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修繕費とはどんな費用?消耗品費との違いや仕訳方法、資産扱いになるケースを解説

事業に使用する建物や一定額以上の機械装置、器具備品などは「固定資産」に分類されます。その修理や補修、維持管理などを行うための費用は「修繕費」として会計処理をするのが一般的です。

ここでは修繕費の概要や適用される支出の内容、消耗品費との違いについて解説。さらに、修理費用のうち資産として扱われる「資本的支出」と修繕費の違いについてもご紹介します。

修繕費とはどんな費用?

修繕費とは、会社が保有する固定資産(建物や土地、車、PCなど)を修理したり、改修したりする目的で支払った費用です。

経営に必要な固定資産の機能維持だけでなく、原状回復に使った費用についても修繕費として計上します。

【固定資産について】

  • 事業で使っている建物
  • 機械装置(ソフトウェアも含む)
  • 器具備品
  • 車両運搬具 など事

【固定資産に使った費用が修繕費として計上できるケース】
修繕費として計上できるのは「営業のために購入、リースしている有形固定資産」の維持や補修などに使った費用です。

  • 機能維持のための費用(保守点検、メンテナンス費用など)
  • 原状回復のための費用
  • 外壁塗り替えや建具の入れ替え
  • 給水・排水設備の修繕
  • 自然災害などにより毀損(壊れたり傷が付いたりすること)したときの回復、復旧費用
  • 建物の移動、解体移築(旧資材の7割以上を再利用、かつ同一規模・構造での再建築)にかかる費用
  • 機械装置の移設費用
  • 地盤沈下してしまった土地を原状回復するための地盛り費用
  • 地盤沈下で浸水した建物、機械装置のある場所の床上げ、地上げ、移設費用
  • 土地の水はけ改良のための砂利や砕石の敷設費用、砂利や砕石の補充費用事

なお、個人的に購入した固定資産(家や土地、車など)の維持や補修等に関しては、修繕費として計上できません。個人事業主の場合、個人所有なのか事業のために所有しているのかが曖昧になるため、明確に区別して経費の処理をしましょう。

修繕費と消耗品費の違いとは?

修繕費と混同されやすいのが、消耗品費です。

消耗品費は事務用品や備品、10万円未満の家具やデバイス(机や椅子、PCなど)の購入費用に使用する勘定科目です。修繕費との違いは「既にあるものを修理するのか、新たに購入するのか」という点です。

  • 修繕費……すでに買ってある固定資産を修理、維持管理するための費用
  • 消耗品費……これから使う消耗品の購入費用事

修繕費と消耗品費のどちらで仕訳すればいいのか迷ったら、上記の違いを参考に仕訳してみましょう。

また、次に当てはまるかどうかも判断に役立ちます。

  • 10万円未満で短い期間に消耗する物品
  • 原状回復のために業者のサービスを利用した事

10万円未満で短い期間に消耗する物品

「機械設備の部品を交換し、修理をした」という場合、修繕費として計上しがちです。しかし、交換した部品が10万円未満、かつ短期間で消耗するもので合った場合は、消耗品費として会計処理をします。

原状回復のために業者のサービスを利用した

部品交換のために新たな少額の部品の購入をするだけであれば「消耗品費」です。

しかし、「業者に依頼して機械設備の部品交換、メンテナンスをしてもらった」「メーカーに依頼し、車の種類をしてもらった」という場合は修繕費に該当します。

これは購入したときの状態に戻す、つまり「原状回復」のために業者のサービスを利用しているためです。

修繕費の仕訳方法は?勘定科目について

修繕費を計上する際は、そのまま「修繕費」の勘定科目を使います。

修繕費は個人事業主なら「経費」の区分、法人なら「販売費及び一般管理費」の区分に属しています。

【現金で修理代を払った場合の仕訳】

(借方) 修繕費 40,000円 / (貸方) 現金 40,000円

【普通預金から管理維持費を払った場合の仕訳】

(借方) 修繕費 100,000円 / (貸方) 現金 100,000円

なお、後述しますが、一定の要件に該当する修繕費は「資産」として扱われます。

修繕費が資産扱いになるケースもある?「資本的支出」について

修繕費には「資産」と同じように扱うものもあります。このような修繕費は「資本的支出」と呼ばれます。

固定資産の使用期間延長や、資産価値を高めるために使った費用は「資本的支出」として扱います。

【資本的支出の例】

  • 会社のイメージアップのため内装の模様替えをした
  • 断熱性アップのため外壁塗装に高性能な塗料を使った
  • 建物に避難用の非常階段を設置した
  • 使い勝手を向上させるためにソフトウェアのグレードを上げた事

資本的支出か消耗品費か判断に迷ったときは、資本的支出の要件に当てはまるかどうかをチェックするとよいでしょう。

【資本的支出かどうかを判断する基準】

  • 修理費用が20万円を超える
  • 3年を超える周期で支出している
  • 資産の価値や耐久性を高めるための費用
  • 特別な維持管理に使用した費用
  • 修理費用が60万円以上、または修理対象の資産の前期末取得価額の10%以上
  • 実質的に「資本的支出」にあたる可能性が高い事

該当する項目が多いほど、資本的支出に該当している可能性が高いといえるでしょう。

このような支出は修繕費?資本的支出?

