バーチャルオフィスお役立ちコラム ビジネス用語集

NDA(秘密保持契約)とは?締結の目的や流れを解説!

会社間や会社と個人間で機密情報をやり取りする際には「NDA(秘密保持契約)」を締結することが一般的です。
NDAは何の目的で、どうやって締結するのでしょうか?

ここではNDAの目的や、NDA締結の流れを解説。NDAを結ぶ際のポイントについても解説しているので、一緒にチェックしてみましょう。

NDA(秘密保持契約)の目的は?

NDA(秘密保持契約/Non-disclosure Agreement)は、自社の秘密情報を他の企業へ提供する際に締結する契約です。

具体的には、自社の秘密を第三者であるその他の会社へ漏洩したり、不正利用したりすることを防ぐ契約を結びます。

契約先の会社に自社が持っている独自の技術、新たな商品などを提供する際、必然的に秘密情報を共有する形になるでしょう。また他社に試作品の作成を依頼したり、共同して新製品・技術などを開発したりする際も情報共有は避けられません。

こうした契約には「自社の情報が他社に漏れるリスク」があります。そこで締結するのが、NDA(秘密保持契約)なのです。

NDA(秘密保持契約)を結ぶ目的としては、以下の3つが挙げられます。

  • 情報の漏洩や不正利用による不利益を防止するため
  • 特許を申請するため
  • 不正競争を予防するため

それぞれくわしく見ていきましょう。

情報の漏洩や不正利用による不利益を防止するため

NDA(秘密保持契約)の主目的は、情報の漏洩や不正利用を防ぐことです。

自社の新商品や新技術などの“大切な情報”が外部に漏らされると、アイデアの横取りや情報の不正利用により不利益を被る可能性があります。将来的に得られるはずだった利益が情報漏洩や不正利用によって失われてしまえば、自社にとって大きな損失となります。

また情報を漏らしたり不正利用したりした会社とのトラブルは避けられないでしょう。

NDA(秘密保持契約)をあらかじめ締結しておけば、情報漏洩・情報の不正利用を阻止することができます。
結果的に将来的な不利益を被ることもなく、会社間での不要なトラブルも避けられるでしょう。

特許を申請するため

自社の新技術、新製品で特許を受けたい場合、NDA(秘密保持契約)の締結が必須です。

そもそも特許というのは技術的思想の創作である「発明」が対象となるものです。特許を取得すれば発明が保護され、特許権を持つ者のみがそのアイデアを利用することが許されます。

しかし、特許取得予定の商品・技術を他社との取引で利用するとき、あらかじめNDA(秘密保持契約)を結ばずに商品・情報が漏洩したらどうなるでしょうか。
この場合、「公然に知られた発明」として扱われてしまい、特許の取得ができなくなってしまうのです。

秘密情報で特許を申請するつもりならば、かならずNDA(秘密保持契約)を締結し、情報漏洩を防ぎましょう。

不正競争を予防するため

自社の秘密情報が外部に漏洩した場合、第三者に自社の模倣・類似商品を作られてしまうケースがあります。このときNDA(秘密保持契約)を締結していれば、自社がオリジナルである根拠が証明でき、販売・製造の差し止め、損害賠償請求ができるのです。

一方、NDA(秘密保持契約)を結んでいない場合はどうなるでしょうか。
NDAを結んでいない場合、「漏洩情報は秘密情報ではない」と判断されてしまい、差し止め・損害賠償などの請求が却下されてしまうケースがあるのです。

自社の利益を守るのはもちろん、こうした不正競争やトラブルを防ぐためにもNDA(秘密保持契約)は有効だと考えられます。

NDA(秘密保持契約)を締結するタイミングは?手順と合わせて解説

NDA(秘密保持契約)が必要になるタイミングは、ずばり『相手に情報を開示する前』です。
情報開示したあとに締結しても意味がありませんので、注意しましょう。

また、NDA(秘密保持契約)を締結する手順は次のとおりです。

  1. 相手と共通認識のすり合わせ
  2. 「秘密保持契約書」の原案作成、確認
  3. 弁護士へのリーガルチェック依頼
  4. 調印

各ステップをそれぞれくわしく見ていきましょう。

1.相手と共通認識のすり合わせ

NDA(秘密保持契約)を締結する際は、まず当事者間で“認識のすり合わせ”を行います。

NDA締結をする際に「どちらの力関係が上なのか」「秘密情報に当たる情報は何か」「情報の利用範囲」といったことを必ず当事者間で確認し、認識のズレをなくしましょう。

【事前に確認しておくべき事項】

  • 秘密情報の範囲
  • 秘密保持義務の対象者(双方なのか片方なのか)
  • コピー、複製の制限について
  • 秘密保持契約の有効期限、存続条項
  • 秘密情報の返還や破棄について
  • 違反時の損害賠償、差し止め等の措置

これらの要項はのちに秘密保持契約書にて改めて合意をするものですので、最初の段階で認識違いがあるとトラブルを招くことになります。
NDA締結前に必ず確認しておきましょう。

