会社員や主婦の副業として人気のある「転売」。しかし人気の一方で「違法な転売」「不正転売」など、ネガティブな話題として取り上げられるケースも少なくありません。なぜこのように良くないイメージを持たれるようになってしまったのでしょうか?
本記事では、「違法な転売」ついて解説します。不正転売や違法転売になるケースを踏まえつつ、違法にならない転売の方法を学んでみましょう。
【結論】そもそも転売は違法行為ではない!
転売について学ぶうえで必ず知っておきたいのが「違法な転売」についてです。
転売とは「一度販売された商品を再販売すること」を指します。ネットショップや実店舗の小売店などから買った商品を売ったり、買ったものの要らなくなった商品を売ったりする行為が転売にあたります。
実は日本の法律では、転売そのものに違法性はありません。
転売が違法だとしたら、フリマサイトなどの「購入した不用品を売る」というサービスも利用できなくなってしまいます。
では、なぜ転売には「不正」「違法」というマイナスイメージが根強いのでしょうか?
その理由としては、いわゆる「転売ヤー」や法律違反の転売業者の存在が挙げられます。
転売ヤーの問題点とは?
「転売ヤー」と呼ばれる人々は、忌み嫌われる存在です。そこには「小売市場の維持や成長を阻害している」という理由が考えられます。事実、小売業界ではいまだに転売行為が問題視されています。
レアな商品の買い占め、値段を吊り上げての転売
転売ヤーが狙うのは“新品、かつ希少性の高い商品”です。転売ヤーは希少性の高い商品を一気に買い占め、大量に販売することで利益を生み出します。
しかし、生産限定品などの数が限られている商品を一部の人間が買い占めてしまえば、一般消費者の手に渡る機会を奪ってしまいます。これは消費者にとっても不利益であり、小売市場の健全な成長・および維持が阻害されてしまう原因にもなるのです。
売り場スペースを占領しての商品確認作業など、営業妨害ともいえる行為
また商品の仕入れ時に売り場を占領し、箱を開けて商品の中身を確かめる、バーコードリーダーで高値転売できる商品を探す……といった行為を繰り返す転売ヤーもいます。こうした行為は店舗の営業妨害となりますし、一般消費者にとっては迷惑でしかありません。
機械ボットによる大量アカウントでの自動購入
また転売ヤーの中には「ボット(bot)」と呼ばれるプログラムを悪用し、複数アカウントでの大量購入を行っている人もいます。中には販売開始からすぐに決済ができるプログラムなどもあり、販売開始直後に完売し、一般消費者の手元に商品が行き渡らない……というケースもあるようです。
こうした事例では、一般消費者だけでなく販売者も迷惑を被ります。一般消費者からの苦情対応や、転売対策への工数が必要になるからです。
不正・違法な転売とはどんな転売?
商品によっては、販売時に許可や確認が必要なものもあります。必要な許可や確認のないまま転売をした場合、法律違反として罰せられてしまうので注意が必要です。
また、転売目的で購入することを禁じている商品(ライブ等のチケット)を転売した場合や、コピー品や海賊版といった“ブランドのイメージを著しく損ねる可能性のある商品”についても、違法な転売として罰せられます。
- 古物商の許可証なく中古品を販売している
- 特別な許可が必要な商品(お酒、医薬品、化粧品など)の無許可転売
- 日本で輸入規制がある商品の無許可転売
- チケットの商用目的での転売(ダフ屋)
- 偽ブランド品、コピー商品の転売
- 転売の売上(利益)を確定申告せず脱税をしている
それぞれ具体的にご説明します。
古物商の許可証なく中古品を販売している
いちど人の手に渡った商品は、たとえ新品であっても「中古品」扱いとなります。
中古品を継続的に反復して転売するには「古物商許可」が必要になります。
仮に古物商許可をもらっていないのに転売を繰り返し行った場合、「古物営業法違反(※)」という罪に問われてしまうので注意しましょう。
(※3年以下の懲役、または100万円以下の罰金)
特別な許可が必要な商品(お酒、医薬品、化粧品など)の無許可転売
市販されている商品の中には、特別な許可や免許がないと販売できない商品も数多く存在します。
・PSEマークの貼られていない海外の電化製品
→コンセント付きの家電やモバイルバッテリー使用家電など
・電波法の「技適マーク」がない無線機器
→海外製のSIMフリースマホやワイヤレスヘッドホンなど
・食品衛生法に関連する商品
→飲食&調理器具、容器包装、6歳未満の乳幼児が対象のおもちゃなど
・薬機法に関連する商品
