会社名を決めるときには「縁起のいい名前でゲン担ぎをして、商売繁盛を叶えたい」と考える方も多いもの。幸運を招いてくれて、かつ読んだ人や見た人に好感を持たれる会社名にするにはどうすればよいのでしょうか?
ここでは、縁起のいい会社名の決め方や注意点を解説します。「福を招いてくれる会社名」にしたい方は要チェックですよ。
縁起のいい会社名とは
会社名は、今後の会社の印象を左右する重要な“看板”としての役割を持っています。語感の良さや覚えやすさは登園重要ですが、せっかくなら“縁起のいい会社名”にしたいですよね。
日本では昔から縁起の良さを重視する傾向が強く、これまでに多くの会社で縁起のいい会社名が付けられてきました。
- キッコーマン
- アステラス製薬
- コクヨ
キッコーマン
「鶴は千年、亀は万年」という言葉が社名の由来となっています。
設立当初は野田醤油株式会社という会社でしたが、高級醤油に「亀甲萬」という名前をつけたのちに事業成長を遂げ、カタカナ表記の「キッコーマン株式会社」へ会社名を変更しています。
アステラス製薬
アステラス製薬は2005年4月に山之内製薬・藤沢薬品工業が合併して生まれた会社です。
会社名はラテン語、ギリシャ語、英語で「星」を表す言葉に由来しているほか、日本語の「明日(を)照らす」にもかけた言葉となっています。大志や先進といった意味も込められており、会社の理念をよく表している会社名といえるでしょう。
コクヨ
事務用品や文具などでおなじみのコクヨは、「国の誉れになりたい」という思いから会社名を「国誉」と名付けた経緯があります。「誉」という字は縁起が良いものであり、会社の繁栄・発展を願う思いが込められた名前だといえるでしょう。
縁起のいい会社名を決める方法
先ほどは会社名の例をご紹介しましたが、実際に縁起のいい会社名をつけるにはどんなポイントを押さえておけばよいでしょうか?
縁起のいい会社名を考える3つのポイントをご紹介します。
画数
縁起の良い会社名をつけたい方の中には、「画数」を気にされる方が多く見られます。
縁起のよさを重視したい場合は、会社名の総画数が以下の数字になるようにしてみましょう。
・大吉の画数……1、3、5、6、15、16、21、23、24、31、41、45、48、63、65、67
・吉の画数……7、8、11、13、17、18、25、29、32、33、37、39、47、52、57、68、73
縁起のいいモチーフを含めた名前にする
縁起のいい会社名をつけたい場合は、縁起物とされるモチーフを含めてみるのもおすすめです。
- 星(スター、健康や富をあらわす)
- ハート(恋愛、結婚の成就)
- クローバー(幸運の象徴)
- 花(美しさ、幸せ、健康の象徴)
- 月(知性、成長の象徴)
- クラウン(王冠、成功や栄光のシンボル)
- 鳥(幸せを運んでくる象徴)
- カメ(長寿)
- ツル(長寿)
- コイ(立身出世をあらわす)
- カエル(福帰るの意味)
- ヒョウタン(子孫繁栄、無病息災などの意味)
- ウロコ(魔除けの意味)
- クジャク(中国では縁起の良さの象徴)
- サメ(ハワイでは強さ、再生の象徴)
会社名に組み込むのが難しい場合は、ロゴマークなどに利用するのもおすすめです。また海外の特定の国に関連する事業を行っているのなら、その国で縁起物とされるモチーフを選んでみるのもよいでしょう。
縁起のいい漢字を含める
縁起のいい会社名にしたい場合は、縁起の良い意味を持つ漢字を組み込むのもおすすめです。
- 人とのつながりを感じさせる漢字(実、恵、拓、友、縁、共など)
- 吉兆を想起させる漢字(幸、福、寿、鶴、亀、天、星、光、芽、聖、希など)
これらの漢字を会社名に含めると、パッと見たときに「なんだか縁起がいい」という印象を与えられます。
他社とは少し違った縁起のいい会社名にするには
他社との“会社名かぶり”を防ぐには、少しアレンジを加えるとよいでしょう。
- 英語やフランス語で縁起のいい意味の言葉を会社名に
- 縁起のいいもの同士を掛け合わせた造語を会社名に
- 事業内容や理念を連想させる会社名をつける
日本語の名前はかぶりやすい傾向にあるため、英語やフランス語などに変換したものを会社名にするとかぶりにくくなります。外国語を使う場合は、読みやすく発音しやすい言葉をチョイスしましょう。
また、縁起のいいモチーフや漢字を組み合わせて作った“造語”を会社名にするのもよい方法です。独自性が出しやすく、他社と名前がかぶりにくくなる効果があります。
そのほか、会社名によりこだわりたい場合は「事業内容」「経営理念」を連想させる名前をつけてみてもよいでしょう。たとえば「ひらく」という言葉を使えば、「扉を開く」「開拓する」といった2つの意味を持たせることができます。
縁起のいい会社名にする際に知っておきたい注意点は?
