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インセンティブとは何か?意味・具体例・メリット・デメリットを解説

従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上を促すインセンティブ。条件設定のために目標を明確化することで業務効率化・生産性アップなども期待できることから、近年多くの企業で取り入れられています。

ここでは、インセンティブの意味や具体例、メリット・デメリットについて解説。インセンティブ制度を導入する際のポイントもご紹介しているので、併せてお読みください。

インセンティブの意味とは?

インセンティブとは「何らかの行動を促すための『刺激・動機』『励みになるもの』」という意味を指します。

社員に対するインセンティブ

多くの方がイメージされるのは「営業社員が商談成立し、インセンティブをもらう」というケースではないでしょうか。この場合のインセンティブは「報奨金」という意味で使われます。インセンティブという「動機」を設けることで業務の成果、取り組みを変えるよう促すことが目的です。

ちなみに社員に対するインセンティブは、お金以外にもさまざまなものがあります。

【金銭以外のインセンティブについて】

  • 表彰制度
  • 報奨旅行
  • 金券
  • ストックオプション
  • 研修

いわば「ご褒美」を設定し行動変容を促すという目的は共通していますが、その内容や規模については企業によっても異なります。

またインセンティブは、『マズローの欲求5段階説』を活用した5種類に分けることができます。

マズローの欲求5段階説とは、“人の欲求”は生理的欲求・安全欲求・社会的欲求&所属と愛の欲求・承認欲求・自己実現欲求の5段階に分かれるという理論です。

それぞれのフェーズで「インセンティブ(報酬)」と感じる内容は異なり、低位の欲求が満たされたときはより高位の欲求を満たそうとする……という心理を表しています。

マズローの欲求5段階説
(※上から低層→高層)
インセンティブの種類内容(報酬として喜びを感じるもの)
生理的欲求物質的インセンティブ金銭、物品、経済の安定
安全欲求
社会的欲求人的インセンティブ組織内の良好な人間関係
所属と愛の欲求
承認欲求評価的インセンティブ自身に対する公正な評価、社内表彰
理念的インセンティブビジョン、価値観への共感
自己実現欲求理念的インセンティブビジョン、価値観への共感
自己実現的インセンティブ自身の夢、ビジョン達成につながる機会(憧れの仕事への機会、裁量権の獲得)

従業員に対するインセンティブを設定する際には、上記を踏まえた内容で検討すると効果的です。

消費者に対するインセンティブ

インセンティブは「社員に対するご褒美」というだけでなく、消費者に対しても設定されることがあります。

ドラッグストアやネットショップなどでよく見かける「この商品を買うと新商品の試供品をプレゼントします」「レシート応募で豪華賞品プレゼント」といったキャンペーンは、消費者の購買を促す「消費者インセンティブ」の一例です。

インセンティブはいつから普及した?

社員に対するインセンティブ制度は、バブル崩壊以降の1990年代に普及したとされています。

コスト削減を目的とした年功序列、終身雇用の見直しの一環として、「成果主義」「インセンティブ」を導入し、人件費を適正化しようとした、いうのが理由となっています。

また年功序列や終身雇用では「成果を残しても正当な評価が得られるとは限らない」、ひいては「上役のポストが詰まっているうえ年数が重視されるので、いくら仕事を頑張っても役職に反映されない」といった問題が生じやすい面があります。とりわけ人材の流動性が高まっている昨今、これらの古い雇用制度はマッチしにくいでしょう。

成果主義、かつインセンティブ制度が導入されていれば、「頑張りが反映される」として企業へのエンゲージメント向上につながります。多様な価値観の社員を適切に評価する制度があれば、人材流出の防止効果も期待できるでしょう。

インセンティブと歩合制はどう違う?

インセンティブとよく混同される言葉に「歩合制」がありますが、これら二つは「報酬が発生する条件」が異なります。

  • インセンティブの報酬発生条件
  • 「売上金額」など目標条件を達成したときにプラスアルファの報酬が発生する。
    お金がインセンティブとして設定されている場合は、基本給+αの金額が「給与」として振り込まれる。

  • 歩合制の報酬発生条件
  • 「契約1件につき売り上げの○%」など、実績に応じた一定の割合の報酬が発生する。
    「固定給+歩合」の場合と「完全歩合制(フルコミッション)」の場合がある。

歩合制のうち完全歩合制(フルコミッション)の報酬体系を取っている場合、雇用契約ではなく「業務委託契約」となる点に注意が必要です。仮に成果を上げられない場合、基本給が保障されていないため収入が0円になる可能性もあるのです。

インセンティブ制度のメリットは?

