累進課税とは? 対象になる税金や計算方法について解説

所得税などに採用されている「累進課税」。個人事業主や副業をされている方はよく耳にする言葉ですが、そもそもどのようなものなのでしょうか。

ここでは累進課税とはどのようなものなのか、対象になる税金の種類や計算方法などを解説します。

累進課税とは? メリット・デメリット

累進課税とは、課税額が少ないうちは税率も低く、課税額が増えるにつれて税額が高くなる課税方式を指します。

日本では明治20年から導入されている課税方式で、「所得税」が代表的です。

累進課税のメリット

累進課税のメリットは以下のとおりです。

・所得額に応じた納税ができる
・所得格差が縮まる

低所得世帯やハンディキャップのある人、高齢者などへの医療・福祉サービスが充実している社会は、誰でも安心して暮らすことができます。これらを叶えるには財源となる「税収」が必要です。

累進課税で低所得の人に少しの税負担を課しつつ、高所得を得ている人から多くの税を徴収することで、バランスよく税を徴収できます。

その税を財源として社会保障や公共のサービスの拡充をはかることで、所得格差を縮める効果もあるのです。

累進課税のデメリット

累進課税のデメリットは以下のとおりです。

・高所得者ほど不公平感を持ちやすい
・労働意欲の減少を招く可能性もある

累進課税は「所得が高くなるほど税金も高くなる」という制度です。
そのため、高所得になるほど不公平感を抱きやすい、というデメリットがあります。

また「稼いでも税金で持っていかれる」という性質から、労働意欲の減少を招きやすいのもデメリットかもしれません。たくさん稼いでいるにもかかわらず、税金で実質の手取り額がグッと減ってしまっては、消費控えも生じやすくなるでしょう。

累進課税の対象になる税金は3種類ある

累進課税の対象になる税金には、以下の3種類があります。

・所得税
・相続税
・贈与税

それぞれの特徴をチェックしてみましょう。

所得税

所得税とは個人の所得に課される税金です。

会社で勤務してもらった「給与」や、事業などで得た「所得」、投資や不動産賃貸などで得た「所得」などが所得税の算定対象となります。

所得税においては「総合課税」「申告分離課税」「源泉分離課税」があり、累進課税が行われているのは「総合課税」のみです。所得税の総合課税では、年間所得額に対し5~45%の累進課税率が課せられます。

相続税

相続税は、亡くなった人の財産を相続したときにかかる税金です。

相続税の払い手は「相続した人」であり、遺産の総額から基礎控除額を差し引き、相続人の数で分割をしたうえで相続税を計算します。

贈与税

贈与税は金銭を贈った相手にかかる税金です。
贈与税についても贈与額から基礎控除を差し引いたあとの金額が、贈与税の算定基準となります。
累進課税のため、贈与額が多くなるほど税率も高くなります。

累進課税の計算方法は?


累進課税である「所得税・相続税・贈与税」の3種の計算方法をご紹介します。

所得税

累進課税の代表である「所得税」の計算をするには、まず所得税率を確認しましょう。
所得税率は最低5%、年間の課税所得額が4,000万円以上になると一律45%となります。

【所得税率の一覧表】

課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円

引用元:No.2260 所得税の税率|国税庁

たとえば1,949,000円までは「課税される所得金額」に対し5%の所得税がかかります。

また1,950,000円以上になると10%、3,300,000円以上になると20%……というふうに税率が上がっていきます。ただし、10%以降は課税所得×税率で算出した所得税から「税額控除」を差し引いた金額が、実際の所得税として徴収される仕組みです。

【例】
課税所得金額が400万円(所得税率20%)の場合

(4,000,000×20%) - 427,500円 = 372,500円(1年間の所得税)

なお会社員の場合は「源泉徴収」として、毎月の給与から所得税をあらかじめ天引きしています。
「源泉徴収税額表」その月の社会保険料等を差し引いたあとの給与額、扶養親族の数などをもとにその月の源泉徴収税額が決定されます。

参考リンク:国税庁|令和3年(2021年)分源泉徴収税額表

相続税

相続税も取得した財産の額に応じて累進課税されます。

1.課税される正味の遺産額(課税財産)の確認
2.課税財産から基礎控除を差し引く
3.法定相続分に応じて遺産を割り振る
4.「法定相続分に応ずる取得金額」に相続税率をかける
5.相続税額を合算して所定の計算をする

1.課税される正味の遺産額(課税財産)の確認

遺産総額は「相続時に精算課税の適用を受ける贈与財産」を含む遺産です。

ただし実際に相続できるのは、遺産総額から非課税財産、葬儀費用、債務(借金)などを差し引いた残りです。
また、遺産額だけでなく、相続開始前から3年以内の贈与財産がある場合は、こちらも正味の遺産額に含みます。

