会社や事業の経営には「固定費」がかかります。損益分岐を考えるうえでは、固定費をなるべく押さることが重要です。本記事では“固定費とはどのようなものか”を解説。変動費との違いや算出方法、固定費を削減する方法もご消化しますので、ぜひ参考にしてみてください。
固定費とは?
固定費とは、会社や事業でかかる費用のうち、固定的に発生する費用のことです。
固定費に該当する費用は業種によって異なります。
例えば卸・小売業の場合、以下のような支出が固定費にあたります。
- 人件費(給与、賞与、退職金、福利厚生費など)
- 家賃
- 光熱水道料
- 通信費
- 交通費
- その他販売費
- 保険料
- 修繕費
- 減価償却費
- 支払利息
- 接待交際費 など
これらは売上の増減に関係なく発生する費用です。
極端な話、「売上がゼロだったとしても固定費は発生する」とも言えるでしょう。
固定費は「損益分岐点」を理解し、改善するうえで重要
固定費について学ぶ上で欠かせないのが、「損益分岐点」についてです。
損益分岐点とは、費用(支出)と収益を合算したとき、損益(お金のプラスマイナス)がゼロになる状態を指します。
損益分岐点に来る前は「費用>収益」であり、トータルで見るといわゆる「赤字」の状態です。
一方、損益分岐点以降は「収益>費用」となり、トータルで見れば「黒字」の状態となります。
ここで初めて会社・事業の「純利益(すべての経費・税金を差し引いた利益)」がプラスに転じることになります。
損益分岐点についてはこちらのコラムでもくわしくご説明していますので、また参考にしてみてください。
https://virtualoffice-resonance.jp/column/breakeven-point/
損益分岐点は「かかった費用」と「売上等による利益」のバランスによって変化します。
つまり同じ利益を得たとしても、「かかった費用が少ないほど損益分岐点は早く訪れる=利益が生じるタイミングが早くなる」、というわけです。
この「費用」というのは、先ほどご紹介した「固定費」、および「変動費」で形成されています。
固定費と変動費の違いは?
会社や個人事業の損益計算では、固定費と変動費を合わせたものを「費用」と呼びます。
固定費と変動費には以下のような違いがあり、それぞれ発生するタイミング、性質などが異なっています。
固定費の性質や発生タイミング
人件費やオフィスの家賃、光熱水道費、ネット回線費、リース料など。
- 事業の継続、維持のためにかかるお金
- 売上額に関係なく発生し、ひと月ごと、1年ごとなど定期的に支払いが必要
- 金額の変動が少ない
変動費の性質や発生タイミング
原材料費や仕入原価、消耗品費、販売手数料など。
- 事業を営むうえで突発的、かつ流動的に発生する費用
- 売上に比例して増減し、不定期での支払いになる
- 金額変動が大きい
固定費かと思いきや変動費になる費用もあるので注意
なお、固定費に含まれる支出のうち、変動性の高いものは「変動費」として考えます。
たとえば人件費のうち、毎月社員に支払っている給与は「固定費」ですが、繁忙期のみ雇用する臨時スタッフ、派遣社員などの給与は「変動費」として計上することも多いです。
また給与のうち変動しやすい「残業手当」なども同様に、変動費として扱うケースがあります。
固定費と変動費はどちらを抑えるべきなのか?
結論から言うと、損益分岐点を考えるうえでまず削減すべきなのが「固定費」です。
先述のとおり、固定費は売上額に関係なく発生する費用です。つまり、売上が少ないのに固定費が多くかかっていると、より多くの売上を上げない限り赤字になっていまいます。
一方、固定費を極力抑えられた場合。この場合は売上が少なくなった月でも、固定費を下回りさえしなければ利益が生じます。
変動費を抑えることももちろん大事なのですが、財務状況を考えるうえでは固定費の削減を重点的に行うことが最重要といえるでしょう。
固定費の算出方法とは?固変分解について
固定費がいくらかかっているのか算出するには、費用を「固定費」「変動費」に分けて考える必要があります。
こうして固定費と変動費に分ける作業を「固変分解」といいます。
固変分解の基本的な考え方は、「操業度、生産量、売上に比例する出費か」です。これをベースに、2種類の方法で考えていくとよいでしょう。
①勘定科目法
勘定科目法とは、文字どおり勘定科目ごとに固定費か、変動費かを分けていく計算方法です。
会計の実務でもよく用いられ、かんたんに固定費か変動費かを分類分けすることができます。
判断に迷った場合は、固定費の割合が多い費用は「固定費」に、そうでない費用は「変動費」に含まるとよいでしょう。
なお中小企業庁の公式サイトでは、「中小企業の原価指標」という書籍を参考にした“固変分解の基準”を掲載しています。こちらも参考にしてみてください。
参考リンク:損益計算書の内訳の作り換え
②回帰分析法
回帰分析法とは、Excelなどの表計算ソフトを使用して固定費を計算する方法です。
計算式としては「y=ax+b」で、aには変動費を、bには固定費が入ります。
- 散布図の縦軸に総費用、横軸に売上高を設定する
- 毎月の売上、総費用の点を12ヶ月分書いていく
- 点を近似曲線で結べば、「変動費率」「固定費」が算出できる
勘定科目法で算定すると実際の状況とズレが生じるようなときは、回帰分析法で計算してみましょう。
固定費を減らすにはどうすればいい?
