ビジネスを始める際には、既存の企業の「ビジネスモデル」を参考にしつつ、自社らしいビジネスを生み出す必要があります。そのためには、ビジネスモデルのパターンや構成要素、成功例を知ることが重要です。
ここでは、ビジネスモデルの定義やパターン、構成要素をご紹介。ビジネスモデルの作り方のポイントについても解説しているので、これから起業したいとお考えの方はぜひご参考にしてみて下さい。
ビジネスモデルとは?
ビジネスモデルとは、事業で利益を生みながら企業価値を高めるための仕組みです。
ビジネスモデルは起業や新規プロジェクトを始めるうえで設定が必須となるものであり、「誰に、何を、どのように売って利益を出すのか?」を論理的に構築したものとも言い換えられます。
優秀なビジネスモデルを構築できれば、企業価値を高めながらモノやサービスを売り続けられ、事業の継続につながるということになります。
ビジネスモデルの7つのパターン
世の中の主なビジネスモデルには7つのパターンがあります。
- 物販
- 小売
- 広告
- 従量課金
- サブスクリプション
- フリーミアム
- マッチング
自社のビジネスに近いビジネスモデルを参考にすることで、自社に合ったビジネスモデルを考え出すことができます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
物販
物販型のビジネスモデルは、文字通り「商品を作り、販売する」というビジネスモデルです。
たとえば食品などのさまざまな商品を生み出すメーカー、飲食物を調理し提供する飲食店、作物を育てて収穫し、販売する農家などは物販型のビジネスモデルといえるでしょう。
小売
小売型のビジネスモデルとは、他で製造された商品を仕入れて販売するビジネスモデルを指します。
スーパーやドラッグストア、ECサイト通販などは小売型の代表例といえるでしょう。
物販型ビジネスモデルとよく似ていますが、小売の場合は競合が多く、利益率が低いため薄利多売型のビジネスになりやすいという違いがあります。
広告
新聞、テレビ、WebメディアやSNSなどの業種は、広告型のビジネスモデルです。不特定多数の顧客に対して無料でサービスを提供しつつ、コマーシャル・広告などを用いて収益を上げます。
コンテンツが人気であるほどユーザーの数が増えるため、広告収入も多くなります。反対に、コンテンツの人気がなくなると広告収入が減るのも特徴です。
既存ビジネスのうち有名な例として、「Google」「Facebook」「Instagram」などがあります。いずれもサービス利用者の満足度、利用者の増加へ注力した結果、世界を代表する広告ビジネスモデルとなりました。
従量課金
「使った分だけ料金が発生する」というビジネスモデルは、従量課金型と呼ばれます。
電気、ガス、携帯電話、交通機関などのインフラ関係のほか、ネットカフェやカラオケ、コワーキングスペースなどもある意味従量課金のビジネスモデルといってよいでしょう。
サブスクリプション
サブスクリプションとは、月額料金型のビジネスモデルです。有名なサブスクリプション型ビジネスモデルとしては、Amazonの「Amazon Prime」、動画配信サービスの「Netflix」、Appleのストレージサービス「iCloud」などが挙げられます。
サブスクリプションサービスが台頭してきた当初はアプリなどのネットサービスが主流でしたが、最近では車や花、家具など、実際の「モノ」をサブスク式で借りられるサービスも多く見られます。
顧客との関係を維持しやすく安定した利益を得られること、また顧客にとっては「いつでも辞められること」が大きなメリットとなっています。
フリーミアム
フリーミアムは、「フリー+プレミアム」をかけ合わせた造語です。転じてフリーミアムとは、最初は無料で利用してもらい、しばらくしてから有料(課金)に誘導するビジネスモデルを指します。
主な例としては新聞のオンラインサイト、フリー画像素材サイトなどが挙げられます。顧客側は使用感や操作感などをチェックしたのち、もっと使いたいと思った場合に課金をするという流れです。
よって、無料部分でどれだけ顧客に「お金を払ってでも使いたい」と思わせるかが重要になります。
マッチング
マッチング型のビジネスモデルとは、自社が仲介役となり商品やサービスを紹介するビジネスモデルです。不動産の仲介や求人・転職サイト、ホテルの予約サイトなどはマッチング型のビジネスモデルといえるでしょう。
主な収益は手数料となり、業種によってはシーズンごとに収益が大きく変わる場合があります。
ビジネスモデルを構成する要素とは?
