バーチャルオフィスは低コストで事業を始められる便利なサービスです。しかし事業拡大や対面業務の増加に伴い、リアルオフィスの開設を検討するタイミングが訪れることもあります。
リアルオフィスへの移行には、資金計画、物件選び、契約手続きなど多くの準備が必要になります。また移行をスムーズに進めるには、計画的なステップを踏むことが重要です。
本記事では、バーチャルオフィスからリアルオフィスへ移行する具体的な方法を解説します。適切なタイミングやオフィス選びのポイントを知り、スムーズな移行を目指しましょう。
バーチャルオフィスからリアルオフィスへ移行を考えるタイミングとは?
バーチャルオフィスには「低コストで起業ができる」「信用アップにつながる」などのメリットが多く、小規模で事業をスタートする方にとっては非常に心強いサービスです。
しかし事業規模の拡大や方向転換に伴い、リアルオフィスが必要になるケースもあります。
まずはバーチャルオフィスの利点をおさらいするとともに、どのようなケースでリアルオフィスへの移行が必要になるのかを学んでいきましょう。
バーチャルオフィスの利点
- 低コストで起業が可能
- 住所貸しサービスによる信用向上
- 郵便転送や電話代行サービスを活用できる
- リモートワークやフリーランスに適している
バーチャルオフィスは低コストで起業が可能な点が大きな魅力です。リアルオフィスのような賃料や保証金が不要なため、資金を事業成長に集中できます。
法人登記や名刺・Webサイトでの信用度向上にも役立つほか、郵便転送や電話代行を利用することで業務の効率化が図れ、事業に集中しやすくなります。
こうした性質からバーチャルオフィスはリモートワークやフリーランスに適しており、自宅住所を公開せずに安全にビジネスを運営できるのも大きなメリットです。
リアルオフィスへの移行を検討すべきタイミング
バーチャルオフィスはコストを抑えながら事業を運営できる利点がありますが、事業の成長に伴いリアルオフィスへの移行を検討する場面が出てきます。
以下のような状況になったら、移行のタイミングを考えましょう。
- 従業員の増加
- クライアントとの商談が増加
- 事業の信用度をさらに向上させたい
- 物流や倉庫機能が必要
- 採用活動を強化したい
リモートワークだけでは業務効率が下がる
オフィスでの打ち合わせが必要になる
登記住所の安定性やオフィス設備が重要になる
EC事業などで商品の管理拠点が必要になる
オフィス勤務を前提とした人材確保をしたい
従業員の増加により、対面での業務が必要になった
バーチャルオフィスではリモートワーク中心の業務が前提となります。しかし、従業員が増えて対面でのコミュニケーションが不可欠になった場合は、リアルオフィスの必要性が高まります。
特にプロジェクトの進行やチームワークの向上が求められる業務では、オフィスがあることで意思疎通がスムーズになります。
取引先や顧客との対面打ち合わせが増えた
一部の業種では、対面での商談や契約が重要になるケースがあります。
例えばコンサルティング業などのビジネスでは、オフィスでの打ち合わせが必要になる場合が多くなります。
頻繁に会議室をレンタルしている場合、コストや利便性を考えるとリアルオフィスへ移行する方が有利なケースもあります。
オフィスの住所がブランド力や信用に影響を与えるようになった
一等地のバーチャルオフィスの住所を利用していても、一定の規模以上の企業になると「リアルなオフィスがあるかどうか」が信用に関わる場合があります。
企業の信用力を高めたい、ブランド価値を向上させたい場合は、実際のオフィスを構えることで、取引先や投資家からの評価が高まります。
事業拡大に伴い、専用の作業スペースが必要になった
事業拡大に伴って専用スペースが必要になると、リアルオフィスへの移行を検討する場合もあります。
例えばECサイトを運営する場合、事業が拡大すると商品の在庫管理や発送作業のための専用スペースが必要になります。
