会社設立の際には「本店所在地」として所定の住所を登録することになります。本店所在地にはオフィスだけではなく自宅なども登録ができますが、その際使う住所によって異なるメリット・デメリットが生じます。
そこで今回は、「会社設立に使う住所ごとのメリット・デメリット」をケース別にご紹介。会社設立後に移転をする場合や、助成金・融資などへの影響についても解説しますので、ぜひご覧ください。
会社設立時に定める「本店所在地」とは
本店所在地とは、端的に言うと「会社の場所」です。
会社設立のために法人登記を行う際は、本店所在地を登録する必要があります。
会社設立時の本店所在地に指定できる住所には、法的な制限がありません。そのため自宅・賃貸オフィス・レンタルオフィスのほか、コワーキングスペース(シェアオフィス)やバーチャルオフィスなどでも会社設立が可能です。
ただし、「居住のみ」など利用範囲を規定した賃貸物件などの場合は、法人登記などの商用利用には使えません。
会社設立ではどこの住所を使う?ケース別のメリット・デメリットを解説
会社設立時の住所として利用されることが多いのは、以下の住所です。
- 自宅住所
- 賃貸オフィスの住所
- レンタルオフィスの住所
- バーチャルオフィスの住所
それぞれの住所を会社設立時の本店所在地として使うメリット・デメリットを見ていきましょう。
自宅の住所で会社設立するメリット・デメリット
自宅住所を本店所在地として会社設立をするメリット・デメリットは以下のとおりです。
- 新たにオフィスを契約する必要が無い
- 初期費用、ランニングコストを抑えられる
- 会社設立後、住所が登記事項として見知らぬ人に公開される
- 取引先や金融機関からの信用性が低く、融資にも影響する場合がある
自宅をそのまま会社設立の登記に使う場合、オフィス契約に伴う出費やランニングコストがかかりにくいのが利点です。ただし登記をしたことで住所が一般公開される点には要注意。またオフィスを借りる会社設立方法に比べると、取引先や金融機関からの信用性は低い点にも留意が必要です。
賃貸オフィスの住所で会社設立するメリット・デメリット
会社設立時に賃貸オフィスを契約し、本店所在地にするメリットは次のとおりです。
- 社会的信用性が高い住所として取引、融資に有利
- レイアウトが自由で許認可の必要な業種にも対応可
- 初期費用やランニングコストが高くつく
- 移転をする場合にも費用が掛かる(原状回復工事費や什器等の搬出・搬入代など)
賃貸オフィスの住所は社会的な信用性も高く、取引や金融機関の融資を受ける際も有利にはたらく場合が多いでしょう。また、内装や什器のレイアウトなどを自由にカスタムできるのも大きな魅力です。
その一方で、敷金や仲介手数料、数ヶ月分の家賃や工事費……というふうに、初期費用がかさむ点がデメリットです。ランニングコストも他のオフィス形態に比べて高くつきます。
また移転をする場合、内装等の原状回復工事が必要になること、什器等の引っ越しが生じることもデメリットだといえます。
レンタルオフィスの住所で会社設立するメリット・デメリット
レンタルオフィスはビルのフロアにある一室を借り、オフィスとする方式です。
- 賃貸オフィスに比べ低コストで利用できる
- オフィス家具やネット環境などを整備する必要が無い
- 法人登記ができないレンタルオフィスもある
- 小規模スペースの貸し出しが大半であり、従業員数が多くなると収容が難しくなる
個室式のレンタルオフィスの場合、賃貸オフィスと比べればかなりの低コスト(月数万円~)で借りられる点が魅力です。仕事に必要なオフィス家具や設備、環境も最初から揃っており、初期投資がほぼ必要ない点もメリットでしょう。
一方、デメリットとしては「そもそも法人登記ができないところもある」という点が挙げられます。
会社設立の本店所在地として利用したい場合は、登記ができるかを必ず確認しておきましょう。
また、レンタルオフィスは小規模スペースの貸し出しであるケースがほとんどのため、従業員数が増えた場合は対応が難しくなる点にも要注意です。
バーチャルオフィスの住所で会社設立するメリット・デメリット
バーチャルオフィスはビジネス用の住所のみを借りられるオフィス形態です。
- 月々数千円からの低コストで住所を利用できる
- 信用性の高い一等地住所で起業できる
- 許認可が必要な業種(士業など)では開業できない
- 法人口座の開設ができないバーチャルオフィスもある
バーチャルオフィスは月々数千円からと、かなりの低コストで利用できる点がメリットです。またバーチャルオフィスの中には新宿や渋谷など、都内の一等地住所が利用できるところも。会社設立時に知名度の高い住所を利用できれば、信用性もアップし、良いイメージを持たれやすくなります。
一方デメリットは、許認可の必要な業種に対応していない点です。これは住所のみを提供する性質上、専有スペースや応接スペースが確保できないことが理由として挙げられます。
さらに法人利用する場合は、「法人口座の開設ができる」と明記してあるか確認しておくと安心です。
会社設立時の住所から本店所在地を変更したい場合は?
