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有給休暇の付与日数についての考え方!ルールや仕組みを徹底解説!

従業員を雇用するうえで知っておかねばならないのが、「有給休暇」についての知識です。
有給休暇は従業員が心身ともに健康で、かつ意欲的に働くために必要な制度です。働き方改革の影響で年5日の有給休暇取得が義務化されたのも記憶に新しいでしょう。

そんな有給休暇は、勤務年数や労働日数によって付与される日数が変わります。

ここでは有給休暇の基礎知識、付与日数についての考え方を解説。運用ルールや仕組み、企業が知っておきたい注意点についてもご紹介します。これから法人を立ち上げる方は、ぜひチェックしてみてください。

有給休暇は原則、入社日から半年後に付与される

給与をもらいながら休める「有給休暇」は、雇用されて働く従業員に付与されます。

正社員の場合

たとえば正社員の場合は、全労働日の8割以上出勤していれば、雇用日(入社日)から6ヶ月後に付与される決まりです。なお、例外的に6ヶ月より前に付与することも可能です。

派遣社員、アルバイト、パートの場合

派遣社員やアルバイト、パートなどの時給労働をしている従業員に関しても、「出勤率8割以上で雇用期間6カ月以上」を満たしていれば有給休暇が付与されます。なお、付与日数については1年間の所定労働日数と勤続年数によって変化します。

有給休暇の付与日数は何日?正社員とアルバイトの場合

有給休暇の付与日数は、勤続年数や勤務形態によって条件が異なります。

正社員の有給休暇付与日数

正社員や契約社員などのフルタイム労働者は、雇用から半年経過後に10日の有給休暇が付与されます。

勤続年数(年)0.51.52.53.54.55.56.5以上
付与日数(日)10111214161820

初年度から1年経過するごとに付与日数は増えていき、6年半以上勤続している人については年20日が付与されます。使いきれなかった有給休暇については翌年に繰越もできますが、保有日数には上限があります。(こちらは別の項にてくわしく後述します)

ちなみに、有給休暇を付与されたフルタイム労働者は、年5日の年次有給休暇を取得する義務があります。

アルバイト、パートの有給休暇付与日数

アルバイトやパートの場合は、付与日数に個人差が生じやすいです。

というのも、アルバイトやパートの場合、そもそも「週の所定労働日数」に大きな個人差があります。
よって、「週の所定労働日数」と「継続勤務年数」を基準にしたうえで有給休暇の付与日数が決まる仕組みになっているのです。

なお、年10日以上の有給休暇が付与されているアルバイト・パート従業員については、年5日の年次有給休暇の取得が義務になります。

自社に以下の表の黄色い部分に該当する人がいる場合は、雇用形態にかかわらず年5日の有給休暇を取得させなければなりません。くれぐれも注意しましょう。

週の所定労働日数1年間の
所定労働日数
継続勤務年数(年)
0.51.52.53.54.55.56.5
付与日数(日)5日~217日~10111214161820
4日169~216日78910121315
3日121~168日566891011
2日73~120日3445667
1日48~72日1222333

有給休暇は「半日」などの時間単位でも取得できる

労働者の心身の疲労解消などを目的に設けられている有給休暇は、本来であれば1日単位で取得すべきものでした。しかし近年では、労働基準法の改正により、「時間単位」での有給休暇取得ができるようになっています。

時間単位で有給休暇を取得するには、就業規則で「時間単位で有休が取れる」ルールを定める必要があります。またそのうえで、労使協定を締結しなくてはなりません。

時間単位での有給休暇は、義務化されている「年5日の年次有給休暇」の範囲内で取得できます。
これにより、たとえば「子どもの園や学校の行事に参加するため」「通院のため」「介護のため」といった事情に合わせた、フレキシブルな休み方が実現できるのです。

有給休暇の時季については「指定権」「変更権」がある

有給休暇は本来なら、自分が取得したいときに自由に取得できるものです。これを「時季指定権」といいますが、その一方で会社側には有給休暇の時季を変更できる「時季変更権」という権利もあります。

  • 時季指定権
  • 年次有給休暇を取得できる時期を、労働者が自分で決められる権利。

  • 時季変更権
  • 有給休暇を希望している従業員に対し、希望日とは別の時季に有休休暇をずらしてもらう権利。
    代替要員がいない場合や、同時期に多数の有給休暇取得希望者が集中し、事業運営に支障をきたしてしまう場合などにのみ行使できる。

なお、時季変更権は「他の時季に年休を与えられること」を前提に行使する権利ゆえ、退職時の有休消化には行使できません。

有給休暇の保有日数は?繰越はできる?