2.課税財産から基礎控除を差し引く

相続税の基礎控除は3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で求められます。

たとえば親の遺産(課税財産)が1億円、法定相続人(子ども)が3人の場合、以下の計算によって「法定相続分に応ずる取得金額」が求められます。

1億円 - {3,000万円+(600万円×3人)}= 5,200万円

この場合課税される財産は「5,200万円」となります。

3.法定相続分で遺産を按分し、相続金額を計算

課税財産(遺産総額から基礎控除を引いた額)を、法定相続分どおりに相続した場合の取得額を計算します。

法定相続分とは、「遺産を相続できる割合」のことです。
遺言で相続割合について言及がない限りは、法で決められている法定相続分に沿って遺産の分割割合を決定します。

相続の優先順位をかんたんにご説明すると

配偶者>亡くなった人の子ども>亡くなった人の父母、祖父母>亡くなった人の兄弟姉妹

となります。

たとえば自分が2人兄弟で父親が亡くなった場合、配偶者(母)が健在であれば遺産の1/2を、子どもたちは遺産の1/2を2人で分ける=1/4ずつを相続します。
配偶者がいない場合は子どもの人数のみで均等に按分する仕組みです。

相続人配偶者がいる場合の相続割合相続人の相続割合
1/21/2
直系尊属2/31/3
兄弟姉妹3/41/4

参考リンク:No.4132 相続人の範囲と法定相続分|国税庁

先ほどの1億円(課税財産5,200万円)を子ども3人で相続する場合は、配偶者がいないケースですのでそのまま3人で均等に分けます。

5,200万円 ÷ 3 = 1,733.3万円

1人当たりの相続額は1,733.3万円となります。

4.「法定相続分に応ずる取得金額」に相続税率をかける

法定相続人それぞれの取得額が出せたら、以下の速算表でもとめた税率をかけ、控除を差し引きます。

【相続税の速算表】

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円

引用元:No.4155 相続税の税率|国税庁

(1,733.3万円 × 15%)-50万円(控除) =210万円(かかる相続税の金額※)

※ここではわかりやすいよう繰り上げて表記しています。

3人それぞれ210万円の相続税がかかる、ということになります。

5.相続税額を合算して所定の計算をする

法定相続人ごとの相続税額を算定したら、相続税の総額を出し、実際の取得額を算出します。

先ほどのケースであれば、210万円×3= 630万円 が相続税の総額となります。

これをもとに以下のステップで計算をすると、実際に納付すべき相続税額が分かる仕組みです。

①相続税の総額×(各人の相続財産の金額 / 各人の相続財産の金額の合計額)=各人の算出税額
②各人の算出税額-控除=実際の納付すべき相続税額

相続税に適用される控除は以下のとおりです。

・配偶者の税額軽減(1億6,000万円まで控除)
・障害者控除(85歳未満の障害者が相続する場合は一定額を控除)
・未成年者控除(18歳未満が相続する場合は一定額を控除)

相続税の計算は複雑なため、専門家に相談・依頼することをおすすめします。

贈与税

贈与税は「贈与した金額-110万円(基礎控除」をした課税価格に対し課せられます。

控除後の課税価格 × 税率(%) = 贈与税額

なお、贈与税は贈与される相手との関係、および贈与を受ける側の年齢によっても変わります。

<一般贈与財産用……兄弟や夫婦間、未成年の子や孫に贈与した場合>

基礎控除後の課税価格200万円
以下
300万円
以下
400万円
以下
600万円
以下
1,000万円
以下
1,500万円
以下
3,000万円
以下
3,000万円
税 率10%15%20%30%40%45%50%55%
控除額10万円25万円65万円125万円175万円250万円400万円

引用元:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

<特別贈与財産用……親や祖父母から18歳以上の子に贈与した場合>

基礎控除後の課税価格200万円
以下
400万円
以下
600万円
以下
1,000万円
以下
1,500万円
以下
3,000万円
以下
4,500万円
以下
4,500万円
税 率10%15%20%30%40%45%50%55%
控除額10万円30万円90万円190万円265万円415万円640万円

引用元:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

累進課税となる税金を節税するには?

自身にかかる税金を“節税”するには、控除を活用する方法が有効です。
課税対象になるお金が減れば、実質の税額も少なくて済みます。

ただし、累進課税となる税金3種類のうち、「相続税」「贈与税」については基礎控除額が決まっています。
所得税については以下の対策で節税できる可能性があるので、積極的に活用しましょう。

個人事業主で経費扱いできるものは経費として計上する

個人事業主は仕事に使った費用を経費として計上できます。
経費は自己申告となりますので、仕事関連の出費はもれなく経費としましょう。
自宅で働いている方でも家賃や光熱費などを按分したうえで経費計上できるので、覚えておくと役立ちます。

https://virtualoffice-resonance.jp/column/solo-proprietorship/expense/
https://virtualoffice-resonance.jp/column/side-business-expenses/

雑所得で必要経費にできるものはなに? 条件や確定申告の注意点を紹介
会社員が副業をして得た収入は「雑所得」に分類されるケースが大半ですが、経費を申告することはできるのでしょうか? ここでは雑所得を得た場合の「必要経費」について、その種類や計上方法、注意点などを解説します。

所得控除を活用する

所得控除とは、個々の家庭事情や生活状況などを考慮した控除制度です。
所得から控除を差し引くことで、課税所得を減らせる=節税につながります。

また所得控除には、ふるさと納税やiDeCo、小規模企業共済など任意で利用でき、控除額を増やせる制度もあります。所得控除については、以下のコラムも参考にしてみてください。

所得控除とは何? 種類や控除の仕組み、計算方法を解説!
節税したい人は、所得控除について知ることが大切! 所得に対して差し引ける金額が多くなるほど、課税額も少なくなります。ここでは所得控除のメリットや目的、15種類の所得控除について解説します。フリーランス&個人事業主だけでなく、会社員も必見です。
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