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「執行役員」とは?執行役員の役割や取締役との違い、執行役員制度導入のメリットを押さえておこう

企業の役職の一つに「執行役員」というものがありますが、必ずしも全ての企業に置かれている役職ではありません。取締役など、似ている役職との違いを含めて、執行役員がどのような役職なのか、具体的に理解している人は意外と少ないかもしれません。

この記事では、執行役員とはどのような役職なのか?
執行役員の役割と企業へ導入することでどのようなメリットがあるのか、そして新たに導入する際のポイントなどについて、解説していきたいと思います。

「執行役員」とは?「取締役」との違い

「取締役」という役職が、会社の経営方針などの意思決定を行うのに対し、「執行役員」は、取締役に代わって会社の業務を執行する役員を指します。

取締役が、会社法によって株式会社への設置義務が定められている(会社法326条1項)のに対し、執行役員は各会社が任意で定めている役職です。

取締役は、代表取締役の指名や取締役会での決議など、経営にまつわる重要事項の決定を行い、会社に関する意思決定者の役割を担っています。会社との関係性も従業員ではなく委任関係にあります。

それに対して執行役員は「役員」という言葉が付いてはいるものの、事業運営を担うトップという位置づけであり、取締役ほど重大な権限を持つ役職ではありません。
法律上における会社との関係性は、会社に雇用された従業員となっています。

「執行役員制度」とは?

執行役員は、法律で人数や役割について定められているものはありませんが、上場企業のうち約7割もの企業において、執行役員というポジションを置いていると言われています。

会社の規模が大きくなるにつれ、代表取締役以外の取締役も、経営方針や監督業務、そして業務執行と担う業務負担も多くなります。取締役の負担増により会社な重要な意思決定が迅速になされない状況を防ぐための打開策として導入されたのが「執行役員制度」です。
執行役員制度では、取締役・取締役会の機能とは別に、決定した経営方針に基づき業務執行に関する権限をも持たせた執行役員を設置します。

一般的に、執行役員には事業部門ごとにトップに位置する部長クラスの従業員を就かせることが多く、事業部内での意思決定を行って統括するケースが多くなっています。

執行役員制度を取り入れることで、取締役は会社経営に関する決定に注力し、執行役員がその実行にあたるという分業が確立できるため、取締役会の活性化、さらには会社全体の活性化に繋ります。

執行役員の立ち位置

執行役員は、取締役によって決定された経営方針に沿って、配置された事業部門のトップとして事業を統括しながら業務遂行を行います。

事業部門の中での意思決定を行うなど、取締役の役割の一部を任される、重要なポジションにあたりますが、取締役とは異なり会社法上はあくまでの従業員の位置づけであるため、「役員」という言葉が付いていても株主に対する責任を負うことはありません。

役職の序列について

企業にはさまざまな役職が配置されていますが、執行役員を置く企業における役職の序列について、いま一度確認してみましょう。

会長(会長取締役)前社長が社長退任後も相談役として会社に残る場合に、就くことが多い役職です
会長取締役の場合は、取締役会の議長も務めます
社長会社経営の最高責任者で「代表取締役社長」とも呼ばれます。
副社長社長に次ぐ会社の責任者で、「取締役副社長」とも呼ばれます。
専務・常務経営幹部として会社の意思決定や業務遂行において社長を補佐する立場で、「専務取締役・常務取締役」とも呼ばれます。
専務と常務の上下関係は会社法では定められておらず、企業によって異なります。
監査役取締役の業務を監視・監督する立場で株主総会によって選任されます。執行役員よりも上の立ち位置で、会社の業務や会計における不正を防ぎます。
執行役員執行役員は、一般的に部長の上で監査役の下という位置づけです。
部長各事業部における責任者です。
企業によっては、部長が取締役を兼任しているケースもあり、その場合は序列が監査役よりも上になります。
次長部長を補佐する立場です。
課長事業部内の各課における責任者です。

執行役員の報酬について

会社役員には役員報酬がつきますが、執行役員の報酬はどのような扱いなのでしょうか。

一般的に、取締役の報酬は取締役会で定められるため、業績が評価されれば報酬額が大きくなったり、反対に報酬が減らされたりすることもあります。

いっぽうで、執行役員は役員とは異なり従業員という立場のため、役員報酬は支払われず、労働基準法に基づく雇用契約により、社内規定に基づいて「給料」や「賞与」が支払われます。

執行役員の定年について

執行役員は従業員という位置づけなので、他の役職の従業員と同様で定年退職の対象になります。
定年退職制度を採用している企業では、就業規則によって定年年齢を定めているので、執行役員も、就業規則で定められた年齢での退職となります。いっぽうで、就業規則は会社によって個別に定めることができるので、執行役員については、他の従業員よりも定年時期を延長して定めることも可能です。

執行役員制度導入のメリット

1.取締役が経営の意思決定に注力できる

取締役などの経営陣は、会社経営に関する意思決定に注力できるため、会社経営の状況把握から意思決定までをスピーディーに行うことができるようになります。
これにより、社会情勢やライバル企業などによる状況変化への対応が遅れることがなく対応できるため、会社の存続や発展へ大きな影響を与えます。

2.取締役の候補者育成に繋がる

執行役員制度の導入によって、事業部門のトップへ経営的視点を養わせることに繋がります。
次世代において経営を担わせたいと思う人材を執行役員に選任することで、事業部内での意思決定の責任を負わせることで一部の経営経験を積ませながら、取締役として適任かどうかの判断も行うことができるでしょう。

3.給与を経費に計上できる

取締役の報酬は一定の基準を満たさない限り、税務上の経費として計上することができませんが、執行役員への報酬は「従業員への給与・賞与」にあたるため経費として計上することが可能となります。

執行役員制度導入のデメリット

執行役員制度導入によるデメリットとしては、組織の複雑化が挙げられます。
執行役員制度を導入によって取締役とは別に、執行役員という役職が生まれ組織が複雑化します。そのため、場合によっては連携ミスや伝達の遅れなど情報連携がスムーズいかないというリスクが発生します。

取締役や執行役も十分に担える組織規模であれば、無理に設置する必要はないかもしれません。

執行役員を新たに設置するには

執行役員という役職は、会社法や商業登記法上で定められていないため、株主総会での選任は不要です。「部長」や「課長」などと同様で社内で自由に決定でき、一般的には取締役会で選任・決議されています。

執行役員の選任の準備としては、執行役員の雇用に関する「執行役員規定」や「報酬」を就業条件・規則に定めましょう。

執行役員という役職の役割やメリット・デメリット、取締役との違いなどについて解説いたしました。
執行役員の設置は、執行役員制度をしっかり理解したうえで行うことで、取締役会や会社全体の活性化につなげることができます。会社経営の意思決定に時間を要しているようなら、導入の検討をされてみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者

ゼニス編集部

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