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約束手形とは?仕組みや小切手との違い、仕訳方法を紹介!

会社の商取引で使われる「約束手形」。手元にお金がない場合でも代金の支払いができ大変便利ですが、そもそも約束手形とはどのようなものなのでしょうか。

ここでは約束手形の仕組みやメリット・デメリット、小切手との違いを紹介します。また約束手形の会計処理(仕訳方法)についても解説しているので、ぜひご参考にお読みください。

約束手形とはどのようなもの? 仕組みを紹介

約束手形は、商取引における支払い方法のひとつです。

約束手形は、現金のように「支払ったらその場で直接的なお金の移動が発生する」というものではありません。

支払い側(振出人)が受け取る側(受取人)に対し「将来お金を支払います」という証明として、約束手形を発行します。

受け取った側は期日以降に金融機関へ約束手形を持ち込むことで、現金を受け取れる仕組みです。

約束手形でお金を受け取る日は「書かれている期日」

ここで気になるのが「受取人はいつお金を受け取れるのか?」という点です。

約束手形には、期日が記載されています。
受取人は指定期日に金融機関へ約束手形の「取り立て」を依頼することで、現金へ換えられます。

取り立ての手続きは期日を含む3営業日以内です。

ただし、即日現金化できるものではなく、支払い側の当座預金口座(手形の入出金用口座)に資金があるかの確認などを行う必要があります。
実際に現金化され振り込まれるまでには、さらに3営業日ほどかかることを知っておきましょう。

約束手形はどのように発行され、支払いが行われる?

約束手形の発行から受取人の手元にお金が渡るまでのプロセスは、以下のとおりです。

  1. 支払い側(振出人)が当座預金口座(約束手形の入金、引き落とし専用の預金口座)を開設
  2. 金融機関で「約束手形用紙」を交付してもらう
  3. 約束手形用紙へ「支払金額」「支払期日」を記入し、受取人へ渡す
  4. 支払い側(振出人)が支払期日までに、当座預金口座へ手形額面の代金を振り込む
  5. 受取人が金融機関へ取り立て依頼を行う
  6. 金融機関が約束手形を交換
  7. 振出人の当座預金口座から金融機関が代金を引き落として受取人へと振り込む

このように、「支払いまでの期日(手形サイト)」に猶予があること、手形と金融機関を介して支払いを行うことが、約束手形の大きな特徴です。

約束手形の「裏書」「手形割引」とは?

約束手形を受け取った側は「裏書譲渡」というシステムを利用することができます。

これは約束手形の裏側に氏名、押印をすることで、別の第三者(指図人)との取引支払いのお金として受け取ってもらえる、というものです。

お金代わりに譲渡した約束手形は、譲渡された側(最後に約束手形を持っている指図人)が金融機関に依頼することでお金を受け取れるようになります。
「お金をもらえる権利を第三者に受け渡せる=裏書譲渡」と覚えておくとよいでしょう。

また、約束手形には「手形割引」という制度もあります。

通常、約束手形でお金を受け取る場合は、書かれている期日以降でないと取り立ての依頼ができません。
しかし、金融機関に所定の手数料を払うことで、支払期日前でも現金化ができるようになります。

手数料こそかかるものの、「期日よりも早くお金を受け取りたい」という場合には便利な制度であり、資金繰りが苦しい時の助けになるので覚えておきましょう。

約束手形の不渡りについて

約束手形は「お金の支払い・受け取りを約束する証券」です。
よって支払い側が額面分のお金を口座に入金していれば、滞りなく受け取りもできます。

しかし、支払い側がお金を入金できなかった場合はどうなるのでしょうか?
この場合、引き落としが行われず、「不渡り」という状態になってしまいます。

不渡りになると支払い側(振出人)の信用が著しく落ち、口座取引ができなくなって現金取引しか使えなくなります。いわば「ブラックリスト」に載ってしまう状態であり、不渡りの情報はあらゆる金融機関へ通知されます。

半年間で2回不渡りを出してしまうと、当座預金取引、銀行取引が2年間停止されてしまうため大変不便です。

また受取人としても取り立てが間に合わなくなり、現金化できず資金ショートに陥る……といったことにもなりかねません。

約束手形のメリット・デメリットを解説


約束手形の仕組みについてご説明しましたが、改めてメリット・デメリットについてまとめて見てみましょう。

約束手形のメリット

約束手形を利用するメリットは以下のとおりです。

  • 支払いまでの期日(手形サイト)を長く設定でき、資金繰りに余裕が出る
  • 裏書による譲渡ができ、お金代わりに支払いへ使える
  • 「会社の社会的信用があること」の証明になる

