最近、“バーチャルオフィス”というものを見聞きする機会が増えた方も多いと思います。
バーチャルオフィスとは、簡単に言えば「住所貸し」のことであり、電話番号の貸し出しや郵便物の転送、レンタル会議室といったサービスが付随する場合が多いようです。
レンタルオフィスやシェアオフィスとは異なり、バーチャルオフィスは格安の料金で利用することができます。
そのため、起業や副業を考えている方、法人化したい方、また節税をしたい方など、幅広い方面で注目されるようになりました。
しかし、同じバーチャルオフィスでも、サービスやオプション内容・支払い方法など業者によって差があることも少なくないようです。
では、実際にバーチャルオフィスを利用したことのある方は、どのような点にメリットやデメリットを感じ、差を感じたのでしょうか。
そこで今回、バーチャルオフィス『レゾナンス』(https://virtualoffice-resonance.jp/)を運営する株式会社ゼニスは、バーチャルオフィス利用者を対象に、「バーチャルオフィスのメリット、デメリット」に関する調査を実施しました。
どんなきっかけで利用した?バーチャルオフィスの魅力とは?
はじめに、皆さんがどうしてバーチャルオフィスを利用するようになったのかについて、伺っていきたいと思います。
利用を始めたきっかけについて、それぞれの方が異なる経緯を持つと思われるので、自由回答の形でお聞きしてみました。
- 拠点住所が必要だったから(30代/男性/兵庫県)
- 東京でオフィスがほしかったから(30代/男性/愛知県)
- コロナ禍でほとんど本社には出勤しないため(40代/男性/東京都)
- 副業で必要だったから(50代/男性/岡山県)
- コロナ対応にて、出勤禁止となったため(50代/男性/神奈川県)
コロナ禍でオフィスの出勤が困難になった企業は少なくありません。誰もいないオフィスを維持するより、バーチャルオフィスに拠点を移して経費削減を図るケースが、回答からは多いように見えます。
また、住所を持つことができるメリットに惹かれて、副業などで活用される方がいることもよくわかります。
住所を持てる点や費用を抑えられる点はバーチャルオフィスの大きな利点ですが、その他にはどのような魅力があるのでしょうか。
バーチャルオフィスの魅力についても伺ってみました。
「バーチャルオフィスのどのような点に魅力を感じましたか?(複数回答可)」と質問したところ、『会議室をレンタルできる(40.2%)』と回答した方が最も多く、次いで『住所を借りられる(31.8%)』『固定費を抑えることができる(30.1%)』と続きました。
住所とコストに関する回答をかなり引き離す形で、会議室を評価する声が多く集まっています。
オフィスはバーチャルであっても、ビジネスの打ち合わせが全てバーチャルで完結するとは限りません。
こうした「リアル」の需要に応えるべく、多くのバーチャルオフィスは会議室のレンタルも行っています。
この「リアル」のサービスが、利用者には特に魅力的に感じられたようです。
バーチャルオフィスに重視する点とは?こんな点で選んでいます!
最近では、都市部を中心に多くのバーチャルオフィスが現れるようになりました。
では、たくさんあるこれらの施設の中から、利用者の皆さんはどうやって利用するオフィスを決めたのでしょうか。
「バーチャルオフィスの利用に際し、どのようなことを重視しましたか?(上位3つまで)」と質問したところ、『料金プランが自分に合っているか(54.0%)』と回答した方が最も多く、次いで『サービスの内容(45.5%)』『契約期間の自由度(32.6%)』と続きました。
「料金」「サービス」が多くの回答を集めるという、ある意味で当然にも見える結果となっています。
しかし同時に、契約期間の自由度を重視する声が多いのも、興味深いところです。
今般のコロナ禍では、ビジネス環境の急変がよく生じるようになりました。
「来週から本社、出勤禁止。経費がかかるからオフィスも閉鎖」
といった事態に、誰もが遭遇する可能性があります。
こうした先行きが不透明な状況では、自由な期間で契約できるという点は大きなメリットになるのでしょう。
9割近くの人がバーチャルオフィスに満足と回答!メリットに感じたこととは?
ここからは、実際にバーチャルオフィスを利用した皆さんが、どのような印象を持たれたのかについて伺っていきたいと思います。
「バーチャルオフィスを使ってみて満足度はどのくらいでしたか?」と質問したところ、9割近くの方が『とても満足している(20.2%)』『ある程度満足している(67.7%)』と回答しました。
『ある程度満足』が6割をはるかに超えているのも印象的ですが、2割以上の方が『とても満足』と強い満足感を示しているのもまた印象的です。
実際に利用された方にとってバーチャルオフィスは、かなり満足度の高いサービスと思えたようです。
では皆さんは、どうしてそれほどまでにバーチャルオフィスに満足されたのでしょうか。満足感の理由となるメリットについてもお聞きしました。
「バーチャルオフィスならではのメリットとは何だと思いますか?(上位3つまで)」と質問したところ、『通常のオフィスをレンタルするよりも料金が格安(59.1%)』と回答した方が最も多く、次いで『極限までムダな出費を抑えることができる(43.4%)』『手続きが楽で利用開始までがスムーズなこと(36.8%)』と続きました。
やはり、費用に関する回答が多く集まる結果となりました。
その一方で、手続きの簡単さや便利さを評価する声も目立ちます。
また「極限までムダな出費を抑える」という回答については、コスト面でのメリットと共に、時間/期間の自由度が高い点も評価しているのかもしれませんね。
バーチャルオフィスのデメリットとは?不満を感じた点も調査解明!
