ビジネスでは企画を立案する際に「企画書」を作成する機会が多く見られます。企画書の作成方法には必須項目や押さえておくべきポイントがあり、これらを活用すれば説得力のある企画書を作成できるでしょう。
ここでは、誰が見てもわかりやすい企画書の書き方をご紹介します。企画書に書くべき必須項目や分かりやすい企画書づくりのポイント、実際の企画書の作成例などをチェックしてみましょう。
企画書とは何か
企画書は、企画・プロジェクトなどのアイデアを客観的に伝えるためにまとめた文書です。
企画の立案から実務プロセス、スケジュール、費用対効果などを端的に伝えるもので、簡素なものであれば3~5ページ程度でまとめられます。
プロジェクト規模によっては、さらにボリュームの多い企画書を作成するケースもあります。
ビジネスではアイデアだけがあっても、それをどのようなスケジュール、コストで実現するのか、またプロジェクトを実行することによる費用対効果はどれぐらいあるのかを提示しないと実現は難しいものです。
利益が得られないプロジェクトでは賛同も得られないでしょう。
その「アイデアを実現するためのプロセス」を分かりやすくまとめたものが、企画書です。
企画書をもとにプロジェクトの是非、実現性、収益性を話し合うことで、より具体的かつ建設的な判断ができるようになります。
提案書との違い
企画書は「提案書」と混同されがちですが、企画書は『プロジェクトの概要から実務までを具体的に書き連ねたもの』です。
それに対し提案書は『顧客の課題を整理したうえで、具体的な解決策を示す文書』である、という違いがあります。
企画書に書くべき内容は?基本的な書き方をチェック!
企画書に最低限書くべき内容は次の6つです。
- 現状の分析
- 企画の目的、概要
- 企画の具体的内容
- 期待される効果と課題
- 実施スケジュール
- 収支計画
「現状の分析」については、なぜその企画を行う必要があるのかを明記します。現状としてある問題点、市場動向や社内リソースをもとに、さまざまな因果関係を簡潔にまとめます。
「企画の目的、概要」では「現状の分析」を踏まえて、プロジェクトの目的や概要、ゴールを記載します。
何が目的で何がゴールなのかを記載しておくことで、より具体的なプロジェクト施策を考えやすくなるのです。
全体像を示したあとは、「企画の具体的内容」としてどのようなプロジェクトなのかをくわしく説明していきます。「誰に」「何を」「どうやって」「どのように」行うのか、6W1Hを使って明確にしましょう。箇条書きなどを用いてもかまいません。
When:「いつ」実施するか
Where:「どこで」実施するのか
Who:「誰が」提案したか
What:「どういった」プロジェクトか
Why:「なぜ」実行する必要があるのか
Whom:「誰に向けた」プロジェクトなのか
How:「どのような方法で」行うか
How much:「どのくらいの費用が」かかるか
加えて、「期待される効果や課題」についても明記しましょう。メリットが具体化されていると、企画書の説得力も増します。また、懸念される課題(課題になりそうな要素も含む)についても合わせて記載しておくと、解決策を見つけやすくなります。
上記を記載したら、具体的な実施スケジュール、収支計画を書きます。
つまり、「あらかじめ収支計画を作成したうえで企画書を作成すべき」ともいえるでしょう。実現可能なアイデアかどうかを客観的に判断してもらうためには、この2つは重要な要素となります。
さらにわかりやすい企画書を作るポイント
誰でもわかりやすい企画書を作るには、いくつかのポイントを押さえておきましょう。
シンプルにまとめる
企画書はなるべく簡潔に、シンプルにまとめることが重要です。
熱意を伝えようとしてあれもこれも盛り込んでしまうと、頭に入りにくく、結果的に「何が言いたいのか分からない」企画書になりがちです。
よって、必要な情報を書き出していき、最低限必要な情報を取捨選択してすっきりとまとめましょう。シンプルであるほどプロジェクトの魅力やメリットが伝わりやすくなります。
3C分析の活用
3C分析とは、自社・顧客・競合の3要素の関連を明確にするフレームワークです。各項目を英訳するとそれぞれ「C」が頭文字であることから3C分析といわれています。
顧客(Customer)……外部環境の現状と変化、顧客ニーズ
競合(Competitor)……競合の状況や強み・弱み
「ビジネスの現状」にはこれら3つが密接に絡んでいます。それぞれの影響や関係性を整理したうえで現状分析をすることで、施策の方向性のズレを防ぐことができるでしょう。
SWOT分析の活用
