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法人税とは?対象になる法人や最新の税率、税金額、計算方法をまとめて紹介!

法人にはその事業年度の所得に対し「法人税」が課せられます。本記事ではこれから起業される方へ向け、法人税の基礎知識や計算方法を解説! 法人税以外に生じる税金の種類や、表面税率・実効税率の計算方法についてもご紹介します。

法人税とは?対象になる法人、所得の種類は?

法人税は、その名のとおり法人に課せられる税金です。課税対象になるのは「法人の所得」で、個人でいうところの「所得税」に該当します。

法人税の対象になる法人は以下のように定義されており、公共法人(地方公共団体など)については法人税が課税されません。

【法人税で定められている「法人」の定義】

  • 普通法人……株式会社や合同会社、有限会社、医療法人など(すべての所得が法人税の対象)
  • 協同組合……農協、信用金庫など(すべての所得が法人税の対象)
  • 人格のない社団……PTAや同窓会など、法人格のない団体(収益事業の所得が法人税の対象)
  • 公益法人等……公益社団法人等、宗教法人、学校法人など(収益事業の所得が法人税の対象)

法人税の課税所得とは?

法人税は各法人の「課税所得」に対し、一定の法人税率をかけた金額を納付する仕組みです。
具体的には「法人が事業年度内に、事業で獲得した所得」が課税所得となります。

事業で獲得した所得は、単に「利益」を指すのではありません。そもそも事業で利益を得るためには「費用」が必要であり、もろもろの利益から費用(損金)を差し引いたものが最終的に残る「所得」となります。

法人税の計算にはこの「課税所得」を算出する必要があることを覚えておきましょう。

法人税率とはなに?

法人税率とは、法人税を算出するために利用するものです。

以下は株式会社などの「普通法人」の法人税率です。法人税率は15~23.4%となっており、企業規模(資本金)や所得金額によって細かく分けられています。

法人税率と計算方法

資本金1億円以下の法人の場合、法人税率が大きく分岐するボーダーラインが「所得800万円」です。たとえば
資本金1億円以下、前年度の所得金額が800万円だった場合、所得税率は15%になります。(軽減措置制度が適用されます)
この場合、法人税は800万円×15%=120万円が法人税となります。

【令和4年度以降の普通法人における法人税率】

区分適用関係(開始事業年度)
令4.4.1~
資本金1億円以下の法人など年800万円以下の部分下記以外の法人15%
適用除外事業者(※)19%
年800万円超の部分23.20%
上記以外の普通法人23.20%

引用元:No.5759 法人税の税率|国税庁
※過去3年度の所得金額の平均が15億円を超える法人。適用除外事業者に該当する場合は、税法上「中小企業」であっても、中小企業向けの法人税の特例が適用されません。

ちなみに、同じ資本金1億円以下でも、所得金額が1,000万円だった場合はどうなるでしょうか。
この場合は「800万円まで」「800万円を超えた部分(残り200万円)」に分けて、2種類の計算をすることになります。

①800万円 × 15%= 120万円
②(1,000万円-800万円) × 23.20% = 46万4,000円

①と②を合わせると、120万円 + 46万4,000円 = 166万4,000円が法人税となります。

所得税と法人税はどちらが高い?

法人税とよく比較されるのが「所得税」です。これを読んでいる皆さんにも、フリーランス・個人事業主から節税のために“法人成り”を考えている人も多いのではないでしょうか?

実際に比較してみると、695万円~900万円未満における所得税は23%。330万円~695万円未満でも20%です。

【個人の所得税率の早見表】

課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円

引用元:No.2260 所得税の税率|国税庁

法人税の場合は資本金1億円以下の中小企業であれば、800万円までの部分が15%、800万円を超える部分が23.2%です。

税率だけで見ると、所得が330万円以上になると法人税率のほうが低い、ということになります。

ただし、所得税には税率に応じた税額控除(下記表の右側)があるため、一概に法人税のほうが安い、というわけではありません。

実際のところ、計算してみると所得800万円を超えるあたりで法人税額のほうが低くなります。
こうした事情から、業績を伸ばして所得600~700万円に差し掛かったころに法人化を検討する方が増えていきます。

法人税率の推移

余談ですが、法人税率は年々引き下げられています。

引用元:法人課税に関する基本的な資料 : 財務省

法人税率のピークは昭和59年~昭和62年までで、大企業などに適用される基本税率は43.3%でした。しかし、段階的に引き下げられていき、平成24年には25.5%に。その後も細かく引き下げが行われ、平成30年以降は23.20%で定着しています。

