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会社経営を成功させるには?基本の考え方や失敗の原因&防ぐ対策を紹介

会社法の改正以降、誰でも比較的気軽に会社を設立できるようになりました。しかし、「会社を立ち上げる」というのと「会社経営を成功させる」というのは、必ずしもイコールではありません。

そこで今回は、会社経営を成功させるための知識をご紹介します。経営者に必要な視点や会社経営に失敗する原因、その対策方法を見ていきましょう。

会社経営とは?経営状態について知ろう

会社を継続することを「会社経営」といいますが、経営状態には主に3つがあります。

  • 黒字経営……売上-経費をしたあとの最終利益がプラスになる状態
  • 赤字経営……売上よりも経費が上回り、最終利益がマイナスになる状態
  • 経営破綻……経営資金が底をついて、会社が存続できない状態

基本的には黒字経営が理想的ですが、注意したいのが「黒字でも倒産することがある」という点。
売上を上げていても、キャッシュフローに問題があり、各種支払いまで手が回らず倒産してしまうケースがあります。いわゆる黒字倒産です。

また、赤字経営というとネガティブな印象を受けがちですが、特別損失や減価償却費、前払い金などで一時的に赤字になる場合と、恒常的に赤字経営である場合では状況がガラリと異なります。

前者の場合は次年度から黒字転換することもありますし、後者の場合は経営破綻の危険がともないます。
特に、資本にとぼしい中小企業の場合、赤字経営が続けば経営破綻リスクは大きくなるでしょう。

なお、赤字が続いて資金が底をついたときは「経営破綻」します。
大企業の場合は経営破綻から内外の働きかけによって再建するケースもありますが、中小企業など規模の小さい会社の場合は倒産の可能性が高まるでしょう。

会社経営ではどのような視点を持つのが大事?

会社経営に成功するためには、経営者自身が「経営管理の視点」を持つことが重要です。

①販売管理

商品を仕入れ、販売するまでの工程管理を「販売管理」といいます。
会社にとって商品は、収益を得るために必要なものです。商品の管理は複数部門で行いますが、経営者自身が販売管理のフローを把握しておかねばなりません。

商品の販売をスムーズにするには、部門同士での連携を円滑にすること、さらには部門ごとの問題点、課題点などを洗い出し、常に改善していく姿勢が必要でしょう。

②財務会計管理

財務会計管理とは、会社経営で重要な「お金の管理」のことです。
会社を成長させるには、健全な財務管理を行い、黒字経営を目指すことが目標となります。

手元の資金はどのくらいあるのか、どうすれば支払いや回収がスムーズに回るのかを把握しておくことで、事業は少しずつ前に進んでいきます。

また、資金が足りない場合は資金調達が必要ですし、会社を展開するためには設備投資なども必要になるでしょう。会社の資金繰りを把握しておくことが、経営の成功に直結します。

③労務管理

労務管理とは、労働環境の整備や管理を指します。
具体的には会社で雇用している従業員の勤怠管理、福利厚生などが挙げられます。

会社の経営資源には「ヒト・モノ・カネ」の3つがあるといわれていますが、このうちの「ヒト」は従業員のことです。

経営者は労務管理について知識を得るとともに、従業員が心身ともに健康で働きやすく、かつ効率よく業務に取り組めるシステム作りを心がける必要があります。

1人ひとりが充実感を持って働ける職場を作り上げることで、事業のさらなる発展、利益の拡大なども期待できるようになるでしょう。

④広い視野

経営者は「つねに俯瞰して物事を見る視点」を身につけることも重要です。
会社の経営にはさまざまな部門、人が関わっており、何か問題が起きたときには複数の原因が潜んでいる場合があります。

そのため経営者は、社内のそれぞれの部門の動きや問題点などを広い視野で見ることが重要なのです。

問題が起きたときの原因について細部まで把握し、的確な解決策を見出せる経営者は、ピンチの状況を切り抜けやすいでしょう。また会社を総合的に管理できるようになれば、問題が起きる前に軌道修正しやすくなります。

会社経営に失敗する原因は?

帝国データバンクが2011年に調査した統計データによると、企業生存率は年数を経るごとに低下していくことがあきらかになっています。

たとえば創業5年の時点では86%、10年時点では73%ですが、創業20年になると54%と、半数近くまで減ってしまいます。

あくまでも帝国データバンクで扱っている企業のみのデータではあること、10年以上前のデータであることには留意が必要ですが、2022年現在においてもおそらく低下率は大きく変わらないことが予想されます。


引用・出展:中小企業庁「中小企業白書2011」

会社経営に失敗し倒産を招く原因としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 販売不振
  • 既往のしわ寄せ
  • 放漫経営
  • 連鎖倒産
  • 過小資本

販売不振

販売不振とは、売上高が減ることで利益が減少し、経営が成り立たなくなることを指します。
倒産理由のうちの7割は、この販売不振によって会社を畳むこととなっています。

既往のしわ寄せ

既往のしわ寄せとは、少しずつ経営が悪化し蓄積された“しわ寄せ”により、経営が立ち行かなくなることを意味します。多くの場合、経営の悪化に気が付かず(または見ないふりをしていて)、気付いたときには取り返しのつかない状態になって倒産する……というパターンが多いです。

放漫経営

放漫経営とは、事前準備・調査が十分でないにもかかわらず、無理な事業展開・投資を行い、経営が悪化している状態です。
戦略やビジョンを持たず、行き当たりばったりで会社経営をしていると放漫経営に陥りやすいです。