建設業者など、着工~入金までのサイトが長い業種では、半年~1年後にお金が入ってくるケースも多く見られます。

一方、仕入などの支払いは1~2ヶ月サイクルであることが多いため、「手元にお金が入ってきていないのに支払いがどんどん重なる」といったことにもなりかねません。

こうなるとお金が手に入るまでの期間の資金繰りが大変苦しくなります。
しかし、約束手形で支払い期間を伸ばすことができれば、資金繰りに苦心することもなくなるでしょう。

また約束手形は裏書で第三者に譲渡ができ、お金の代わりとして支払いに使えるのもメリットです。

なお、約束手形の発行に必要な当座預金口座の開設には、社会的な信用が必要です。
よって、「約束手形を発行する会社=社会的信用性の高い会社」という印象を与えることもできます。

約束手形のデメリット

約束手形のデメリットは以下のとおりです。

  • 不渡りのリスクがある
  • 収入印紙代、手形帳代などのコストがかかる
  • 2026年に廃止される予定である

先述したとおり、約束手形には「不渡り」のリスクが生じます。

発行側が支払うべきお金を期日までに準備できなければ、受け取り側は本来手に入るはずだったお金を入手できず、資金繰りが一気に悪化する懸念もあるでしょう。

また不渡りを出してしまった発行側についても、信用度の低下、取引手段の制限化などが起こる可能性もあります。収入印紙代や手形帳代などのコストが生じる点もデメリットでしょう。

なお、約束手形は政府の方針により2026年を目途として廃止される予定です。
これから起業し、約束手形を利用する場合は、2026年以降は使えなくなる支払い方法であることを承知のうえで利用しましょう。

約束手形と小切手はどう違う?

約束手形と小切手はよく似ていますが、それぞれ異なる特徴を持っています。

おもな違いは「換金(現金化)できるタイミング」です。

小切手は支払い・受け取りまでの日数が短い

約束手形は「手形割引」を使わない限り、原則は期日にならないと現金化できません。

いっぽう、小切手は受け取った翌日から換金ができます。

  • 約束手形
  • 指定の期日(決済日)以降に現金化できる。
    現金化は期日を含めた3営業日以内に手続きをする必要あり。

  • 小切手
  • 受け取った翌日から現金化ができる。
    現金化の手続きは受け取った翌日から10営業日以内。

受け取り期間を見ると、小切手はあくまでも「一時的にお金の代わりに渡すもの」であることがわかります。

また小切手の発行をする側は、先に額面以上の資金を当座預金へ入金しておかねばならないのも大きな違いです。

約束手形と為替手形はどう違う?

約束手形と同じ「手形」には、為替手形というものもあります。
為替手形はおもに3社間で決済するための方法です。

たとえばA社からB社が仕入れたものをC社へ転売するとします。
このとき、通常であればB社→A社、C社→B社という2つの支払いが発生します。

しかし、為替手形で「C社がA社へ支払うこと」という手形を発行すると、お金の流れはC社→A社の1回で済むことになるのです。

これにより支払い取引の簡略化、および手間や印紙税の省略ができるようになるメリットがあります。

約束手形と同じ「手形」といえど、為替手形においてその使い方は大きく異なるのです。

約束手形の会計処理は? 仕訳方法を紹介

約束手形の会計処理としては「支払手形」「受取手形」で仕訳をします。
仕訳方法を理解しておき、経理業務に役立てましょう。

約束手形を発行(振り出し)したときの仕訳

約束手形を支払いのために発行した場合は、勘定科目の「支払手形」で処理をします。

たとえば買掛金の支払いのため、80万円の約束手形を振り出したときは次のように仕訳します。

(借方)買掛金 800,000円 /(貸方) 支払手形 800,000円

約束手形を受け取ったときの仕訳

約束手形を受け取ったときは、勘定科目の「受取手形」で処理しましょう。

仮に売掛金の支払いで80万円の約束手形を受け取った場合は、借方に「受取手形」、貸方に「売掛金」として以下のように記載します。

(借方)受取手形 800,000円 /(借方) 売掛金 800,000円

約束手形はメリット・デメリットを理解したうえで利用しよう

約束手形は2026年に廃止の方向で話が進んでいますが、いまだビジネスの取引ではよく用いられている支払い方法です。あなたが起業等で商取引を行う場合、これからお目にかかる可能性も十二分にあります、

約束手形についていま一度メリット・デメリットを把握しておき、必要であれば商取引で利用することも視野に入れてみてください。

この記事の執筆者

ゼニス編集部

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