個人事業主に関わりの深い「事業所得」とは? 基礎知識や雑所得との違いを紹介!

個人事業主に関わりの深い「事業所得」とは? 基礎知識や雑所得との違いを紹介!

個人事業主やフリーランスなど、開業して事業を営む人が得た収入は「事業所得」として確定申告を行います。本記事では、事業所得の基礎知識や必要経費の考え方、雑所得との違いについてご紹介します。事業所得を青色申告者として申告する場合のメリットについてもご紹介しますので、ぜひご覧ください。

事業所得とは「事業を通じて得た所得」のこと

事業所得は、文字通り「事業を行って得た所得」を指します。

具体的には以下のような事業の収入が「事業所得」にあたります。

  • 農業
  • 漁業
  • 製造業
  • 小売業
  • サービス業
  • 医師
  • タレント、モデル
  • 競馬の騎手
  • 税理士、弁護士(個人事務所を開業している場合)

また、事業そのものの収入以外には、事業で生じた作業くずの売却(段ボールや鉄くずなど)、事業に付随して発生する収入なども「事業所得」として計上します。

事業所得の計算式

事業所得を得るために使った費用は「必要経費」として計上できます。

確定申告時には、事業で得た総収入金額から必要経費、控除を差し引いた金額が「事業所得」となります。

総収入金額 - 必要経費 - 青色申告特別控除(青色申告の場合)= 事業所得

なお、事業所得は他の所得(不動産所得や一時所得、雑所得など)と合算し、総合課税される仕組みです。

事業所得では経費を計上できる

事業所得の必要経費にはさまざまな項目があり、業種によっても異なります。

【事業所得で経費計上できる例】

勘定科目経費になる費用の例
地代家賃事務所の家賃やレンタル料
水道光熱費事務所で使用する電気、ガス、水道の料金
通信費電話料金やインターネット回線使用料、事業で使用するハガキや切手の代金
旅費交通費事業で移動する際の運賃、宿泊費、コインパーキング台
消耗品費事業で使った事務用品費、10万円未満の家具やパソコンなど(※)
租税公課個人事業税や事業に使った税金(固定資産税、自動車税)、登録免許税、印紙税
荷造運賃商品、製品の配送料や梱包資材など
広告宣伝費事業宣伝用の広告掲載費、チラシ、パンフレット、ポスター等の印刷費
損害保険料事務所の火災保険料や事業用自動車の保険料、自賠責保険料
福利厚生費社員旅行、忘年会や新年会、健康診断費、慶弔費
給料賃金従業員に支払う給与
修繕費減価償却資産に該当しない店舗、設備、機械器具、事業用の自動車の修理代
外注工賃外部の業者や事業主に業務を委託したときの支払いや電気工事費
利子割引料事業用の借入金(融資など)の支払利息や手形の割引料など
貸倒金回収不能になった売掛金、貸付金、未収入金
雑費上記の経費に当てはまらないその他の費用

※10万円以上のパソコンや家具類は「固定資産」として計上し、減価償却します。

具体的には「打ち合わせのためカフェに行った際の飲食代」「自宅兼事務所としている賃貸マンションの家賃」なども経費となります。ただし、自宅を事務所として利用する場合、「事業で使用する割合」と「プライベートで使用する割合」を按分しなくてはなりません(家事按分)。

家事按分の方法

自宅兼事業所として利用している家の家賃、電気料金、水道光熱費などは「家事按分」をして事業利用分のみを必要経費とすることができます。

ただし、水道やガスについては直接事業に不可欠なものであることが条件です。

【例①】
家賃10万円の賃貸マンション(2LDK)の1室を仕事場として使用している。
事業での利用面積(利用率)は15%。
年間でいうと10万円×12ヶ月=120万円を支払っている。

この場合、120万円 × 15% = 18万円(月1.5万円)を、年間の事業利用分として「地代家賃」で計上します。

【例②】
WEBライターとして事業所得を得ていて、かつ毎月平均1万円の電気料金を払っている場合。
以下のいずれかで事業割合を計算します。

  • 作業時間
  • 作業日数
  • コンセントの数

仮に作業時間で考える場合、1日8時間働いているとすれば「1ヶ月の電気代のうち1/3」は事業に使っていることになります。よって、1万円× 12ヶ月 × 1/3 = 年4万円(1ヶ月3,333円)が事業利用分になります。

大事なのは、いずれの按分方法であっても「事業に使っていることを明確に説明できるか」がわかる資料を残しておくことが重要です。

なお、会計ソフトによっては、確定申告書類の作成時に1年分をまとめて家事按分できる場合もあります。
会計ソフトで帳簿付けを行っている(行う予定である)場合は、家事按分の方法を確認しておくとよいでしょう。

