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控除の意味とは?目的と種類、控除を受ける方法を紹介!

税金の話をする際に必ず登場する「控除」。控除額が多いほど税金が少なくなる……というのはご存じのとおりですが、そもそも控除とはどんな意味で、どのような目的で作られたものなのでしょうか?

ここでは、控除の意味や目的、種類を解説します。控除を受ける方法についても会社員、個人事業主それぞれのケースでご紹介しているので、ぜひ目を通しておきましょう。

控除の意味は「差し引くこと」!目的やメリットは?

控除(こうじょ)とは「差し引く」という意味です。
主にお金を差し引く場合に使われますが、所得税などの税金を計算するうえで欠かせないものとなっています。

控除は「最低生活費の保証」が目的

控除の目的は「最低生活費を保証するため」です。

これは国で定められているもので、所得(収入など、獲得したお金)から控除を差し引くことで、課税の計算に使われる所得(課税所得)が減ります。結果として納税額が減って、その人に合った金額に“適正化”されるのです。
収入が少ない人は控除によって納税額が減り、生活費が残しやすくなるというわけですね。

控除には「税負担の公平性」を担保する目的もある

そのほか、控除は「納税者間での税負担を公平にする」という目的もあります。

“税の三原則”では公平・中立・簡素という考え方があります。

納税者が受ける利益はまちまちであり、納税者間で納税額が同じであれば、当然高所得者のほうが生活は楽ですし、所得が低い人は生活が苦しくなるでしょう。そこで、経済力が高い人には控除を少なくして税負担を重くし、経済力の低い人は税負担を軽くすることでバランスを取っているのです。

特に子どもがいる人やひとり親、配偶者の所得が少ない人、家族に障害者がいる人などに関しては、所定の控除が設けられており、所得税額の調整に役立てられています。

所得が少ない人にとっては、控除は「手元に残るお金を少しでも多くする」という大きなメリットがあるのです。

控除には「所得控除」「税額控除」がある

控除はさまざまな税金に適用されますが、中でも多くの人にかかわりが深いのが「所得控除」「税額控除」です。

所得控除とは

所得控除とは、課税所得から差し引けるお金です。

そもそも課税所得とは、会社員であれば収入-給与所得控除、個人事業であれば売上高-原材料費、必要経費で算出した「課税対象になる所得」です。

会社員の場合ははじめに「給与所得控除」が適用され、そのうえで該当する各種所得控除が受けられます。

同じ課税所得でも、個々の家族構成や事情によっては生活にかかるお金が大きく異なります。
このような個々の事情を反映し、公平な所得税額を決定するために設けられているのが「所得控除」なのです。

所得控除には以下のようなものがあります。

  • 基礎控除
  • 扶養控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 勤労学生控除
  • ひとり親控除
  • 寡婦控除・寡夫控除
  • 障害者控除
  • 社会保険料控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 寄附金控除
  • 医療費控除
  • 雑損控除

なお、給与所得者のみが受けられる控除として「特定支出控除」があります。これは、業務にかかった支払いを「必要経費」とみなし、所定の計算で算出した金額を所得控除できる制度です。

所得控除については以下のコラムでも解説していますので、参考にしてみて下さい。

所得控除とは?主な所得控除15種類や控除の仕組み、計算方法を解説
節税したい人は、所得控除について知ることが大切!所得に対して差し引ける金額が多くなるほど、課税額も少なくなります。ここでは所得控除のメリットや目的、15種類の所得控除について解説します。フリーランス&個人事業主だけでなく、会社員も必見です。

税額控除とは

税額控除は、課税所得×区分に応じた所得税率で算出した「所得税」から、直接差し引く控除です。
収入から先に差し引くものではなく、所得税から直接差し引くものであるため、税額控除後に残ったものが「最終的な所得税」となります。

税額控除には以下のようなものがあります。

  • 配当控除
  • 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)
  • 住宅耐震改修特別控除
  • 住宅特定改修特別税額控除
  • 認定住宅新築等特別税額控除

このうち一般の方になじみが深いのが「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」ではないでしょうか。住宅ローンを組んで住居を購入した場合に受けられる控除で、初年度は確定申告が必要です。会社員など年末調整を受けている人は、2年目以降から年末調整での控除が受けられるので覚えておきましょう。