大量の商品を扱うとなるとバーチャルオフィスでは対応が難しくなるため、倉庫付きオフィスや物流拠点を備えたリアルオフィスへ移行することで、業務の効率化と配送スピードの向上を図れます。
採用活動を強化し、オフィス勤務を前提とした人材確保をしたい
バーチャルオフィスを活用したリモートワークでは自由度の高い働き方が可能ですが、オフィス勤務を希望する求職者にとっては選択肢が限られます。
オフィス勤務の環境を整えることで、より幅広い人材の採用が可能になり、企業の成長を支える強いチームを築くことができます。
バーチャルオフィスからリアルオフィス移行のための準備ステップ
バーチャルオフィスからリアルオフィスへ移行するには、計画的に準備を進めることが重要です。計画的に準備を進めることで移転時の業務の混乱を防ぎ、スムーズな移行が実現します。
ただしリアルオフィスへの移行には、オフィスの選定や契約、設備導入、登記変更など多くの手続きが発生します。
以下を参考に事前にスケジュールを立て、コストや時間のロスを最小限に抑えましょう。
資金計画を立てる
リアルオフィスは、バーチャルオフィスに比べてコストがかかります。以下の費用を考慮し、予算を組みましょう。
【リアルオフィス(賃貸オフィス)利用費の目安】
項目 | 費用の目安 |
---|---|
オフィス賃貸費用 | 月額5万〜30万円(エリア・広さによる) |
敷金・礼金 | 賃料の3〜6ヶ月分 |
内装工事・家具費用 | 10万〜100万円 |
インターネット回線 | 月額5,000円〜 |
水道光熱費 | オフィスの広さにより異なる |
賃貸オフィスの契約には相応の費用がかかりますが、補助金や助成金を活用すると、オフィス移転の負担を軽減できます。例えば、「小規模事業者持続化補助金」や「地方自治体の創業支援制度」を調べてみるとよいでしょう。
また、内装や設備にこだわりがない場合はレンタルオフィスやシェアオフィスを利用するのも賢い方法です。この2つは始めから内装・オフィス家具が整備されており、賃貸オフィスのような高額な初期費用なく利用をスタートできます。
【関連リンク】
オフィス選びの基準
- 立地
- 広さ
- 設備
- 契約条件
アクセスの良い駅近物件 or 郊外でコストを抑える
今後の事業拡大も考慮する
会議室、駐車場、セキュリティ対策が整っているか
短期契約が可能か、更新時の条件
リアルオフィスを選ぶ際は、事業の成長を見据えた計画的な判断が必要です。
立地は利便性を重視するなら駅近、コストを抑えるなら郊外など、事業スタイルに合った選択をしましょう。
広さは現在の業務に適しているかだけでなく、将来的な従業員増加や設備拡充にも対応できるかを考慮することが重要です。
設備面では会議室や駐車場、セキュリティ対策が整っているかを確認し、業務効率が向上する環境を整えます。
また契約条件も重要で、短期契約の可否や更新時の条件を把握し、事業の変化に柔軟に対応できる物件を選ぶことが望ましいでしょう。
こうしたポイントを事前に整理し、最適なオフィスを選ぶことで、スムーズな移行と安定した事業運営ができるようになります。
リアルオフィス物件の選定と契約時の注意点
リアルオフィス物件の選定や契約時には、以下に注意しましょう。
物件の探し方
リアルオフィス物件を探す際には以下の3点に注意が必要です。
- 事業用不動産に強い業者に相談する
- 予算や希望条件を明確にし、複数の物件を比較
- 賃貸か購入かを検討(コスト・将来性を考慮)
事業用不動産に強い業者に相談する
リアルオフィスを探す際は、事業用不動産に詳しい専門業者に相談しましょう。
事業用物件は住居用と異なり、賃貸契約や法規制の面で特有の条件があるため、企業向けの仲介実績が豊富な業者を選ぶと安心です。
また専門業者からは業種ごとに適した物件の提案や、オフィス開設に必要な手続きのサポートを受けられる点も魅力です。
予算や希望条件を明確にし、複数の物件を比較