有給休暇が年内に使いきれなかった場合、そのまま消滅するのではなく、余った分は繰越ができます。かといって溜めれば溜めるほどたくさん使える、というわけではありません。保有日数には上限が設けられているため、適宜消化していかないと損をしてしまうのです。

また、退職時に有給休暇が残っていた場合などには、会社が余った有給休暇を「買い取り」し、有給休暇分の給与を支払うこともできます。

有給休暇の繰越や保有日数、有効期限、買い取りについてチェックしていきましょう。

使いきれなかった有給休暇は翌年度に繰越できる

有給休暇はその人に応じて年1~20日付与されますが、中には「年次有給休暇5日分は消化したものの、それ以外は余ってしまった」というケースも少なくありません。

別の項でも触れましたが、余ってしまった有給休暇は翌年度へ繰り越すことができます。
また繰り越された有給休暇については、翌年度に有休をとるときに優先的に消化され、古いものが残りにくい制度になっています。

保有日数は最大40日まで

有給休暇は最大40日まで保有することができます。このうち、年10日以上の有給休暇が付与されている人は年5日の年次有給休暇を取得しなくてはならないため、実質35日まで保有できると考えておくとよいでしょう。

保有日数の上限を超えた分の有給休暇は、残念ながら消滅してしまいます。
よって、普段から計画的に有給休暇を取得し、上限を超えないようにしていくのが得策です。

有給休暇は付与から2年で消滅する

有給休暇には時効があり、原則として付与日から2年経過すると消滅して権利を失ってしまいます。
また、企業が就業規則などで消滅期限を短縮することはできません。

ただし、企業が有給休暇の消滅期限を「延ばす」ことは可能です。
有効期限の延長は労働者にとって有益なものですので、法律でも認められています。

有給休暇の買い取りは限定的な場合にのみ可

「有給休暇の買い取り」は原則として不可ですが、限定的なケースでのみ認められています。

  • 退職する際に有休消化が終わらなかった場合
  • 労働基準法の法定日数以上の有給休暇を付与している場合
  • 有給休暇の消滅時効が生じる場合

このようなケースでは、あらかじめ運用ルールを決めたうえで書面にまとめ、労使で合意を得られれば買い取りをしてもかまいません。
買い取りをする場合「有休の金額が低すぎる」など賃金金額面でもめやすくなるので、事前に確認したうえで合意書、契約書等を交わすことが大切です。

従業員の有給休暇取得で注意すべきポイント

従業員の有給休暇取得に関して、注意したいポイントがいくつかあります。

企業が勝手に“有休扱い”にするのは違法となる

有給休暇には「年5日の年次有給休暇取得義務」があり、人員に余裕がない場合などはその義務すら達成が難しい……というケースがあります。

かといって、企業の裁量で従業員の有給休暇を勝手に消化する……といったことはできません。
「暇なので有給で休んでほしい」というふうに会社の都合で有休消化することは、労働基準法に反する行為だからです。「有給休暇を自由に使える」という労働者の権利を侵害してしまわないように注意しましょう。

有給休暇の付与基準日を揃えたい場合は“前倒し”で

中途入社の場合、「山田さんは10月から、鈴木さんは11月から」というふうに、有給休暇の付与基準日がバラバラになってしまいます。そうなると会社としては有給休暇の管理が複雑化しがちです。

効率よく有休管理をするには、有給休暇の基準日を“統一”するとよいでしょう。
このとき注意したいのが、後ろへずらすのではなく「前倒し」で付与する、という点です。

先ほどの事例でいうと、山田さん(10月)、鈴木さん(11月)の初回基準日はそのままで、2回目の基準日(それぞれ半年後)を2人とも4月にしてしまう方法が“前倒し”です。

この場合鈴木さんは5ヶ月で2回目の有休が付与されますが、鈴木さんにとっては不利益ではないため問題ありません。

有給休暇の付与日数のルールを把握しておこう

有給休暇は労働者に与えられた権利であり、法律では最低年5日の有給休暇取得が義務となっています。
雇用主は従業員の有給休暇日数や取得ルール等についてしっかりと理解しておき、年次有給休暇の取得漏れがないように注意しましょう。

また、従業員が有給休暇を取得したいと申し出たときは、本人の意向を尊重するように努めてください。会社全体で有給休暇の積極取得を推進し、働きやすい環境づくりを目指しましょう。

この記事の執筆者

ゼニス編集部

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