支出の中には「修繕費なのか消耗品費なのかわからない」というケースもあります。修理のために出したお金が資本的支出にあたるのか、修繕費にあたるのかは、その性質によっても異なります。
具体例をご紹介していくので、参考にしてみてください。

1.事務所の蛍光灯をLED蛍光灯に交換した場合

LED電球、蛍光灯は一般的な電球、蛍光灯に比べて高額であり、使用期間が長く節電効果も得られることが特徴です。

そのため「事務所の蛍光灯をLED蛍光灯へ変更した」という場合、「資産価値を高める改修」にあたると思われるでしょう。

ただ、蛍光灯はあくまでも照明の“部品”であり、照明設備そのものの価値、耐久性を高めてくれるものではありません。

そのため、10万円以上のLED蛍光灯交換日であれば「修繕費」で、10万円未満であれば「消耗品費」として計上します。

2.ソフトウェアを法改正に応じてアップデートした

10万円以上のソフトウェアは「固定資産」として扱いますが、法改正が行われ、新しい法律に対応するためのアップデートをした場合は「修繕費」として計上します。
これは、法改正対応のアップデートをしないと、そもそものソフトウェアとしての機能・価値がないからです。

ただし「追加拡張機能が使いたい」など、法改正と関係ない理由でのアップデート等は、修繕費になりません。この場合は資産の価値を高める目的になるので、「資本的支出」で計上します。

3.災害に遭って建物の修理をする場合

災害に遭って被害を受けた建物、設備の修理が必要になった場合はどうでしょうか。

この場合、

  • 原状回復工事
  • 二次災害回避のための耐震補強工事

などの費用は「被災前にあった機能を維持するための出費」として判断するので、修繕費扱いです。

一方、被災前の効用に関係ない補強工事に関しては、「資産価値を高めるもの」として判断されます。このような補強工事の費用は、資本的支出に該当します。

資本的支出はどう仕訳する?

資本的支出に該当する支出は、どのように仕訳していけばよいのでしょうか。

(例)
建物の外壁が傷んだため、現金500,000円で改修した。これにより建物の耐用年数が上がった。

この場合、次のように会計処理を行いましょう。

(借方) 建物 500,000円 / (貸方) 現金 500,000円

資本的支出は「資産」として扱われるため、建物の耐用年数を増やした場合には、借方を「建物」の勘定科目で処理します。

資本的支出にあたる費用でも消耗品として扱うケースもある

資産の価値を増したり、耐用年数を延ばしたりといった「資本的支出」に該当する支出であっても、条件次第では「消耗品」で計上できるケースもあります。

具体的には、10万円未満の資産、使用可能期間が1年未満の資産に対する出費が消耗品扱いとなります(少額減価償却資産)。

例えば、事務所の窓に設置しているブラインドを交換する場合。
今設置しているブラインドより高機能なものに交換すると、資産価値を高めると判断するのではないでしょうか。

ただ、そのブラインドの価格が10万円未満である場合は、少額減価償却資産に該当します。
つまり、消耗品として経費計上するというわけです。

修繕費の適用範囲を把握し、正しく計上しよう

修繕費は固定資産の修理・回収・維持管理などに適用される勘定科目です。
消耗品費や資本的支出と混同しがちですが、記事内でご紹介した基準をもとに判断し、間違いなく会計処理を行いましょう。

またひとくちに「修理」「維持管理」といっても、フタを開ければ資本的支出・修繕費が混在しているケースもあります。

判断に困った場合は、税理士へ相談し、どのように計上すればいいかを確認しておくと安心です。

この記事の執筆者

ゼニス編集部

月額990円~利用できる格安バーチャルオフィス「レゾナンス」です。2016年にスタートし、現在は「港区浜松町本店」「青山店」「銀座店」「日本橋店」「渋谷店」「恵比寿店」「新宿店」「横浜店」「R-INNOVATION銀座店」がございます。

バーチャルオフィスの活用方法や起業についてなど、お役立ち情報をコラムにまと めています。

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