リアルオフィスの契約前に、月々の賃料や敷金・礼金、設備費などを含めた予算を明確にしましょう。
同時に立地や広さ、設備などの希望条件を整理し、複数の候補を比較することで最適なオフィスを選びやすくなります。
見学の際には周辺環境やセキュリティ対策、交通アクセスなどもチェックし、実際の業務に適した物件かを慎重に検討しましょう。
賃貸か購入かを検討(コスト・将来性を考慮)
オフィスの確保方法として「賃貸」と「購入」があります。
賃貸は初期費用を抑えながら柔軟に移転が可能ですが、長期的には家賃負担が大きくなることも。
一方、購入は資産として保有できるメリットがあるものの、多額の初期投資が必要です。
事業の成長や資金計画を考慮し、どちらが適しているか慎重に判断しましょう。
契約前に確認すべきポイント
賃貸オフィス契約前には契約条件を細かく確認し、後々のトラブルを防ぐことが重要です。
契約前に必ず以下のポイントを確認し、不明点や不安要素を潰しておきましょう。
チェック項目 | 確認ポイント |
---|---|
敷金・礼金 | 退去時に返金されるのか? |
設備 | インターネット回線や電源設備は十分か? |
契約期間 | 途中解約時の違約金はあるか? |
セキュリティ | 監視カメラや入退室管理は整っているか? |
まず契約期間や更新条件を確認し、短期・長期のどちらが自社に適しているかを判断することが重要です。
例えばA社は1年契約のオフィスを検討していましたが、急成長に伴い半年で移転が必要となり、違約金を支払うことになりました。
また、初期費用や保証金、解約時の違約金の有無も事前に確認が必要です。
契約時に保証金の返還条件を確認しないと、解約時に想定より少ない金額しか戻らず資金繰りに影響が出る恐れがあります。
加えて共益費や管理費、設備利用料などの追加コストの発生有無も確認し、総額を把握することが大切です。
契約前に細かい条件を明確にし、リスクを避けながら適切なオフィスを選びましょう。
他オフィスとの比較
リアルオフィスだけでなく、レンタルオフィスやコワーキングスペースを併用する選択肢もあります。
項目 | リアルオフィス | レンタルオフィス | コワーキングスペース |
---|---|---|---|
費用 | 月額10万円〜(賃貸) | 月額5万円〜20万円 | 月額1万円〜5万円 |
契約形態 | 2年〜契約が多い | 3ヶ月〜1年契約が一般的 | 月単位で契約可 |
設備 | 自由にレイアウト可能 | 個室、会議室、電話回線、郵便受け | 共有デスク、会議室、Wi-Fi |
プライバシー | 高い(完全独立) | 中(個室あり) | 低い(オープンスペース) |
法人登記 | 可能 | 可能 | 可能な場合あり |
利用シーン | 企業の長期運営向け | スタートアップ、1〜5名のチーム | フリーランス、短期プロジェクト |
リアルオフィスは完全独立型でプライバシーが確保しやすく、長期的な事業運営向けです。自由にレイアウトできる反面、コストが高くなりがちなところがネックです。
レンタルオフィスは個室のプライベート空間があり、郵便受けや電話回線の利用も可能。小規模チームや個人事業主にとって、コストと利便性のバランスが取れた選択肢です。
コワーキングスペースは低コストで気軽に利用できるため、フリーランスや短期プロジェクト向け。ただし共有スペースが多いため、機密性の高い業務には不向きな場合があります。
リアルオフィス移行時の手続き
リアルオフィス移行時に必要な手続きは以下の流れで進めていきます。
法人登記住所の変更
- 法務局への登記変更手続き
- 銀行・税務署・取引先への住所変更通知
- 名刺・Webサイト・パンフレットの更新
バーチャルオフィスからリアルオフィスへ移行する際、法人登記の住所変更手続きが必要です。登記変更は法務局で行い、変更登記申請書や新住所の賃貸契約書などの提出が求められます。