また株式の配当を受け取っている人は、配当控除として配当所得の10%(または5%)を税額控除できます。

その他、税額控除には以下のようなものもあります。

  • 外国税額控除
  • 政党等寄付金特別控除
  • 認定NPO法人等寄付金特別控除
  • 公益社団法人等寄付金特別控除
  • 中小企業者が機械等を購入、取得したときの所得税額に対する特別控除
  • 中小企業者が経営力向上設備等を購入、取得したときの所得税額に対する特別控除
  • 試験研究費の総額に係る所得税額の特別控除
  • エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の所得税額の特別控除
  • 雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除

参考リンク:No.1200 税額控除|国税庁

控除は所得税以外にも適用されている

ちなみに、控除は「住民税」「法人税」「相続税」「贈与税」といった他の税にも適用されています。

住民税

所得税の控除項目と同じものが適用(ただし控除額は所得税の場合と異なる)

法人税

「中小企業者が機械等を購入、取得したときの所得税額に対する特別控除」
「中小企業者が経営力向上設備等を購入、取得したときの所得税額に対する特別控除」
「特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の税額控除制度」
などの控除あり

相続税

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)の基礎控除あり

贈与税

110万円の基礎控除あり

控除を活用することで課せられる税負担を少なくできるので、ぜひ知っておきましょう。

控除を受けるにはどうすればいい?

控除を受ける方法は、会社員か個人事業主かによっても異なります。

会社員などの給与所得者

会社員などの給与所得者が控除を受けるステップは以下のとおりです。

①年末調整
 ↓
②(必要であれば)確定申告
 ↓
③所得税額の決定、納付

給与所得者の場合は、会社で年末調整をしてもらいます。

ここでは「医療費控除」「寄附金控除」「雑損控除」以外の所得控除が受けられます。
住宅ローン控除2年目以降の方も、年末調整で税額控除が受けられます。税務署から送られてくる申告書を準備しておきましょう。

配偶者がいる方は配偶者の給与明細(自営業の場合は確定申告書や課税証明書など)が必要になるので、あらかじめ準備しておきます。保険料控除や小規模企業共済掛金控除などを受ける場合は証明書の提出が求められますので、送付されてきたら保管・添付を忘れずに。

そして、医療費控除や寄附金控除、雑損控除を受ける場合は「確定申告」をします。

また、住宅ローン控除の最初の適用年(1年目)は必ず確定申告をしなくてはならないので、忘れずに行いましょう。

ちなみに、ふるさと納税をしていて寄付先が5ヵ所未満である場合は、ワンストップ特例制度を利用すれば確定申告をしなくてもかまいません。(5ヵ所を超えて寄付をした場合は確定申告が必要になります)

年末調整、確定申告が終わったら、正式な税額が決定します。

個人事業主やフリーランス、自営業者

個人事業主やフリーランスの場合は、年末調整がありません。
よって、所得や経費、控除に関する事項をまとめて確定申告する必要があります。

年末調整の場合は「その年の所得や控除を年内に」申告しますが、確定申告では「その年の1月1日~12月31日までの所得や控除を、翌年に申告する」というスタイルです。
生命保険料の払込証明書など、申告に必要な書類は年内に届きますので、確定申告まで確実に保管しておきましょう。

なお、控除の申告を忘れた場合、本来の申告年度から5年以内であれば確定申告ができます。
税額の再計算をした結果、税金を払いすぎている場合は還付も受けられますので、ぜひ覚えておきましょう。

ちなみに、個人事業主やフリーランスで「青色申告」を選択している人は、青色申告特別控除という所得控除が受けられます。これは、通常の控除(基礎控除など)に加えて最大65万円の控除が受けられる制度です。

なお、青色申告の利用には「開業届」と「青色申告承認申請書」の提出が必要です。
個人事業主の確定申告については、以下も参考にしてみて下さい。

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控除を活用して節税!手元に多くのお金を残そう

控除は国が用意した「最低生活費を保証するための制度」であり、控除をフル活用して手元資金を多く残すことはまったく悪いことではありません。むしろ、本来なら利用できる控除があるにもかかわらず、みすみす見逃してしまうのはかなりもったいないことだといえます。

なお、個人事業主の場合はもともと確定申告が必要であり、所得の申告時にまとめて控除の申告も行います。
一方会社員の場合は、年末調整に加えて確定申告をしないと受けられない控除もあるので注意しましょう。医療費控除や寄附金控除、雑損控除などは「控除が受けられますよ」といった案内もないため、自分で申告するしかありません。

手元に多くのお金を残すためにも、控除の意味や目的、申告方法を頭に入れておき、あますことなく活用しましょう。

この記事の執筆者

ゼニス編集部

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