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証憑(しょうひょう)とは?証票、帳票との違い、保管期間・保管方法を解説

事業での取引に関して真実性・妥当性を証明する「信憑」。
企業の営業活動において正当性を主張するために重要だとされ、保存期間が定められています。
今回は、そんな重要な書類と言われる「証憑」とはどのようなものか、種類や保存期間、保存方法などについて詳しくご紹介したいと思います。

証憑とは?

証憑(しょうひょう)とは、英語で「documented evidence」といい、企業が取引の事実を証明するための書類の総称で、「証憑書類」と言われることもあります。
証憑の存在によって、過去にその企業がどのような取引をしてきたのかがわかり、取引が存在したことの証明にもなるため、企業の信頼性を高めるためにも、証憑を適切に管理・保存することが重要だとされています。

具体的には、企業間の取引に関する契約や、代金の支払、取引を実施した際に発行される書類は、全て証憑に該当します。また、労働契約など社内における取引に関する書類にも証憑に該当するものもあります。

証憑の役割

証憑には、おもに以下の2つの役割があります。

  1. 取引に関するトラブルを防ぐ
  2. 企業が納税申告を行う際の根拠となる

証憑は正当性を主張するために重要な位置づけで、適切な保存が求められています。
取引においてトラブルが起きた時や税務調査が行われた際、証憑を提示できない場合は、責任を求められたり、修正申告やペナルティを課せられたりする恐れもあります。

証憑と証票、帳票との違い

<証憑と証票の違い>
証憑も証票もどちらも「しょうひょう」と呼び、一見似ている言葉です。
しかし、証憑が社内外の取引を証明する書類であるのに対し、証票は「ある事柄や権利(義務)を証明するための紙片や書類」を指し、郵便切手や宝くじ、身分証明書や免許証などを指します。

<証憑と帳票の違い>
証憑と帳票も似た言葉ですが、帳票は「会計」に関する帳簿・伝票などの書類を指し、入金・出金伝票、現金出納帳、売掛金台帳、総勘定元帳などが該当します。
なお、入金・出金伝票の帳票は、証憑としても扱われます。

証憑の種類

証憑には大きくわけて4つの種類があります。

1.売上など金銭のやり取りに関係する証憑

売上や仕入れなど金銭のやり取りの内容や額面が分かる書類で、取引先との取引の証拠となり、企業利益にも直結する重要な書類です。
これによって、売買取引の妥当性を証明でき、伝票・帳簿の正当性を担保することができます。

具体例)請求書、領収書、注文書、納品書、受領書、小切手帳、支払い証明書、売買契約書

2.物品に関係する証憑

物品を納品した際など、物品のやりとりに関する書類です。
万が一、契約内容と相違する商品が届いた場合は、証憑を提示して取引相手に返品や交換等を求めることができます。
また、在庫を多く抱える企業においては、発注書や納品書を在庫管理のベースとすることもあり、取引において在庫管理トラブルを防ぐために物品に関係する証憑も非常に重要となります。

具体例)発注書、納品書、検収書など

3.従業員の雇用に関係する証憑

従業員の雇用に関して、雇用関係を結ぶ時や給料の支払いの際などの書類も証憑になり、厳重な管理が求められます。
雇用関係を結ぶ時に作成する雇用契約書は、記載された雇用条件に従業員が違反した際、雇用契約書を根拠に処分することが可能となります。また、給与支払証明書や賃金台帳は、労働対価を従業員へ適切に支払っている証明となります。

具体例)雇用契約書、業務委託契約書、履歴書、給与支払い明細書、賃金台帳、出勤記録、タイムカードなど

4.その他、企業経営に関係する契約書など

上記1~3のほかにも、企業経営においておさまざまな契約書や書類が証憑として扱われます。

具体例)賃貸借契約書、取引基本契約書、秘密保持契約書、金銭貸借契約書、銀行取引契約書、通帳、議事録、稟議書、念書など

証憑の保存期間

証憑を一定期間保存することが義務付けられていますが、保存期間の規定は税法と会社法とで異なっています。保管期間については、どちらの規定も満たすようにしましょう。

  • 法人の場合は7年間(10年間)
  • 法人法により、証憑書類や帳簿類は確定申告提出期限の翌日から7年間保存することとなっています。ただし、青色申告書で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度などは10年間の保存が求められています。

  • 個人事業主(青色申告)は7年間(5年間)
  • 個人事業主で青色申告をする場合は、証憑(領収証、預金通帳、借用証など)、帳簿類(総勘定元帳や仕訳帳など)、決算書類(損益計算書、棚卸表など)を確定申告提出期限の翌日から7年間の保存が必要となります。ただし、前々年分の所得が300万円以下の事業主は、5年間となります。

  • 個人事業主(白色申告)は5年間
  • 個人事業主で白色申告の場合は、5年間保存となります。
    2022年分以降、副業などで業務に係る雑所得の収入の前々年分が300万円を超える場合は、その業務に係る現金預金取引等関係書類について5年間保存が必要となります。

証憑の保存方法

証憑の保存方法は、いつでも確認できる状態での保存が基本ですが、紙でのファイリングを行う方法と、電子保存を行う方法とがあります。

1.ファイリング保存

多くの企業において、紙の証憑をファイリングする方法がとられています。
保管場所を決め、いつの分なのか明確にわかるように整理して保存する必要があります。
証憑を大量に保管する必要がある大企業などは、ファイルの保管のためのスペースを確保する必要があります。

2.電子保存

証憑を電子データとして保存する方法です。
電子保存を行うには、法律で定められた要件を満たしたシステムを導入する必要があり、導入時にコストや手間がかかります。
保管スペースが不要となるだけでなく、検索が容易、紛失リスクが減るといったメリットもあります。

電子帳簿保存法改訂

2022年1月以降は電子帳簿保存法の改正により、メール添付など電子的に受け取った証憑に関しては電子保存が必須化されました。2023年12月までに完全移行できるように準備をしましょう。

なお、電子帳簿保存法では、電子取引の区分は以下の3つに大別されています。

  1. 電子帳簿等保存
  2. 電子取引
  3. スキャナ保存

証憑は、3つのうち「電子取引」と「スキャナ保存」に該当します。

<電子取引>
メールやインターネットなどを使って電子的にやりとりをした際の請求書や領収書、見積書、納品書などが該当します。インターネット通販を使用して購入し、マイページなどからのダウンロードで取得した領収書などもこれに該当します。

これらの証憑は、以下の要件を満たす状態で電子的に保存する必要があります。

  • データの改ざんが疑われない状態で保存しておくこと
  • データが必要となった際にすぐに閲覧可能な状態で保存しておくこと
  • 検索によって必要なデータを取り出せる状態で保存しておくこと

<スキャナ保存>
スキャナ保存とは、紙で受け取った書類をスキャンすることで電子的に保存する方法です。スキャナ保存を行う際は以下について注意して保存しておく必要があります。

  • スキャンの解像度に注意し、細かい数字まで明確に読み取れる解像度でスキャンすること
  • タイムスタンプの付与を行うこと
  • データが必要となった際にすぐに閲覧可能な状態で保存しておくこと
  • 検索によって必要なデータを取り出せる状態で保存しておくこと

ただし、タイムスタンプについては、書類の訂正や削除を確認できるシステムを使ってスキャナ保存をした場合は不要とされています。

証憑について、種類や保存期間、保存方法について解説いたしました。

証憑は事業における取引や税務において、正当性を主張するために適切な保管を行うことが重要です。電子帳簿保存法の改正を考慮し、取り扱いについては十分に注意するようにしましょう。

この記事の執筆者

ゼニス編集部

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