また税務署や銀行、取引先にも新住所を通知し、名刺やWebサイトの住所も更新しましょう。変更手続きに時間がかかることがあるため、事前にスケジュールを立て、移転計画と並行して進めることが重要です。
オフィスのインフラ整備
- インターネット・電話回線の導入
- 家具・什器・エアコンの手配
- 会議室・受付の整備
快適に業務を進めるためには、オフィスのインフラ環境を整える必要があります。
インターネット回線や電話回線の開設はもちろん、Wi-Fi環境や電源設備の確認も重要です。
業務開始日にスムーズに移行できるよう、デスク・椅子・会議室などの家具・備品の準備、IT機器の導入なども計画的に行いましょう。
従業員の出社ルール設定
- ハイブリッドワーク or フルオフィスワーク
- 通勤費用の見直し
- オフィス内でのルール策定(会議室利用、フリーアドレス制の導入など)
リアルオフィスへの移行に伴い、従業員の出社ルールを明確にする必要があります。
フル出社なのかリモートワークと併用するのかを決め、出社日や勤務時間のルールを策定しましょう。
ハイブリッドワークを導入する場合、出社・在宅のバランスやオフィスの利用方法を調整し、従業員の業務効率を最大化できる仕組みを作ることが求められます。
リアルオフィス移行後の運用ポイント
リアルオフィスに移行したあとは、オフィスコストの管理やルールの運用が重要になります。
オフィスコスト管理
- 維持費の定期チェック
- 節電・効率的なオフィス利用
- 共有オフィスとの併用でコスト削減
リアルオフィスの運営には賃料・光熱費・インフラ設備・備品購入費など、継続的なコストが発生します。
これらの費用を適切に管理するために月々の運営コストを試算し、必要に応じてコスト削減策を講じましょう。
また固定費を抑えるために、シェアオフィスやレンタルオフィスの利用を検討するのも一つの方法です。長期的な視点で予算計画を立てましょう。
オフィスの運営ルール策定
- 会議室・共有スペースの管理
- 郵便・荷物受け取りのルール化
- 来客対応のフロー整備
リアルオフィスでは社内の秩序や効率を維持するために、運営ルールを明確にする必要があります。
たとえば会議室の予約方法や設備の使用ルール、ゴミ出しや清掃の担当、セキュリティ対策などを決めておくと円滑な運営が可能になります。
従業員が増えるとルールの明文化が欠かせないため、事前にガイドラインを作成し、従業員全員が把握できる環境を整えましょう。
【事例】バーチャルオフィスからリアルオフィスへの成功事例
最後に、バーチャルオフィスからリアルオフィスへ移行した企業の成功事例をご紹介します。
【事例1】IT企業のスタートアップの成功事例
A社はコストを抑えるためバーチャルオフィスで創業し、リモートワークを中心に事業を展開。
事業拡大に伴い取引先との対面打ち合わせが増え、信頼性向上のためリアルオフィスへ移行しました。
オフィス移転後は来客対応がスムーズになり、取引先からの評価が向上。
結果として、企業案件の受注数が20%増加し、さらなる成長につながりました。
【事例2】EC事業者の成功事例
B社はバーチャルオフィスでEC事業を開始。
事業拡大により在庫管理や配送業務の効率化が必要となり、倉庫付きオフィスへ移転しました。これにより自社出荷が可能となり、配送スピードが向上。
結果として顧客満足度が上がり、リピーター率も増加。
バーチャルオフィスからの段階的な移行により、安定した成長を実現しました。
まとめ
バーチャルオフィスは事業の初期コストを抑えるのに適した選択肢ですが、成長とともにリアルオフィスへの移行が必要になることもあります。
その際は資金計画やオフィスの条件を明確にし、立地や契約内容を慎重に選びましょう。加えて契約時の注意点を把握し、設備やインフラを整えることでスムーズな移行が可能になります。
本記事でご紹介した情報や事例を参考に、自社の成長に合った最適なオフィス環境を選んでみてくださいね。
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