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ビジネスにおけるバイアスとは?バイアスのデメリットや改善方法を解説

「あの人は○○だから仕事ができない」「採用試験に来た学生はみんなおとなしそう」など、私たちの日常では「こうだからこうだろう」といった憶測で物事を決めつけてしまう人がいます。
こうした考え方のクセを「バイアス」と呼びますが、バイアスが大きすぎると業務にさまざまな影響が及ぶことがあるのです。

ここでは、バイアスの意味や種類、ビジネスへの影響についてご紹介。バイアスを改善する方法についてもご説明しているので、ぜひ最後までご参考になさってください。

バイアスとは「偏り」のこと

バイアス(bias)は直訳すると「偏り」「斜め」という意味です。転じて世間一般では、「人の考え・行動に偏りが生まれること、およびその原因」という意味で使われます。

心理学、統計学でよく用いられますが、ビジネス用語としてもポピュラーな言葉です。

バイアスは「二重過程理論」で生まれるとされている

そもそも、なぜ人の頭の中にはバイアスが生まれるのでしょうか。

その理由としては、人の意思決定には2つの過程(二重過程理論)があると考えられているからです。

①直感的、迅速に物事を決めるシステム
②時間をかけて論理的判断を行うシステム

①については「考える」というより「感じる」といったほうが近く、ほぼ直感で意思決定を行います。
無意識で判断を行うため、「その考えが合っているのか、間違っているのか」が考慮されません。よって自分でも想定していなかったバイアス(偏り)がかかってしまうのです。

直感を形作るのは過去の自身の経験や知識ですが、現実の物事には「自分が知らないこと」「他人や社会の事情・状況・感情」などさまざまな要素が絡み合っています。
バイアスに気が付かないまま意思決定をしてしまった場合、失敗や思わぬトラブルにつながるケースも珍しくありません。

認知バイアスとは?

認知バイアス(アンコンシャスバイアス)とは、自身の思い込み、周りの状況・環境によって、非合理な意思決定をしてしまう心理現象です。
認知バイアスは意思決定のスピードを速める効果もあり、必ずしも「悪」というわけではありません。しかし先述のとおり、公平性・公正性・客観性を失った状態での判断は、失敗やトラブルの原因になる可能性があります。

認知バイアスにはさまざまな種類があるので、それぞれの特徴を知っておきましょう。

確証バイアス

確証バイアスとは、自身によって都合のいい情報を(真偽を問わず)集めてしまう現象を指します。

わかりやすいのが「血液型占い」です。
血液型占いでは「A型は几帳面な性格、O型はおおざっぱ……」というふうに血液型別に性格を分類しています。しかし実際には、おおざっぱなA型の人も多いですし、几帳面で神経質なO型の人も多数います。
また、賛否が分かれる事項に対し、SNSで賛同意見ばかりを集めるのも確証バイアスの一種といえるでしょう。

自分の意見や考えを正当化したいがために陥りやすいのがこの確証バイアスであり、将来得られる利益・不利益などが正しく得られなくなる可能性があります。

正常性バイアス

正常性バイアスは、自身にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価してしまったりする現象を指します。災害時などの緊急時に起こりやすい現象ゆえ、災害心理学では有名です。

たとえば太りすぎて明らかに健康面で問題が生じているのに「まだ大丈夫」と生活習慣を改めなかったり、災害で避難命令が出ているのに「まだここは大丈夫」として自宅に残ったりといったケースが正常性バイアスに当てはまります。

もともとはストレスや心理的ショックを回避するため人に備わった機能のひとつと考えられていますが、注意すべき事項を無視したせいで不利益を被るなどのデメリットが多いのが特徴です。

自己奉仕バイアス

自己奉仕バイアスとは、自身を過大評価したうえで失敗の理由を他責(転嫁)する現象です。
たとえば何かのプロジェクトに成功した場合、自己奉仕バイアスがかかっている人は「自分のおかげ」と思い込みます。それが本当であれば正当な評価ですが、もし貢献度が低いのであれば完全な勘違いです。

一方自己奉仕バイアスがかかっている人は、何かに失敗したとき他責思考に陥りがちです。
たとえばチーム単位でプレイするスポーツで自チームが負けたとき、複数の原因が重なっていることが大半でしょう。しかし自己奉仕バイアスがかかっている人は「○○がミスをしたから負けた」「天気が悪かったから実力が出せず負けた」など、あたかも自分に非はない、という前提で考えます。

こうなると成長は望めませんし、周囲からの信頼を失うことにもなりかねません。

ハロー効果

ハロー効果とは、何かの対象を評価する際に“目立った特徴”に引きずられて適正な評価ができなくなる現象です。人事評価や採用といった人事関連の業務ではよく見られます。

分かりやすい例で言えば、採用試験での学歴、サークル活動の成果などが挙げられるでしょう。「有名な大学卒なので仕事ができる」「運動サークルに所属していたのでコミュニケーションが得意」など、その人の中身を確認しないまま決めつけで評価をしてしまうのです。