2.「秘密保持契約書」の原案作成、確認

契約内容の確認とすり合わせが終わったら、秘密保持契約書の原案を作成しましょう。作成後は双方で内容の相違について確認し、問題がなければそのまま調印へ進みます。自社に不利益が生じそうであれば、リーガルチェックを依頼しましょう。

3.弁護士へのリーガルチェック依頼

他社で作成された秘密保持契約書の原案では、自社にとって不利な条件が定められているケースがあります。

秘密保持契約書の原案をチェックしたうえで、情報漏洩発生時に一方的な不利益が生じそうな場合は、弁護士に依頼してリーガルチェックをしてもらいましょう。

4.調印

原案の内容を当事者間で確認し、かつ問題がなければ、NDAを締結しましょう。
当事者の数だけ秘密保持契約書を準備したら、調印と「割印」を行います。割印を行うことで、原本がそれぞれ同じ内容であることの証明ができます。

ちなみに、電子データで秘密保持契約を行う場合は電子署名にて調印も可能です。
電子署名を利用する場合は割印が不要ですが、改ざんを防ぐためにタイムスタンプを付与したうえで調印を執り行いましょう。

NDA(秘密保持契約)を締結する際のポイント

NDAを締結する際には、下記のポイントを押さえておきましょう。

  • 「秘密情報」の定義を曖昧にしない
  • 秘密保持義務違反が生じた場合の措置を明確にしておく
  • 契約期間は長すぎず、短すぎずを念頭に
  • 契約期間終了後の「情報の扱い」についても明記する

「秘密情報」の定義を曖昧にしない

NDAを締結するうえで特に重要なのが「秘密情報の定義づけ」です。
企業にはさまざまな保有情報があり、そのどれを“秘密”としたいのかは企業ごとに異なります。

お互いに「何を秘密にし、漏洩を防ぐべき情報なのか」がわかっていないと、漏洩を防ぐことはできませんし、仮に情報漏洩が起こっても責任を問うことができなくなります。

よって、NDA締結前の「何が秘密情報なのか」といった定義づけやすり合わせが非常に重要なのです。

情報提供をする側は秘密情報を明確にし、リスト化するなどして相手方に把握してもらえるよう対策を行いましょう。反対に、情報を提供してもらう側は、秘密情報の範囲について曖昧な部分があれば契約前に確認が必要です。

秘密保持義務違反が生じた場合の措置を明確にしておく

NDA締結時には、秘密保持の義務を違反した場合の措置についても明確に決めておきましょう。

NDAを締結した場合、契約書内に明記されている情報の漏洩をしないことが大前提となります。
ただし、場合によっては情報漏洩されてしまう可能性もあります。

万が一のときのために、情報漏洩が起こった場合の罰則や対応(損害賠償請求や情報の不正利用の差し止め措置など)について必ず明記しておきましょう。

契約期間は長すぎず、短すぎずを念頭に

秘密保持契約の期間については、適切な期間を定めましょう。

たとえば「顧客の個人情報」などについては、無期限で秘密保持契約を締結するケースが多いです。これは、顧客情報が「時間とともに秘密を守る必要性(秘匿性)が薄れる情報」ではないからです。

一方新サービスのリリースでは、情報解禁~提供開始、シェア拡大……といった時間経過によって自然と情報が“一般化”していきます。認知がかなり広まったころには秘密情報を守る必然性も薄れていますし、相手方に秘密保持を強いる必要も少ないでしょう。

よって後者のようなケースでは、プロジェクト終了から6ヶ月~1年程度の期間でNDAを結ぶことが多いのです。

契約期間終了後の「情報の扱い」についても明記する

NDA締結時には、「契約期間終了後に情報をどうするのか」についても記載しましょう。

たとえば相手方に秘密情報の資料や重要事項説明書、データ等を渡している場合、「契約期間終了後すみやかに返却すること」など、どんな対応をすればよいかを記載しておきます。

こうすることで、相手方がいつまでも自社の秘密情報を保持しており、いつの間にか漏洩・不正利用されていた……といったトラブルの予防につながります。

NDA(秘密保持契約)を締結しスムーズ&安全な情報管理を実現しよう

NDA(秘密保持契約)は会社同士が秘密情報を共有するうえで欠かせないものです。また、近年では会社と個人(フリーランスや副業ワーカーなど)間で、NDAを締結するケースも多く見られます。

秘密情報の扱いについて明確に定義し、すり合わせをした上でNDAを締結すれば、情報管理がスムーズになります。

自社の利益を守り、かつ情報漏洩リスクを最小限に抑えるためにも、秘密情報を扱う際には必ずNDAを締結しましょう。

この記事の執筆者

ゼニス編集部

月額990円~利用できる格安バーチャルオフィス「レゾナンス」です。2016年にスタートし、現在は「港区浜松町本店」「青山店」「銀座店」「日本橋店」「渋谷店」「恵比寿店」「新宿店」「横浜店」「R-INNOVATION銀座店」がございます。

バーチャルオフィスの活用方法や起業についてなど、お役立ち情報をコラムにまと めています。

バーチャルオフィスお役立ちコラムのおすすめ記事

バーチャルオフィスのレゾナンス