会社設立時に登記をした住所から、本店所在地を変更したい。このような場合は「本店移転登記」という手続きを行います。
本店移転登記は、会社設立の登記と同じく「法務局」で手続きをします。移転前と法務局の管轄が同じであれば、ひとつの登記申請でOKです。
一方、会社設立時と移転後で管轄区域が異なる場合。この場合は、それぞれ2カ所の法務局で登記申請が必要になる点に注意しましょう。
本店移転登記には1カ所につき3万円の登録免許税がかかります。つまり移転前後で管轄区域が異なる場合は、2カ所分=6万円の登録免許税が必要になるのです。
参考リンク:商業・法人登記申請手続:法務局
なお、会社設立後に本店所在地を変更した場合は、法務局以外にも以下の機関での手続きが必要です。
【会社設立後の本店移転登記に伴う手続き】
手続きに関する参考リンクなど | |
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法務局へ本店移転登記 | 商業・法人登記申請手続:法務局 |
税務署へ異動の届け出 | [手続名]異動事項に関する届出|国税庁 |
都道府県税務署へ変更の届け出 | 各都道府県の公式サイトにて要確認 |
自治体へ市区町村税変更の届け出 | 各都道府県の公式サイトにて要確認 |
年金事務所へ変更の届け出 | 適用事業所の名称・所在地を変更するとき(管轄内の場合)の手続き|日本年金機構 適用事業所の名称・所在地を変更するとき(管轄外の場合)の手続き|日本年金機構 |
労働基準監督署へ労働保険の届け出 | 管轄の労働基準監督署へ要確認(全国労働基準監督署の所在案内 |厚生労働省) |
ハローワークへ雇用保険の届け出 | 管轄のハローワークへ要確認 (全国ハローワークの所在案内|厚生労働省) |
税務署、年金事務所、都道府県税務署、労働基準監督署に関しては、移転後の「会社の登記簿謄本」の提出が必要になります。これらの場所に関しては、法務局への登記変更申請を済ませてから手続きをするとよいでしょう。
会社設立時の住所によっては助成金や融資に不利になるって本当?
会社設立後に助成金を申請しようとした場合、「本店所在地」の住所をベースに申し込みを行うことになります。しかし、バーチャルオフィスなどを利用し、離れた自治体にあるオフィスで会社設立した場合、「居住地と本店所在地が離れすぎている」という理由で対象外とされる可能性があるようです。
また融資に関しても、本店所在地の住所を理由に断られてしまうケースがあるとされています。これは信用金庫など、地域密着型の金融機関で顕著な例でしょう。「バーチャルオフィスなので、対象エリアに会社がない」と判断され、融資の対象にならないというわけです。
とはいえ、近年では「クラウドファンディング」「エンジェル投資家、ベンチャーキャピタルからの出資」など、他にもさまざまな資金調達方法が存在します。
また会社設立に際し特に設備投資などを必要としない業種であれば、そもそも多額の資金調達をせずとも、自己資産のみで起業が可能です。
つまり助成金・融資による資金調達を考えていないのであれば、住所による影響は心配ないといえるでしょう。
会社設立の住所に都心一等地が使える!バーチャルオフィスの活用を
ご紹介したとおり、会社設立時にはオフィスを借りて登記をするか、自宅で会社設立をする方法があります。オフィスが必要ない業種の場合、「ご自宅の住所で会社設立をしたい」と考えられる方もいらっしゃるでしょう。
とはいえ、自宅住所で会社設立(法人登記)を行った場合、どうしても「自宅公開」のリスクがあります。
法人登記した情報は一般公開され、誰でも簡単に見ることができるからです。
自宅公開のリスクを避けたい場合は、バーチャルオフィスの利用をおすすめします。
レゾナンスでは月額990円~(税込)で、都心一等地の住所をご利用いただけます。もちろん法人登記も可能です。
提供住所には「東京都港区浜松町、港区青山、港区新橋、中央区銀座、中央区日本橋、渋谷区神南、渋谷区神宮前、渋谷区恵比寿、新宿区西新宿、千代田区神田、横浜市西区」があり、事業内容に応じてお選びいただくことも可能です。都心の知名度が高い住所ということもあり、会社のイメージアップにも効果的です。
「会社設立したいけれど、自宅が賃貸で法人登記に使えない……」
「PCさえあれば作業できる仕事なので、コストを抑えて会社設立がしたい」
このような方は、ぜひレゾナンスのバーチャルオフィスをご活用くださいませ。