個人の家計にも会社・事業の経営にも同じことがいえますが、固定費は減らせば減らすほど手元に残る「利益」が大きくなります。
よって、利益を上げるためにはただ「売り上げを伸ばす取り組み」をするだけでなく、固定費を抑えることも重要なポイントになるのです。
固定費を減らすには、どういった対策をすればよいのでしょうか?
固定オフィスをバーチャルオフィスに変える
経営する中で特に大きな固定費が「地代家賃」、すなわちオフィスの家賃です。
起業する際は「固定オフィスを借りる」という概念のある方も多いでしょう。しかし、IT技術やインターネットが発達した昨今、「アプリ開発」「Webデザイン」「Webマーケティング」など、PCとネットさえあればオフィスを持たずとも起業・開業できる職種も多数存在しています。
- ネット系、IT系の職種
- 客先に直接出向く職種(コンサルタント、セミナー講師、出張カメラマンなど)
- ネットショップなど、無店舗型の小売業
このような職種は固定オフィスを持つ必要性が薄く、事業用のオフィス住所が借りられる「バーチャルオフィス」を利用することで、大幅に固定費を削減できます。
たとえば東京の都心エリアで賃貸オフィスを借りる場合、小さなオフィスであってもひと月数十万円の費用が掛かります。またレンタルオフィスを借りる場合も、東京都心エリアなら月々5万円以上かかります。
一方、バーチャルオフィスの場合は月1,000円台からと、破格の安さです。
作業自体は自宅やコワーキングスペースなどで済ませられるのであれば、住所だけ借りて登記をし、「会社住所」として利用すると固定費を大幅に抑えることができます。
オフィスの家賃が大きな負担になっている方は、ぜひ検討してみてください。
電力会社、ガス会社を乗り換える
光熱費が高い場合は、契約している電力会社やガス会社の見直しをしてみるのもひとつの方法です。
近年は電力会社、ガス会社の契約自由化により、事業者を自分で自由に決められます。
今契約している事業者よりも低価格で利用できるところがあるようなら、乗り換えてしまってもよいでしょう。
インターネット、スマートフォン通信会社の変更
インターネット回線料金や会社用スマートフォンの通信料金が高い場合、通信会社を変更することで固定費を削減できるケースがあります。
通信会社によっては「乗り換え割」などで安く契約できる場合もあるので、チェックしてみてください。
デジタル化、ペーパーレス化による業務効率改善
従業員を雇っている場合、人件費が高くつく……とお悩みの経営者も多いのではないでしょうか。
この場合、デジタルツールをうまく取り入れることで業務効率化が叶い、人件費の削減につながります。
たとえば請求や仕入、経理、労務などのバックオフィス業務は、ペーパーレス化によって業務効率が格段にアップします。経理や労務などを「紙の書類ベース」で行っているのであれば、会計ツール、労務管理ツールなどをデジタル化してしまいましょう。
ペーパーレス化によってコピー用紙の購入費や管理のための費用もいらなくなりますし、テレワークも実現できます。
デジタルツールははじめの導入コストこそかかりますが、一旦導入してしまえばその費用対効果は絶大です。固定費の削減はもちろん、業務効率化による業績アップも期待できますので、うまく活用してみましょう。
事業用の車にはレンタカー、カーシェアリングなどを活用
事業のために車を所有していると、ガソリン代や駐車場の利用費、車券台といった維持費がかかります。
こうした維持のための固定費は月数万円になることも多いですが、車の使用頻度が少ない場合、無駄な出費になりがちです。
車をたまにしか使わないようであれば、レンタカーやカーシェアリングを活用するのもひとつの方法です。ただ移動をしたいだけであれば、タクシーでも構いません。
1回あたり数千円程度の費用こそかかりますが、年間で見ればこちらのほうが固定費も抑えられます。
固定費を削減して利益を増やそう!
利益を上げるためには売上を増やす施策とともに、ムダな固定費を削減することが重要です。
現在固定費が高いと感じている方は、「固定費をもっと安くできないか?」「代替になるものはないか?」と再検討してみましょう。
ちなみに、レゾナンスでは月額990円~(税込)の格安バーチャルオフィスをご提供しています。
都心の一等地住所(東京都港区浜松町、港区青山、港区新橋、中央区銀座、中央区日本橋、渋谷区神南、渋谷区神宮前、渋谷区恵比寿、新宿区西新宿、千代田区神田、横浜市西区)をお選びいただけるうえ、郵便物の転送サービスや法人登記もご利用可能です。
これまでにも多くの会員様にご契約いただき、固定費のコストダウンを実感していただいています。
オフィスの家賃が高いと感じている方は、ぜひレゾナンスのバーチャルオフィスをご検討ください!