事業所得と雑所得との違いは? 判断基準について


個人事業主として開業していて、かつメインの事業で得た収入は「事業所得」となります。

では、本業が別にあり、副業として得た収入は「事業所得」にあたるのでしょうか。最近ではクラウドソーシングなどを活用してライティング、Web制作などで報酬を得たり、セミナー講師として講演料をもらったりといった副業も増えています。

実際のところ、会社員の副業は「雑所得」に当たるケースがほとんどです。
というのも、雑所得とは「事業所得など他の所得に当てはまらない所得」であり、本業として行っていないのであれば雑所得扱いになるのが適当だといえます。

  • 会社員として働くかたわら、FX取引で利益を得た
  • 会社員がブログを開設し、アフィリエイト収入を得た
  • パート主婦がクラウドソーシングでWEBライティングをし、報酬を得た
    副業としてネットショップで利益を得た

こうしたケースは「本業が主となる収入源であり、副業の収入が超えていない」というケースが多いでしょう。また、本格的な事業ではなく、空いた時間で行うものであるため、雑所得としてみなされる場合がほとんどです。

なお、開業して個人事業主として副業を行っている場合は、事業所得としての確定申告が認められます。

事業所得で確定申告をする流れは?

事業所得で確定申告をする大まかな流れは以下のとおりです。

  1. 帳簿、領収書、レシートや報酬明細書、支払調書をまとめる
  2. 確定申告書、収支内訳書(青色申告の場合は青色申告決算書)の作成
  3. 提出方法に応じた必要書類、ICカードリーダーライターなどの準備

確定申告は直接税務署に提出するか、郵送、インターネットによる申告(e-Tax)などの方法で行います。
インターネットで確定申告をする場合は、事前にマイナンバーカード&電子証明を取得するとともに、ICカードリーダーライターの購入が必要です。

確定申告の流れについては、以下のコラムも参考にしてみて下さい。
https://virtualoffice-resonance.jp/column/how-do-sole-proprietors-file-tax-returns/

事業所得を青色申告するメリットは?


青色申告の場合、収入は「事業所得」として申告するケースがほとんどです。また白色申告であっても、主たる事業で得た収入は事業所得になります。ここで気になるのが「青色申告にしたほうがいいのか」という点です。

事業を開始して収入がまだそれほど多くないうちは「白色申告でもいいのでは?」と思われがちですが、青色申告と白色申告ではさまざまな違いがあります。特に大きな違いは「青色申告特別控除」などの優遇があることでしょう。

  • 青色申告特別控除(最大65万円)が受けられる
  • 赤字の相殺ができる(最大3年間)
  • 青色事業専従者給与(家族や親族を雇用した際の給与を必要経費にできる)

それぞれ解説します。

青色申告特別控除(最大65万円)が受けられる

事業所得のある人が青色申告をする最大のメリットは、「青色申告特別控除」が受けられる点です。
青色申告特別控除とは、青色申告者だけが受けられる控除です。

その年の事業所得から最大65万円(e-Tax申告の場合※)の控除が受けられるため、課税対象となる所得額が少なくなり、節税につながります。

※書面で確定申告書を提出した場合は55万円、簡易帳簿による青色申告の場合は10万円の控除となります。

なお、青色申告をするには以下の条件を満たす必要があります。

  • 開業届、および青色申告承認申請書の提出
  • 複式帳簿による記帳
  • 確定申告時に「青色申告決算書」を作成

開業届は開業してからすぐ、青色申告承認申請書は確定申告をしたい年の3月15日まで(開業が1月16日以降の場合は、開業後2ヶ月以内)に提出する必要があります。

赤字の相殺ができる(最大3年間)

青色申告では「純損失の繰越・繰戻し」という制度があります。これはわかりやすく言うと、「事業所得の赤字を繰り越して翌年の黒字から相殺できる」という制度です。

赤字の相殺は最大3年間にわたって適用されますが、このような制度は白色申告にはなく、青色申告のみで利用できます。

青色事業専従者給与(家族や親族を雇用した際の給与を必要経費にできる)

家族や親族を雇用して従業員にし、同じ年に6ヶ月以上働いている場合、支給した給与を必要経費として控除できる制度があります。

これは「事業専従者控除」という制度で、白色申告の場合は配偶者で86万円、配偶者以外で1人50万円までを必要経費として計上できます。

青色申告の場合は、「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出する必要がありますが、同届出書に記載した金額の給与分を経費とすることができます。労働の対価として妥当な金額であれば、白色申告の86万円、50万円といった上限はありません。

事業所得は雑所得と違う! 必要経費や青色申告について理解しておこう

青色申告は白色申告に比べ、控除や経費の範囲が広くなります。それはつまり、節税につながるということでもあります。

本格的に事業を営み、事業所得を得る場合は、青色申告の利用を検討してみてもよいでしょう。

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