縁起がいい会社名を考える際には知っておくべき注意点もあります。
- 会社名に使えない文字がある
- 会社名に使えない言葉(フレーズ)もある
- Webサイトのドメインが取得しやすい名前にする
- 同じ住所に同名の会社は登録できない
- 株式会社や合同会社などを含める必要がある
- 公序良俗に反したり、連想させたりする名前はNG
- 他社と似ている会社名はトラブルになる可能性大
これら7つの注意点を知っておくと、登記の再手続やトラブルなどを防ぐことができますよ。
会社名に使えない文字がある
「縁起のいい会社名をつけたい」というとき、使えない文字・言葉を知っておくことは特に重要です。
会社名に使えるのはひらがな、カタカナ、漢字、ローマ字や一部記号などです。
- ひらがな(五十音)
- カタカナ(五十音)
- 漢字
- ローマ字(大文字、小文字ともに使用OK)
- アラビア数字(0~9)
- 一部の記号(下記参照)
& | アンパサンド |
’ | アポストロフィー |
, | コンマ |
– | ハイフン |
. | ピリオド |
・ | 中点 |
アンパサンド以外の記号は会社名の先頭・末尾には使用できません。あくまでも文字や単語の区切りとして使うものと覚えておきましょう。
また、会社名には()や「」などの括弧も使えません。
αやβといったギリシャ文字も登記には使えないため、名づけの際には注意しましょう。
会社名に使えない言葉(フレーズ)もある
会社名をつける際には、登記に使えない単語を把握しておきましょう。
- 「銀行」「保険」など、登録の必要な業種の名称
- 行政官庁の名称(厚生労働省、経済産業省など)
- 会社の「部門」を示す名称(□□支社、□□事業部、□□経理部など)
銀行や保険、行政官庁の名称は誤認を招いてしまうため使用できません。
なお最後の「部門を示す名称」に関しては、会社内外での連絡・区別のために使用する分には問題ありません。あくまでも法人登記には使えないだけです。
Webサイトのドメインが取得しやすい名前にする
会社設立時にはWebサイト(コーポレートサイト)の設置が必須となります。
商用目的でWebサイトを設置する際には独自ドメインを取得するのが一般的ですが、会社名がありふれた名前だと、既に同じドメインを他社に使われていて取得できないケースがあります。この現象はありふれた会社名をつけたときに生じやすいのです。
会社名を考えるときは、縁起の良さに加えて「Webサイトのドメインが取得しやすい名前か」という点にも注目してみましょう。
同じ住所に同名の会社は登録できない
会社法では「まったく同じ住所に同じ名前の商号(会社名)で登記をすることができない」という決まりがあります。シェアオフィスやバーチャルオフィスなど、ほかの会社と共同でオフィスを利用している場合はこのルールに引っ掛かってしまうケースがあります。
かぶりを避けるには、利用したい住所で登記されている会社名をあらかじめ調べておき、既存の会社名と違う名前を付けるようにしましょう。
株式会社や合同会社などを含める必要がある
会社名には「株式会社」「合同会社」などの会社形態を含める必要があります。
株式会社は前に持ってくるか(前株)、後に持ってくるか(後株)を選べますが、決め方は語感の良さや好みでかまいません。
なお、会社形態については英語表記で法人登記することができません。「Co.Ltd(株式会社)」「LLC(合同会社)」などを使いたい場合は、登記は日本語で、英語表記は定款に記載するとよいでしょう。
公序良俗に反したり、連想させたりする名前はNG
倫理的に問題のある名前(違法薬物、売春など)や犯罪、賭博に関する名前、差別や知的財産権を侵害するような名前は会社名として使用できません。
登記前に第三者へ意見を聞いたり、検索したりして問題がないかを必ず確認しておきましょう。
他社と似ている会社名はトラブルになる可能性大
他社と酷似している会社名をつけた場合、誤認によるトラブルが起こりやすくなります。
誤認によって他社が損害を被った場合、損害賠償問題に発展することもあるでしょう。会社名を思いついたら、既存の会社と酷似していないか、誤認を招かないかをしっかりとチェックしましょう。
会社設立時には縁起のいい会社名を考えてみよう!
会社の繁栄や成長を願う気持ちは、起業家であれば誰しもが抱くもの。特に初めて起業するのであれば、「縁起のいい会社名で商売繁盛を願いたい」というのは当然の気持ちだと思います。
縁起のよい会社名は外部からの印象も良いですし、会社の役員・従業員が前向きな気持ちを持ち、モチベーションを高める効果があります。起業の際には縁起のいい会社名を考えてみましょう。
なお会社名(商号)はあとからでも変更できますが、その手続きや変更後の周知には大きな労力を要します。基本的には変更をしないよう、はじめからじっくりと検討するほうがよいでしょう。