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年俸制とはどんな給与形態?月給制との違いやメリット・デメリットを紹介

会社の給与形態には「月給」「日給」などがありますが、近年は「年俸制」を採用しているところも多く見られます。年俸制とはどのような給与形態で、自社に導入するとどのようなメリットが得られるのでしょうか?

ここでは年俸制の概要や月給制・日給制との違い、年俸制のメリット・デメリットを解説。年俸制を導入する際の注意点についてもご説明します。

年俸制とは1年単位で給与を決定する給与形態

年俸制とは、1年単位でその年の給与を決定する給与形態のことです。

一般的には、プロスポーツ選手の契約ニュースなどで耳にする機会が多いでしょう。
近年ではエンジニアや外資系企業など、成果主義の企業における給与体系として、この年俸制が採用されるケースが多くなっています。

年俸制の給与額はどのように決められる?

年俸制はあくまでも「給与の支給方法」であり、従業員の評価方法を決める手段ではありません。

実際には面談を行い、1年の間の実績や成果、目標達成度合い、貢献度などをもとに評価をつけて年俸を決定します。

年俸制=1年に1度給与を支給するわけではない

年俸制についてとりわけ誤解されがちなのが「給与の支給タイミング」です。

年俸制は1年間の給与(年俸)をあらかじめ決定するため、一括で1年分の給与を支給するものと誤解されがちです。しかし実際には、年俸を月1~2回分×12ヶ月で分割した額が支払われます。

たとえば年俸600万円の場合、月1回の支給ならひと月50万円を12ヶ月(12回)に分けて支給します。
月2回の支給なら、25万円を24回(月2回×12ヶ月)の金額・頻度で振り込みを行うという仕組みです。

一般的には月1回のペースで分割支給をしますが、企業によっては月2回支給されるケースもあり、対応はさまざまです。

年俸制と月給制・日給制の違いとは?

年俸制の仕組みについて知ったところで、月給制や日給制との違いについて見ていきましょう。

年俸制と月給制の違い

月給制とは、月単位の基本給を決定し、その他諸手当と共に毎月支払う給与スタイルです。

年俸制のうち月1回の給与支払いがあるケースと給与の支給サイクルは同じですが、給与の決定タームが「月単位」であるというのが大きな違いです。また1年間の給与をあらかじめ決めていないのも違う点だといえるでしょう。

  • 年俸制……あらかじめ1年間の給与が決まっていて、均等に分割する
  • 月給制……月単位で給与を決めて毎月振り込まれる。給与額は変化することがある

月給制には社員の年齢・勤続年数や成果などを反映し、月単位で給与を変動させられるという利点があります。

なお、日本の多くの企業では「月給制」を採用しています。
特に正社員や契約社員などの給与形態としては、月給制である場合がかなり多いでしょう。

年俸制と日給制の違い

1年単位で給与額を決定する年俸制とは反対に、日給制は「1日単位で給与を決定する」という給与形態です。
実際の支払いはひと月単位で行われるケースが多いですが、給与の算定は「1日単位」となります。

  • 年俸制……あらかじめ1年間の給与が決まっていて、均等に分割する
  • 日給制……1日ごとに給与を決めるため、給与額が流動的。振り込みはひと月に1回とする場合が多い

年俸制との違いは、給与の決定タームがごく短いことです。
そのため勤務日数の増減によって給与額が変動しやすく、ひと月で見ても、1年で見ても流動的になります。

企業側・従業員それぞれの年俸制のメリット・デメリットは?

年俸制とは何か、また月給制・日給制との違いなどについてお伝えしてきましたが、実際に年俸制を導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか?
また、年俸制にはメリットだけでなく、デメリットもあります。

ここでは、企業側と従業員側、それぞれの年俸制のメリット・デメリットをご紹介します。

【企業側】年俸制のメリットとは?

年俸制を導入した場合、企業が得られるメリットは以下のとおりです。

  • 経営計画が立てやすい
  • 従業員のモチベーションアップにつながる

経営計画が立てやすい

月給制や日給制は月ごと・日ごとに給与を変更することができますが、給与を変更したあとは人件費の年間計画、経営戦略といった長期的なプランも見直しが必要になります。

一方、年俸制の場合は「1年間分の給与」をあらかじめ決める形になります。
年俸を一度決めたあとは年間人件費にも1年間変更がないので、経営計画を立てやすくなるのです。

従業員のモチベーションアップにつながる

年俸制の給与については、従業員の成果、業績、能力などを考慮して決定します。
成果を上げた従業員ほど高額の年俸を手にすることができるため、従業員のモチベーションが高まります。
これにより、生産性アップ、企業へのエンゲージメント(愛着)形成にもつながるでしょう。

従業員がやりがいを持って働いてくれれば、さらなる業績アップも期待できます。

【従業員側】年俸制のメリットとは?