もちろんそのイメージ通り、仕事ができてコミュニケーション力も高い人材は多いでしょう。しかし全員がそうではないので、「入社後に思った通りの結果を出してくれない……」と悩むことになるのです。
このケースでは、面接の時点で別の指標をもとに「仕事に応用できそうな能力」「コミュニケーション力」などをはかっていれば防げたはずです。

またハロー効果はネガティブ面にも働きます。先の例(採用試験)でいえば「受け答えが暗いのでコミュニケーションが苦手そうだし、仕事もできなさそう」といった事例がネガティブハロー効果に該当します。

少なくとも面接の時点では、受け答えが暗くともコミュニケーションが苦手かどうかはわかりませんし、仕事のできる・できないには関連性がありません。こうした先入観や決めつけ、関係のない要素との関連付けは、人事活動がうまくいかなくなる原因になりやすいです。

ダニング=クルーガー効果

ダニング=クルーガー効果とは、自分を過大評価してしまう現象です。

これは「実際には仕事上のミスが多く、1つの作業に人の何倍もの時間がかかるにもかかわらず『自分は仕事ができる』と思い込んでいる状態」というと分かりやすいでしょう。

過大評価をしているので自身の改善点や課題に気が付きにくく、知識不足を招きやすくなってしまいます。また他人の評価を見誤ったり、詐欺被害に遭いやすくなったりするデメリットもあるのです。

その他の認知バイアス

上記のほかにもさまざまな認知バイアスがあります。

  • バンドワゴン効果……自分の判断より大勢の判断のほうが正確と思い込む現象。
  • 後知恵バイアス……「結果の予測ができる」と錯覚するバイアス現象のこと。
  • インポスター症候群……実力があるのに自己評価を低く見積もる現象のこと。
  • 内集団バイアス……自分が所属している集団より、他の集団のほうが優れていると錯覚する現象。

いずれも「現状を正確に把握しないまま錯覚する偏り」です。

ビジネスシーンではバイアスが悪影響を及ぼす?

ビジネスシーンにおいてバイアスが生じると、人事評価や採用活動、業務などさまざまな面でデメリットが生じます。

  • 従業員のモチベーション低下につながる
  • 採用活動を阻害する
  • 人事評価で公平性が失われる

従業員のモチベーション低下につながる

認知バイアスがネガティブに働いた場合、人間関係が悪化するケースがかなり多いです。

本来の会社というのは話し合いなどによって企業のビジョン、目的を達成することが理想ですが、バイアスが働いた状態では「あいつは○○だからだめだ」「あの上司は○○だから仕事の相談をしても無駄だ」というふうにコミュニケーションへ悪影響が出ることがあります。

人間関係の悪化は仕事へのモチベーションも奪ってしまうため、業務効率の悪化、生産性の低下などを招きかねません。

さらに、管理職がバイアスを持っている場合は厄介です。部下に対して公平な扱いをしない、一方的な決めつけで意見を言う……といったことがあれば、従業員はますますやる気をなくしてしまうでしょう。最悪の場合離職にもつながる恐れがあります。

採用活動を阻害する

バイアスが働いた状態で採用活動を行うと、組織の多様性が失われていきます。

これは「○○大卒の人じゃないと採れない」「自分が野球部だったので、同じ野球部卒の学生を採用したい」といったケースが当てはまりますが、このような採用活動を続けると偏った人材しか雇えず、組織としての成長は鈍化しやすいです。

人事評価で公平性が失われる

採用にバイアスが働いた場合のデメリットは、人事評価にも及びます。

「コミュニケーションが得意」と過大評価していた人材がいざ入社してみると「自分の話をするのは得意だが、相手の話を聞けない」というギャップがあったので評価を下げた……というのは比較的よくあるケースです。

しかしそもそもこの「ギャップ」というのは面接官のバイアスによって生まれたものであり、面接時の受け答えで「相手の話を聞いて的確な答えを返せるか」などの評価軸を設けていれば防げたことでしょう。
この人材にとっては「入社したら評価を下げられた。なぜ?」と感じるでしょうし、不公平感が募ります。

適正な人事評価が行われないと、企業に対するエンゲージメント低下にもつながります。

バイアスを改善する方法は?

人間は多かれ少なかれバイアスを持って生きているため、バイアスをゼロにすることはほぼ不可能です。
しかし、できる限りバイアスを少なくすることはできます。

  • 自分とは違った意見があれば、まずはじっくり耳を傾ける
  • 「事実」と「意見」は切り分けて考える
  • 前提となるもの(当たり前)を疑ってみる
  • 肩書や経歴で判断しない
  • 自分やチームで「判断軸」を持っておく

これらを常日頃から意識しておけば、「今の自分の考えは偏見ではないか?」「他の意見・見解はないか?」というふうに一歩立ち止まって考えることができます。

また、バイアスについての認知テスト・アンケートを行い、偏りがみられるようならバイアスに関する知識を得る研修を実施することも効果的です。

企業活動を阻害するバイアスについてしっかりと把握し、改善を心がけていきましょう。

この記事の執筆者

ゼニス編集部

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