SWOT分析とは、内部環境である「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」、外部環境の「機会(Opportunities)」「脅威(Threats)」の計4軸で分析を行うフレームワークです。
企画の目的に応じた内部・外部環境それぞれのプラス・マイナス要因を提示することで、企画の強みや効果をアピールしやすくなります。説得力のある企画書を作成したい場合は、3C分析と合わせて内容に盛り込んでみましょう。
図、グラフを活用する
企画書が文字ばかりだと目が滑ってしまい、企画の内容が伝わりにくくなる場合があります。
とりわけ、クリエイティブ関連のプロジェクトに関しては、写真や画像といった視覚的情報を効果的に使うことで、具体的なイメージを伝えやすくなるでしょう。
また、定量的な情報を伝えたい場合は、グラフや表を用いるのも効果的です。文章でダラダラと伝えるよりもパッと見て分かりやすくなるので、効果的に活用してみましょう。
企画書を作ってみよう!書き方・レイアウトの作例
ここからは、企画書の作例をご紹介します。
以下は簡単な企画書の例ですが、内容のボリュームを増やしたり、サンプル写真・画像を盛り込んだりして必要な情報をしっかりと伝えられる企画書を作成しましょう。
企画書表紙の例
企画書の表紙には、提出先、タイトル(プロジェクト名の提案)、作成日と自社名を記入します。
打ち合わせの日付が曖昧な場合は「吉日」としておけば問題ありません。
あまりゴテゴテと装飾せずシンプルに仕上げましょう。
企画概要部分の例
企画概要のページでは、企画の大枠の部分を説明します。
- 目的……企画の意図やねらいを記載します。
- 企画概要、ターゲット……企画の内容やターゲットを簡潔に説明します。
- 実施期間……企画そのものの実施期間を記載します。
- 課題……懸念材料がある場合は記載しておきます。
企画内容の例
企画内容は企画書の“核”となる部分です。
- 企画のあらまし
- 現状分析
- なぜ企画が必要なのか
- 何を行うのか
といった情報を、相手が知りたい順番で記載していきます。
写真や画像なども用いてイメージがしやすいように作成すると、より企画の内容、魅力が伝わりやすくなるでしょう。
期待される効果やスケジュール、収支計画などの例
次に、企画成功によって期待される効果を記載していきます。
- 収支、利益の増加
- 認知度アップ
- 顧客数の変化、アプローチ範囲の拡大
- 販売チャネルの拡大 など
このときのポイントは「非現実的な効果を書かないこと」。
あまりにも現状とかけ離れた効果を記載してしまうと、現実味がなく説得力に欠ける企画書と捉えられてしまう可能性があります。つまり、数字を用いて現実的な費用対効果を示すことが重要なのです。
また、実施スケジュールや必要な材料、費用、人員配置など、決定している事項があれば記載します。
- 立ち上げから発注、告知、設営等の準備完了までの期間
- 実施~アンケート回収までの期間
- 必要な材料とその仕入れ方法について
- 各種仕入、作業にかかる費用
- 担当部署及び担当者などの人員配置について
企画書作成時点で決まっていない事項があれば省いてもかまいませんが、とりわけスケジュールと予算については先に決めておいた方が企画の実現可能性も高くなります。
補足資料を添付する
企画書の内容を補完するデータや資料がある場合は、添付資料として付け加えましょう。
- 商品の市場規模に関する調査資料
- 他社の競合商品の特徴、自社との比較資料
- 会場のデザイン案
- 商品のデザインサンプル
- 試作品の設計図やレシピ等
- 広告の作成案(ラフ)
- イベント費用の内訳 など
資料を添付することで企画がより具体化され、わかりやすくなります。
なお、Microsoft社の「Word」「Excel」「PowerPoint」のソフトでは、『プロジェクト提案書』『事業計画書』などのテンプレートが利用できます。
手軽に企画書を作成したい場合はこうしたテンプレートを使い、時短をはかるのもおすすめです。
企画書はアイデアを伝える重要な手段!
頭の中にあるアイデアは、具現化しないと自分以外の人々に理解してはもらえません。
また、人にはそれぞれの考えや価値観があり、同じ内容を話してもさまざまな捉えられ方をして正しく伝わらないことがあります。
これらを解決してくれるのが、企画のトリセツともいえる「企画書」です。
誰もがわかりやすい企画書を作成できれば、自身汚企画に対する解像度を高めてもらいやすくなります。そうなれば、結果的に企画の実現につながる可能性も高くなるでしょう。
ご紹介したポイント、作例を参考にしていただき、説得力のある企画書を作成してみてください。