年俸制を導入した企業で働く従業員は、以下のメリットが得られます。

  • 毎月ほぼ同じ額が支給されるため、ライフプランが立てやすい
  • 成果によっては給与の大幅アップも期待できる

毎月ほぼ同じ額が支給されるため、ライフプランが立てやすい

年俸制は1年分の給与を12回または24回に分けて支給する給与形態です。
そのため、毎月ほぼ固定の給与が支給されることになり、収入が安定しやすいメリットがあるでしょう。

このメリットを実感しやすいのが、ライフプランを考えるときです。

マイホームの購入や自家用車の購入時などにはローンを組むケースが大半ですが、毎月の収入が安定していれば返済計画も立てやすくなります。

もちろん、成果によっては年に1回の評価改定により年俸が下がる可能性もあります。
しかし月給制のように、企業自身の業績不振での給与、賞与カットなどが起こらないのは大きなメリットだといえます。

成果によっては給与の大幅アップも期待できる

年俸制のよい点として、成果を上げた分だけ給与アップが期待できると点が挙げられます。

月給制でかつ年功序列制度が色濃く残っている企業では、自身がどんなに頑張っても昇給はごくわずか、というケースも少なくありません。しかし、年俸制なら、成果が収入に直結します。

成果の報酬がわかりやすく提示されることで自身のモチベーションアップアップにもつながり、さらによい成果を生み出そうとする好循環が生まれるでしょう。

【企業側】年俸制のデメリットとは?

企業側が注意すべき年俸制のデメリットは以下の2つです。

  • 年度中に人件費を変更できなくなる
  • 労働契約の制定に手間や時間がかかる

年度中に人件費を変更できなくなる

「1年分の給与をあらかじめ決める」という年俸制には、その年度内で人件費を変更したくともできないというデメリットがあります。
仮に従業員の成果がいまいちであっても、年度はじめに決めた年俸を減らすことは契約違反になってしまいます。

企業側から見れば、従業員の能力や成果に依存しやすい給与形態だということを知っておくべきでしょう。

労働契約の制定に手間や時間がかかる

年俸額に固定残業代、賞与を含める場合は、残業代や賞与の規定を明確に定めなくてはなりません。

また残業代や賞与の基準を統一する場合も、従業員への周知・浸透が不足しているとトラブルの原因となります。

年俸制を導入する場合は、労働契約周りの規定に不備がないよう整備しなくてはならないでしょう。

【従業員側】年俸制のデメリットは?

従業員から見た年俸制のデメリットは以下のとおりです。

  • 成果がふるわなかった場合は翌年の年俸が下がる
  • プレッシャーからモチベーションダウンにつながることも

成果がふるわなかった場合は翌年の年俸が下がる

年俸制は成果や能力によって年俸が決まるため、当然ながら成果がふるわないと翌年度の年俸がダウンします。

挽回できれば問題ありませんが、そのまま成果の不調が続けば大きく年収が減ることになります。
そうなれば、精神的にも経済的にも大きな痛手になる可能性があることを知っておきましょう。

プレッシャーからモチベーションダウンにつながることも

成果主義である年俸制の企業では、「成果を上げなければ」というプレッシャーからモチベーションが下がってしまう従業員もいます。

そのプレッシャーをプラス転換できればいいですが、プレッシャーに耐えられず精神的に追い詰められてしまうケースもゼロではありません。

また、会社の評価基準があいまいな場合、「頑張っているのに年俸に反映されない」と不満を抱くことも。
そうなれば、ますますモチベーションがダウンしてしまう可能性もあるでしょう。

従業員の給与を年俸制に設定する際の注意点

自社に年俸制を導入する際は、以下の3点に注意しましょう。

途中から年俸制に変更する場合は就業規則の改定&届出が必要

もともと月給制や日給制などの企業が途中から年俸制へと切り替える場合、就業規則の改定を行わねばなりません。このルールは常時10人以上を雇っている企業が対象になります。

就業規則を作成・改定したあとは、管轄の労働基準監督署へ届け出る必要があります。

また、従業員に就業規則を開示し、かつ十分な説明を行わねばなりません。

最適な賞与(ボーナス)の払い方を選ぶ

年俸制で賞与を支払う場合は、その支払い方法についても規定しておく必要があります。
年俸制でよく見られるのは、以下の2パターンです。

①賞与を含む年俸を14分割し、給与を12回分、残り2回分を賞与として支給する
②年俸はそのままに、賞与分は成果に応じて都度支給する

①は月給制とほぼ同じ支給方法となります。
②については、インセンティブのような形で賞与を支給するスタイルです。
自社に適した支給スタイルを選びましょう。

欠勤控除を就業規則に規定しておく

月給制や日給制と同じく、年俸制でも早退・遅刻・欠勤をした場合に相応の給与を差し引く「欠勤控除」が利用できます。

ただし、欠勤控除を利用する場合はあらかじめ就業規則に明記し、かつ従業員へ周知しておく必要があるため注意しましょう。

従業員の成果が反映されやすい!年俸制を活用しよう

年俸制は企業にとって人件費の見通しが立てやすいうえ、従業員にとっても成果や能力次第で収入アップが望める給与形態です。

ただし、会社と従業員双方が満足できる状態を維持するには、従業員の成果等が正当に評価される“評価制度”の整備も必要です。
評価制度が適切でないと、かえって従業員の不満を招くことにもなりかねません。

企業は年俸制のメリット・デメリットを把握するとともに、評価制度の構築も含めて導入を検討するとよいでしょう。

この記事の執筆者

ゼニス編集部

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