→体温計、コンタクトレンズ、化粧品、健康食品やサプリ、石鹸など
・たばこ事業法上の許可を得ていないたばこ類
→たばこ、電子たばこなど
これらを許可なく転売してしまうと、違法となり罰せられる場合があります。
日本で輸入規制がある商品の無許可転売
日本で輸入が禁じられている物品を仕入れ、転売した場合は法律違反となります。
これらの輸入はもちろん、転売をした場合も重い罪を課せられてしまうため、絶対にやめましょう。
- 麻薬や大麻、危険ドラッグなどの薬物
- 児童ポルノ
- 拳銃
- 火薬類
- ニセ札
- ワシントン条約に該当する物品(ペットや植物、はく製や毛皮製品など)
参考リンク:輸出入禁止・規制品目 : 税関 Japan Customs
チケットの商用目的での転売(ダフ屋)
特定興業入場券(チケット)に指定されるチケットを興行主に無断で、かつ高額で転売した場合、「チケット不正転売禁止法」として罰せられます。当然ながら不正・違法な転売ですのでNGです。
①不特定多数に販売されていて、販売時に興行主の同意なき有償譲渡を禁止する文言が記載されている
②日時や場所、座席や入場資格者が指定されている
③座席指定でかつ購入者の氏名、連絡先を確認できる措置があり、チケットにも記載されている
④上記①~③をすべて満たす芸術、芸能、スポーツなどのイベントチケット
参考リンク:チケット不正転売禁止法 | 文化庁
利益を目的として購入し、高額で転売したことが判明した場合、「1年以下の懲役」または「100万円以下の罰金」が科せられます。悪質な場合はこれら両方が科せられる場合もあるのです。
参考リンク:チケットの高額転売は禁止です!~チケット不正転売禁止法 | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン
偽ブランド品、コピー商品の転売
ブランド商品の偽物や有名商品の模倣品、海賊版などを転売すると、知的財産違反となります。
コピー商品と知らずに転売をした場合でも罪に問われる可能性が高い
転売の売上(利益)を確定申告せず脱税をしている
継続的に転売をして、一定以上の利益を得た場合は確定申告が必要になります。
【転売でも確定申告が必要なケース】
A)転売を本業としていて、所得(利益-経費の額)が48万円を超えた場合
B)学生でアルバイトをしており、総所得(給与+転売利益-経費の額)が48万円を超えた場合
C)会社員が副業で転売をして所得(利益-経費の額)が20万円を超えた場合
しかし、確定申告が必要なのにもかかわらず無申告だった場合は、追徴課税(ペナルティでさらに課税されること)を言い渡されることもあるので要注意です。
- 無申告加算税:本来納付すべき税額に5~40%上乗せされて課せられる税
- 延滞税:期限までに支払うべき税金を納めていないと課せられる税
- 重加算税:未申告・脱税の隠ぺいなど悪質な行為が行われた場合に課税(35~40%上乗せ)
悪質な脱税とみなされれば、刑事罰を科せられる可能性もあります。確定申告が必要な条件に当てはまる方は、脱税とみなされないよう必ず申告をしましょう。
フリマサイトの転売は違法になる?
転売を行う人の中には「メルカリ」「ラクマ」などのフリマサイトで商品を販売する方も多いでしょう。
フリマサイトでの転売自体は違法ではありませんが、古物商許可を得ないまま継続・反復して中古品を販売すると「古物営業法違反」となってしまいます。
また法律に違反しなくとも、フリマサイトの利用規約に違反した場合はアカウント停止などの処分が下されることもあります。
違法転売はNG!安全に転売を行おう
違法・不正な転売をすると、法律違反となり罰せられる可能性があります。そうなれば利益どころか懲役・罰金が課せられる場合もあり、ビジネスどころではなくなってしまうでしょう。
安全に転売をするには、3つの対策を行いましょう。
- 古物商許可証を取得する
- 転売したい商品に販売許可が必要か、あらかじめ確認する
- 商品知識(法律や本物とコピー品の見分け方など)を身につける
「知らぬうちに犯罪行為をしてしまった」ということがないよう、販売したい商品が法に触れないかどうか、また必要な許可があるかを確認してから転売することが重要です。
これから転売を始められる方は、下準備をしっかりと済ませてから「安全な転売」を心掛けましょう。
また、法に触れない転売であっても、モラルの低い行為は非難の対象になります。利用するプラットフォームによってはアカウント取り消しとなり、販路がひとつ断たれてしまう場合もあるため、節度をわきまえて利用することが大切ですよ。