連鎖倒産

連鎖倒産とは、取引先が倒産し、自社も連鎖的に経営が悪化して倒産してしまう状態を指します。

取引先との取引で発生していた売掛金が回収できないとなると、あらかじめ入ってくる予定だった利益が確保できず、資金繰りがうまくいかなくなります。
取引先が大口、かつ売掛金の回収サイクルが長いほど連鎖倒産のリスクは高くなるでしょう。

過小資本

過小資本は、得られる利益に対し、資本(=会社の運転資金)が少ない状態を指します。
そもそも資本とは“会社の体力”です。個人でいうところの「貯金」のようなもので、資本金が多いほど不測の事態に対応しやすくなります。

一方、会社によっては「利益が上昇しているが、自己資本比率を低いままでキープする」というケースも見られます。

これは消費税などの節税対策として行われるものですが、「手元に自由に使えるお金が少ない」ということでもあるため、不測の事態が起こったときに対応しきれず、倒産してしまうことがあるのです。

会社経営の失敗を防ぐための対策方法とは?

会社経営の失敗を防ぐためには、どのような対策をすればよいのでしょうか?
ここでは、会社経営の失敗原因に応じた対策方法をご紹介します。

販売不振を防ぐには「得意先を分散し安定させる」「独自路線の確立」

販売不振が起こる原因としては、「自社の商品やサービスに魅力がない」「ニーズの低下や品質劣化」「値上がりによる買い控え」などが挙げられます。
さらに、自社以外の要因としてはマーケット全体のシェアの縮小や競合の出現・敗退、産業構造の変化なども考えられるでしょう。

こうした要素をかいくぐり、好調な売上を記録するには以下の対策が必要です。

得意先の安定確保をしたら、販路を広げて分散させる

得意先が販売不振であったり、経営方針を転換したりする際に取引が打ち切られる可能性があります。
このとき得意先が少ないと、ひとつ取引が終了するだけで会社にとっては利益の大きな減少につながるでしょう。

長年にわたり安定的に利用・取引をしてもらっていたとしても、突然終わる可能性もゼロではありません。
得意先との取引終了によるリスクを下げるには、販路をできるだけ拡大し、分散化することが重要です。

独自路線を確保し、外部要因に強くなる

自社の商品・サービスに独自の強みがあると、シェアの縮小や競合が出現した場合にも生き残りやすくなります。

顧客に対し「この会社の商品・サービスじゃないと」と思わせられれば、少々販売数が減ったとしても自社内の対策次第で回復しやすいからです。
商品やサービスの開発をする際は、自社にしかない魅力や独自路線を追求しましょう。

既往のしわ寄せを防ぐには「経営に対し危機感を持つこと」が重要

売上減少や設備の劣化、従業員の高齢化などが同時進行で生じると、倒産リスクが高まります。
これらは一気に経営悪化を招くというよりは、徐々に、じわじわとやってくるのが特徴です。

こうした既往のしわ寄せによる倒産を防ぐには、経営者自身がリスクに対し「危機感」を持つことが重要です。

  • 売上減少の原因の特定、および迅速な対策
  • 劣化した設備への再投資
  • 若手従業員の採用により、“企業の若返り”をはかる
  • データだけではなく現場の状況、意見を取り入れた経営戦略を行う

会社経営では、これらの対策を経営者が先導して行いましょう。

連鎖倒産を防ぐには「特定の取引先に依存しすぎない」

特定の取引先のみに依存した経営は、その取引先が倒産した場合に連鎖倒産を招くケースが多いです。

特に、会社設立直後から軌道に乗るまでの間は、取引先が少なく、自社の経営が取引先の経営状態に左右されやすくなります。

連鎖倒産を避けるには、常に“取引先の新規開拓”を行うことが大切です。
取引先を分散することでリスクが分散でき、1社がダメになった場合のダメージを少なくできるでしょう。

また、取引先の経営状況を常に把握しておくことも重要です。

  • 支払いの遅れ
  • 売上減少
  • 管理職、従業員の頻繁な入れ替わりがある

これらが頻繁に起こるようなら、倒産リスクは高いと判断してよいでしょう。

倒産リスクの高い取引先であると判断した場合は、資金をなるべく早く回収し、新たな売掛金が生じないよう現金取引にするなどの対処が有効です。

過小資本を防ぐには「堅実に会社経営をする」

過小資本は「入ってきたお金が外部に流れやすい状態」です。
資本が少ないのに無茶な新規事業の開始などを行うと、それが失敗したとき一気に経営不振におちいることがあります。

過小資本を防ぐには、堅実な会社経営を心がけることが重要です。
たとえば株主への配当などで利益の大部分を分配してしまうと、会社の“蓄え”である資本は増えません。そこで、配当の割合を減らし、内部留保を優先して資本を増やすとよいでしょう。

新規の投資はあくまでも「会社の体力(資本)」を確保してから、と心得ることで倒産リスクを減らし、結果的に新たな挑戦がしやすくなります。

起業する前に会社経営の本質、成功のポイントを把握しよう

会社経営を成功させるには、経営に必要な知識、視点をしっかりと身につけておくことが重要。
さらに、失敗の原因や失敗を防ぐための対策を講じることも必要です。

起業する前から経営について知識を身につけておき、会社経営を成功させましょう。

この記事の執筆者

ゼニス編集部

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