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株主名簿の記載例、記載事項や管理方法、株主リストとの違いを紹介!

会社を設立する際や、設立したあとには「株主名簿」を作成し、提出や保管をしなくてはなりません。そもそも株主名簿とはどのようなもので、どんな内容を記載するものなのでしょうか。

ここでは株主名簿の概要や必要になる場面、記載事項を解説。株主リストの更新タイミングや、株主名簿と株主リストの違いについてもご紹介します。

株主名簿とは?いつ必要になる?

株主名簿は、企業が発行した株の「株主」や「株主が保有している株」についての情報を記載した名簿です。

株主名簿は会社の設立時に提出が必要になるほか、株主からの閲覧・コピーの請求対応のために保管しておく必要があります。

【株主名簿が必要になるタイミング】

  • 法人設立登記の際に税務署へ提出する
  • 株主からの「閲覧・コピー請求」があるとき
  • その他

法人設立登記の際に税務署へ提出する

会社を設立する際には、設立から2ヶ月以内に「法人設立登記」を行う必要があります。

このとき提出する「法人登記設立届出書」にはさまざまな添付書類が必要で、そのうちのひとつに「株主名簿」が含まれているのです。

設立登記の際に提出する株主名簿は、そのまま法務局にて預かりとなり、手元には残りません。
登記をする際には、「会社保管分の株主名簿」を作成しておかなければならない点に注意しましょう。

株主からの「閲覧・コピー請求」があるとき

株主や債権者は、正当な理由がある場合に株主名簿の閲覧やコピーを請求できる権利を持っています。(会社法第125条2項記載)

よって会社側は、株主や債権者から閲覧・コピーを請求されたとき、なるべく速やかに対応しなくてはなりません。そのためには株主名簿を本社(または委託した管理人、管理会社)に設置しておく必要があります。

ちなみに、請求理由が正当でない場合(権利確保、行使のための調査等ではない場合)、会社側は株主名簿の開示を拒否できます。

具体的には請求によって会社の業務妨害や損失が発生する場合、株主名簿によって得られる情報や利益を第三者に知らせるために請求した場合などが該当します。こちらも合わせて覚えておきましょう。

その他

株主名簿は株主総会の招集を通知するとき、株主が権利を行使するときなどにも用いられます。
株主名簿を利用することで株主が特定でき、重大なミスを防ぐことができます。

株主名簿を作成しないと罰金が科せられる?

株式会社は株主名簿を作成しなければなりません。

仮に株主名簿を作成しなかった場合は、法律に則って100万円以下の罰金が課せられることがあります(会社法第976条)。

株主名簿は会社の規模や業態に関係なく作成するものです。ひとりで会社を立ち上げた場合や、少数で会社を立ち上げた場合であっても作成が義務となりますので、忘れないように注意しましょう。

株主名簿に記載する事項とは?


株主名簿には決まったフォーマットがなく、自社でオリジナルのフォーマットを作成することもできます。
ただし、株主名簿には以下の必要事項を記載しなければなりません。

  • 株主の氏名または名称
  • 住所
  • 株主の保有している株式の種別、保有数
  • 株式の取得日
  • (株券発行会社の場合は)株券番号
  • 金額、役職名、間柄(法人設立時に提出する株主名簿のみ)
  • 質権者の氏名または名称、住所(※)
  • 質権の目的となる株式数(※)

※株式に質権を設けている場合のみ

株主が個人であれば氏名を、法人であれば名称(商号)を記入します。

実際に株主名簿へ記載してみた例を以下でご紹介するので、チェックしてみて下さい。

【株式会社○○ 株主名簿】

氏名(または名称)住所株式の種類株券番号株式の取得日株式数備考
○○ ○○普通株式20XX年X月X日100株株券不発行
□□ □普通株式20XX年X月X日100株株券不発行
××株式会社普通株式20XX年X月X日200株株券不発行
合計400株 

20XX年XX月XX日
上記の株主名簿に間違いはない。

株式会社○○
代表取締役 △△ △△

株式の種類と保有数は必ず記載する

株主名簿では、「株式の種類」「保有株式数」を株主ごとに明記することが重要です。
株式には優先株、劣後株などの株式があり、株式の種類や持ち株数によって「株主が経営に干渉できる力」が変わってきます。

株券不発行の場合は備考欄へ記載

現在の会社法では株券を原則として発行しないため、基本的には株券不発行として記載します。
株券を発行していない場合は備考欄に「株券不発行」と記載し、株券番号を省略しましょう。