ここまでは、バーチャルオフィスのメリットについて、主に伺ってきました。
しかしながら、バーチャルオフィスはメリットしかないとも限りませんよね。
ここからは、一転してバーチャルオフィスのデメリットについてもお聞きしていこうと思います。
「バーチャルオフィスのどんな点にデメリットを感じましたか?(上位3つまで)」と質問したところ、『住所を調査するとバーチャルオフィスだと知られることがある(40.9%)』と回答した方が最も多く、次いで『融資や開業の条件が満たせないことがある(34.4%)』と続きました。
バーチャルオフィスを利用していることを取引先が知り、その点を気にしても、利用する当事者が納得していれば根本的には問題はないという話ではあります。
またコロナ禍以降は、現実のオフィスがそもそも持つ課題や問題点も検討されるようになりました。
しかし現状としてはやはり、「バーチャル」が理解を得にくい局面も少なくないようです。
不満や不便だと思った点については、もう少し具体的にお聞きしました。
- 提供業者によって料金が違う(20代/女性/大阪府)
- イメージが定着していない、相手企業に説明する手間がある(30代/女性/東京都)
- バーチャルと指摘されることがある(40代/男性/栃木県)
- 少し手続きが面倒(40代/男性/東京都)
- オプションが高い(50代/男性/大阪府)
バーチャルへの理解/イメージから生じる対応に、不便さを感じる声が目立ちます。
また、料金に関する回答も目立ちますが、単純なコストの問題というよりは「オプションと料金の関係が不明瞭」といった不満を感じている方が多いようです。
見えてきたバーチャルオフィスのメリット・デメリット。では、どんな人に向いている?
ここまでの調査で、バーチャルオフィスは便利かつリーズナブルである一方、必ずしも世間一般から理解されているとは限らないことがわかりました。
メリットとデメリットは、サービスのみならず、あらゆるものが持つ側面です。
両方の面を理解した上で、自分のニーズに最適なものを利用者は選ぶことになります。
では、バーチャルオフィスについて利用者の皆さんは、どういったニーズを持つ職業・属性の人に最適と感じたのでしょうか。
「バーチャルオフィスはどんな人に向いていると思いますか?(複数回答可)」と質問したところ、『フリーランスや個人事業主(50.3%)』と回答した方が最も多く、次いで『これから起業する人(40.1%)』『副業を始める人(37.8%)』と続きました。
いわゆる「正社員」「本業として会社員」ではなく、比較的自由な働き方や、新しい働き方を実践している人たちが並びました。
また、事業規模が小さいビジネスである点も共通していると言えるでしょう。
こうした働き方の場合、オフィスを持たずに自由度が高いバーチャルオフィスを活用することは、メリットが多いのかもしれません。
意外と差がある?あって良かったサービスとは?
バーチャルオフィスのメリット・デメリット、またどんな人に向いているかについて、実際に利用した方がどう考えているかが見えてきました。
ここからは、バーチャルオフィス内で提供される“サービス”についてもお聞きしていきましょう。
「バーチャルオフィスにあって良かったサービス(オプション)とは何ですか?(複数回答可)」と質問したところ、『電話転送サービス(24.6%)』と回答した方が最も多く、次いで『会計サービス(24.2%)』『ホームページ制作サポート(24.0%)』と続きました。
バーチャルオフィスであっても、電話に関する回答が最多となっているのは興味深い結果かもしれません。
最近では、ネット界隈を中心に「電話は不必要」といった声を聞くことが増えつつあります。
しかし現実には、まだまだ電話はビジネスの最重要ツールとなっているようです。
オプションで提供されるサービスについては、印象に残ったものをより具体的に聞いてみました。
- 投資に詳しい人を教えてくれたこと(20代/女性/愛知県)
- 簡易作業や補助的仕事の代行サービスなど(20代/女性/千葉県)
- 法人化手続き支援(30代/男性/三重県)
- 動物を飼育している人がいたこと(40代/女性/佐賀県)
- バーチャル秘書 (50代/男性/兵庫県)
- 税理士や企業診断士にも気軽に聞くことができること(50代/男性/愛知県)
ビジネス、中でも起業などに最適な相談サービスを答える方が多い結果となりました。
バーチャルオフィスに最適な「客層」を考えると、当然の結果と言えるかもしれません。
「動物を飼育」については、サービスになるのかどうかも微妙ですが、心の癒しとしては印象に残るでしょうし、「利用してみたい」というきっかけ作りにはなっているのでしょう。
【まとめ】メリットは多いけど、料金やオプションの差がデメリットにもなる?
今回の調査で、バーチャルオフィスは費用や期間などの面で大きなメリットがあることが明らかになりました。
同時に、オプションサービスの料金設定などにおいて不満を感じる方が多く、デメリットと思われていることもわかったと思います。
コロナの完全な収束が見通せない現状では、誰もが「来週からオフィス閉鎖」といった事態に直面しかねません。また、オフィス閉鎖だけで話が済まず、会社員以外の「新しい働き方」に取り組まざるを得なくなることも、充分に起こりえます。
そういった際に、より賢い形でバーチャルオフィスを利用するには、まず自分の働き方をしっかりと認識することが大切ではないでしょうか。その上で、自分に必要なサービスが何なのかをはっきりと見据えることこそが、デメリット回避のポイントになるはすです。
また、こうしたサービス選択がより自由に行える施設/業者を、あらかじめ探しておくことも、バーチャルオフィスの利用に成功する秘訣になるかもしれません。