社内でインセンティブ制度を導入するメリットは以下の3つです。

  • 従業員のモチベーションアップにつながる
  • 理想の成果、行動を明確に提示できる
  • 人件費の適正化による経営リスクの軽減

従業員のモチベーションアップにつながる

インセンティブ制度を導入し成果に応じた適切な報酬を設けると、従業員のモチベーションアップにつながります。

人は自分の頑張りに対する見返りがほしいものです。とりわけ根性論の通用しない若い世代は、「報われたい」という気持ちが強い傾向にあります。

インセンティブで頑張りを評価すれば、「年功序列だから頑張っている自分より、仕事をサボっている上司の方が高い給料をもらっている」といった不公平感の解消につながります。ボーナスよりもこまめな支給ができるため、モチベーションの維持にも効果的です。

理想の成果、行動を明確に提示できる

人は目標があやふやだったり、多すぎたりすると努力するのが難しく感じるものです。
インセンティブ制度を導入し、具体的な達成目標を設定していれば、「この目標(成果)を達成するにはどんな行動をとるべきか」が明確になります。努力の方向性や方法がぶれることなく、“正しい努力”ができるようにもなるでしょう。

人件費の適正化による経営リスクの軽減

インセンティブはあくまでも「業績に連動する変動費」です。基本給のような固定費ではないので、恒常的に発生するものではなく、経営を圧迫するリスクが少なく済みます。

インセンティブ制度のデメリットは?

インセンティブ制度にはデメリットもあります。

  • 目先の利益にとらわれやすくなる
  • 従業員の競争意識が高まり、人間関係が悪化するおそれがある
  • インセンティブの割合が多いと社員の生活に悪影響が出る

目先の利益にとらわれやすくなる

成果によって報酬が加算されるインセンティブ制度を導入した場合、従業員が目先の利益にとらわれやすくなるデメリットがあります。

もちろん、利益増そのものは良いことなのですが、「視野が狭まって施策を誤り、将来の顧客を失うことになる」「営業部門が暴走、孤立し他部門との連携に支障が出る」といったケースも散見されます。

従業員の競争意識が高まり、人間関係が悪化するおそれがある

獲得できる顧客のパイが限られている場合、インセンティブを導入することで同一部署内(特に営業部)の人間関係が悪化する可能性があります。これは競争意識が高まりすぎて、お互いを敵視してしまうからです。

また、昨今の営業においては「チーム全体での営業プロセスの共有、標準化」などが重要視されていますが、インセンティブが悪い方向に働くと“情報の独占”や“属人化”などに発展する懸念もあります。
この対策としては、チーム全体でのインセンティブを設定し、連携するほうがトクをするという意識を醸成することが重要です。

インセンティブの割合が多いと社員の生活に悪影響が出る

給与のうちインセンティブとして設定している割合が多いと、月によって受け取る金額にばらつきが生じます。インセンティブの多い月はいいですが、そうでない場合は大きく収入が減り、生活に大きな影響が及ぶこともあるのです。

収入変動が大きいということは従業員自身のライフプランが立てにくくなることでもあり、離職・転職の原因にもなりえます。

インセンティブ制度が向いている職種

インセンティブ制度は「成果を数字で判断できる職種」とのシナジーが高いです。
とりわけ以下のような営業職、販売職においては「売上〇円に対し○%」といった形でインセンティブ制度を取り入れやすいでしょう。

【インセンティブ制度を導入しやすい職種】

  • 不動産営業、自動車販売、保険・証券営業
  • ドライバー、コールセンター
  • 販売職
  • ウェディングプランナー

ただし、インセンティブ制度が導入できるのは営業職だけではありません。
評価制度を整備したうえで技術職、企画職、事務などのバックオフィス部門に対して運用することもできます。

インセンティブ導入のポイント

インセンティブ制度を導入するためのポイントをご紹介します。

  1. 制度を導入する目的を明確化
  2. ニーズを把握し、内容を決定
  3. インセンティブ制度のアナウンスと追跡

1.制度を導入する目的を明確化

インセンティブ制度を導入する際は、「売上アップ」「来客数アップ」など、目的をはっきりと設定することが重要です。導入そのものを目的にするとインセンティブ制度の評価、見直しができなくなり、上手くいきません。
もっとも優先すべき課題に対し、「○%アップ」というふうに具体的な数字を目標に設定しましょう。

2.ニーズを把握し、内容を決定

せっかくインセンティブ制度を導入しても、その内容が従業員のニーズとかけ離れていたら意味がありません。
インセンティブ制度は「本当にもらってうれしいもの」を報酬に設定してこそ効果があるので、制度導入前には従業員アンケートを実施するなどしてニーズを把握することが重要です。

3.インセンティブ制度のアナウンスと追跡

インセンティブ制度を導入したら、従業員に浸透するよう周知しましょう。
目的、条件、評価基準をわかりやすく正確に伝えたうえで、制度が正しく機能するよう運用します。

また、インセンティブ制度は導入しっぱなしではなく継続的に観察をすることも重要です。
定期的にサーベイを行い、従業員のモチベーションの変化やエンゲージメントの変化などを計測し、見直し・修正を繰り返していきましょう。

この記事の執筆者

ゼニス編集部

月額990円~利用できる格安バーチャルオフィス「レゾナンス」です。2016年にスタートし、現在は「港区浜松町本店」「青山店」「銀座店」「日本橋店」「渋谷店」「恵比寿店」「新宿店」「横浜店」「R-INNOVATION銀座店」がございます。

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