ビジネスモデルには7つのパターンがあることをお伝えしましたが、ビジネスモデルはさらに4つの要素で構成されています。
Who:顧客は誰か
ビジネスモデルの「Who」とは、「誰が顧客なのか?」を表します。ターゲットが明確でないとビジネスモデルも曖昧なものになってしまいます。
顧客には既存の顧客だけでなはなく、母集団や潜在顧客なども含まれます。自社の顧客となり得る人たちの“顧客像”を分析し、高い解像度で設定することで最適なビジネスモデルが構築できます。
What:どんな価値か
Whatとは、「顧客にどんな価値を提供するか」という意味です。ビジネスにおいては、顧客に対し「対価に合う商品やサービスの価値」を提供することが不可欠となります。またその価値は「顧客が喜ぶ価値」でないといけません。
How:価値をどうやって提供するか
顧客に価値を提供するための手段が「How」です。
ビジネスモデルの決定時には、顧客にどのようにして価値を提供するのか、その方法や順序、仕組みなどを定義する必要があります。よって集客方法、価値の提供方法といった項目は「How」に含まれると考えてよいでしょう。
Why:なぜ利益に結び付くのか
ビジネスモデルがなぜ利益に結び付くかを定めた項目が「Why」です。
企業として利益を得るには、顧客が求める価値を生み出すとともに、収益を回収しなくてはなりません。それが原価などのコストダウンなのか、価格設定なのかは企業によって異なりますが、ここの部分の設定が甘いと事業の継続にも影響が出てきます。
ビジネスモデルを作るにはどうすればいい?
起業にあたってビジネスモデルを作る際には、以下の4つを参考にしてみましょう。
- 既存のビジネスモデルをチェックする
- 複数のビジネスモデルをかけ合わせる
- コスト面からアプローチする
- 参入障壁が低くニッチなビジネスを考える
それぞれ詳しくご紹介します。
既存のビジネスモデルをチェックする
ビジネスモデルを考える際には、既存のビジネスモデルがとても参考になります。
自分が考えているビジネスのアイデアに対し、同業種ではどのようなビジネスモデルを展開しているのかをリサーチしてみましょう。できれば成功例が望ましいです。
また、他社のビジネスモデルについて分析をすることも重要です。「なぜこのビジネスモデルで成功しているのか?」「どんなところがウケているのか?」といったことを分析し、明文化していくことで、成功パターンを掴んで自社のビジネスモデルに活かしやすくなるでしょう。
複数のビジネスモデルをかけ合わせる
ビジネスモデルは1つじゃないとダメ、というものではありません。複数のビジネスモデルをかけ合わせてもよいのです。
たとえばAmazon Primeはサブスク型のビジネスモデルですが、会員が利用できる「Amazon Primeビデオ」では動画作品を有料でレンタルすることもできます。見放題配信になっていない新しい作品に対して追加レンタル料金を設定することで、サブスク料金以上の利益を得られるようになるのです。
「飲食店(物販型ビジネスモデル)をオープンするのと同時に、毎月定額で飲み放題になる会員プランを作る」というふうに、複数のビジネスモデルを組み合わせて考えてみましょう。
コスト面からアプローチする
顧客獲得のテクニックとして、「コスト意識に訴えかけるビジネスモデルを作る」という方法があります。
すでにシェアが大きいサービスであっても、「より時短」「さらに安い」「さらに手軽」といった売りがあれば、顧客を獲得できる可能性があります。特に最近はタイムパフォーマンス(時間的コストのパフォーマンス)を重要視する顧客も多いため、顧客にとってコスト面でメリットが得られる価値を提供できないか考えてみましょう。
参入障壁が低くニッチなビジネスを考える
競合が少なく参入障壁が低いビジネス、ニッチなビジネスモデルは“新しいビジネス”として成功しやすくなります。いわばブルーオーシャンであり、ビジネスがヒットすれば自社が大きなシェアを得られる可能性が高くなります。
既存のビジネスモデルを参考にしながら自社のビジネスを決めよう
本記事ではビジネスモデルについてくわしく解説しました。
ビジネスモデルを設定する際には、既存の成功事例を参考にすることが重要です。また顧客のコスト意識、参入障壁なども考慮して決めることも大切といえるでしょう。近年では「モノやサービスを売る」というビジネスにおいて、サブスクリプションなどの新たなビジネスモデルも多く誕生しています。
これらのような斬新なビジネスモデルを生み出すのはたやすいことではありませんが、仮に「顧客のニーズにフィットするアイデア」で、かつ「成功の可能性が高いビジネスモデル」であれば、大きな成長が期待できる可能性があります。
そのためには、既存のビジネスモデルや顧客層の分析を行い、良いところ、改善点などを洗い出してみることをおすすめします。