定科目の計算が合っているかをチェックします。

2.棚卸、決算残高の確認

棚卸とは、決算期に残っている商品、材料、製品といった“在庫”の数量をカウントし、在庫分の金額を算出する作業です。もともと会計では、商品は仕入時に「仕入高」として経費処理を行います。しかし、売れ残っていたり使っていなかったりする在庫に関しては、経費から除外する必要があります。
つまり棚卸をすることで、「事業(商品やサービスの提供)のために使った純粋な費用」が算出できるというわけです。
棚卸で在庫とされた商品・材料・製品の金額は、次の事業年度に繰り越されます。

また、預金や現金の残高と帳簿上の残高が一致しているのか、売掛金・買掛金・未払い金等の残高についても確認が必要になります。仮払金、立替金の未清算分がある場合や、固定資産の状況や金額についても帳簿との照らし合わせが必須です。

実地棚卸や残高の確認をしたあとは、必要に応じて修正仕訳を行います。

3.決算整理仕訳

修正仕訳が終わったら、決算に必要な最終修正の仕訳(決算整理仕訳)をしていきます。

  • 期末棚卸高の確定、売上原価の計算
  • 貸倒引当金の設定
  • 固定資産の減価償却
  • 経過勘定(未払い費用、前払費用など)の確定、計上
  • 有価証券の評価替え など

この決算整理仕訳は、企業規模が大きいほど(取引の数が多いほど)手間も時間もかかります。
決算期には早めに取り掛かるようにしましょう。

4.決算書の作成

決算整理をし、試算表にも問題がないようならば「決算書」を作成します。
株式会社の場合は、会社法によって以下の書類の作成が義務付けられています。

【計算書類】

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 株主資本等変動計算書
  • 個別注記表
【その他書類】

  • 事業報告
  • 計算書類の附属明細書
  • 事業報告の附属明細書

※上場企業の場合はキャッシュフロー計算書や有価証券報告書も作成しなくてはなりません。

貸借対照表(B/S)とは、決算日時点での会社の財政状況を記している書類です。同書面には他人資本(負債)と自己資本(資本金、利益剰余金など)が記載されており、企業の経営の健全性を読み取ることができます。
損益計算書(P/L)とは、当期の経営成績が分かる書類です。いずれも企業の資金繰り、経営状況が明確に分かる重要度の高い書類となっています。

5.株主総会での承認

4で作成した「計算書類」については、定時株主総会で承認を受けなくてはなりません。
ただし取締役会や会計監査人を設置している企業の場合、定時株主総会で報告こそ必要ですが、「承認」は不要です。

6.法人税等の申告書作成、提出

決算の総まとめとして、決算書をもとに税金の申告に必要な書類をそれぞれ作成していきます。

  • 法人税
  • 法人住民税
  • 法人事業税
  • 地方法人税
  • 消費税

書類を作成できたら確定申告をします。確定申告は、決算日の翌日から2ヶ月以内に行わなければなりませんので注意しましょう。

この記事の執筆者

ゼニス編集部

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