株券の発行を定款で定めている場合は、必ず株券番号を記載します。

法人設立登記で提出する株主名簿は少し記載事項が増える

法人設立登記をする際には株主名簿の添付が義務となっています。

このとき提出する株主名簿には、「株式の金額」「株主の役職名」「役員や他の株主との間柄」を記載しなくてはなりません。

恒常的に作成・管理する株主名簿よりも記載事項が多くなりますが、抜けや漏れがないように気をつけましょう。

質権設定のある株式

「質権設定のある株式」とは、債務を返済できなかったときに売却し、手にしたお金で債務を返済できるという株式です。

株式に質権を設定したときは、「質権者の氏名及び名称」「住所」「質権設定済みの株式数」を名簿に記載しておきましょう。

株主名簿の管理方法とは?

必要な事項がすべて記載されている株主名簿は、会社の本店に保管する義務があります。(会社法125条)
支店や支社に保管することは認められていませんので注意しましょう。
株主や債権者から株主名簿の閲覧、コピー等の請求があったときは、速やかに対応する必要があります。

ただし、会社が信託銀行、証券代行会社などに「株主名簿管理人」として保管業務を委託した場合は、その管理人(管理会社)の営業所へ保管することが認められています。

上場企業においては管理人、管理会社で保管するケースが多く見られます。

株主名簿の更新タイミング

株主名簿は株主の住所変更、譲渡などが生じたときに更新しなければなりません。

【株主名簿を更新するタイミングの例】

  • 株主が住所変更をした場合
  • 株主が株式を譲渡、相続するなどして「株式の移動」があった場合

変更事項があるにもかかわらず更新をしていないと、株主(または債権者)から開示請求があった場合に古いデータを渡すことになってしまい、正確性が損なわれます。

また、更新を怠るとペナルティが課せられる可能性もあります。
株主名簿の内容に変更があったら、なるべく速やかに更新しましょう。

株主名簿と混同しやすい「株主リスト」とは?

株主名簿とよく似たものに「株主リスト」があります。
株主リストは法律で作成を義務付けられている書類で、商業登記や法人登記を悪用した違反、犯罪行為などを防ぐためのものです。

株主の情報が記載されている点は株主名簿と同じですが、株主リストには「議決権数の記載」が必須となっているのが大きな違いです。また、企業によっては「議決権数の割合」も記載されています。

株主リストの添付が必要になるのは、下記の2つのケースです。

  1. 登記すべき事項につき、株主総会の決議(種類株主総会の決議)を要する場合
  2. 登記すべき事項につき、株主全員の同意(種類株主全員の同意)を要する場合

引用元:法務省:「株主リスト」が登記の添付書面となりました

分かりやすく言うと、株主リストは「登記事項に対して株主総会の決議(または株主の同意)が必要な場合に、勝手な登記変更申請を予防するためのもの」ということになります。

なお、株主リストに記載すべき事項は(1)(2)それぞれで異なります。

1.株主総会の決議(種類株主総会の決議)を要する場合の記載事項

「議決権数上位10名の株主」または「議決権割合が2/3に達するまでの株主」について、

  • 株主の氏名または名称
  • 住所
  • 株式数(種類株式発行会社は,種類株式の種類および数)
  • 議決権数
  • 議決権数割合

上記5点を代表者の証明とともに記載します。

2.株主全員の同意(種類株主全員の同意)を要する場合の記載事項

株主全員について、

  • 株主の氏名又は名称
  • 住所
  • 株式数(種類株式発行会社は,種類株式の種類及び数)
  • 議決権数

上記4点を代表者の証明とともに記載します。

株主名簿は正しい内容を記載し、管理しよう


株主名簿は会社法で作成が定められた書類であり、その記載事項や保管方法は法律で明確に決められています。

書式(フォーマット)の規定こそありませんが、記載事項に抜けや漏れ、誤りがあると何らかの注意や処分を受ける可能性もあるため、何を記載しなければならないのかをあらかじめ確認しておきましょう。特に、これから法人登記をされる方は、「会社保管分」と「法人登記提出書類への添付分」とで記載事項が異なる点に要注意。

間違えないよう記載事項を確認することはもちろん、不安がある場合は司法書士へ相談するなどの対策を講じることをおすすめします。

この記事の執筆者

ゼニス編集部

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