また、中小企業には法人税の軽減税率(本則)が適用されますが、平成21年以降は中小企業に対する軽減税率の特例としてさらに低い法人税率が適用されることになりました。令和4年時点では15%となっており、所得税に比べるとかなり優遇されていることがわかります。

法人税率引き下げの背景

法人税率の引き下げの背景には、海外企業の誘致や、日本企業の長期成長を支援する目的があります。

海外進出を狙う企業は、法人税率の低い国に進出したいと考えるのが一般的です。法人税率を引き下げれば海外企業が進出してきて、対日投資が増えます。そうなれば、日本経済の活性化につながるのです。

また日本の企業に対しても、法人税率を引き下げることで新規起業を後押しできます。

起業する会社が増えれば、将来的に大きな利益を生み出す企業を創出できる可能性も高まります。法人税率の優遇には、これらのような理由が含まれているのです。

会社が納める税金には法人税以外にも様々な種類がある

会社が納める税金は「法人税」だけではありません。その他にも、以下のような税金を納める必要があります。

  • 法人事業税
  • 法人住民税
  • 消費税

法人事業税

法人事業税は、所得×法人事業税率で算出できる税金で、各都道府県に納付義務があります。

法人事業税は「資本金1億円を超える法人」「資本金1億円以下(中小法人)」によっても計算方法が変わり、中小法人の場合は所得金額×法人事業税率で計算した「所得割」だけが課せられる仕組みです。
法人事業税率は都道府県ごとに異なりますので、確認しておきましょう。

資本金1億円を超える法人については、資本金の額に0.5%をかけた「資本割」、付加価値額に1.2%をかけた「付加価値割」を所得割に加算したものが、法人事業税となります。

参考:総務省|地方税制度|法人事業税

法人住民税

法人住民税は、事業所がある都道府県、市区町村に納める税金です。
「均等割」「法人税割」の2つを納めますが、それぞれ課税基準となる対象が異なります。

  • 均等割……資本金等の額や従業員数に応じて発生する税金。
  • 法人税割……納めた法人税に一定の税率をかけて算出する税金。

赤字などで法人税がゼロの場合は発生しません。

決算の結果、赤字だった場合法人税割は発生しません。一方、均等割はその事業年度の所得にかかわらず発生します。つまり「赤字でも税金が発生する」ということです。

赤字経営であっても、法人住民税の均等割分のお金は確保しておきましょう。

参考:総務省|地方税制度|法人住民税

消費税

消費税とは、消費に対し広く公平に課される税金です。法人においては、課税事業者の売上から仕入れにかかった消費税額を差し引いた額(仕入税額控除)が消費税となり、国に納付します。

なお、法人の全てが消費税の課税事業者となるわけではありません。
以下の法人については、消費税の納付が免除されます(免税事業者)。

  • 資本金1,000万円未満の企業
  • 開業2年(2期)以内の新規設立法人(※)

※事業年度の前年度開始~6ヶ月以内の課税売上高が1,000万円を超えた場合は、投下税機関から課税事業者になります。また、他の者(起業)に出資の50%以上を保有されている(支配されている)法人は、新規設立であっても消費税の納税義務が生じます。

参考リンク:

法人税の実効税率とは何? 計算方法を紹介

法人税には「表面税率」「実効税率」の2つがあります。

表面税率は、税の申告、納税額の計算をするときに使う税率です。

一方実効税率は、法人税、住民税、事業税の税率を用いて計算する税率です。
もともと事業税は翌年度の損金として参入できるのですが、表面税率の計算には事業税が考慮されていません。
よって、表面税率だけでは“実質の税負担額”がわからないのです。

表面税率、実効税率を求めるには、以下の計算式で実効税率を算出する必要があります。

【表面税率の計算式】

法人税率 × ( 1 + 地方法人税率 + 住民税率)+ 事業税率 + 特別法人事業税率 )
表面税率

【実効税率の計算式】

① A{法人税率×( 1 + 地方法人税率 + 住民税率)+ 事業税率 + 特別法人事業税率 }

② ①のA ÷( 1 + 事業税率 + 特別法人事業税率) = 実効税率

実質の税負担額を計算したい場合は、実効税率の計算式で税の計算を行いましょう。

まとめ

法人税の税率は企業の規模や所得によって変化します。また法人税は法人住民税にも深く関わるものですので、自社の法人税率がどのくらいになるのか、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。

この記事の執筆者

ゼニス編集部

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